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下の記事にあるように、事故直後の3月15日には、福島第1原発から毎時2000兆ベクレルの放射性物質を放出していたのだそうです。政府は、6月末で放出量がその200万分の1の10億ベクレルになったから(これも本当かどうか)、事故収束に向けた工程表のステップ1「原子炉の安定的冷却」は達成したなどと言っています(記事2)。
毎時ですよ!1時間ごとに10億ベクレルの放射性物質を、空に、海に、垂れ流しです。
しかも、原子炉冷却水の浄化装置さえ満足に動きません(福島原発事故 東芝の放射能汚染水浄化装置 初公開 8月投入予定 サリーちゃん頑張れ!)
どこが「安定的冷却」でしょうか。
福島原発から150キロ離れた宮城県にあった稲わらに高濃度のセシウムが付着し、いくつかの県の肉牛がそのワラを食べました。これが放射能汚染肉となって、検査をしないまま日本全国に出荷されてしまったのです。
セシウム137の半減期は30年。毎時間毎時間今の200万倍もの量が原発から放出された放射性物質は、ヨウ素以外はほとんど減っていないのです。そして今も放射性物質は刻々と放出され、我々の周りに蓄積され、増え続けています。
広島・長崎の原爆による放射線被害は初期放射線が桁外れでした。その後に黒い雨などの残留放射線や誘導放射能による被曝が続きました。チェルノブイリ事故も最初の数日で放射性物質の拡散はほぼ終わっています。ところが、今回の福島原発事故ではのべつまくなしに放射性物質の放出が続いています。その量は今では少なくとも広島型原爆の20発分(記事1)、一説によれば100発分とされています。
肉牛の前は、下水道に溜まった放射能汚泥が問題になりました。汚泥が高濃度にセシウムで汚染されていたのに、それがセメントにされて各地に出荷されたのです(内部被曝の恐怖29 放射性セシウム下水汚泥9都県1万トン 1キロ8000ベクレル以下は埋め立てに使用)。
肉とかセメントとかは単なる象徴にしか過ぎません。あとからあとからこういう問題が出てくるのは必然です。
学校の校庭の放射性物質について、年間20ミリシーベルトという安全基準はおかしいと何度もこのブログで書いたのですが(内部被曝の恐怖27 学校放射線基準 年1ミリシーベルト以下目標なら、もう集団学童疎開も考える時期など)、校庭の上の土と下の土とを入れ替えるという対策では、次々と降り積もる放射性物質による汚染を防ぐことは出来ません。
もともと、原発というのは、燃料であるウランなどの放射性物質の採掘、運搬、発電、廃棄物管理、原子炉の廃棄までことごとく放射線による被曝を免れません。
たとえば、100万キロワットの原発一基を一年運転すると広島型原発1000発分の核廃棄物が出るのですが、その核のゴミの始末の方法も決まっていません。放射性物質の中には10万年も管理しなければならない物もあるのですが、10万年前のホモサピエンスってどんなだったかご存じですか?今の体たらくの我々に、10万年後なんてとても責任もてないでしょう??
