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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

実質的な緊急事態条項。岸田内閣が法律上の根拠もなく政府が自治体に指示を出せる地方自治法「改正」案を閣議決定。地方自治体の職員は政府の指示に従う法的義務。これは地方自治の本旨を踏みにじる違憲法案だ。

2024年03月02日 | 緊急事態条項の恐怖

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 今日2024年3月2日午後に、2024年度予算案の採決を衆院本会議で行うことに自民党と立憲民主党の国会対策委員長が会談して合意しました。

 予算案は2日中に衆議院を通過し、憲法の規定により2023年度内に成立する見通しとなりました。

 いまも、衆院予算委では異例の土曜日に国会を開いて審議が続いています。

 新年度予算案を審議している衆議院予算委員会は、昨日1日に予算案の採決をめぐる与野党の攻防が午後11時半ごろまで及んだことから、土曜日の2日午前9時から岸田総理大臣らに出席を求め、1日にできなかった分の質疑を行っています。

 そもそも、自民党国防族から衆院予算委委員長に成り上がった小野寺五典氏がまだ審議時間が足りていないのに予算委での強行採決をしようとしなければ、予算委員長不信任決議案も出さなくてよかったし、山井和則議員も3時間も趣旨説明をする必要もなく、その間、予算案の審議が行えたのです。

 日本維新の会は小野寺氏や鈴木財務相に対する立民の不信任決議案に反対しましたが、第1自民党と同じく政治と金の問題まみれの第2自民党維新が、政治改革をまじめにやる気がない、というかやられると困ると考えていることは、国民民主党でさえ賛成した各不信任決議案に反対したことからも明らかです。

口先男。

衆議院本会議で自民党の小野寺衆院予算委員長の解任決議案否決→予算委で予算案を強行採決→明日衆院本会議で可決するつもりの岸田首相。政治と金の問題を小手先で誤魔化す気の岸田内閣は総辞職に追い込むしかない

 

 

 さて、政治と金の問題に紛れて予算案の審議が話題になりませんが、まず防衛予算がまた膨れ上がるのについて参院ではもっと議論を尽くしてほしいです。

 そして驚くべきことに、政治倫理審査会に初めて岸田首相が出席して世間の耳目を集めていた2月29日、岸田内閣は、大規模な災害や感染症のまん延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を設ける、というとんでもなく危険な地方自治法改正案を閣議決定しているんです。

 これは、岸田政権側の説明としては、、新型コロナの集団感染により県をまたいだ患者の移送が必要となったものの、国の権限に関する法律の規定がなかったため、自治体との調整に時間がかかった、ということになっています。

 しかし、そんなのどこの都道府県も政府の要請に従いますよ。

 臨機応援に対応した後、新型インフルエンザ等措置法や感染症法を改正すれば済むことではないですか。

 たったこれだけのことで、地方自治法に手を入れて、法律の根拠がないのに中央政府が地方政府に指示が出せるという改悪をしてしまうだなんて、もう憲法がわざわざ明治憲法にはなかった地方自治の章を設けた意味が台無しです。

 

 

 そもそも、地方自治には

1 地方政治はその自治体の住民の意思で行われるという住民自治(民主主義的な側面)とともに

2 中央政府に対して地方自治体が対等な立場を有して地方政治を行い、もってお互いに抑制と均衡をしあって権力の濫用を防ぐ団体自治(自由主義的な側面)

の両側面があります。

 もちろん最終的に条例と法律の内容が矛盾する場合には法律が優先するという規定もありますが、国会(立法権)で審議して成立させた法律上の根拠もないのに内閣(行政権)が地方自治体に指示できるとなったら、住民自治も団体自治も踏みにじられてしまいます。

 これでは憲法に緊急事態条項を入れるのと変わりません。

 この改悪案が、地方自治の本旨から政府と自治体の対等を求める地方自治法の理念を真っ向から崩してしまい、地方自治体と国との対等な関係が損なわれるのではといった懸念に対して、岸田内閣の改正案には、国が指示を行う際には自治体に意見の提出を求めるよう努めなければならないことが盛り込まれただけ。

 地方自治体に意見を提出するよう求めるだけで反映しなくていいし、それも努力義務だなんて、この規定で辺野古の新基地建設に反対する沖縄県の努力なんてふっとんでしまうではないですか。

 というか、この改悪案の目的の大きな一つは辺野古新基地建設に対する抵抗圧殺とちゃうんかい!

