第二次安倍政権の発足から、2018年12月26日で丸六年になりました。
そして、今日で2018年も終わり。
まさに、日本政治の暗黒時代ですね。
安倍政権の蛮行といえば、第一次政権時代の教育基本法改悪、第二次政権時代の憲法違反三部作である特定秘密保護法・共謀罪・安保法制と枚挙にいとまがないのですが、日本の民主政治の基本を破壊したという意味で、国会が憲法に従って要求しても臨時国会を開かなかった問題と、この森友事件での財務省の決済文書改ざん問題は歴史に残るでしょう。
今年2018年、安倍首相は「働き方改革」法やカジノ法、改正入管難民法など穴だらけの法案を強行採決で成立させました。
そんな今年3月、2017年2月に森友学園に国有地が8割以上も値引きされ売却されていたことが発覚した森友事件について文書改ざん事件が起こったのです。
もともとの名前が「安倍晋三記念小学院」という名前で開校予定だったその小学校の名誉校長に安倍晋三首相夫人の昭恵氏が就任していたことから、夫人の関与や財務省の「忖度(そんたく)」があったのではないかとの疑惑が浮上しました。
国会で野党が厳しく追及する中、計14もの決裁文書から昭恵氏らの名前が消されるなど改ざんが明るみに出ました。改ざんに反発した近畿財務局職員が自殺する悲劇も置きました。
かつては、この人を安倍首相の家庭内野党として持ち上げた「リベラル」もいるという。恥ずかしいことです。
ところが、財務省の内部調査でも動機などは解明されず、麻生太郎財務相は
「それが分かりゃ苦労はせん」
などとうそぶくばかりで、「真相」はいまだ藪の中、ということになっています。
2018年、あれだけの暴言の限りを尽くしたこの人を辞めさせることができなかったのは日本政治の痛恨事。
財務省の文書改ざんは
「私や妻が関わっていたなら、総理大臣も国会議員も辞める」
とした首相答弁が引き金なのは明らかなのですが。
麻生大臣率いる財務省は文書を改ざんして、国権の最高機関たる国会を1年余りも欺きました。
もともと自民党出身の大島理森衆院議長が
「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。立法府の判断を誤らせる恐れがある」
と指摘せざるを得なかったのも当然です。
セクハラで福田氏が、改ざんで佐山氏がいなくなっただけ。安倍政権の無責任体質を見逃してしまったことが日本の民主主義に与える悪影響は深刻です。
この事件の背景には官邸による省庁幹部の人事権掌握があり、2014年5月に内閣人事局が発足したあと、生殺与奪の権を握られた官僚は、かつては予算と租税の権限を一手に握って権勢を誇った財務省でさえ、安倍首相や官邸に忖度を働かせるような構造が出来上がりました。
これは、国家戦略特区について、安倍首相の友人が理事長を務める加計学園を巡る獣医学部新設問題で、官僚が優遇した加計学園事件でも同じことが起きています。
そもそも、国民全体への奉仕者として憲法に規定される官僚が、安倍首相や安倍官邸の顔色ばかりをうかがい、国民のためには働かない構図は、稲田防衛相の下での自衛隊の日報隠ぺい事件も起こしました。
いわゆる「働き方改革」法案では裁量労働制について、項目の異なる数字をわざと混同して、裁量労働制の方が残業時間は短いなどと虚偽の説明をしたため、データのずさんさが追及されると、首相は裁量制を法案から切り離さざるを得なくなりました。
外国人労働者の拡大に向けた改正入管難民法でも、失踪した外国人技能実習生の聞き取りで、外国人技能修習生は賃金が低いことを失踪の理由にしているのに、法務省が項目にない
「より高い賃金を求めて」
を主な理由に挙げました。
この入管法の改正・施行を急ぐ理由を聞かれた担当者が
「首相、官房長官からの指示」
と思わず漏らしたところに、安倍政権の問題点がすべて詰まっています。
安倍政権のデータ改ざん体質は留まるところを知らず、GNPまで水増し、賃金データも改ざんして、日本経済の実態が皆目わからなくなってしまっています。
他方、文書改ざん問題で「最強官庁」と称された財務省もさらに弱体化して、2019年度予算案は過去最大の101兆円余、特に防衛費は一般予算で5兆円を超え、それ以外に補正予算でローンを組んで、トランプ政権から兵器を爆買いしており、ブレーキ役だった財務省の存在感の薄さは目を覆わんばかりです。
権力分立とは三権分立だけではなく、肥大化しがちな行政権をさまざまな形で抑制し、均衡を図り、もって国民の基本的人権を守ることです。
権力への抑制・均衡を図るのはもはや我々国民自身がやるしかないのです。
第二次安倍政権になってから、安倍首相は勝ちっぱなしなわけです。
2019年夏の参院選、不利と見れば、3度目の消費税増税見送りを切り札にまた勝ちに来るでしょう。
安倍首相がまたまた勝てば、政権がいつまで続くかわかりませんし、ほんとに憲法改悪も許すことになってしまいます。
私たちは土壇場・正念場の2019年を迎えるのです。
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※最近、ブログの更新がありませんが、ひさしぶりに投稿させていただきます。
