サウンドスペルでは、文字と発音の対応は一対一ではない。それが特徴である。
/k/ の音には c も k も使われる。e, i, y の前では k で、音節末でも k で、ほかは c だ。
もしも、旧来の綴り字法とおなじように、「c は e, i, y の前では /s/ の音をあらわす」ように、ルールを緩和したらどうなるだろうか?
sell と cell の表記上の区別が可能になるのはいい。
だが、face や nice の場合が困る。
fake が "faek" になるのはいい。だが、face の場合、"faec" ではまずいので、-ce を維持して "faece" になってしまうだろう。これがなぜまずいのかといえば、ちがう単語を連想してしまうからである。
これをふせぐためには、"faice" あるいは "fayce" のように書くことになるだろう。(-ay- を /エイ/ の音に対応させる改革案も存在する。)
これにより、/エイ/ の音イコール "ae" の一対一の対応は崩壊することになる。
ae と ai を両方使えるとなれば、male を "mael" として、mail はそのままというふうな表記上の区別が可能になるだろう。
そして、-ay を使うのもいいだろう。bay, day, hay, lay, may, pay, ray, say, spray, stay, stray, way など。
Sunday と sundae の区別も維持できる。maelstrom は、そのままでいい。
ちなみに、fae は /ファイ/ の読みである。
nice の場合、"niec" ではまずいので、-ce を維持して "niece" になってしまう。そのため、既存の niece と衝突する。そして、既存の niece は、"neece" になる。混乱が生じる。
これをふせぐには、nice を "niyce" のように書くことがいいと思う。(-iy- を /アイ/ の音に対応させる改革案も存在する。)
これにより、/アイ/ の音イコール "ie" の一対一の対応は崩壊することになる。
ついでに、line や mine の場合も、サウンドスペルでは、"lien", "mien" になるので、既存の単語と衝突する。"liyn", "miyn" と書けば、衝突は回避される。
soft C を容認するだけで、このような混乱が生じて、母音表記まで修正することになってしまう。