なにか要望があるとき、
わんこは行儀よく座って、家族にそれを伝えます。
ねえねえ。あのおもちゃ、取ってよ。
そこに落ちてるおやつ、拾ってちょうだい。
ぴたりと座ってみせるのは家族に対して、
望みがあることを伝えるため・・・だと思っていたのに、
姿が見えないと思ったら、
わんこは一人、暗がりの脱衣場ですわりこんでいる。
どうやら、お風呂場の奥に見えている
ピンクのたわしがご所望らしい。入り口が狭くて中に入れないから、
ドアの前で座って待っていたのだ。
おかしなわんこ。
誰にも見えないところで座っていたって、
願いがかなうわけ、ないでしょう。
「座って待てば家族が取ってくれる」のではなくて
「座って待てば見えない力が働いて、ほしいものが飛んでくる」
それがわんこの認識らしい。
天に向かって祈ります。
これからもよろしく。わんこが座って待っていたら、
どうか願いをかなえてください。
すると、不思議な光が空からわんこの元へ、
まるで返事をするかのように
降り注いできたのです。
そうか。願いをかなえてくれる神様は、
空にいるんだね。
・・・・・・というわけで
「空」にやってきたけれど、
・・・・・・今日はいないねえ。
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