まず番組でLINEを通じて行ったアンケート結果。「大阪・関西万博に行きたいですか?」という質問に対し、
・行きたいという人 34パーセント
・行きたくないという人 39パーセント
・迷っているという人 27パーセント
現段階では万博の期待感が少し薄いようにも思われ、吉村知事に1分間で大阪・関西万博の推しポイントをプレゼンしてもらう。「行きたい」「開催して」と思わせるようなプレゼンをどうぞ。

大阪府 吉村洋文知事:
この万博ですけれども、150カ国が集まって、そして世界の課題解決するためのいろんな技術をここに持ち寄って、6カ月間という長い間滞在することになります。僕はここで新しいものが生まれると思っていますし、次の未来社会を作っていくのが万博だと思っていますので、ぜひ多くの人にお越しいただきたいと思います。

大阪府 吉村洋文知事:
まだ世界のパビリオンで何を目玉にするか出てきてないので、言えないところもあるんですけれども、今の時点で僕がぜひ見てもらいたいなと思うのが3つ。
・1つ iPS細胞で作った生きてる心臓のシートを大阪パビリオンで展示する予定にしています。
・2つ 批判もありますけど、万博リング。実際、作ってるところを見に行きましたけど、あえてですけど、これはもう圧倒的な建造物になると思います。
・3つ 空飛ぶクルマ。今はないですけれども、空の移動革命になると僕は思いますので、ぜひ空飛ぶクルマに乗ってもらいたいと思います。

プレゼンを聞いてどう感じたか?
田村淳さん:
愛地球博もそうでしたけど、万博って始まったら熱を帯びてきて、人が集まるっていうのは何となく分かるんです。それにしてもでも目玉は?吉村知事がおっしゃった新しいものが生まれるっていうところに、僕はちょっと疑問を感じています。万博をやったからといって新しい技術が生まれると、僕は考えずらいかと思うんですけど、そのあたりはどうですか?

大阪府 吉村洋文知事:
例えば万博を目標に、2025年を目掛けてみんな一生懸命作っていこうとしてます。空飛ぶクルマは実際に人を乗せて飛ぶ予定です。2025年目掛けて多くの技術者とか科学者がチャレンジしてるのは事実。
 また淳さんおっしゃる通り、ここで新しく生まれるかというと、そこまでにある世界のいろんな技術を持ち寄るんですね。大阪の地で新しい技術や、新しい課題解決を共有し、次の未来社会を作っていこうとするのです。あと期間が6カ月間と長いこともポイントで、普通の国際会議は長くても3日とか数日ですけど、6カ月間、各国が自分のパビリオンで技術を紹介して、共有するっていう場面はほとんどないです。

続いて、「どうなる万博のおカネ」問題だ。

万博の会場建設費は、当初1250億円と言われていたのが、2度上振れがあり、2350億円となった。2度目の上振れの時、吉村知事は「これが最後の増額と考えています」と話している。

運営費も当初809億円と言われていたのが1160円に増えた。このうち8割を超える分はチケット収入でまかなうとなっている。視聴者からも「費用がもう上がらない根拠を提示して」「一体どこまで私たちの税金を費やすつもり」という声がある。

大阪府 吉村洋文知事:
増額ですが、1度目の600億円は会場の設計が一部変更になりました。2度目の建設費500億円や運営費350億円の増額は、ほとんどが人件費が上がってきてるというものです。それと資材費が上がってきている。つまり計画の変更というより、人件費や資材費が上がってきている部分がオンしたのが実態です。大阪府市がやっている他の公共事業でも同じように上がっているんです。今、賃金を上げよう、資材にちゃんと価格転化しようと世界になっている中で、やっぱりこの金額が必要になってくるわけです。

ジャーナリスト 安藤優子さん:
バランスっていうのは、どう考えてます?あまりにも費用が高くて、みんな来たくなる期待感が薄いと、“いってこい”にならないじゃないですか。これのバランス感が私はやっぱり崩れてるのかなって思うんですよ。

大阪府 吉村洋文知事:
すごく大切です。会場建設費2350億円の1/3は民間、1/3は国、1/3は大阪府市で負担するんです。このコストの話がよく出るんですけれども、経済効果もあって、経済効果は2兆4000億円から2兆8000億円と言われています。多くの人が来て、万博会場だけじゃなくいろんなものを買ったりというのもあります。経済効果も非常に大きいですから、そういった意味で、僕はこの投資をする十分な価値があると思っています。

 あと万博は経済的の効果だけでなく、経済効果で測れないような次の子供たち、次の社会を作っていく面もやっぱりある。新しい技術とか世界の課題を共有して、新しい技術者や科学者を目指そうと思う子供たちが増えれば、僕はそこも万博の意義・効果だと思っています。

 もちろん税金が入りますから厳格にするのは大切で、費用を抑えていくことは当然やりながら、最大の効果を発揮します。150カ国の国も投資しますから、世界のパビリオンで、それぞれの国がお金を出して出展するので、こんなチャンスはなかなかないと僕は思います。

■赤字になった最悪のケースでは一体誰が負担するの?