さらに、原子炉の廃棄処分=廃炉の日は、日本の今ある54基の原発に必ずやってくるのですが、1基5000億円は必ずかかります。54基で30兆円ですか。
おまけに10万年の管理に必要なエネルギーは原発で作れる電力の何倍になるのか見当もつきません。
原発は、エネルギー的にもコスト的にも完全に赤字なんです。
そう、もともと原水爆だけでなく、原発という技術が、つまり放射性物質が、人類には荷が重い、手に負えない代物だったのです。
福島原発事故 内部被曝の恐怖26真実の原子力 被爆医師肥田舜太郎「福島で広島の入市被爆者と同じ症状」
それなのに、ステップ1の期限が来たから、ステップ1は達成したことにしようという政府のご都合主義にはあきれ果てます。
また、次の政権を担わなければならない自民党がまだ原発推進を言い続けている(記事4)のにも暗澹たる気持ちになります。とても民主党の代わりを任せられません。
我々国民がもっと賢くなって、既成政党が愚かなままでは生き残れないようにしないといけないですね。
そうしないと我々が死に絶えます。
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記事1
測定と除染を急げ/児玉龍彦東大教授に聞く
2011年07月01日 朝日新聞
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福島原発事故は広島原爆20個分の放射性物質を飛散させた。もはや「どこが安全か」という議論をしている時ではない。線量をきめ細かく測り、高い所から表土を取り除くなど効果的に除染することが急務だ。
飛散は一過性で、除染でかなり減らせる。微粒子なので一律には舞い落ちていない。高濃度の場所は、県全体でも自治体の中でも、個々の校内でも存在する。
福島県内での測定の経験では、平均で毎時0・5マイクロシーベルトの幼稚園で、雨どいや滑り台の下などは5~10倍になった。園内にミニホットスポットが存在する。
幼いほど放射線の影響を強く受けるので、除染の優先順位が高いのは保育園と幼稚園だ。続いて小中高。子どもが接触する所の除染を急ぎ、各地域、各施設で安心できる空間をつくる。妊婦や病気の人にも放射線がかからないよう努める。室内を毎時0・1マイクロシーベルト以下にするのが目安だ。
測定は園内をなめるように詳しく見ること。線量計を持って回れば高い場所は簡単にわかる。各地域で園や学校の先生方が担うほかないとすれば、講習などで学んでいく必要がある。お母さん方は、除染で数値が低くならなければ安心できない。3月15日に大量飛散した物質でも土壌の表層2~3センチにあり、5センチ削れば大半が取り除ける。
低い線量による内部被曝(ひ・ばく)の危険性も直視しなければならない。福島で母乳からセシウムが1リットルあたり2~13ベクレル出た。チェルノブイリ原発事故で長期被曝が前がん状態を作り出したという研究報告と同レベルの濃度だ。行政の言う「ただちに健康に危険はない」という次元ではなく、異常な事態だ。食品の放射線量をチェックすることも極めて重要だ。
除染に関する現行の法体系は、少量の高い放射性物質が前提で、今回の実情と合っていない。国の各種指針は専門的な知見を十分に反映しておらず、低い線量の放射性物質の膨大な飛散への対策は、国任せにしてはおけない状況だ。子孫への責務を果たすためにも、関係者が総力をあげる必要がある。
◆こだま・たつひこ 東大先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)でアイソトープ総合センター長も務める。福島県南相馬市で学校などの放射線量測定を続け、市に調査や除染を指導している。
(聞き手・吉村成夫)
記事2
敷地外、年間1ミリ以下に=3年でプール燃料搬出着手-原発事故工程表・政府、東電
福島第1原発事故で、政府・東京電力統合対策室は19日、収束に向けた工程表を見直し、公表し た。現時点で同原発から放出されている放射性物質の量を事故直後の約200万分の1と評価した上で、「放射線量が着実に減少傾向」とした工程表ステップ1 の達成を確認。来年1月までのステップ2では、原発敷地外での放射線量を、平常時の規制値の年間1ミリシーベルト以下に抑えるとの目標を示した。
