月に一度は、映画館で新作を。2023年の
4月は、「AIR/エア」(アメリカ)。
今月も楽しみだなというような作品はなく、
予告編で消去法ならこれかなと思っていた本
作を無事チョイスすることに。
事実を基にした系の中でも、近代、現代系は
ハリウッド規模であれば、まあまあ大外れは
ないことが多い。
その代わりに大当たりも少ないのであるが、
この作品も例に漏れることなく、とても無難
な出来となっている。
舞台は1984年のアメリカで、当時はバス
ケットボール部門の販売シェアが弱小だった
らしいナイキ社。
そんなナイキが、部門担当を中心に、世界的
大ヒットとなるバスケットシューズ「エアジ
ョーダン」を生み出すまでのおはなし。
ただし、メインはシューズが物理的に生み出
される過程ではなく、選手マイケル・ジョー
ダンとの契約までの道のりとなる。
つまり、完全に事務方面のストーリーであり、
スポーツを題材とはしているが、スポーツの
要素は皆無といってよい。
また、まだ存命だからかどうかは知らないが、
戦略としてマイケル・ジョーダンが作中でし
っかりと登場することはない。
じゃあ、どうやって物語が展開するかとなる
と、ナイキ側の契約準備を中心に、家族や代
理人とのやりとりシーンだけで進む。
え、それで120分持つのとなるが、それが
どうして120分持っているのである。
しかし、観終わってみると、絶対に120分
もなかったよなという、そんな感想。
シェアの低い企業の苦悩はあるが、問題の交
渉もなんやかんや順調に進展するし、シュー
ズもあっさりと完成する。
場面も大半が会社内で印象に残る条件になく、
ジャンル的に音楽もおとなしめ。
じゃあ、つまらないのかとなると無難ではあ
るのでつまらなくはないが、面白いというほ
どでもなく、積極的におススメもしない。
会社の理念とか、昔は昔はというのなら、冒
頭に昔のシーンでも入れればよかったのに。
なんて、珍しく素人のこうすれば案が出てし
まうくらいに単調で、人物に、物語に深さが
ないように感じた。
少なくとも、(そんな人はほぼいないだろう
が)インビクタスのような作品を期待しては
いけないので注意。
マット・デイモンは、クセが少ないのに主演
も張れるすごい俳優だとあらためて認識して、
なんだかインビクタスが観たくなってきた。