
ここだけで640万キロリットル、今の福島原発のタンクにある「処理水」140万キロリットルの5倍近い石油を備蓄している。日本にはそれだけの技術があるのだ。
そして「処理水」は石油と違って可燃性ではないので、保管が石油より難しいとは必ずしも言えない。現に小タンクでこれだけ保管してきているのだから。
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福島原発事故以降に大量に発生している放射能汚染水。
これをALPSというシステムで「処理」したという処理水を海水で薄めて海洋放出するという計画がいよいよこの夏に実行されようとしています。
福島原発からの「処理水」=放射能汚染水の海洋放出を2年前から「歓迎する」と言っていた国際原発推進機関のIAEAが、「国際的安全基準に合致」という報告書を岸田首相に手渡した、結論先にありきのこの茶番。
という記事で警告したように、IAEA(国際原子力機関)が岸田政権のこの海洋放出計画にお墨付きを与え、日本の原子力ムラは科学的に安全だと証明されたと大合唱し、海洋放出に疑問を呈すると非科学的だと中傷される始末です。
しかし、そもそも、IAEAは中立的・科学的な研究機関ではなく、原子力の「安全」利用=原子力発電所を推進する機関で、日本の電力会社からも多数の職員が出向しているような組織です。
IAEAが「処理水」の海洋放出にゴーサインを出したからと言って、それが科学的だとは全く限りません。
もう一つ、これまで十分に書かなかったことの一つに、本当に海洋放出しか「処理水」の処理方法はないのかという話があります。
政府は「処理水」の処分方法として、安全を重視せず、安価で安易な方法を安直に選んだだけなのです。
実は、2022年1月20日、日本弁護士連合会は「処理水」の海洋放出について、社会的な合意を得る手続きが不十分などとして反対する
福島第一原子力発電所事故により発生した汚染水等の処理について海洋への放出に反対する意見書
この意見書では、技術者や研究者らでつくる「原子力市民委員会」が、処理水をセメントや砂と混ぜて固めて保管する手法などを提案した点を重視し、政府が市民委員会へのヒアリングをしないまま海洋放出が決まったとして、
「ほかの方法を検討するべきだ」
としています。
IAEAも原子力市民委員会への調査をしておらず、海洋放出ありきで他の方法の検討は不十分です。
首相官邸で安倍晋三首相と握手をするIAEAのグロッシ事務局長(2020年2月25日撮影)。
日弁連の意見書から海洋放出以外の「処理水」の処分方法を引用すると、放射能汚染水等の処理方法については、技術者や研究者も参加する原子力市民委員会が
1 「大型タンクによる陸上での保管」
2 「モルタル固化処分案」
を提案し経済産業省に提出しています。
しかしこれらの案は現実的な提案でありかつ実績もあるにもかかわらず,十分な検討がされたとは言えないのです。
まず、「大型タンクによる陸上での保管」はドーム型屋根と水封ベント付きの大型タンクを建設する案で、建設場所としては,福島第一原発の敷地内の7・8号機建設予定地や土捨て場等を提案しています。
大型タンクは石油備蓄等に使われており多くの実績があり、ドーム型屋根を採用すれば,雨水混入の心配はなく防液堤も設置されることから万一の漏水対策も含まれています。
現在、この大型タンクの1基当たりの容量は11万キロリットルであるのに対して、現在福島原発で保管されている処理水は137万キロリットルですから、わずか14基でまかなえることになります。
ちなみに、日本の石油備蓄量は7500万キロリットル以上です。
この大型タンク案は、「処理水」の最終処分案の検討及び実施に時間を要する場合には、それまでの処理方法として現実的な提案です。
鹿児島県の志布志国家石油備蓄基地。
タンク1基の容量はどこも11万キロリットル以上。北海道石油協同備蓄株式会社HPより。
ちなみにこの長期保管案は、2011年から30~40年としている廃炉までの期間に汚染処理水を処分できないため、2019年に政府の提案から漏れたのですが、そもそも廃炉が2050年までにできると言うのが幻想ですし、政府の廃炉計画の締め切りまでに「処理水」を処分できないから案から外すなんて本末転倒もいい所です。
また「モルタル固化処分案」は,汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管するというものであり、既に米国のサバンナリバー核施設の汚染水処分でも用いられた実績があります。
このような現実的な提案がされていたにもかかわらず、経産省の小委員会報告書には東京電力が大型タンク保管案を否定する見解のみが記され、その過程では提案を行った原子力市民委員会に対するヒアリングや議論等は一度も実施されなかったのです。
『ALPS汚染水「モルタル固化による陸上保管案」を新たに提案――原子力市民委員会』より
そもそも、2015年には日弁連は汚染水対策として今の凍土壁でなく、地下水流入を防ぐ抜本的な対策である恒久的遮水壁を構築することを提言していますが、安倍政権以来、政府はこれを無視して汚染水の増加に手をこまねいてきたのです。
またのちに詳しく書きますが、ALPSでトリチウム以外の核種はすべて除去されているかのような印象を政府やIAEAは与えていますが、実は同システムで除去できるのは62の核種だけであり、IAEAが政府に提出した報告書にもトリチウム以外の放射性物質が「処理水」に入っていることが明らかになっています。
まさに、処理水=汚染水、なのです。
例えば大型タンク案によって陸上で汚染水を長期間保管すれば、放射性物質には半減期があるのですから、放射能は減衰していきます。
それなのにあらゆる手段を尽くしたわけでもなく、放射能汚染水を海洋投棄する、それも30年も40年も流し続けるだなんて愚の骨頂です。
参考資料
原子力市民委員会の「トリチウム汚染水海洋放出問題資料集」
