椅子のシンデレラは、体の上に座られたり
足元にゴミ箱を置かれたり
毎日大変です。
そればかりでなく
大きな荷物を乗せられたり
高い所のものを取るための踏み台にされたりして
苦労して暮らしていました。
ある日、お城で舞踏会が開かれると聞き
椅子のシンデレラは
魔法使いのおばあさんに頼んで
着飾って出かけてきました。
お城で暮らすCocoさんは
本当は女の子ですが
今日の役は、素敵な王子様。
大臣のガムテープの芯といっしょに
お客様をもてなします。
Coco王子は
椅子のシンデレラとおしゃべりするうち
シンデレラのことがすっかり気にいってしまいました。
しかし椅子のシンデレラにかかっていた魔法は
夜の12時になると、とけてしまいます。
椅子のシンデレラは、
アクリルの靴下を残し、
走り去って行ってしまいました。
「この靴下が。ぴったり合う椅子を捜してください」と
Coco王子は町にお触れを出しました。
「私も履いてみてもいいですか」
ちょっと太めの机の脚がやってきました。
「ばか言っちゃいけません。
履けるわけがないでしょう」
しかしそのうち、
アクリルの靴下がぴったり似合う椅子がやってきました。
「おおっ。もしかしてあなたこそ、椅子のシンデレラ?」
と、思ったのもつかの間、
たくさんの椅子たちが、我も我もと押し寄せてきました。
どの椅子の脚も、例のアクリルの靴下がぴったり。
これではどれが本物だかわかりません。
困ったねえ。
Coco王子は頭を抱えてしまいました。
そもそも、大量生産の靴下が履けるかどうかで
たった一人のお姫さまを捜そうなんて
発想が間違っていたのだ、と反省。
よし。こうなったら
一人と言わずすべての椅子が
幸せに暮らせる国を
つくろじゃないか。
と、Coco王子は方針を変えました。
編み物が好きな、アンデレラや
水汲みの得意な、クンデレラ。
舌がよく回らない、カンデレラに
騙されてばかりいる、ソンデレラ・・・。
たくさんの椅子たちが賑やかに
お城の中に、住んでレラ。
「よかったよかった。ご苦労様」
ガムテの芯にねぎらってもらったとき
Coco王子ははっと気がつきました。
「もしかして、きみこそ私の
芯デレラ?」
こうして二人は
すっかり仲良くなり
いつまでも幸せに、
暮らしましたとさ。
おしまい♪
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