関西テレビ 原佑輔記者:
ちょっと嫌なコトを聞きます。運営費が仮に赤字になった場合、国は赤字部分を負担をしないと言っていて、吉村知事も大阪府市は負担しないと話をされています。赤字になった最悪のケースを想定すると、一体誰が負担することになるんですか?

大阪府 吉村洋文知事:
国は万博協会が最後負担すると言ってるんですけど、僕はそれは違うと思っています。万博教会は最後責任をとる立場じゃないんですよ。最後責任をとる立場は、やっぱり国であり大阪府市だと思っています。
 ただ万博のチケット収入で賄うと、これまでの万博もそういうルールでやってきているわけです。やっぱり収入と支出がある話で、赤字が出た時に国や自治体がどんどん税金で負担しますよとやってしまうと、すごくずさんになってくるんです。緊張感がなくなってくる。やっぱり収入は大切で、赤字が出ないようにすることがまず大切。収支の厳格管理はやるべきだということで、第三者機関を立ち上げて、万博協会をチェックする仕組みを作ろうと、僕は提案しています。そして、できるだけ万博の中身を僕らが一生懸命伝えて、『万博に行きたい』と思ってもらえる人を増やす。今の段階で、『赤字が出ても税金で負担しますよ』という方が無責任で、収支管理が重要な時期だと思っています。

ジャーナリスト 安藤優子さん:
赤字が出た時の責任を、お互いに押し付け合っている感じがするんですよ。私は関西の人間ではない。『とどのつまり国の事業だからね』っていう発言を何度か耳にしたんですけれども、そうすると私たちみんなの税金で最後負担するのかなという時に、説明や理解が及んでいない感じがすごいするんです。そこはちょっと違うんじゃないかなって、すごく思うんですけど。

大阪府 吉村洋文知事:
僕も違うと思います。発言が切り取られるんですよ。何回も言ってるんですけど、僕も責任者です。条約上の主催者は国なんですけれど、僕は万博の地元の責任者だし、大阪府市の責任者の代表だと思って取り組んでます。だから。国の事業だからこっちは責任ないよねっていうつもりは毛頭ないです。

■経済効果2兆円超って本当?

視聴者からの質問。
Q.経済効果2兆円超えとアピールしていたが、実際はこれから試算。いい加減だ。
大阪府 吉村洋文知事:
民間のシンクタンクで出してる経済効果が2兆4000億円から2兆8000億円です。今回、費用も上がりましたから、経済効果も本来上がります。改めて最新の経済効果を出すということをします。既に2兆円以上の経済効果は民間も発表している。国は最大6兆円と発表しています。この数字が本当に正しいかっていうのはあるかもしれないけれども、通常の算出の仕方でやるとこれだけ大きな経済効果がある事業であることは間違いなく、より正確なものを出して府民の皆さん、国民の皆さんに改めて説明するべきだというのが僕の考え方です。

田村淳さん:
そこまで経済効果があるとおっしゃる。だからといって、予算をどこまでもつぎ込んでいいとはならなくて、予算は決まっているものなのに、これまで2回増額している。今後上がらない根拠はどこにあるんですか。知事は『最後の増額』と言っていて、まださらになんか起きたら費用を上げざるを得ないと思うんですけど、上がらない根拠をぜひ提示していただきたいと思います。

大阪府 吉村洋文知事:
2350億円に上がった中に、実は将来の値上がり分も織り込んでいます。人件費や資材はこれまで上がってきましたし、これからさらに上がる部分も含めて、2350億円と算出してます。プラス不測の事態が生じた時に備えた予備費の100億円も積み上げています。人件費がこれまでと同じように上がったとしても収まる。工事もかなり契約関係が進んでいますので、工事について一定のめどが見えてきている時期です。ここまでかからない可能性もある。
 もし予備費を使う時は、大阪府市に相談するよう、万博協会との約束事にしていますし、四半期ごとに状況を公開して、透明性を高めていくことをこれからより強くやる。工事もかなり進んできてるところもあり、今の状況で値上がりしてもこの範囲に収まる計画になっています。ただ明日何が起きるかって世の中分からないので、圧倒的に予測困難な部分もあるけど、これはかなり大目に見積もっている。

■万博会場となる「夢洲」 現時点で電気も水道もなし 間に合うのか?

