フォニックスのルールは、説明や分類の仕方によって さまざまですが、基本中の基本は 同じです。
英語の母音字の基本的な読みかたとして、「短音」と「長音」があります。実際に音が「みじかい」とか「ながい」とかいうのではなくて、母音字の読みかたの区別のための "歴史的な"よびかた です。
「大母音推移」以前は、「ア」と「アー」のように音の長さによる区別があったようですが、いまでは「ェア」と「エイ」のような音の違いによる区別に変わりました。
「短音」: mat, pet, kit, tom, must における母音字の読みかた。「おと読み」と呼ばれることもあります。
a /æ/--- 「エとアの中間のような "ェア" 」
e /ε/--- 「エ」ですが、特に米語では「ア」に近い音に聞こえることもあります。
i /ɪ/--- 「イとエの中間」
o /a:|ɔ/ ---「オとアの中間、米語では口を大きく開けてアー」
u /ʌ/ ---「口をあまり大きく開けずにア」。
「長音」: mate, Pete, kite, tome, mute における母音字の読みかた。「(アルファベットの)なまえ読み」と呼ばれることもあります。
A /eɪ/ 「エイ」
E /i:/ 「イー」
I /aɪ/ 「アイ」(ときに y も同じ発音。ex. style, type)
O /oʊ/ 「オウ」
U /ju:/ 「ユー」(ときに/u:/「ウー」)
発音記号も いっしょに おぼえれば、単語の読みかたを 辞書で 調べられるようになります。
これは本当に基本中の基本です。「短音」「長音」という用語をつかわない場合でも、内容そのものは同じです。a, e, i, o, u には、それぞれ 代表的な読みかたが 2つずつあるということです。
人によっては、これを日本語の漢字の読みかたに なぞらえて、英語の母音字にも「音(おん)読み」と「訓(くん)読み」がある と いったような 説明を したりすることもあるようです。
「短音」=「音(おと)読み」=「音読み」みたいなもの
「長音」=「アルファベット読み」=「訓読み」 みたいなもの
あくまで「もののたとえ」です。実際に、英語に「音読み」「訓読み」が あるわけではありません。
英語では、a, i, o, u の文字をローマ字のような発音で読むことは、通常では ありえません。
father, spa, calm における a は「アー」と読まれますが、こういうのは例外、あるいは 変則的な読みかたと 考えたほうがいい。
machine, police, ski, trio, visa などの i は「イー」と読まれますが、英語では「イー」は E の文字、あるいは ee や ea などに対応するのが基本です。
put の u は「ウ」ですが、このような読みかたは変則的です。but, cut, gut, hut, nut, shut などは u を /ʌ/ の音で読みます。