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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「処理水」=汚染水には、トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない 。トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性がある。

2023年08月27日 | 福島原発事故

「多核種除去設備等処理水(ALPS 処理水)の海洋放出に係る放射線影響評価報告書(設計段階)」(東京電力作成)

「処理水」=汚染水には、トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない 。トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性がある。

東京電力が2020年12月24日に公表した資料によると、処理水を2次処理してもトリチウム以外に12の核種を除去できないことがわかっている。

2次処理後も残る核種には、半減期が長いものも多く、ヨウ素129は約1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年。

通常の原発は、燃料棒は被膜に覆われ、冷却水が直接、燃料棒に触れることはない。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種。福島第1原発は、むき出しの燃料棒に直接触れた水が発生している。処理水に含まれるのは、“事故由来の核種”である。

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 ISEP環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也という脱原発論者がいます。

 残念なことに日本維新の会創設者の橋下徹大阪府知事の口車に乗せられて、福島原発直後の橋下氏が脱原発らしきことを言っていたのでブレーンになり、あっさりと裏切られた残念な人でもあります。

 ちなみに、橋下氏はプレジデント誌の連載を始めたばかりのころに、自分がどうしていきなり関西電力大飯原発の再稼働を容認したのかについてこういうことを書いています。

『「大阪府市エネルギー戦略会議」のメンバーであり、原発なしでも電力は足りると言い続けていた飯田哲也さんが、この検証委員会で大惨敗した。結局、原発がなければ電力は全く足りないという結論だった。

僕にしてみれば「ハアーーっ?」て感じ。飯田さんも元通産官僚の古賀茂明さんも、原発が動かなくても電力は足りるから、ここで原発を再稼働させなくてもいいと、ずっと僕に言い続けてきて、僕はそれを前提に原発再稼働阻止の実行プロセスを構築していたのに。

少しくらい足りないという程度だったら踏ん張っていたけど、全く足りないという結果だった。飯田さんたちは、需給検証委員会で何をやっていたんだ?』

 実際には2011年の福島原発事故以来、関西電力は原発が稼働しないと電力が足りないという事態には実際には一度も陥っていませんから、これは全くの大嘘で、飯田氏や古賀氏はいい面の皮でした。

橋下徹氏の「あの時僕が原発再稼働を容認した理由は、飯田哲也氏と古賀茂明氏のせいで、原発がなければ電力は全く足りないという結論が出たから」という大嘘。

 

 

 橋下氏は大飯原発再稼働の容認直前に経産省と裏取引をしていました。

 裏切り体質でもあり、トンデモなく裏表がある、今の維新の体質を体現しているのが橋下徹氏です。

 詳しくは以下の記事をお読みくださいね。

歴史に残る原発ゼロの日々を台無しにした橋下市長の裏取引は国民のみならず人類に対する犯罪だ

 

 さて、そんな味噌をつけたこともある飯田哲也氏ですが、脱原発は筋金入りで、ご自分が放射能汚染水の海洋投棄についてXに投稿したポストをFacebookにまとめておられ、これがわかりやすいのでご紹介します。

 汚染水を処理水と呼ぶ連中と、正当に危険視している人たちのどちらが説得力があるかという考察です

『ツィッター(X)に流した処理水/汚染水問題の構図の考察です。ご参考まで。

▪️全体構図

・完全に二極化してそれぞれがエコーチェンバーに入って、双方を「非科学的」と見做している

・日本政府が丸ごと一方のエコーチェンバーに入っている。

以下、双方のエコーチェンバーを私見と独断で対比してみる。

・「処理水放出は安全で問題ない派」を「処理水派」(処)と呼ぶ。

・「汚染水放出は危険・問題派」を「汚染水派」(汚)と呼ぶ。

▪️主要論点と双方の食い違い

(1)廃炉に必要?