開催まで500日を切ったが、「万博の華・パビリオン」が間に合わないかもしれないという心配はどうなのか。特に独自で設計するため時間がかかるタイプAのパビリオンを55カ国が建設予定だが、20カ国はまだ建設業者が決まっていない。着工が始まっている国は一つもない。

実際、建設工事をまさに今やっている現場を取材した。
大屋根の建設を担当:
(大屋根)リングを作っています。まあ予定通りです。

万博のシンボル、「大屋根」の建設を担当している男性だが、不満もあるという。
大屋根の建設を担当:
早くインフラね。中の道路作るとか、電気とか水道を通すとか、そういうところをちゃんとやってほしいですね。一般の街中で工事をするより手間がかかるので、(そんな工事環境で)やりたくはないですよね。

埋立地である夢洲には、今も電気や水道が通っておらず、電気は2024年夏ごろ、上下水道は開幕3カ月前にようやく整備される予定だ。

大屋根の建設を担当:
搬入のトラックとかが増えてくるので、今まで通りみたいな感じではないでしょうね。トラックが通れなくなったり、クレーン作業できるところができなくなったり。

夢洲へのアクセスは、橋とトンネルの2つだけ。一斉に工事が始まると渋滞が起きる可能性もあり、予定通りに進むか未知数だ。さらに2024年夏にはIRの工事も始まる。

関西テレビ 沖田菜緒記者:
現場で取材すると、やはり懸念の声がたくさん聞かれました。現場だけではなく建設業界のトップである、日本建設業連合会の宮本洋一会長も『開幕に間に合わせるには、よほど簡易な構造とか特段の事情がないと難しい。デッドラインは過ぎていると思ってもいいぐらいだ』と言っています。万博が開幕時に全てのパビリオンがそろった状態で開幕することはできるのか、見通しはどうなっているのでしょうか?

大阪府 吉村洋文知事:
Aタイプパビリオン、夏の段階では工事事業者も決まっていませんでしたが、今35カ国は工事業者が決まりました。先日、イタリアのパビリオンの起工式に僕も参加しました。これからどんどん着工されてくると思います。それぞれのパビリオンが開幕と同時に展開されるということを目掛けて、頑張っているところです。ただ過去の万博を見ますと、パビリオンの一部は開幕後にオープンすることも普通にあります。全てが開幕時にそろっているわけではないのですが、ただやっぱり開幕時に多くのパビリオンがそろっているのが本来の形だと思いますから、関係国、関係者含めて一生懸命トライしているところです。

■「夢州」万博開催地決定に当時の松井知事の思いが影響?

万博が開催される「夢洲」だが、そもそも「なぜ夢洲で開催されることになったのか」。2015年、当時の府の検討会で候補地は6カ所で、その中に夢洲は入っていなかった。ところが、2016年の大阪府市の検討会議で、突如夢洲が候補地にあがり、その4カ月後に候補地が夢洲でまとまったいう。

関西テレビ 原佑輔記者:
2015年から16年にかけての府の検討会の議事録を読む限り、2016年に当時の松井知事が唐突に知事の『試案』として夢州を提示しているように見えます。議事録にある言葉で、事務方の言葉を借りると、『知事の試案ということ、知事の思いということで、この場所つまり“夢州”でできないかということでお示しをした場所』というふうにあるんです。この後、正式なプロセスを踏んで決定しているんですけど、松井さんの思いというのが、夢州への流れを大きく作ったように感じました。当時を知っている議員や職員の方に取材しても、なんで唐突に夢州が出てきたのか正直分からなかったです。吉村知事は2015年のタイミングで市長に当選されていますが、なぜ夢州に突き進んでいったのか、そしてこの決定が結果的に正しかったのか、どう思われますか?

大阪府 吉村洋文知事:
当時、僕は大阪市長でした。いろんな候補地があり、なぜ夢洲エリアが出てきたか、大阪の市長の立場で言うと、大阪のベイエリアを活性化させていきたい。ベイエリアの街づくりをやっていきたい。海外のベイエリアって、すごく発展しているのが通常で、大都市のベイエリアって一番価値が高いんです。大阪のベイエリアは、まあうまくいかなくて、負の遺産になっている状態だったんです。夢洲も負の遺産になっているような状態でした。この夢州の地、そして大阪のベイエリアを、成長するあのエリアにしていきたい。大阪はキタとミナミがよく言われるんですけど、ベイエリアを起点にした東西の軸の街づくりもやっていきたい。その中でベイエリアでの万博っていうのは、世界でもやったことないのですけれども、万博にもチャレンジすべきじゃないかっていうのがあったのは事実だと思います。

関西テレビ 原佑輔記者:
ベイエリアというところで、議員や職員の方を取材している中で、仮説として、『万博を使って夢洲のインフラを整備して、IRの誘致を進めようとしたんじゃないか』と言う方が非常に多いんです。この点はいかがですか?

大阪府 吉村洋文知事:
それは違うと思います。IRについても、夢州に決まっていますけれども、一番の背景にあるのは夢洲が完全に“負の遺産”状態だったんです。もともと4万人が住むような街づくりをしようとして失敗し、地下鉄も途中まで掘ったけど止まっている状態でした。でも本来ベイエリアは力のあるエリアなので、そこを成長させたいっていうのは、知事・市長としてありました。IRをテコにしてとかいうのは全然ないです。ベイエリアを活性化させていきたいというのは、知事・市長の思いとしてはあります。万博を利用するって意味じゃなく、そこで万博の地としてもこのベイエリアがふさわしいと判断しています。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月27日放送)