菅直人首相は同日の原子力災害対策本部で「予定通り、あるいは予定を超えた収束が得られた。放射線量も着実に減少している」と述べた。
統合対策室によると、ステップ1では、放射能汚染水を浄化して再利用する「循環注水冷却」を実現。6月末の放射性物質の放出量は、毎時約10億ベクレルと 推定され、事故直後(3月15日)の同2000兆ベクレルから約200万分の1に減少した。この状態が1年間続いた場合、敷地境界付近の放射線量は年 1.7ミリシーベルトと試算した。
ステップ2では、目標達成の基準となる原子炉の「冷温停止状態」を、(1)圧力容器底部がおおむね100度以 下(2)放射性物質の追加的放出による公衆被ばく線量が大幅に抑制されている-と定義。汚染水処理システムの信頼性を高めて原子炉の冷却を進め、敷地境界 付近で年間1ミリシーベルト以下にすることを目標とした。
また、汚染水が地下水を経由して海に漏れ出すのを防ぐため、地下に埋め込む遮水壁の建設に着手。汚染水処理も稼働率向上を目指し、信頼性を高める。これまで工程表にあった原子炉格納容器内を水で満たす「冠水」作業は、循環冷却の実現で削除された。
さらにステップ2達成から3年程度の目標として「中期的課題」を提示。冷温停止状態を継続しつつ、使用済み燃料のプールからの搬出開始や、本格的な汚染水処理施設の建設などを目指す。(2011/07/19-21:14)
記事3
2011年7月19日 週刊ダイヤモンド
政府と国のちぐはぐな安全対策と九州電力の不祥事が重なり、すべての原子力発電所が停止しかねない局面を迎えている。定期検査に入った原発の再稼働ができなくなることで、電力各社は「電力不足になる」と盛んに訴える。しかし、本誌の試算では、その事態を乗り越えられる余力があることが判明した。
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Photo:JIJI
「原子力発電所が止まれば電力不足に陥る」とはウソだった──。
この間、運転再開を迎えようとしていた原発もあった。九州電力の玄海原発2、3号機だ。地震や津波の影響が最も少ない地域にあり地元感情もよく、稼働率も高い「優等生」だ。玄海町も一度は再稼働を認めていた。
ところが、耐性検査に加え九電のやらせメール問題が発覚した。国主催の佐賀県向けの住民説明会で九電が組織的に再稼働への賛成を促す工作を行っていた。地元との信頼関係は崩れ去った。
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こうして原発は再稼働の見通しが立たなくなった。このままでは上図に示すように徐々に原発は止まり、来年3月は全体の4%に当たる209万キロワットしか運転していない見込みだ。
関西電力や九電などは原発停止を受け、盛んに電力不足を訴えた。世論もそう信じているが、本当に電力は足りないのだろうか。
1500万キロワットの余力に
電力融通でまず問題ない
そこで本誌は余波の広がる西日本の設備について取材や資料を基に精査した。するとじつは電力が余っている実態が浮かび上がった。
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試算の結果は上図に示した。試算方法は次のとおりだ。
まず各社の発表を基に西日本6電力会社における8月の最大需要と供給力を見た。安定的な供給力の目安となる「供給予備率」では、最低限の5%を下回る電力会社が6社中4社に上った。
確かに予備率5%を下回るとトラブル一つで停電の恐れもあるが、供給力は「言い値」にすぎない。そこで予備率5%を確保するのに必要な正味の電力をはじき出した。
次に、各社が国に申請した最大出力から8月の供給力との差を求めた。じつはこの差が自社内に隠された電力の余力、いわば“隠し玉”だ。中部電力は供給力の内訳を公表していないため本誌が他社受電の状況などから推計した。
結果として、原発が停止したまま8月を迎えても西日本で最大約1500万キロワットの余力があることがわかった。北陸電力の97万キロワットから関電の311万キロワットまでいずれも余剰電力を持っていた。
