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読書のよもやま(2024.11.04)

2024-11-04 | 雑文
「天文学者たちの江戸時代 増補新版」嘉数
次人(ちくま文庫)

書籍で江戸時代の本を見かけて購入すること
が多い最近、文庫新刊で目に付いたので本書
も購入してみて、読み終える。

表題から、夜空に思いをはせる江戸時代の学
者を想像するも、内容は主に暦(こよみ)の
お話だった。

江戸時代に行われた数度の改暦が、誰の手に
より、どのように行われたかを、残された文
献などから追っている。

渋川春海をはじめ、麻田剛立、高橋至時、間
重富らを中心とした、西洋の知識の取入れが
難しい時代の天文学者たち。

日本史ビギナーな自分は、一人二人の名前を
聞いたことだけはある、という程度なので、
人物ものとして新鮮だった。

意図的に入門的な、ライトな内容にしている
ので、本来、簡単とはいえないであろう改暦
の深い知識は出てこない。

自分のような数学アレルギーには喜ばしいこ
となのであるが、夜空ではなく、改暦の知識
を得たい人には物足りないか。

そうであるから、読み終えて天文や改暦の具
体的な知識が増える、ということはない。

あくまでも、人物を中心に、鎖国を敷いてい
た当時の江戸時代の、地球と宇宙の捉え方や
考え方がどうであったかを書いている。

本書に出てくる天文学者たちは、お役目とし
ての学者ではなく、限りなく個人の知的好奇
心のみによって研究をしていたよう。

碁方から天文学者へ、商人から天文学者へ、
自分たちが一般に持つ江戸時代のイメージと
は違った一面ともいえる。

夜空の星々の表紙とタイトルから、宇宙の本
と思いきや、これは改暦と人物の本。

読み終えて、具体的な感想もないのだけれど、
じゃあ、途中で止めるほど退屈かといえば、
そんなこともない。

自分のようなライト層が、途中でギブアップ
しないよう手加減してくれている、そんな優
しさも感じたり、感じなかったり。