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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

ウクライナ戦争が招いた世界の食糧危機。黒海経由でアフリカにロシア・ウクライナの小麦を輸出する目的で、ウクライナがオデッサ海域から機雷を除去するためには、ロシアが海路から侵攻しない保証が必要だ。

2022年06月10日 | ロシアによるウクライナ侵略

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 日本でも世界でも、ロシアによるウクライナ侵略で勃発したウクライナ戦争に心を痛め、何とか停戦して人命を救えないかと考えている人が多数おられるわけですが、一気に停戦は難しい情勢です。

 全面的な停戦の前にぜひ解決しないといけないのが、ロシアとウクライナの小麦や肥料が黒海経由で輸出できない状態になっていることです。

 

 これについてはフランス、トルコ、国連、AU=アフリカ連合などがなんとか仲介しようとしています。

 しかし、ウクライナはロシアが黒海を封鎖しているのだと言い、ロシアはウクライナがオデッサ海域に機雷を敷設しているから船舶が航行できないのだといい、それに対してまたウクライナはその機雷を除去したらロシアが海からウクライナを攻撃するだろうと反論して、話がまとまらない状態です。

 ただ逆に言うと、世界を食糧危機から救うという大義名分で、ここでロシアとウクライナが妥協できれば、停戦協議にも入っていきやすくなるわけで、ピンチはチャンスとして利用できる可能性はあります。

 

 

 さて、詳しく見ると、国連は2022年6月8日、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす食糧やエネルギー、金融危機に関する報告書を発表しました。

 特に小麦の輸出量は、世界1位のロシア、5位のウクライナで、世界のおよそ30%を占めます。

 国連はこの報告書の中で、世界94か国、およそ16億人が影響を受けていると指摘し、ロシアによる黒海の海上封鎖で、世界有数の穀物輸出国であるウクライナの穀物が輸出できないことが要因の1つとしています。

 グテーレス事務総長は、戦時であっても

「ウクライナ産の食糧やロシアが生産する肥料が、世界の市場に戻されなければいけない」

「このままでは、世界的な食糧不足に陥り、飢餓や飢きんが、何年も続くおそれがある」

と強調しました。

 

 また、6月3日、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領がロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、アフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。

 サル大統領は

「アフリカ諸国はウクライナの戦地から離れているが、経済的なレベルで犠牲者となっている」

「ロシアに対する制裁がアフリカへの穀物や肥料の供給の状況を悪化させている」

と述べました。

 

 これを受けて、プーチン大統領は同日3日に放送された国営のロシアテレビのインタビューの中で

「世界の食糧市場で起きている問題についてロシアに責任を負わせようとしている」

「ロシアは無条件で安全な航路を確保し、船の安全な入港を保証する。ウクライナから穀物を輸送する問題など存在しない」

と述べています。

 

 サル大統領は9日に

「プーチン大統領に、機雷を除去したらロシア軍が突入するだろうと聞いたが、しないと約束した。国連と一緒に機雷を除去し、穀物輸出を始めよう」

として、ウクライナ側にオデッサ海域の機雷除去を求めています。

 

 

 

 問題は、これまでもロシアがウクライナ市民が避難するための回廊設置を承諾したのに、それを無視して攻撃を続けるという行為を何度も繰り返してきたことで、サル大統領の言葉だけではウクライナ側も機雷を除去しても大丈夫だと信用することはできないでしょう。

 また、プーチン大統領は6月9日のロシア皇帝ピョートル1世の生誕350年記念式典で

「ピョートル大帝は偉大な北方戦争を21年間も展開した。スウェーデンから何かを奪ったと思えるが、何も奪ってはおらず、取り返しただけだ」

などといって、ウクライナ侵略も同じことだと言って正当化し、ウクライナ国民の神経を逆なでするようなことを言っているので、信用されるわけがないんですよね。。。

 それでも、ロシアのラブロフ外相は6月8日、仲介役のトルコのチャウシュオール外相と会談し、黒海に面する港からウクライナの穀物が輸出できない問題について協議しました。

 それに先立って、ウクライナ外務省はホームページに

「私たちは、ウクライナの農産物を輸出するための回廊を作ることができるよう国連や友好国とともに取り組んでいる。

 しかし、ロシアが、この回廊を使ってオデーサなどウクライナ南部を攻撃することは排除できず、船舶が航行できるような効果的な安全保障が必要だ」

とアップしました。

 