参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
放射性物質汚染水を太平洋に投棄すると、多くの外国が日本産の海産物を避けることになる可能性。それは風評被害ではなく、実害であり当然の警戒感。
環境保護には「予防原則」という有名な考え方があります。予防原則とは
「環境に脅威を与える物質又は活動を,その物質や活動と環境への損害とを結び付ける科学的証明が不確実であっても,環境に悪影響を及ぼさないようにすべきであるとする原則(大塚直『環境法(第4版)』有斐閣,2020年7月)です
日弁連の意見書でも「今回,海洋放出されようとしている処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質の総量は,公表すらされておらず,その安全性には大きな疑問がある。したがって,環境,健康や生物に影響を及ぼす可能性を否定できないことからすれば,予防原則に従い,海洋放出はすべきではない。」
としています。
「処理水」の海洋投棄の環境や人類に対する影響は科学的にはまだ未知数です。大型タンクやモルタル固形保存案は少なくとも放射性物質を海洋に垂れ流すことはないのですから、そちらの選択肢をまず選ぶのが市民から政治を信託された政府として当たり前だと思います。
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東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、香港政府は実際に放出が行われた場合、東京や福島など10の都県を原産地とする水産物の輸入を禁止する一方で、この地域を経由する他の都道府県の水産物については輸入を認めると発表しました。
福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり香港政府は14日、実際に放出が行われた場合の対応について詳細を発表しました。
それによりますと、輸入禁止の対象となるのは、東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、それに埼玉の10の都県を原産地とする水産物だとしています。
そのうえでそれ以外の北海道や九州などを原産地とする水産物を東京をはじめとする10都県を経由して香港に送る場合は輸入禁止の対象とはならない、としています。
日本各地の水産物は東京の豊洲市場を経由して香港に送られるものも多く、影響の広がりを懸念する声があがっていました。
◆「権限のあるIAEA」
◆巨額な拠出金 日本の分担率は「10%超」
◆「職員をたくさん送り、存在感を確保する」
◆被災者からの疑問
◆トリチウム処分「海洋放出は安上り」
◆規制委を「独立」と評価するが…
◆「公正な第三者機関にはなり得ない」
◆デスクメモ
政府は23日、東京電力福島第1原発でタンクにためられている汚染処理水について、これまで示されていた6案から「海洋放出」「蒸発させ大気放出」「海洋、大気放出の併用」の3案に絞ることを有識者小委員会に提案した。3案以外は、法律の規制や技術の面などで課題が多いという。処分の開始時期については踏み込まず「政府が責任をもって決定する」とした。
タンクの汚染処理水は11月の時点で約117万キロリットル。技術的に取り除くのが難しい放射性トリチウムなどが含まれ、1日当たり約170キロリットル(昨年度)ずつ増えている。東電は、敷地内の空き地に計137万キロリットル分までならタンクを整備できるとしているが、2022年夏ごろに満水になる。
政府の有識者小委では、これまで①放射性物質の濃度を基準値以下に薄めて海に流す②蒸発させ大気に放つ③セメントなどで固めて地下に埋める④パイプラインで地下に注入⑤電気分解して処理後に大気に放出⑥貯蔵タンクで長期保管――の6案が示されていた。
政府は23日に開いた有識者小委に、海洋放出などの3案を提案。その理由として、国内外の原発で実績があることや、環境への放射性物質の広がりを確認しやすいことなどを挙げた。長期保管は、11年から30~40年としている廃炉までの期間に汚染処理水を処分できないため、政府の提案から漏れた。
政府の提案について、ジャーナリストの崎田裕子委員は、前例のある処分方法(海洋または大気放出)が安心感につながるとした。東京大総合防災情報研究センター准教授の関谷直也委員は「海洋放出した場合、社会的な影響が大きいことを提言に盛り込むべきだ」と話し、今後も議論を続けていくことを確認した。
毎日新聞が委員に実施したアンケートでは、複数の委員が「6案から処分方法を決めて提言はしない」という認識を示していたが、3案に絞られたことに異論は出なかった。政府は、この3案を軸に小委に提言をとりまとめてもらう方針。政府は小委がまとめた提言を踏まえ、自治体など地元の関係者に意見を聞いて、最終的な処分方法を決める。【岩間理紀、斎藤有香】
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通常の原発排水は『核燃料とは直接接触していない(それでも放射性物質が含まれる)』のに対し、福島の“処理水”は『メルトダウンした放射性物質を直接冷やした水』から『一定割合の放射性物質を取り除いたけれど、かなりの割合で基準内に収められなかった』ものであり、到底同列に扱うことはできません。
さらに、“ALPSは2013年に設置されて以来、国際原子力機関(IAEA)から実際の性能検証を一度も受けていない”疑惑まで出てきたそうです。
太平洋に面する諸国から“損害賠償請求”を受けた場合、この件が本当ならさらに傷が拡大しそうですね。
https://twitter.com/shirasaka_k/status/1682255607611670528?s=20
☆白坂和哉|ジャーナリスト|”突き刺さる” 政治情報を提供します!