この3日間に、なにがあったか。
1.5月31日
森友学園の小学校用地の破格値引払下げの「意見価格1億3400万円」の鑑定が、この日に出された。
2.6月1日
安倍首相が記者会見。翌2017年4月からを予定していた消費税増税の延期──これまでのお約束とは異なる『新しい判断』──を表明。
3.6月2日
経済財政諮問会議「骨太方針─600兆円経済への道筋」。第2章「成長戦略」に「統計改革」が打ち出された。
この日「骨太方針─600兆円経済への道筋」と同時に、参議院選挙「6月22日公示、7月10日投開票」も、閣議決定された。
この3つの連関を考えてみる。
1. 参議院選挙を前にして──選挙対策・本格始動・延命
〈選挙対策〉このころ、参議院選挙が目前だった。「2」は、この「約束とは異なる新判断」の是非を問うことを掲げることによる選挙対策色の濃いもの。「3」も選挙対策としての、アベノミクスの未来アピールだった。また、アベノミクス偽装によって、翌年10月の総選挙で改憲勢力3分の2を実質奪取することにもつながった。
〈本格始動〉〈延命〉上記の「2」と「3」は、いずれも、目の前の選挙の乗り切りと、次期総選挙への展望も含めて、前年9月に党総裁選で無投票再選された安倍政権の本格始動方針だったろうし、延命作戦にもなった。
同年8月3日には、第3次安倍第2次改造内閣が発足。稲田朋美防衛相が入閣する一方で、加計学園獣医学部をめぐる国家戦略特区を担当する地方創生大臣だった石破氏は閣外に去り山本幸三氏に代わる(※後記)。その当日および直前から、加計学園認可へむけた進展はすさまじい急加速をみせる。安倍首相もその前後に加計氏とゴルフを重ねた(※1)。
2.森友の破格値引払下げ──「これまでにない判断」と「偽装計算」
宮武嶺氏のブログによると、森友学園小学校用地の大幅値引による売却に至る経緯は、異例な優遇の連続だった。
〈学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題について、財務省は2017年11月28日の衆院予算委員会で、2013~16年度の4年間にあった同種の土地取引計972件のうち
(1) 売却額を非公表にしたのは、森友学園との契約1件!
(2) 売却を前提にした定期借地契約にしたのも森友学園だけ!
(3) 分割払いを認めたのも森友学園に対してだけ!
だったことを認めました。〉(※2)
「これまでの同種の土地取引とは異なる、新しい判断」が、さまざま行われて、ここに至ったのだなあ、と思います。
そう思って「これまでのお約束とは異なる、『新しい判断』」による消費税率引上げ延期を安倍首相が表明したのはいつだったかと振り返ってみたら、売却の意見価格の鑑定の翌日だった。
翌日6月1日には、この価格を近畿財務局が酒井弁護士をつうじて籠池氏に伝える。この直後、6月4日には、安倍昭恵夫人の携帯が水没、籠池夫妻らとのやりとりの記録は、売却直前に没になる。2日後の6日月曜日に学園側は買取の意志を近畿財務局に伝える。
ところで、この値引額であるが、幾多の偽装計算が行なわれていることが明らかになっている。
○埋設物・ゴミの存在する深さ3.8メートル、9.9メートルは偽装。写真で示した深さは偽装。
○ゴミの混入率47.1%は、混入率の高いサンプルだけを取り出して平均を出した偽装。
○ゴミの量は混入率で計算した分量をさらに2割水増しした量に対して、工事費が算定されている。
○工事費の積算は恣意的な基準で行われた。「公共建築工事積算基準」に基づくといいながら、そうなっていない。(※3)
○そのうえ、空港用地ではないのに「空港土木請負工事積算基準」を適用し、間接工事費を大幅に水増し。しかも、同基準を適用した上でも、大幅な水増しがさらに行なわれていた(※3)。
○工事単価は、すべて施工業者が提出した費用の見積りの単価の1.1倍になっていた。(※4)
これらのように、数字を偽装して、限りなくゼロに近い金額での売却を追求したのが森友学園問題。
このことは、安倍政治の手法として、翌日、翌々日の「これまでのお約束にはない、新しい判断」や、統計の運用に手を加えることによるアベノミクス偽装にもつながっているのではないだろうか。
統計偽装が、3%の賃上げという安倍首相の発言と暗合しているという指摘もなされた。この森友でも、数字は目標に向けて操作されたことは、これまでの報道等で明らかだと思う。それについては、私独自の予想もあるので、それは後述する。(※5)
※1 国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会「加計学園問題年表」2017.6.17
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/kakegakuen-mondai-nenpyou/
※2 Everyone says I love you !「財務省が売却額を非公開にしてあげたのも、定期借地権を設定してあげたのも、売却額を値引きしてあげたのも、1000件中、森友学園の『安倍晋三記念小学校』だけだった。」
