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低レベル汚染水、海へ放出=最大1千倍、1万1500トン-高濃度水の貯蔵先確保
時事通信(2011/04/04-21:45)
東京電力は4日、福島第1原発2号機タービン建屋にたまる高濃度の放射能汚染水の貯蔵先を確保するため、集中廃棄物処理施設内などで貯蔵中の低レベル汚染水を海に放出した。計約1万1500トンを約5日間かけて放出する。
原子炉等規制法に基づく応急措置。松本純一原子力・立地本部長代理は「人体に影響はないと考えられるが、誠に申し訳ない」と謝罪した。
東電によると、放出汚染水は集中廃棄物処理施設に貯蔵中の計約1万トンと5、6号機の「サブドレンピット」と呼ばれる施設にある地下水約1500トン。ヨウ素131など計1700億ベクレルの放射性物質が含まれ、放射能濃度は国が定める濃度限度の約1000~100倍という。
放出後に周辺海域の魚類や海草類を毎日食べ続けた場合、成人が受ける放射線量は年間約0.6ミリシーベルト。一般人が浴びてもよい人工放射線の年間1ミリシーベルトや、自然界から受ける同2.4ミリシーベルトを下回るという。
東電は、2号機タービン建屋地下の汚染水が、毎時1000ミリシーベルト以上と極めて高い放射線量だったため、保管先の選定を最優先。外部タンクの到着も遅れる見通しなため、同汚染水を7日から復水器に移し、さらに集中廃棄物処理施設に移し替える方針を固めた。ただ作業手順は、進展状況で変更する可能性もある。
信じられない基準量無視/教授の目
日刊スポーツ 2011年4月5日
福島第1原発事故で東京電力は4日、大量発生した放射性物質を含む汚染水の処理に関連し、敷地内にたまっている低濃度の汚染水1万トン超を同日夜、海に排出し始めたと発表した。名古屋大大学院の榎田洋一教授(52=核燃料サイクル工学専攻)は汚染水放出について「濃度の濃淡の問題ではない」と憤りを隠さなかった。
<榎田洋一教授の目>
海に設置するシルトフェンスは、汚染水の拡散を防ぐために有効なのでしょうか。前例は聞いたことがありません。1度、海に出てしまったものの拡散を防ぐのは難しいと思います。潮の流れも複雑でしょうから。ピットから出た汚染水を、そのまま容器でくみ取った方が効果があると思います。これまでにピットにコンクリートを注入したり、地下の横穴に吸水ポリマーなどを投入してきましたが、効果はなし。東電は技術的な信頼を失っていて、今後の事業展開に影響が出るでしょう。
配管用トンネルの立て坑に、乳白色の粉末を投入しても汚染水の経路を特定できませんでした。地震が起こった時に、配管の横に隙間ができて、汚染水が配管をつたってピットまで来ているのかもしれません。液体ですから、いろんなところに流れてしまう。東電が予想しているより、複雑な経路かもしれません。途中で広がったり、薄まったりするでしょうから、確認は難しいと思います。
福島第1原発の施設内で保管されている低レベルの放射性物質を含む廃液が、海に放出されることになりましたが、法律で定める濃度の500倍というのは、例のないこと。ただ、500倍になったからといって、海では希釈されるので、魚や人体に影響はありません。ただ、1年間の人間の被ばく量から決められた法律の基準量が、緊急時とはいえ、無視されていいのでしょうか。社会秩序を守らない暴挙で、信じられません。(談)
[2011年4月5日9時18分 紙面から]
福島原発:汚染水放出、無責任な日本に批判
放射能汚染水海に放出、隣国・韓国に一切通報なし 朝鮮日報 2011年4月5日
誰が「低レベル」汚染水って名付けたんでしょうか。また、発表で言われたままに「低レベル」汚染水って報道するマスメディアもどうかしています。
批判しているのもスポーツ新聞だけ、っていうのも、なんともいわくいいがたいものがあります。
もし、平時ならば、汚染濃度限度の100倍から1000倍の放射線汚染水が1万トンも漏れ出たら、たいへんな大事故です。
さらに、はるかに高濃度に汚染された放射能汚染水を処理するための苦渋の決断。私には技術的な詳しいことはわかりませんから、もうこれしかないという説明を信じるしかありませんが、タンカーを用意するなどと言っていた濃度限度10万倍の「高レベル」汚染水の処理はすべてうまく行かないんですね。。。
ロイター 亀裂から流れ出す高濃度の汚染水。福島第一原発の2号機にて。2011年4月2日。
結局、今の状態は、「高レベル」放射能汚染水はどうしても止めることができずに海に流れ出ていて、「低レベル」汚染水はわざわざ海に流しているわけです。二重に海が汚染されている。
この放出について、茨城県に全く事前のお知らせがなかったそうです。隣国韓国にもなかったと、朝鮮日報が怒っています。韓国、アメリカ、ロシア、中国などの大使館にはお知らせしたそうですが、丁寧な上にも丁寧な配慮をしないとダメです。