 これを受けて、ロシアのラブロフ外相が

「ウクライナ軍が港の機雷を除去し船舶が航行できるようになっても、ロシアがその状況を特別な軍事作戦のために利用することはないと保証する」

と述べたので、あともうちょっとなんですけどねえ。

 ウクライナがオデッサ海域の機雷を除去しても、ロシアがオデッサを攻撃しないという、なにか保障になる措置があれば。。。

フランスのマクロン大統領。

ロシアのウクライナ侵攻開始から100日目。ロシアは即時停戦し、侵略と戦争犯罪行為を止めよ。欧米諸国は本気で停戦協議のために労を取れ。日本は欧米に「軍事援助だけでなく停戦努力をしろ」と本気で迫るべきだ。

 

 

この問題に関しても、ロシア応援派とウクライナ支持派に分かれて、どっちが食糧輸出を邪魔しているのかなどと、また日本でも論争になりそうなんですが、そういうことじゃなくて。

トルコやフランスみたいに日本も当事者の間に入れるように成長しないといけないんですけどね。

フランスのマクロン大統領が仲裁役をやるにあたって「ロシアに屈辱を与えてはならない」と述べたことが猛批判を受けていますが、あんまり出来がいいとは言われていないマクロン大統領でさえリスクを負って頑張っているんですから、岸田首相もNATOの首脳会議に出てくるだけじゃなくて、なんかすればいいんですが。

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 ロシア侵攻によってウクライナ産穀物の輸出が停滞している。ロシアの黒海封鎖が原因と非難するウクライナや欧米に対し、ロシアはウクライナが敷設した機雷が船舶航行を妨げていると主張する。トルコや国連が、輸送船の安全を確保する「回廊」の設置に向けて仲介に動いているが、実現の見通しは立っていない。世界的な食料危機の恐れがある。(ヨーロッパ総局、カイロ・蜘手美鶴)
7日、カイロ市内で、主食の丸形パンを買い求める男性。値段は2倍近くに跳ね上がっている=蜘手美鶴撮影

7日、カイロ市内で、主食の丸形パンを買い求める男性。値段は2倍近くに跳ね上がっている=蜘手美鶴撮影

◆責任転嫁するロシア、非難するウクライナ

 ロシアのラブロフ外相は8日、訪問先のトルコでチャブシオール外相と会談した。会談後の共同記者会見でチャブシオール氏は、ロシアとウクライナ、国連、トルコの4者で「回廊」設置を目指す国連の計画が「合理的」と訴えた。
 しかし「回廊」設置に向けた関係国の溝は深い。ラブロフ氏は「輸出用船舶を安全に航行させる用意がある」と述べたものの、「ウクライナが機雷を除去しない」と責任を転嫁した。ウクライナで滞留する穀物は「世界全体から見れば小さな割合だ」とも述べ、食料危機は欧米などの経済制裁が原因とも強調した。
 今回の会談には国連やウクライナは参加しておらず、ウクライナは頭越しでの協議に反発している。ゼレンスキー大統領は8日、「ロシアは輸出を妨げて世界の穀物市場の独占を画策している」と非難した。

◆「NATOの関与」への警戒も

 「回廊」設置が進まないのは、軍事面などでの思惑が絡むためだ。
 ゼレンスキー氏は、有志国の海軍が護送船団をつくって輸送船を守る方法を求めているが、この方法では北大西洋条約機構(NATO)加盟国の艦船がウクライナ沿岸に近づくことになる。ロシアは武器や燃料など支援物資の流入を警戒しており、「ウクライナは輸出再開に乗じて、NATOの関与を引きだそうとしている」(ロシアの政治評論家)との見方も出ている。
 ロシアのプーチン大統領は輸出再開と引き換えに制裁解除を求めており、食料危機を外交カードとして利用する。ゼレンスキー氏は、欧州の一部がロシアとの妥協を探る動きに対し、「理解できない」などと警戒を隠さない。またロシアが求める機雷の除去は、ウクライナにとっては港湾の防御に不利となりかねない。
 ロシアはベラルーシを経由する陸上ルートも提示しているが、海運に比べてコストが高い。さらにベラルーシとウクライナの関係は険悪なため実現性は低い。