 いずれにしても、地方自治をゆるがすこの地方自治法改悪案には絶対反対しないといけません。

 

 

今国会後半戦も、共同親権を盛り込む民法改悪案など悪法がてんこもりに控えています。

そもそも裏金という違法行為をしまくって、脱税している自民党国会議員たちにこんな法案を出す権利はないんですよ。

さっさと内閣総辞職して総選挙すべきです。

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2024年1月18日
日本弁護士連合会

本意見書について

日弁連は、2024年1月18日付けで「第33次地方制度調査会の「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」における大規模な災害等の事態への対応に関する制度の創設等に反対する意見書」をとりまとめ、同月19日付けで内閣総理大臣及び総務大臣宛てに提出しました。

本意見書の趣旨

第33次地方制度調査会が2023年12月21日に内閣総理大臣に提出した「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」のうち「第4」で示された「大規模な災害、感染症のまん延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応」に関する「国の補充的な指示」の制度の創設は、2000年地方分権一括法により国と地方公共団体が「対等協力」の関係とされたことを大きく変容させるものであるとともに、自治事務に対する国の不当な介入を誘発するおそれが高く、また、「第1」乃至「第3」もDXやAI技術の導入に当たって考慮すべき個人情報やプライバシー保護の視点が極めて不十分であるので、答申に基づく地方自治法改正案の国会提出に反対する。

 

 

新型コロナウイルスの対応の際に自治体に対する国の権限が明確化されていなかったことが課題となったことを踏まえ、政府は、感染症や災害など重大な事態が発生した場合に、国が自治体に必要な指示を行えるようにする地方自治法の改正案を決定しました。

2月29日の閣議で決定した地方自治法の改正案は、新型コロナの集団感染により県をまたいだ患者の移送が必要となったものの、国の権限に関する法律の規定がなかったため、自治体との調整に時間がかかったことなどを踏まえたものです。

具体的には、大規模な災害や感染症のまん延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を設けるとしています。

この規定をめぐっては自治体側から国との対等な関係が損なわれるのではといった懸念が示されたことから、改正案には国が指示を行う際には自治体に意見の提出を求めるよう努めなければならないことも盛り込まれています。

このほか、▽感染症などへの対応でも国が自治体間での職員の応援の要求・指示を行うことができるようにすることや、▽市や区が行う保健所の運営などの業務について、国の指示により都道府県が必要な調整を行うことも盛り込まれています。

サイバーセキュリティ強化も

地方自治法の改正案には、サイバー攻撃や情報漏えいの防止など自治体がサイバーセキュリティを強化することも盛り込まれています。

自治体がサイバーセキュリティを確保するための方針を策定して公表し、必要な措置を講じることを義務づけます。

また総務大臣は、自治体が方針を定めるのに参考となる指針を示すとしています。

このほかデジタル化の推進の一環として、自治体共通のQRコードを使って地方税を納付する「eLTAX」を活用し、国民年金保険料なども納付できるようにすることが盛り込まれています。

また、人口が減少する中で、地域住民の生活を支えていくために、市町村が自治会連合会や社会福祉協議会など地域で活動する団体を「指定地域共同活動団体」として指定し、必要な支援を行うことも盛り込まれています

松本総務相「国と地方の関係の一般ルールを尊重」

松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「改正案は、国と地方の関係の一般ルールを尊重した上で国民の生命などを保護するために、的確・迅速な対応を必要な限度で可能とするものと考えている。趣旨や内容について丁寧に説明していきたい」と述べました。