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/7028b2c3196a1b9e0c74186d1d5bacbd
※3 国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会
「仮に国の地中埋設物の量があったとしても地中埋設物の撤去費用は3億7080万7728円で、4億4893万4219円が水増し」「『近畿財務局への証拠の捜索・押収の要請書』及び『学校法人森友学園の国有地の譲渡に関する平成28年5月31日付不動産鑑定評価書の地下埋設物撤去及び処理費用の内訳書に対する鑑定意見書』を大阪地検特捜部に提出」「『空港土木請負工事積算基準』での積算についてのコメント」
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7336/ http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7579/ http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7604/
※4 「森友問題、深まる謎 発覚3カ月、8億円値引きなぜ?」(朝日新聞2017.5.13)
https://www.asahi.com/articles/ASK524402K52PTIL00Q.html
※5「【森友事件】国有地売却における疑惑の価格決定方程式」(2017.3.10/4.3 天祐虎之助)
http://www.toranosuke.xyz/entry/2018-0320_moritomo-kakaku
http://www.toranosuke.xyz/entry/2018-0403_moritomo-kakaku2
このような記事をブログにあげている方もおられることを、いましがた知った。私の予想(後述)はまた、この方とは別のものだが、これも興味深く読んだ。
3.国会軽視──「新しい判断」と、統計改革を含む「600兆円成長戦略」への違和感
わたしには、消費税やアベノミクス偽装そのものについて、特記しておくべき独自の意見があるわけではないが、ひとつ記しておきたい。
安倍首相の記者会見(2016.6.1)は、「本日、通常国会が閉会いたしました」と、口火が切られている。
消費税増税の延期といった、国会で決めたことの延期が、国会が終了するタイミングで語られるのは、国会の軽視ではないのでしょうか。国会が終わったところで、自分のやりたいことを表明し、そのエンジンをふかしますと言うのですが、大きな政策転換なのですから、それを決めた国会のなかで表明すべきことではなかったのでしょうか。消費税増税を疑問視する野党の追及の手柄にしたくなかったんでしょうか。「骨太の方針」のほうにも、同じことがいえそうです。国会が終わったところで「骨太の方針」が出されるというのは、国会での議論や批判の機会を順延するものでしょうから、このタイミングというのは、意図的なのではないか、国会の軽視をあらわすものではないかと思いますが、どうでしょう。
こうして、参議院選挙に向かっていったのが、この時期だったように思えます。
4.この項のおわりに
わたしには、消費税やアベノミクス偽装そのものについて、特記しておくべき独自の意見があるわけではない。この項は、上記3つのできごとの時間的な連続と、その「森友学園問題」との安倍政治的な連関を指摘するにとどめることにしたい。森友問題でも、アベノミクス偽装でも、偽装・操作によって、安倍お友達政治への我田引水が行なわれたからである。そのために、常識を逸脱した「新しい判断」が、他者に理由を帰して、導入されていくのである。
また、同じような森友・アベノミクス偽装の同期は、2015年秋にもみられる。つぎには、そのことを書く。後述すると述べた、森友学園の偽装の算術についての私の現段階の予想は、その後、改めて書くことにしたい。
(後記)山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年8月4日
https://www.cao.go.jp/minister/1608_k3_yamamoto/kaiken/2016/0804kaiken.html(就任翌日の記者会見)
※注目すべき発言を2つ取り上げる。
「1.発言要旨(引用者注:発言の冒頭部分)
おはようございます。このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました山本幸三でございます。どうぞよろしくお願いします。
私の担当は、地方創生、規制改革でございますが、また、内閣の担当として、まち・ひと・しごと創生、行政改革、国家公務員制度担当も行います。仕事の中身等は、詳しいことは皆さんも御存じだと思いますので申し上げませんが、地方創生担当と規制改革担当を一緒にやるということで、これは非常に意味のある担当にさせてもらったなと思っておりまして、いわゆる特区と規制改革がつながると、これを一人の大臣の下で一緒にやるということで、いわゆる旧アベノミクス3本の矢の成長戦略のところですね、そこを是非実績が上がるように頑張れよということかと思って、しっかりやっていきたいなと思っております。