◆「貧しい人が影響受けている」

 ロシアの侵攻後、世界シェアの約1割を占めるウクライナ産小麦は、約2000万トンの輸出が滞っている。
 すでに世界的に穀物価格が高騰しており、穀物輸入の約60%をロシアとウクライナに依存する中東・アフリカを直撃する。世界最大の小麦輸入国エジプトは輸入の8割を両国産が占め、主食の丸形パンの値段は約2倍になった。カイロでパンを売るモハンマド・ラムジーさん(29)は「値上がりしても市民はパンを買うしかない。貧しい人が影響を受けている」と話す。
 世界食糧計画(WFP)中東・北アフリカ事務所(エジプト)の広報担当リーム・ナダ氏は「戦争が続けば、もともと食料不足で苦しむ国は最悪の飢饉ききん状態に陥る」と危機感を語る。
 

 

 

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機の懸念が強まる中、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領がロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、アフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。

ロシアによる軍事侵攻が続いているウクライナは小麦など穀物の世界有数の輸出国ですが、南部の黒海に面する港がロシア軍に事実上、封鎖されて穀物の輸出がとどこおっています。

こうした中、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領が3日、ロシア南部のソチを訪れ、プーチン大統領と会談しました。

その冒頭、プーチン大統領がアフリカ諸国との関係を強化する考えを強調したのに対し、サル大統領は「アフリカ諸国はウクライナの戦地から離れているが、経済的なレベルで犠牲者となっている」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻の影響でアフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。

また、サル大統領は「ロシアに対する制裁がアフリカへの穀物や肥料の供給の状況を悪化させている」と述べ、ウクライナだけでなく、ロシアからも穀物などを輸入しているアフリカ各国の苦しい立場を強調しました。

ロシアによるウクライナ侵攻と欧米の対抗措置は世界経済に大きな影響を及ぼしていますが、事態が収束する見通しは立っていません。

セネガル大統領「SWIFT混乱すれば支払い不可能に」

AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領は5月31日にも、ベルギーのブリュッセルで行われたEU=ヨーロッパ連合の首脳会議にオンラインで一部、参加し、ロシアに対する制裁の影響に懸念を示していました。

このなかでサル大統領は、欧米が制裁の一つとしてロシアの金融機関を国際的な決済ネットワーク、SWIFT(スウィフト)から締め出していることに触れ「締め出しによって引き起こされる混乱の影響をわれわれは懸念している。SWIFTのネットワークが混乱すれば、製品はあっても支払いが難しくなるか不可能になる」と述べ、アフリカの国々が影響をこうむると訴えました。

プーチン大統領 “食糧問題 ロシアに責任転嫁”

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機への懸念が強まる中、ロシアのプーチン大統領は3日に放送された国営のロシアテレビのインタビューの中で「世界の食糧市場で起きている問題についてロシアに責任を負わせようとしている」と批判しました。

そのうえで「ロシアは無条件で安全な航路を確保し、船の安全な入港を保証する。ウクライナから穀物を輸送する問題など存在しない」と述べ、ウクライナ南部の黒海に面する港から穀物の輸出を妨げる意図などはないと主張しました。

また、プーチン大統領は、欧米がロシアに対して制裁を科したことが世界的な肥料の値上がりにもつながっているとして欧米を強くけん制しました。

 

 

セネガルのサル大統領(左)とロシアのプーチン大統領=3日、ロシア南部ソチ(EPA時事)

【図解】ウクライナ南部オデッサ

<ウクライナ情勢 関連ニュース>

 サル氏は3日、訪ロし、プーチン大統領と会談したばかり。

「プーチン大統領に、機雷を除去したらロシア軍が突入するだろうと聞いたが、しないと約束した。国連と一緒に機雷を除去し、穀物輸出を始めよう」と呼び掛けた。

 サル氏は10日、パリでマクロン大統領と会談する。ロシアからの輸入代金支払いについて「大半は欧州の銀行を経由している」と指摘し、対ロ制裁解除への支援を要請すると語った。