隠し玉として大きいのは長期停止中の火力発電所だ。西日本だけで計597万キロワットある。「復旧に数年はかかる」と電力会社は言うが、じつはいざというときのために廃止せず、眠らせていたもの。その一部を立ち上げることは当然可能だ。東京電力や中部電力も今回、実際に立ち上げている。
記事4
自民党国家戦略本部(本部長・谷垣禎一総裁)は中長期の国家ビジョンに関する報告書をまとめた。福島第1原発事故を受けて焦点になっている原子力政策では、既存の原発の安全性を強化したうえで稼働・維持を当面認める。太陽光など再生可能エネルギーの導入も促進する。19日の総務会に報告する。
報告書は、(1)成長戦略(2)社会保障・財政・雇用(3)地域活性化(4)国土保全・交通(5)外交・安全保障(6)教育--の6分野で構成。次期衆院選の選挙公約に反映する。
東日本大震災からの復興に向けて「地域の絆の回復」を掲げ、将来の東海・東南海・南海地震に備えて防災対策に10年間で集中的に予算投入することを盛り込んだ。従来の公共事業の削減方針を転換し、全国の海岸に津波避難施設を建設。企業に雇用や投資規模に応じて税制優遇措置を講じ、本社や工場の地方移転を促進する。
消費税率を当面10%まで引き上げ、全額を社会保障費に充当▽国家安全保障会議の常設▽学校の式典での国旗掲揚、国歌斉唱の義務化▽5歳児に対する幼児教育の義務教育化の検討--なども明記した。【佐藤丈一】
毎日新聞 2011年7月19日 東京朝刊
東京電力は20日、福島第一原子力発電所の汚染水処理システムの稼働率(19日までの1週間)がこれまでで最低の53%だったと発表した。
東電は7月の目標稼働率を当初、80%としていた。
稼働率は、ほぼ1週間ごとに算出。稼働率が低迷しているは、システムに流せる汚染水量が毎時37立方メートルと定格流量(毎時50立方メートル)を大幅に下回っていることや、トラブルで停止したことが理由。流量がこのままでは、トラブルなしで連続運転できても稼働率は74%にしかならず、東電は今後の処理目標の見直しもあるとしている。
流量低下は、配管にたまった汚泥が原因と見られるが、現時点では原因を特定できていない。東電は今後、システムの改善を図り、20日からの1週間で70%、8月は90%に稼働率を上げたいとしている。
(2011年7月20日21時42分 読売新聞)
またこの炉心を見た人もないので、ダウンというレベルの汚染水循環方式をとっているけれども、一体、これの「工程」とは何だ?凡そ、聞いたこともなく、教科書にもどこにも書いてない。
「注水安定」とか「事故収束」とか適当に、政府、東電その他の尻馬に乗った新聞、報道関係が、適当な用語を”発明”しているだけ。余りにも見っとも無い!
これは、日本のFukushimaに築く、核の墓場であって、その段階を適当に第1、第2とやっているものだから、到底、見るに忍びない、、、何れは、ここが観光名所の「新ピラミッド」建設現場になるが、果たして”防護服”を着て放射能汚染した牛肉、魚介類、福島名産の喜多方ラーメンを啜って、被爆を覚悟の命がけでチェルノブイリ見学と同じように、修学旅行の目的地となって、JA農協も旅行に参加するか?
そうそう、日本の学校以外では、修学旅行という教育課程、カリキュラムは外国に、一切ないのでしたから、これは国内の学校に限るものですが、、、
政府と東電など関係者らは、この「フクシマ・ピラミッド第1原発の工程」を、今後、原発核燃料爆発を防止するために核の墓場を設置する第一建設工程であると、堂々、内外へ観光宣伝したら、どうか。これが、科学技術No.1を目標とする日本の姿だろうか。
情けない!連ホウ議員のNo.2を目指せと言うにも一理ある、、、
悔しいなー
これは、国内外ともに共通だが、先ず廃炉宣言が未だになく、原発災害を想定していなかったから、今更、法的根拠のない廃炉とも、言えない雰囲気を察知した政府の配慮であろう。
しかし、このように治外法権の法的規制外に、物事を実施することは関連する被爆、当該事故原発施設、設備について、とんでもない破壊的な被爆を更に誘発する可能性を、残していることを明白に示している。
すなわち、これは、菅直人首相が、図らずも「収束」に向かった一歩という、発言をしたけれども、右のような視点から見ると当然ながら、未だに非常に危険な原発破壊工程の一環であることを肝に銘じて、工事管理の追跡を試みる必要がある。