@shirasaka_k
◎これが本当なら「汚染水 海洋放出」は根底から覆る!
なんと!“ALPSは2013年に設置されて以来、国際原子力機関(IAEA)から実際の性能検証を一度も受けていない”ことが確認されたというのだ!
これは本当なのだろうか?
仮にそうでないとするなら、日本政府やIAEAは反論に足るだけのエビデンスを出す必要がある。存在するなら容易なことだろう。
日本政府はどう説明するのか?
あるいは韓国のメディアだからといって無視を決め込むのか?
◎ALPSは2013年に設置されて以来、国際原子力機関(IAEA)から実際の性能検証を一度も受けていない!
──これを報道したのが韓国のハンギョレ新聞(7/12)
そして、この報道に呼応するかのように東京電力は、「ハンギョレ新聞」と「文化放送」を汚染水放出の現場取材から排除している。
報道されると都合が悪いことでもあるのだろうか?
尚、東京電力はメディアに対する選定基準を明らかにしていない。
地名も、東京の夢の島に対して夢洲ですし。後世への教訓警句として、万博よりずっと役に立つと思います。1000%漏れないと思いますが、例え漏れても安全ですし。電車に乗って東へ進むと、新名所アベノセンベイ(この件に関しては安倍氏に責任はないと思います。)も。宇宙大臣によると、霊が・・だそうですが。
『ウクライナ危機だから日本には防衛費増額が必要』(特に核武装)とか、『エネルギー危機だから原発が必要』とか言っている人たちは『原発が“燃料採掘”から“運転と保守”および“廃炉”と“できた放射性物質の管理”ですさまじい健康被害の原因となっている』事実を少しは考えてほしいものですね。
(※今回の“汚染水排出”ももちろん健康被害の原因ですし。)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263448?fbclid=IwAR1uOQYRvioX1dD8BMivOQJO9VNJFT_Ui_86Xa0Fq3uoNJtQYovvcyrmBLU
☆日本が輸入に頼るウラン、その鉱石が転がる「聖地」とは ウサギが消え薬草は色あせ… 先住民「苦しみ気付いて」
2023年7月16日 東京新聞
「これがウラン鉱石だ」。米西部ユタ州南東部、先住民の聖地として保護区域に指定されているベアーズ・イヤーズ国定公園内の山あいで、ユート族のマイケル・バッドバック(55)は斜面に転がる黄色い岩石を指さした。「数十年前のウラン鉱山が、放置されているんだ」。計測器が示す空間放射線量は毎時1.63マイクロシーベルトを指し、日本政府が除染の目安とする1時間当たり0.23マイクロシーベルトを大幅に超えていた。
◆核兵器開発支えた地域 鉱山跡地はほとんど放置
ベアーズ・イヤーズは、ウランが豊富な地域として知られるユタ、コロラド、ニューメキシコ、アリゾナの4州の州境「フォー・コーナーズ」に近く、第2次世界大戦後の核兵器開発を支えた。米紙ワシントンポストによると、2017年時点で付近に残された古い鉱山の跡地は500以上で、ほとんどは浄化の措置がされずに放置され
たままだ。
◆「高齢者が病気に」 がん患者多いとの指摘も
『もはや処理水“という改ざん名称の汚染水”をためておく場所がない』ことを海洋放出の理由にしていますが、おっしゃるように場所には全然余裕があるわけですよね。
(ご指摘以外にも原発敷地には『タンク増設の余裕はたくさんある』のは地図からも一目瞭然なのだとか…。)
『保管する経費がもったいない』のか、『どこぞからの指令』なのかは知りませんが、『処理水の多くが放出基準を大きく上回っていた(最大1万倍)詐欺』の時と同様に今回も詐術まみれなのは明白なのですが…。