Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
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ツキイチ映画館(2023年10月)

2023-10-30 | 雑文
月に一度は、映画館で新作を。2023年の
10月は、「ザ・クリエイター/創造者」
(アメリカ)。

オペレーション・フォーチュンやドミノも鑑
賞候補に上がったが、ハリウッドから逃げて
はダメだと本作をチョイス。

ストーリーは、AI撲滅アメリカとAI共存
アジアが戦争の中、アジアにパートナーがい
るアメリカ軍人が愛をテーマにどうこう。

はじまりはアメリカ視点で、ムービーを挟み
ミッションを一つ一つクリアしていくゲーム
のような感じで、コテコテサクサク。

中盤から後半は、アジアで出会った物語の鍵
となるAIと、パートナーを探しつつ、アメ
リカの大型兵器を止める目標もあわさり。

ニューアジアと表現される舞台は、インド、
カンボジアあたりをイメージした、これまた
テンプレートなアジア。

マーケティングなのか、流行なのか知らない
が、最近とみに多い舞台なので、慣れもある
が世界観としてはすんなり入り込める。

問題はストーリー展開で、唐突に、そして大
雑把にかなり都合よく進展するため、自分は
とてもではないが、感情がついていけず。

テーマと世界観的に、ある程度の物理的なリ
アリティも必要な作品だが、それはないだろ
う、なぜ、といったシーンがちょくちょく。

起承転結を含め、作品としては小粒ながらも
綺麗にまとまっているからこそ、残念。

また、愛がテーマであるが、登場人物はそれ
ぞれ個人の愛に極端に振り切れているため、
社会的にはエゴの強い、悪い奴しかいない。

そんな人たちが戦争をしているのだから、人
によっては結構、胸くそ悪いシーンもあるの
で注意も必要か。

どれがということはないが、サウンドは必要
十分でジャマもなく、とても良かったと思う。

完成度としてはまあまあだが、パッと見によ
らず意外と人を選ぶ作品だと思うので、おス
スメする属性も難しいという感想。

ちなみに、渡辺謙に対する感想は、特にない。

CLASSIC-2023-

2023-10-26 | 
朝から日差しは強く

影はとうに過ぎ去り

西に西に冒険は進み

大切な楽譜を見つけ

鍵盤を機嫌良く叩き

連弾で速度を競えば

荒々しい創生の子は

高揚の青い海を追い

光と音と銀河の長い

月日を併せ星が満つ

心のダービー、菊花賞(2023)

2023-10-23 | 雑文
長距離党(好き)にとっての心のダービーで
ある、菊花賞が開催された。

今年の菊花賞は、久方ぶりに皐月賞と日本ダ
ービーそれぞれの異なる勝者が参戦する、素
敵なレースとなった。

結果は、皐月賞の勝者が3着、日本ダービー
の勝者が2着となり、3冠初参戦のいわゆる
夏の上がり馬が2頭を押さえて見事勝者に。

しかし、上がり馬とはいえ、ラスト1冠を制
したドゥレッツァは人気も4番人気であり、
レースぶりも堂々、実力での勝利のよう。

もちろん、クラシック3冠は偉業であるし、
求めるべき目標の一つであるが、個人的には、
この3冠を分けあう年が好きだったりする。

しかも、どれかで一か八かのような、明らか
な穴馬が勝つのではなく、実力馬による分け
合いが、である。

2頭で分けあって、その後もライバル関係を
翌年に持ち越すような贅沢を超えて、それが
3頭ともなれば。

ソールオリエンスとタスティエーラとドゥレ
ッツァが、無事に2024年もどこかでレー
スで競ってくれれば。

絶対王者よりも群雄割拠、群像好きには、と
ても嬉しい年になるので、まずは、なにより
無事に、3頭でこれからも。

特にドゥレッツァは、中距離の一線級でも結
果を出さないと、長距離馬の過酷を背負うこ
とになる。

すでにG1馬なのだから、その他の大半の条
件馬の過酷さを超えているので、それは贅沢
とも言えるかもしれない。

しかし、我ら長距離党は、長距離党であるが
こそ、より強く、その勝者の過酷を望まない。

とはいえ、今できることは、祝福と感謝のみ
であるが、だからこそ、勝者の未来を信じて、
ドゥレッツァ、おめでとう。

願わくば、元気な姿で、春の菊花賞でお待ち
しています。

Red-flower

2023-10-19 | 
穢れを知らぬ秋の日に

赤々と咲いた彼岸花が

過去のない今日に現れ

待つ人に数輪を摘めば

畔からの説法が聞こえ

不意つかれ手を放した

後ろめたさから足早に

祓うように手を叩いて

物言わず道に横たわる

名前を知らぬ花を思い

物言わず背抱きしめる

読書のよもやま(2023.10.16)

2023-10-16 | 雑文
「日本医家伝」吉村昭(中公文庫)

裏表紙から一部引用すると、江戸中期から明
治初期に現れた、日本近代医学の先駆者たち
十二人の苦闘の生涯を描くという本作。

十二人は、掲載順に山脇東洋、前野良沢、伊
東玄朴、土生玄碩、稲本いね、中川五郎治、
笠原良策、松本良順、相良知安、荻野ぎん、

高木兼寛、秦佐八郎で、一人あたりは20頁
から30頁くらいと短めになっている。

医家伝とあるが、純粋な伝記ではなく、事実
や資料を基にした小説モノとなっており、気
軽に読むことができる。

小説ならではの入りの引き込みに続き、相当
に凝縮された展開がページを進める手を早め、
あっという間に読み終えてしまった。

浅学であり、著者の作品もはじめてで、十二
人も知らない人物ばかりで、読書中の気分は
小中学生の頃のようで。

江戸中期から明治初期となれば、日本が西洋
の医学に触れ、当時の世界の標準に近づいて
いく時代であり。

人物とともに、その時代の日本の医学の状況
なども学ぶことができる。

一人目の山脇東洋は300年前の西暦18世
紀であるが、日本では解剖が禁止され、人体
の内部構造の知識も乏しかった。

そうした日本で、今のように大学で一律に学
ぶ制度もない社会で、医家は様々に独自に知
識を身に着け、それぞれの人生を生きる。

何を今更、という人に向いているとは言えな
いが、自分のように詳しくなく難しいものは
不得意な人は、間違いなく楽しめる。

創作の入るものを好まない人や、純粋な伝記
を求めて読むと、ややがっかりする可能性が
あるので注意が。

この時代に、こういう人たちがいて、今の医
学があるのだなあという、月並みだが大切な
初歩が得られる、そんな作品でおススメ。