【2月5日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は4日、パレスチナ自治区ガザ地区で暮らすパレスチナ人について、選択肢を与えられれば苦境に立たされている故郷から「喜んで」退去するとの見解を示した。

トランプ氏はホワイトハウスで一連の大統領令に署名した際、記者団に対しガザ住民について、「喜んでガザを離れるだろう」「彼らは大喜びすると思う」と語った。

「どうしてとどまりたいと思うのか。そこは破滅の場所だ」と続けた。

トランプ氏はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との会談を前に発言した。会談ではイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意について協議し、イスラエルに対し、まだ一部が確定していない合意の順守を促す可能性が高いとみられている。

トランプ氏は先に、ガザを「一掃」し、住民をエジプトとヨルダンに移住させる計画を喧伝した。

エジプトとヨルダンはこれをきっぱり拒絶している。エジプト大統領府によると、両国の首脳は4日、平和実現に寄与する「統一されたアラブの立場にコミットする必要性」を強調した。

これに対しトランプ氏は同日、ホワイトハウスで記者団に対し「まあ彼らはそう言ったかもしれない。多くの人々にいろいろなことを言われた」と述べた。

ガザ住民もトランプ氏の計画を非難している。ガザ南部ラファの住民たちはAFPに対し、「退去するつもりはない」と語った。

だが、トランプ氏に動揺はないようだった。

「適切な土地を一か所または多数見つけて、彼らのために本当に素晴らしい場所を建設することができれば、何十年も死が続いているガザに戻るよりもずっといいと思う。中東に資金が潤沢にあるのは確かだ」と述べた。

記者の一人にそのような場所がどこになるのかと問われると、トランプ氏はヨルダンやエジプト、あるいは「他の場所」になるかもしれないと述べ、「2か所以上になる可能性もある」と続けた。

トランプ氏は「非常に美しく安全で、素晴らしい土地となり得る場所に住むことになる。ガザでは数十年にわたって大惨事が続いている」と述べた。

別の記者がガザ住民の移住費用を負担するのは米国かと質問すると、トランプ氏は「中東には、費用を負担する人々が大勢いる。彼らは多くの資金を持っている」と述べ、サウジアラビアを例に挙げた。

トランプ氏は「ガザ住民には今のところ他に選択肢がない」と付け加えた。AFP記者がそのような動きはパレスチナ人の強制移住に当たるのではないかと質問すると、同氏は「ガザ住民がガザにとどまっているのは他に選択肢がないからだ。他に選択肢があるのか? 今のガザはがれきの山だ。彼らは大喜びで移住すると思う」と回答。

「彼らはガザを喜んで退去するだろう」と繰り返した。

一方で、パレスチナ人の代わりにイスラエル人がガザに移住することを「必ずしも」支持しないと主張。

「私はただ、そこを一掃して何かをすることに賛成しているだけだ。だがそれは何十年も失敗している。そして10年後、20年後に誰かが米大統領となり、同じことを経験することになるだろう」と述べた。(c)AFP

 

 

アラブ諸国、ガザ住民受け入れ拒否 トランプ発言に共同声明

[カイロ 1日 ロイター] - アラブ諸国の外相らは1日、いかなる状況下でもパレスチナ人を自治区から移送することを拒否すると表明し、エジプトとヨルダンにガザ地区住民の受け入れを求めるトランプ米大統領の要求に一致した姿勢を示した。
エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、パレスチナ自治政府、アラブ連盟の外相と当局者らは、カイロでの会合後に共同声明を発表し、こうした動きは地域の安定を脅かし、紛争を拡大させ、平和の見通しを損なうと指摘。
「入植活動、立ち退き、土地の併合、あるいはあらゆる形態、状況、正当化による土地所有者の明け渡しを通じたパレスチナ人の不可侵の権利侵害を狙ういかなる試みも拒否することを明言する」と述べた。
その上で、2国家解決に基づく公正で包括的な中東和平の実現に向けトランプ政権と協力するのを楽しみにしているとした。
トランプ大統領は先週、1年3カ月に及ぶイスラエルの爆弾攻撃で住民230万人の大半が自宅を失ったガザ地区を「破壊現場」と表現し、エジプトとヨルダンはガザのパレスチナ人を受け入れるべきと発言。この提案に対し、民族浄化に等しいとの批判が出ている。