ご迷惑をおかけするんですから、国内にも国外にも、ちゃんとお詫びとご説明をしなきゃアカンがな。まだ危機管理が全くなっていません。
原発、高濃度汚染水は計6万トン 亀裂付近の海水750万倍
2011/04/05 13:41 【共同通信】
福島第1原発事故で経済産業省原子力安全・保安院は5日、1~3号機のタービン建屋や外の立て坑にたまっている高濃度の放射性物質を含む水は計約6万トンと推定されると明らかにした。
一方、2号機取水口付近の亀裂から流出している汚染水について東京電力は同日、付近で2日に採取した海水から、法令の濃度限度の750万倍に上る1立方センチ当たり30万ベクレルの放射性ヨウ素131を検出したと発表した。亀裂からの流出は止まっていない。
(中略)
東電は海に流すのは「低レベル」の汚染水で、魚などを食べ続けても人体への影響は小さいとしているが、含まれる放射性物質の濃度は、最大で法令で定めた濃度基準の500倍。
茨城で釣れた魚が汚染されていたというニュースを読みました。仮に今の時点で人体に影響がなくても、海の生き物には影響が出ています。それはいずれ人間に帰ってくることでしょう。
いつまで続くのか、どうなるのか、全く予断を許しません。。。
でも大体、「低レベル」「低レベル」って強調してるとき限って
本音で考えてることが別にあるというのが普通でしょう。
本音では安全だと思ってないんですよ。きっと(あくまで私の勝手な解釈ですが)。
それにしても、東北のおいしい魚が食べられなくなるなんて、本当に残念でなりません。
もう、無茶苦茶です。
しかも、漁協にはファックス一枚。
関係する県や農林水産省には連絡なし。
やむを得ない措置だというのを100歩譲って認めてもこれは酷すぎます。
近隣諸国の海域は日本の境を接しているから、このような国際条約の明らかな違反行為で、非常に神経を尖らせているのは、当然のことです。放射能物質は、海洋投棄の結果として、生物の海草、魚介類などに蓄積されくる。
生物体は、人間を含め内部被爆を起こして、世代を越えて受け継がれる遺伝子を破壊したり、ガン発病の原因になる可能性を、否めない。これは、現に広島、長崎の今次大戦原爆投下によって、放射線被爆の体験で、日本人が一番良く知っているでしょう。
政府の広報では、「海洋へ放出されて、海水で希釈されるから、放射能汚染の被害がない」というのだが、これは何らの科学的根拠もない、相変わらずいい加減な言い訳に過ぎない。無責任も、甚だしいのに呆れる。
このように国際法の法令順守、コンプライアンスを、無視するのは、倫理道徳に反する理不尽は行為と言うのない。全く、怪しからんもので、国際的にも非難を浴びて当たりまえです。
「低濃度、高濃度に拘わらず、一切の放射線物質を含む汚染水、汚染物質を、海洋投棄するな!」
朝日新聞
東京電力福島第一原発4号機の核燃料貯蔵プールの水温が90度まで上昇していることがわかり、東電は13日未明、緊急に195トンの水をプールに放水した。水位は燃料棒の上端から約2メートル上の位置まであるとみられるという。プールの水の放射能を分析したところ、核燃料の一部が損傷しているらしいこともわかった。
4号機の燃料貯蔵プールでは12日、コンクリートポンプ車を使って放射性物質を調べるための水約400ミリリットルを採取していた。水温は90度で、プール床面から6メートルの地点の空気中の放射線量は、1時間あたり84ミリシーベルトと、かなり高い値を示した。
燃料貯蔵プールの水温は通常40度以下に保たれているが、4号機では冷却システムが稼働しておらず、温度が上昇しているとみられる。
ただ、ポンプ車の先端部の動きを解析したところ、水面の位置はプールの床面から約5メートル下のところにあり、逆算すると、燃料棒の上端部から約2メートル上になるという。東電は13日未明からの放水で「水位は1メートルほど上がったとみられる」としている。
プールから採取した水の放射能はヨウ素131で1立方センチあたり220ベクレルで、通常よりやや高いレベル。東電は「燃料の一部は破損しているが、大部分は健全」とみている。
一方、東電は12日夜から2号機タービン建屋の外にある坑道にたまった汚染水をポンプでくみ上げ、建屋内の復水器に移し替える作業を開始した。13日午後、合計660トンを復水器に移し替えて予定の作業を終えた。坑道のたて坑の水位は午後6時現在で6センチ下がった状態という。
坑道には6千トン近い汚染水があるとみられ、残りは敷地内の集中廃棄物処理施設(容量約3万トン)に移す準備を進めている。
放射能汚染水の流出防止策では、流出元になった2号機取水口付近で鉄製の止水板や海水をカーテンのように仕切る「シルトフェンス」の設置が進められた。シルトフェンスを設けるのは1~4号機の取水口周囲など計6カ所。水の移動をある程度防げると期待される。
1~4号機の取水口は堤防に囲まれた構造で、内側は汚染の高い状態が続いている。検出された放射性ヨウ素131は、12日現在でも海域の濃度の基準の2500倍。ただ、日に日に薄まり、周囲へ拡散しているとみられている。