また、地方創生が少し陰に隠れてきたのではないかというように言われておりますが、そうではなくて、地方が元気にならない限り、アベノミクスは成功したとは言えないということだと思っておりますので、アベノミクスを安倍総理とともに始めた私としても、これをしっかりと地方に隅々まで行き渡らせるということができるように、実績を上げていくことが大事だと考えて全力を挙げていく中、タブーにも挑戦していきたいなというふうに思っているところでございます。また皆さん方から御質問があればお答えしながら、そういうことにも触れていきたいと思います。」(つづく)
https://www.cao.go.jp/minister/1608_k3_yamamoto/kaiken/2016/0804kaiken.html(就任翌日の記者会見)
上記の投稿のつづきです。
「(問)現時点で大臣補佐官を置く考えはおありでしょうか。
(答)今考えています。それは幾つかの分野で出来ればなと思っていますが、もう一つ私がやりたいと思っているのが、行政改革の分野で行政事業レビューとか当然やりますが、そのほかに是非私としてやりたいのが、政府における経済統計の整理統合です。各省がそれぞれの統計を持っていて、全く調整がとれていません。その結果、日本のGDP統計というのは、どこまで本当に信用していいのか分からない、そういう状況になっておりまして、これは早くその点についての整理統合、統一というものを図っていかないと、世界の水準におくれて、しかも本当の経済の状況がつかめないということになりますので、麻生大臣が一回、経済財政諮問会議で問題提起して、消費についての数字がいろんな統計で違うじゃないかというような、非常に意義のある指摘をされまして、私はもうそのとおりだと思って、それから問題意識を持って、この分野についてちょっと勉強もしておりました。
そういうことをやるためには、その専門家を補佐官としてやってもらいたいし、それから地方創生についても、各地域のいろんな実例を知っていて、どういうふうにしたら地方創生のプログラムができるかという専門家も知っていますので、そういう人に知恵を借りたいなというように思って、これから考えていきたいと思います。」
※地方創生担当の前任は石破茂。規制改革担当は河野太郎。この両者を兼任にしたところに、第3次安
倍第2次改造内閣が、発足とともに加計学園獣医学部実現にエンジンを加速させるのは、その体制をつくったからであることが、はっきり見える。
※と同時に、「ぜひやりたいこと」として、統計改革があげられたことも、安倍政権の強い意志でそれが進められていくことを物語る。
※同大臣は、同年12月7日の経済財政諮問会議で、「政治主導の統計改革をしよう」と発言する。
2015年度のGDPが発表されたのは、その翌日の8日のこと。日本経済新聞はこう伝える。
「15年度の名目GDP、31兆円かさ上げで532兆円
内閣府が8日発表した2015年度の名目国内総生産(GDP)の確報値は532.2兆円となった。研究開発費
の加算など新たな基準に切り替えた影響などで31.6兆円かさ上げされた。旧基準では500.6兆円に相当する。安倍晋三首相は20年ごろまでに名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げており、100兆円の開きが一気に縮まることになる。」(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H0R_Y6A201C1MM0000/)
かくして、一夜にしてGDPは6.3%も成長する。中国の同年の成長率6.9%に迫るほどだ。
2017年2月3日には、菅官房長官を議長として、統計改革推進会議ができる。
※ここでわかることは、消費税増税の延期と、新・三本の矢によるGDP600兆円を核とした統計偽装を含む改革をうちあげることで参議院議員選挙の勝利をめざしたということであり、そのことが、安倍「本音」政治、つまり大企業・財界の利益および身内政治の利益をなによりも追求し、また憲法改正・戦争法体制の強化をはかるという本音の動きを、延命させ、加速させる結果になったということである。なかなかに問題はらむ3日間だった。
※上記の「消費税延期」と「GDP600兆円」は、指摘されているように、補完の関係にある。消費税延期を決断した理由である「先行き不安」を、威勢のいい「GDP600兆円」で帳消しにしてみせようとしたのだろう。消費税は「延期」であって、2019年10月には上げることになる。そのためには経済情勢が下落してはならない。ぜひともそうするためには、GDP統計の国際化を理由にして手法を改正し、そこにソノタノミクスもまぎれこませる。そういう意志があったのではないか?(つづく)