NHKの朝のラジオ番組に出演予定だった中北徹・東洋大教授が、番組内で脱原発をテーマに取り上げようとしたところ、NHK側にテーマ自体の変更を求められ、番組を降板していたことが分かった。「都知事選中は原発問題はやめてほしい」と言われたという。

 番組は月~金曜の午前5~8時のラジオ第1放送「ラジオあさいちばん」。中北教授は「ビジネス展望」というコーナーに20年来出演しており、30 日朝も「原発の再稼働のコストと事故リスク」をテーマに出演する予定だった。だが、前日に原稿案を見せたところ、ディレクターに「テーマを変えてくれ」と 言われたという。

 原稿案は「事故発生時の損害額が桁外れに大きい」として、原発稼働におけるコストの増大を指摘する内容だった。中北教授は外務省を経て研究者となり、第1次安倍政権で「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長代理も務めた。「選挙期間中だからこそ本質的な議論をするべきだ。過剰に自主規制するNHKの対応は問題意識が欠けている」と話す。

 NHKは「脱原発論を放送しないというわけではない。原発が争点になっている都知事選期間中は、双方の意見を紹介するなど、より公平性を確保することが必要。1人が出演するビジネス展望では困難だと判断し、テーマの変更を求めた」としている。