今日から公開、ファーストデイで観て来ました。
「スリー･ビルボード」同様FOXサーチライトの作品。
日本のみ？パンフレットも同じデザインで統一。
通巻の雑誌風の装丁になっています。
ギレルモ監督といえば「パシフィック・リム」！
自他共に認めるオタクで日本のアニメや特撮に影響を受けたと公言してますね。
観る前にR15+と知ってちょっと驚いた。
（本来は例のモザイク無しでR18らしいですね）
「ET」や「人魚姫」みたいなファンタジーじゃない？
エロと暴力の描写がそれなりにあったからでした。
子供向けファンタジーとせずリアルに描くことを優先したのでしょうか。
字幕の文字色が黄色。
冒頭のモノローグが終わったら白くなる？
いいえ、ずっと黄色いままでした。
色にこだわった作品、文字色も敢えてのことかな。
既にベネチア国際で金獅子賞を受賞。
アカデミー賞も最多13部門にノミネートされてます。
まぁ私は「スリー･ビルボード」を推しますけどね。
え？「ダンケルク」はどうかって？
大好きなノーラン監督ってことで期待したけど、
同じく戦争を題材にした「この世界の片隅に」を観てからでは見劣り感は否めない。
（賞に関係ない作品と比べるのもアレですが）
観る予定の方はここでで止めてください。
以下、ネタバレします。
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口のきけないヒロイン・イライザ。
彼女と半魚人？の「彼」との人ならぬ恋の物語。
「人魚姫」や「美女と野獣」とは一味違いました。
序盤で何度かヒロインの自慰シーンが描かれる。
それなりに美人なのにパートナーは居ない。
ハンディキャップを持つことが原因？
だけど彼女にも普通に性欲があることを描きます。
この描写があったからこそ「彼」と行為に及んだ心情が分かった。
敵であるストリックランドの誘いにすら揺れる。
口説かれてる時のBGMはちょっとほんわか。
嫌な上司でも「空き家」の彼女はときめいた。
そのくらい彼女は男に飢えている状態。
だから心が通じた「彼」を性欲の対象と捉えられた。
かつて大航海時代に「溜まった」船員が羊と性交。
そこから梅毒が人に広まった説を連想してしまう。
ただ獣姦は聖書で禁じられている。
宗教的な反発起きてない？
その意味でもかなりチャレンジャーな気がします。
獣じゃなくて両棲人間、だからOKなのかな。
とは言え、ヒロインの変態っぷり相当なものです。
人魚みたいに上半身が普通に美女なら、
下半身が魚でもギリなんとかいけそうな気がする。
でも「彼」はかなりの魚類っぷり。
魚介類の臭いがした時点で私なら萎えますよ。
ヒロインの性欲の強さには脱帽。
二人の間に「子供が誕生」なんてラストだったら。
なーんだ同じ「種」だったのねと安堵できたのに。
そうじゃなきゃ「彼」はTENGAと何ら変わらない。
（連想したのは「イスルギ／ちみもりお」）
なんてことが頭に浮かんで感情移入できなかった。
それに「彼」まるでガイバーのリベルタス・・
「彼」とのコミュニケーションは手話がメイン。
だからシャレた台詞や仕草も希薄。
二人が惹かれあう過程の描き方が薄いのです。
いっそ性交シーンを隠さず描いてくれてたら、
「あー、これならありだわ」って思えたかも。
「彼」の持つ「治癒能力」も消化不良。
ストリックランドの「指」は伏線じゃなかった。
壊死した指を治して改心させると予想してたけど、
そうしないなら彼の家庭を描かないで欲しかった。
ハンサムな王子の時代って？
時代背景的にケネディ大統領かと思ったけど、
普通に「美女と野獣」みたいな童話を指すのかな。
基本的には人間になって声を失った人魚姫、
それをモチーフに王子さまが野獣（半魚人）？
何で「スリー･ビルボード」を抑えて金獅子賞を？
喋れないイライザや「彼」の姿に不遇なマイノリティ全般を重ね合わせて見がち。
言語が違う国家間の争いを暗示と読み解く人も？
それこそがギレルモ監督のメッセージだと皆が深読みして高い評価をつけた？
いやいや、単にド変態を描きたかっただけでは？
「彼」の造形は素晴らしかった。
中学の頃？大好きだった世界SF全集の「両棲人間」、
あれはもっと人間然としてたけど通じるものが。
ギレルモ監督は同世代なのできっと読んでるはず。
丁寧に造り込まれた映像は終始美しかった。
かなりの大作と思いがちだけど1930万ドルぽっち。
「クリムゾン・ピーク」の半分で「パシフィク・リム」に至ってはその10分の1。
予算決めのファインプレーはFOXサーチライト。
控えめな額の代わりに「自由」を与えた。
結果、細部までこだわれてギレルモらしい映像に。
今一番勢いのあるスタジオとの評判は正しいな。
とまれ、あれだけの高評価はちょっと疑問です。
クスっと笑える所が少ないのが最も残念な点。
ジャイルズをフサにしたような笑いがもっとあれば。
まぁサリー・ホーキンスはいい演技でしたけど。
実はイライザ「人魚姫」だった？
「彼」に治癒能力はあっても人を両棲になど出来る？
元々あった器官が封じられてて治ったと解釈すべき。
あー、でも下半身は魚のそれに戻らなかったっけ？
もう一つ気になるのは最後のナレーション。
運河の水中で起きた奇跡を「見てない」ジャイルズのモノローグ、つまり・・
それこそが本当のオチなら凄いかも！
パンフ読みながらあれこれ思い出してたら、
高評価は妥当って思えてきた。
