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一度きりの大泉の話/萩尾望都

2021年06月25日 00時24分32秒 | つぶやき

二ヶ月前に出版された萩尾望都さんのエッセイ本の書評が新聞に載った。内容が内容なだけに、「そろそろいいよね?」って雰囲気が漂い始めたから?

竹宮惠子さんの反応は知らないのでアレだけれど、それに対してモーサマは反応しないわな。


とにかく出て来る漫画家さん達が凄い!その中でも自分的に好きな作家さんに注目。「花の24年組」と呼ばれる昭和24年(1949年)頃に生まれた女性漫画家さん達。ご自身は嫌がっているが、モーサマこそがそのきっかけで中心的な存在だった。
・萩尾望都(1949.5.12)
・竹宮惠子(1950.2.13)
・佐藤史生(1952.12.6)
・坂田靖子(1953.2.25)
・山田ミネコ(1949.7.11)
・山岸凉子(1947.9.24)
・青池保子(1948.7.24)

早逝された佐藤史生さん、大好きな作家さんなので名前が頻繁に出て来て嬉しかった。「ポスト24年組」と呼ばれ、「夢みる惑星」「ワン・ゼロ」など垢抜けたセンスの良さが魅力だった。コミックスはほぼ全部持っているはず。大泉サロンについても存命なら力強く語ってくれただろうに。

SF系の女性漫画家さんなら萩尾望都さん、佐藤史生さん、水樹和佳さんが自分的トップ3。

竹宮惠子作品って余り読んでいない。
「風と木の詩」はアウトオブ眼中だし、せいぜい24時間TVで「アンドロメダ・ストーリーズ」を見たくらい。でもあれって光瀬龍さんの原作だったのね、知らなかった。光瀬龍さんと言えばモーサマと組んだ「百億の昼と千億の夜」が有名。週刊少年チャンピオンの連載で「何だこれは!」と衝撃を受けたのがモーサマとの出会い。
光瀬ファンだった竹宮さん、対抗心から「アンドロメダ・・」に手を出したのだと、今となっては読み取れる。
ちなみに、何かを手放して後悔することを「オリオナエのオリハルコン」と勝手に呼んでいるw

OSマンションの一件や竹宮さんの手紙など「核心」の出来事は衝撃ではあるが「そうだったのだろうな」と合点の行くものだった。
「24年組」とか「大泉サロン」と呼ばれても、それを理解できずに否定するモーサマ。全てはご自身の存在の大きさ、才能の豊かさを自覚出来ていないことが出発点だった。モーサマこそが少女漫画界にSFの要素を持ち込んで成功させた先駆者で、漫画史に刻まれた「生ける伝説」なのに。

直木賞を取れないことを筒井康隆さんがネタにするなど文壇ではSF作品の評価が低かった。だからこそ、小説に比べて格下扱いにされがちな漫画とSFは最初から親和性が高かった。先駆者としてSF作品を文学作品に比肩するまで評価を高めたモーサマの功績は余りにも大きい。

宮崎監督と庵野監督の関係もそうだが、モーサマと竹宮さんの関係も「アマデウス」のモーツァルトとサリエリみたいなものなのだろう。神に選ばれし天才とその凄さが理解出来る程度の才能しか与えられなかった凡人。後者の絶望と嫉妬は計り知れない。それなりに実績は残しているので宮崎監督やモーサマと比べればって意味での凡人だけれど。

同じ土俵で競えば才能の差を思い知って嫉妬の炎で己の身を焼き尽くすことになる。魅入られず、自分に合った道を探してブレずに進める作家さんだけが新たなジャンルを開拓できる。くらもちふさこさんみたいな違うタイプの天才もそこから現れた。

モーサマのダークな言葉が綴られた一冊は読み応えがあった。執筆の様子や他の漫画家さんたちとの触れ合いがリアルに感じられて、ワクワクしながら楽しく読めた。繰り返し何度も同じことが出て来る辺りも、モーサマが目の前で語ってくれているみたいで臨場感があった。敢えて校正をしなかった?編集の狙いが成功していると感じた。

「11人いる!」「銀の三角」辺りを読み返してみるか。佐藤史生さんの作品も。



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