(処)福島第一原発の「廃炉」には避けて通れない

(汚) 「廃炉」には無関係、むしろ優先度の高いことが数多くある(地下水流入の防止や水冷却から空気冷却への転換など) ・デブリ取り出しが可能か、可能だとしてそれが「廃炉」か?そもそも「廃炉」の定義もなく、「廃炉の在り方から再検討が必要

(評価) 「汚染水派」の批判が妥当

(2)代替案

(処)他にスペースもなく、放水が最も低コスト

(汚)すでに放出案は風評被害対策評価を考慮すると高コスト。水蒸気放出、コンクリート化、巨大タンク化など多くの代替案がある。

(評価) 「汚染水派」の提案が妥当かつ合理的

 

(3)安全論

(処)トリチウムは安全、濃度も告示限度以下に抑えている ・IAEAも安全と評価している

(汚)トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない ・トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性がある ・告示限度は敷地境界1mSv/年以下に過ぎないが、こうした一般環境への放出には、長期かつ集団被曝の確率的な影響を考えて少なくとも100倍の安全裕度が必要 ・IAEAは日本政府と東電の出したデータと評価を承認しただけ、そもそも原子力推進機関で、チェルノブイリ事故後にも被害を大きく過小評価した前科がある。 ・人類が過去半世紀以上の公害、オゾン層破壊、気候変動などを引き起こす中で学んだ予防原則に立てば、未知・不可知のリスクを恐れるべき

(評価) 「汚染水派」の批判が真っ当で人類の叡智を踏まえている。

(4)他もやっている

(処)中国、韓国の原発からもトリチウムは大量に出ている

(汚)原発から必然的に出るトリチウムと、メルトダウンデブリの核汚染水とは根本的に違う。 ・排水口から「出てしまう」トリチウムと、いったん地上で保管している「核汚染水」をわざわざ放出する行為は、意味合いが全く違う。 ・再処理工場の排水は、トリチウム以外の汚染も懸念されるが、そもそも破綻した核燃料サイクルも再処理工場も止めることがベスト。

(評価) 「汚染水派」の批判が真っ当

 

(5)呼称

(処)処理済みであり「処理水」と呼ぶことが妥当 ・汚染水と呼ぶと風評被害を招く

(汚)処理しても、なお汚染しており、正しく呼ぶことが重要 ・風評被害以前に実害リスクも考慮すべき ・国がメディアに「処理水」と呼ばせる言論ファシズムの気配がある ・海外メディアは汚染水(Radioactive contaminated water) と呼んでいる

(評価) 「汚染水派」の主張が真っ当

(6)風評被害

(処)汚染水と呼んだり被曝リスクの主張は風評被害を招く

(汚)「風評被害」という言葉でリスクの問題定義を封じ込めることは実害リスクの隠蔽に繋がる ・汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる

(評価) 「汚染水派」の主張が真っ当』

 

 

 汚染水脈という用語は飯田氏のオリジナルだと思いますが、一番大事な処理水なのか汚染水なのかを分ける安全性についての

(3)安全論

(処)トリチウムは安全、濃度も告示限度以下に抑えている ・IAEAも安全と評価している

(汚)トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない

トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性があ

・告示限度は敷地境界1mSv/年以下に過ぎないが、こうした一般環境への放出には、長期かつ集団被曝の確率的な影響を考えて少なくとも100倍の安全裕度が必要

IAEAは日本政府と東電の出したデータと評価を承認しただけ、そもそも原子力推進機関で、チェルノブイリ事故後にも被害を大きく過小評価した前科がある。

・人類が過去半世紀以上の公害、オゾン層破壊、気候変動などを引き起こす中で学んだ予防原則に立てば、未知・不可知のリスクを恐れるべき

というのは大事な指摘だと思います。

 
 
そんな筋金入りの飯田氏や報道ステーションで名を馳せた古賀氏も、橋下徹氏にはコロッと騙されてこんな脱原発本まで出していたのだから、橋下氏の人たらしは天才的だ。

 

 

 

 

参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

『そして、事故でメルトダウンした核燃料デブリに直接触れた汚染水に含まれる核種の種類は冷却水の排水とは段違いなのに測定もされてないということも「処理水の海洋放出」に賛成する人には知ってもらいましょう。』

重要なことを知らずに「処理水」と日本政府が呼びたがる核物質汚染水を太平洋に放出することに賛成する罪 #StopFukushimaWaterReleaseNow #DontReleaseTEPCOWater #汚染水の海洋放出に反対します

「堀江貴文は日本政府の言うことをそのまま繰り返しているだけで、彼に対しては次の記事でメモった科学的説明くらい読むべきです。環境保護のために頑張って日本政府に異議を唱えている人を叩くために、堀江貴文は自民党政府の権力にすがりついて気持ちよく悪口を言い放っているだけにしか見えません。

いうなれば、堀江貴文は、肉屋の威を借る豚です。」(玲奈砲、炸裂~~!!)

