「駆け込み寺の男 玄秀盛」佐々涼子(早川
書房)
公益社団法人日本駆け込み寺の創設者である
玄秀盛という人物の半生を追った、ノンフィ
クション。
玄秀盛さんは、自分が本書を読み終え、これ
を書いている時点でそれなりに齢を重ねてい
らっしゃるが、活動は現役のよう。
ノンフィクションではよくある、現実では多
くの人は、よくは見ない、この国の平均では
ない人生を、生きてきている。
死という結末を迎えてもおかしくなかったほ
どの、ネグレクトの子供時代を生き延び、そ
のための手段は選ばなかった。
成人後は、一応は社会のルール(つまりは結
書房)
公益社団法人日本駆け込み寺の創設者である
玄秀盛という人物の半生を追った、ノンフィ
クション。
玄秀盛さんは、自分が本書を読み終え、これ
を書いている時点でそれなりに齢を重ねてい
らっしゃるが、活動は現役のよう。
ノンフィクションではよくある、現実では多
くの人は、よくは見ない、この国の平均では
ない人生を、生きてきている。
死という結末を迎えてもおかしくなかったほ
どの、ネグレクトの子供時代を生き延び、そ
のための手段は選ばなかった。
成人後は、一応は社会のルール(つまりは結
果的に逮捕はされていない)の中で、多くの
利益を上げ、多くの消費をした。
そして、とあることをトリガーに、自らのす
べてを新宿は歌舞伎町での、駆け込み寺の運
営に費やすことになる。
著者は、ノンフィクション作家的な強い関心
からではなく、どちらかというと生活的なな
りゆきで取材が開始する。
満足に、最大に幸福ではないが、最大に不幸
でもないから、著者は玄秀盛の、外から見れ
そして、とあることをトリガーに、自らのす
べてを新宿は歌舞伎町での、駆け込み寺の運
営に費やすことになる。
著者は、ノンフィクション作家的な強い関心
からではなく、どちらかというと生活的なな
りゆきで取材が開始する。
満足に、最大に幸福ではないが、最大に不幸
でもないから、著者は玄秀盛の、外から見れ
ば正反対の転向の明確な理由を求める。
しかし、玄秀盛は、過去の事実は隠さず語る
が、過去の罪滅ぼし的な転向の理由は、他者
には分からないと言い続ける。
面白いのは、玄秀盛は生きるために選択した
しかし、玄秀盛は、過去の事実は隠さず語る
が、過去の罪滅ぼし的な転向の理由は、他者
には分からないと言い続ける。
面白いのは、玄秀盛は生きるために選択した
過去を肯定している一方で、駆け込み寺での
活動を罪滅ぼしとも認めていること。
はたして、玄秀盛は、とあるトリガーが引か
れなければ、罪滅ぼしにすべてをかけること
はなかったか。
遅かれ早かれ、駆け込み寺は開設されたか、
それとも、また別の終わりを迎えることとな
ったか。
よくはないけど、よくはある、社会的には悪
人だった人物の、結果だけを見ればよくある
一つの、転向の物語り。
はたして、玄秀盛は、とあるトリガーが引か
れなければ、罪滅ぼしにすべてをかけること
はなかったか。
遅かれ早かれ、駆け込み寺は開設されたか、
それとも、また別の終わりを迎えることとな
ったか。
よくはないけど、よくはある、社会的には悪
人だった人物の、結果だけを見ればよくある
一つの、転向の物語り。