blogピュア1st.

Teacupブログより引っ越して来ました。
好きなマンガや、創作マンガについて語ります。

『宇宙戦争』の描く恐怖

2005-08-06 17:48:43 | メデイア・映像
 『宇宙戦争』を観てきました。
公開したら日本での評判は今一つのように聞こえてきたけれど。そんなことはない。とても面白かったよ!

 なにしろ“恐い”。未知のものに襲われるというのは、こんなにも恐いか・・・、という所がよく出来ていたと思う。「どこに逃げたらいいのか」判らないのだし、そもそも敵が何なのかも判らない。


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 さすがはスティーブン・スピルバーグ!
『激突』で「理由も無く、トラックに襲われる」恐怖や、『ジョーズ』で「“食うだけの機械”に襲われる」恐怖を描いた作家だけの事はあるね。
 共通するのは「意思の疎通の皆無」という事でしょう~。

 『宇宙戦争』はその延長上にある。上記の初期作品と同類の恐怖を描いた《パニック映画》であるし、また《戦争映画》であり、《怪獣映画》だと思った。


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《怪獣映画》だと思うのは、例の【トリポッド】の描き方だ。
日本特撮が忘れてしまいがちな「巨大な物から追われる」恐怖を上手く表現できている。「あのとんでもなく大きな物が、こちらに向かって来る」様子を想像した事はないだろうか?・・・これは恐いよ。

《戦争映画》だと思うのは「空爆と逃げまどう市民」をだぶらせているとしか思えないからだ。・・・ここでふと思うのは「面白くない」と思った人は、宇宙人対地球人の“戦闘”を期待していたという事はないだろうか?・・・
 この映画には“戦闘”は描かれていない。“戦場”が描かれているのだ。そして市民が逃げまどうのも“戦場”だ。

 逃げまどう主人公の視点で常に描かれるため、エイリアンのトリポッドが何をしているか、どんな惨劇が起こっているか、ほとんど見えないのだ。
それだけに余計、恐怖感が増す。


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 イラクの子供達には空からやって来る米軍が、エイリアンほどに恐怖だっただろう。
 それから忘れてはいけないのは、「原爆の恐怖」だ。有無を言わさぬ殺戮。スピルバーグよ、よくぞ描いたと思う。
 襲われた者は「何が起きているのか判らないまま、死んでいく」

 日本映画は「原爆の悲劇、悲惨さ」は描けても、この不条理な恐怖感は描ききれていないのではないだろうか?
 どんなに惨い惨状を描いても、被害者の悲しみ以上の描写にはならないのではないだろうか、と思えてもどかしくも思う。


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 どこの国のどんな人種であろうと、空から核爆弾が落ちて来る惨劇に遭うかもしれない…という現代の不安、恐怖はなかなか描けないと思う。

 『宇宙戦争』は、その恐怖が描かれていた。見事だ。