文科省 「法科大学院共通的到達目標（コア・カリキュラム）モデル案第一次案」に対する日弁連意見書

　文科省は「法科大学院コア・カリキュラム調査研究」グループを作り、ロースクールの全国統一達成目標を模索して、第一次案を発表していました。
　北海道大学法科大学院教授の町村泰貴教授のブログで、やっと、日弁連の意見書が出たのを知りました。
　ぜひ町村先生のコメントもご覧ください。

　文科省のグループが作成した「法科大学院共通的到達目標（コア・カリキュラム）モデル案（第一次案）」に関し、総論として「共通的到達目標（コア・カリキュラム）モデル案作成の基本的考え方～第一次案の公表に当たって～」に対する意見、各論として各分野の共通的到達目標モデル案第一次案に対する全般的な評価及び具体的・個別的な意見をとりまとめたわけです。

　結論としては、ロースクール生がこれらの試みに一喜一憂する必要は全くありません。これから考え込まないといけないのは、法科大学院の教授会の方ですから。

　私がこの文科省の第一次案を見たときの、率直な感想を言いますと、ああ、また敵を作りそうだが、文科省って教育のセンスないなあ、ってことです。
　もう、カリキュラムといっても、基本書の目次を詳しくしただけです。
　どれが根本原理でどれが派生的な問題なのか、全然メリハリが効いてません。
　教える側にとっても学ぶ側にとっても、まだ指針とできるようなものではないんですね。

　あと、科目によってスタイルがばらばらなのも驚きました。横の連携が弱いのですね。

　コアカリキュラム第一次案を作ったのが研究者の先生方で、これに対する意見書は弁護士が作ったという意味では興味深くて、両者、法科大学院では一緒に授業をしているのですが、その間にはかなり深い認識の溝があるという感じです。
　一言で言えば、アカデミックの壁、といいましょうか、研究者の方が深くてなおかつ広く、弁護士はいい意味で実学志向なんですね。ロースクールにおいては役割分担があるので、それはそれでいいのだと思います。

　そもそも、学習指導要領や学力テストのように、全国統一の基準が必要なのかさえ、私には疑問ですが、しかし、統一カリキュラムを目指すと、研究者と実務家が具体的に議論できて、議論自体は非常に意味があっていいと思います。
　
　司法試験受験生のみなさまには、こうやって師匠たちも一生懸命努力してるよ、ということだけ知っていただければと思います。