ロシアのラブロフ外相は8日、仲介役のトルコのチャウシュオール外相と会談し、黒海に面する港からウクライナの穀物が輸出できない問題について協議しました。チャウシュオール外相はウクライナも交えて協議を続けたい意向を示した一方、ラブロフ外相は、穀物の輸出にはまずウクライナ側が機雷を除去する必要があると主張しました。

ロシア軍のウクライナ侵攻によって、世界有数の穀物の輸出国であるウクライナが黒海に面した港をロシア軍に封鎖されて輸出ができなくなっているとして、食糧危機への懸念が高まっています。

こうしたなか、ロシアのラブロフ外相は仲介役のトルコの首都アンカラを訪れて、8日、チャウシュオール外相と会談しました。

会談後の共同記者会見で、チャウシュオール外相は「国連とトルコ、それにロシアとウクライナで会合する計画があり、それは実現可能だ」と述べ、黒海での安全な海上輸送ルートの設置に向けて、ウクライナも交えて協議を続けたい意向を示しました。

これに対してラブロフ外相は、食糧危機について欧米やウクライナがロシアに責任を押しつけていると批判しました。

そして「ウクライナ軍が港の機雷を除去し船舶が航行できるようになっても、ロシアがその状況を特別な軍事作戦のために利用することはないと保証する」と述べ、まずウクライナ側が設置された機雷を除去する必要があると強調したうえで、ロシアがそれを利用してウクライナ側を攻撃することはないと主張しました。

穀物の輸出についてロシアは、仲介役のトルコを通じて引き続き協議していく考えとみられますが、ウクライナ側は「ウクライナの利益を加味しない、いかなる合意も拒否する」と警戒していて、調整は難航も予想されます。

ウクライナ外務省「すべての関係国が参加して行われる必要ある」

 
ロシアとトルコの外相会談が行われるのを前に、ウクライナ外務省は7日、ホームページ上で声明を発表しました。

この中で「私たちは、ウクライナの農産物を輸出するための回廊を作ることができるよう国連や友好国とともに取り組んでいる。しかし、ロシアが、この回廊を使ってオデーサなどウクライナ南部を攻撃することは排除できず、船舶が航行できるような効果的な安全保障が必要だ」としています。

そして、ロシアによる港の封鎖を解除しようとするトルコの取り組みを評価するとしながらも「意思決定は、すべての関係国が参加して行われる必要があると強調する。ウクライナの利益を加味しないいかなる合意も拒否する」と述べ、ウクライナが参加しない形でロシアとトルコが交渉を進めようとしていることに警戒感を示しました。

ロシア外相 “輸出には機雷除去が必要”

ロシアのラブロフ外相とトルコのチャウシュオール外相は、会談後、共同で記者会見しました。

この中でラブロフ外相は「ウクライナの穀物に関する状況と、食糧危機とは何の関係もない」と述べ、欧米側がロシアに責任を押しつけていると批判しました。

そのうえで、穀物輸出について「ロシアとトルコは、穀物の輸出のためにウクライナの港に設置されている機雷の除去について議論している」と述べ、穀物を輸出するにはウクライナ側が設置しているとされる機雷の除去が必要だと主張しました。

トルコ外相 “ウクライナも交え輸出正常化に向けた協議を”

また、チャウシュオール外相は穀物輸出について「最優先は、ロシアとウクライナからの穀物輸出だ。国連とトルコ、それにロシアとウクライナで会合する計画があり、それは実現可能だ」と述べ、ウクライナも交えて輸出の正常化に向けた協議を続けたい意向を示しました。
 
 

 

[9日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は9日、同日生誕350年を迎えたロシア皇帝・ピョートル1世に敬意を表し、スウェーデンとの北方戦争による領土拡大は実際は領土を「取り返した」だけで、現在のウクライナ侵攻も同じ目的だと主張した。

プーチン氏はピョートル1世に関する展示会を視察した後と主張。

「われわれも間違いなく、(領土)返還と(国家)強化の任務を負った。これらの基本的価値がわれわれの存在の基礎となっていることを踏まえれば、われわれは直面する課題の解決で必ず成功するだろう」と論じた。

この発言について、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問はネットへの投稿で「西側諸国は越えてはならないレッドラインを引き、ロシア大統領府に対し、流血を強いる次の段階に進むたびに代償を負うことを理解させる必要がある。われわれは容赦なく自国領土を解放する」と強調した。

 

 

 

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