 

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5 コメント

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「(自民党政府から自治体への)有害無益な指示も可能に」 (村野瀬玲奈)
2024-03-03 00:30:11
「(政府から自治体への)必要な指示が可能に」とうたわれています。しかし、「(自民党政府から自治体への)有害無益な指示も可能に」なるのです。しかも、有害無益で強制的な指示が。

違憲だし、地方自治の破壊だし、自民党の愚政の全国への強制だし、この件を報道業者がどう報じるかでその報道業者の「実力」、というか、実力の無さがわかるでしょう。
返信する
そうそう! (raymiyatake)
2024-03-03 10:10:08
新型コロナで死者最多の記録をたたき出し続けた大阪維新の会代表の吉村洋文氏が、内閣総理大臣になった暗黒の近未来。

また新たなウイルスが襲来したのにあわせて、今度こそ効くからイソジンでうがいしろだの地方自治体に指示を出しまくられたら、日本列島に暮らす市民は枕を並べて討ち死にですからね。

地方自治法の改悪をすると、国よりまともな施策をしようとする首長が国に押しつぶされるという、大変な危険性があるんだなと思わされました。
返信する
今の“史上最悪”の岸田政権が国勢を担っていることこそが“緊急事態”なのですが…。 (ロハスな人)
2024-03-03 11:29:59
早速『問題しかない』 地方自治法改正案(改悪案)を取り上げていただき、ありがとうございます。

能登半島地震の【無能さ】ゆえに“後手に後手に回った”だけでなく、自衛隊などの展開や予算の付け方なども『やる気のかけらもない』岸田政権に様々な災害その他で“地方自治体への指示”も任せたら、より悲惨な結果になるのが目に見えていますね。

裏金問題など自民党に様々な逆風が吹いて、『ナチスの手口に従って(BY麻生元首相)』“憲法を機能停止”させる『緊急事態条項』導入が難しくなったので、他の方法で『自民党が権力から陥落するのを防ぐ』ように動いているようにしか見えませんね。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024013101018&g=soc
☆想定外の震災「初動に問題」 能登地震、防災計画見直し後手に―支援の手、なお足りず・室崎神戸大名誉教授
2024年02月01日 時事通信

 250人超の死者・安否不明者を出した能登半島地震について、石川県の防災会議・震災対策部会長を務める神戸大の室崎益輝名誉教授(防災計画学)が31日までに時事通信の取材に応じ、「予想をはるかに超えた地震だったが、初動に問題があった」と語った。
返信する
日経の“インチキ”記事は…。 (ロハスな人)
2024-03-03 11:41:15
別スレッドにも取り上げた日経が維新の改憲案を“好意的”に取り上げている件ですが、このタイミングの良さ【悪さ】を踏まえると、日経上層部も地方自治法「改正」案が“問題しかない”ことをわかっていたように思えますね。

維新の改憲案に(自民党改憲案同様)『憲法を機能不全にする』緊急事態条項が含まれていることには全く触れず、『 地方自治制度の見直し 』が大切…とこのインチキ法案の成立に“援護射撃”をしたのではないでしょうか…。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD268XF0W4A220C2000000/
☆維新改憲案の「地域主権」 大阪ルーツの党らしい視点
憲法のトリセツ
2024年3月1日 日経

今回は日本維新の会が2016年に打ち出した改憲案の3本柱のひとつである「統治機構改革」です。表題を聞くとかなり幅広いテーマですが、維新が目指したのはそのうちの地方自治制度の見直しです。
返信する
つまり (時々拝見)
2024-03-04 14:21:06
中央集権全体主義。地方自治の否定。

少しずれますが、怪しい政治家には、カルトやオカルト、似非科学がつきものですね。ナチスや統一教会を持ち出すまでもなく。
イージスアショア騒動は何だったんでしょう?ア~ショアショア。
維新、イソジン、反ワクチン。
♪国を売るのは自民党~。
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