いくら薄めたって全量を海に流すなら投棄される放射性物質の量は同じ。堀江貴文も報道業者も気づかないのか。 #汚染水の海洋放出に反対します

 

 

飯田哲也氏は私から見ると橋下氏に騙されたりかなり危なっかしい人です(kojitakenさん曰く『2011〜12年には飯田哲也(てつなり)が維新にすり寄って大阪府市の顧問だかに就任した「大恥」もあった。飯田はその後小沢一郎一派に接近し「日本未来の党」に参加して2012年の衆院選に出馬したが、小沢自身が「私の意見は橋下市長と同じ」と口癖のように言っていた人間だから、そこは整合性がとれている。』)、脱原発や再生可能エネルギー押しでは信頼できると思います。

これからの汚染水問題では、処理水派と汚染水派でどちらがより広範な市民を巻き込めるかの長期戦なので、初めてご紹介しました。

ところで、知性を重んじてきたリベラル・左派がむしろ反知性主義の政府やネトウヨたちに「非科学的」と言われる屈辱はこの上ないのですが(笑)、真実はこちらにあります。

疲れて諦めた方が負けなので、粘り強く闘っていきましょう。

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今検査して魚からトリチウムが検出されたらその方が驚き。これからもこういうちょうちん持ちニュースが膨大に垂れ流されて後を絶たない中、諦めないで汚染水の危険性を訴えていかないといけません。

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出を受けて、水産庁は原発周辺の海域で捕れた魚のトリチウムの濃度を分析した結果、検出できる下限の濃度を下回り、「不検出」だったと公表しました。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出が24日から始まったことを受けて、水産庁は今後1か月程度、毎日、原発の10キロ圏内で捕れた魚に含まれるトリチウムの濃度を分析し、公表することにしています。

25日、放出後初めて、原発周辺の海域で水揚げされたヒラメとホウボウが、宮城県多賀城市にある施設に持ち込まれ、分析が進められていましたが、26日午後、結果が公表されました。

それによりますと、いずれもトリチウムの濃度は、1キロあたり10ベクレル程度としていた、今回、検出できる下限の濃度を下回り、放出前と変わらず「不検出」だったということです。

水産庁は、今後も原発周辺で水揚げされた魚について翌日か翌々日には分析結果を公表するとともに、より広い範囲で水揚げされた魚についても分析するなど、日本産の水産物の安全性に関する情報発信に努めたいとしています。

 

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1 コメント

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Unknown (暗黒大将軍)
2023-08-28 21:56:24
読みやすくて面白い記事なのに、何で常連の人はコメントつけずにスルーしてるんですかね(笑)

しかし昨今の流れを見るにつけ依然として「エセ奉行」IAEAへの嫌悪感は募っていきますね
「IAEAの科学的報告書ガー」とダラダラお経を読んでるライブドアネトウヨどもは、今のグロッシや前任者の天野之弥どころかノーベル賞をもらったエルバラダイのことさえ知らなかったりします

それでも中韓ネタになりつつあるので、韓国系のシカゴ大客員教授キム・ヨンギの「IAEAは科学の分野で最も信頼できる国際機関の一つ」みたいなコメントはやたら引用します

IAEAの専門は「原子力」と「放射線医学」にすぎず、原子力しか分からない物理学のキム・ヨンギの太鼓判をそんなに有難がるのもどうなの、って感じですが

思えば、IAEAが2006年にチェルノブイリ犠牲者を「爆死者50人、その後20年の癌死者4000人」と矮小化を図った数年後の2009年に「犠牲者98万人説」をぶち上げたのはニューヨーク科学アカデミーのアレクセイ・ヤブロコフ(2017年没)でした

勿論IAEA派からは中傷されたり揚げ足をとられたりしましたが、現在では学者としての彼やその学説を「インチキ」「トンデモ」と一蹴するレヴューはほぼ見当たりません
おおむねアマゾンレヴューでも好意的ですね

「科学」をいびつな政治機関の絶対の御旗にするんじゃなくて、聞く耳をもちながら運用しなきゃなりませんね
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