Four Season Colors

現代詩と映画、読書、ゲーム、スポーツなど雑文を掲載
詩集4冊(各110円)をAmazon「Kindleストア」で販売中

a fine line

2024-09-12 | 
秋色めいた後退のない

メモが一杯のテキスト

なぞめいた数式の走り

天才と凡才のフラスト

確信めいた脈絡のない

感嘆が一杯のコメント

ひらめいた興奮の走り

天才と凡才のタレント

読書のよもやま(2024.09.09)

2024-09-09 | 雑文
「彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人
事件の永遠」樋田毅(文春文庫)

日本では、大学生が大学生を物理的な、言葉
の意味そのまま「暴力」で支配することがま
かり通っていた時代があったらしい。

その結果、早稲田大学では、構内で一方的な
リンチにより一人の大学生が亡くなっている。

本書は、その時代にその場所で、反暴力側の
中心的な立場として抗った著者が、半世紀の
後に振り返り、関係者に取材をしている。

あったらしい、と書いたのは、本書の内容が、
現実であったにもかかわらず、あまりにも自
分の大学時代と異なるからである。

今も社会で接する、今も生きる人たちの通う
大学であったこととは、なかなか想像ができ
ない。

本書を読む限りでは、闘争理由はただ薄っぺ
らい表向きの、闘争のためのガワだけのよう
に読める。

これを「若さ」というもので片づけることが
できるかできないか。

その数年が、人生を縛る、あまりにも重い鎖
となった著者は、暴力側にとっての「それ」
が「なにか」を知ろうとしている。

半世紀の後、ということもあり、関係者から
直接話を聞くことも容易ではない中、暴力側
の、当時も接点のあった人と対談をする。

そこでの認識の違いは、本当に典型的ないじ
める側といじめられた側のようにすれ違い、
交わることがない。

自分にとっては、貴方にとってほどの意味も、
重さもあったことではなく、究極、個人に帰
することではない。

確かに大学闘争は時代特有の出来事であるし、
熱狂した多くの学生には、他の時代の他の出
来事のように、流行だったのかもしれない。

ただそれが過剰な暴力とそれによる熱狂とす
れば、受ける側の清算は本当に容易ではない。

大学闘争の当事者によるリアルを知るととも
に、ありがちではあるが、加害と被害につい
ても考えさせらえる。

〇(まる)のなか

2024-09-05 | 
森で拾った大きな羽を

祈りをささやき整えて

帽子に刺せばお守りさ

谷が深くて広くも息を

吐いてゆっくり整えて

虎穴に入ればお忍びさ

洞の眠った聖なる主を

床ごときれいに整えて

駄賃を貰えばお帰りさ

読書のよもやま(2024.09.02)

2024-09-02 | 雑文
「幕末史」半藤一利(新潮文庫)

江戸時代はペリー来航から大政奉還、そして
西南戦争までを大学の講義で追った(話した)
ものを、書籍化したもの。

この国の歴史で人気のある時代となると、戦
国と幕末がそれなのではないだろうか。

共に激動の、時代が目に見えて動いた面白い
時代だが、とはいえ学校で流れを学んだだけ
という人も少なくはない。

自分も、世界史を履修し、日本史は流れ程度
の中、戦国時代は後々に多少の知識を得たが、
幕末から明治はとても詳しいとは言えない。

本書の内容は大学の講義とはいえ、学外の方
もいるものだったようで、専門研究ではなく、
教養系となっている。

そのため、自分のように人物はおろか、主要
な流れでさえあやしい人間にとっても優しく。

講義であるから、テキストではなく、あくま
で口語を基にしており、読みやすいものにな
っているのも大きい。

著者は「反薩長史観」と前置きするが、そも
そも詳しくないのだから判定は難しいが、そ
れほど「反」でもないだろう。

講義として目的が時代を追うことであるから、
それは個人的な視点の好みであり、(多分)
目的を捻じ曲げることもない。

500ページ弱のボリュームだが、事件の解
説に合わせて、小ネタ、エピソードを交えた
人物論も多く、飽きずに読むことができる。

無論、この一冊をもって幕末明治のすべてが
分かるわけではないし、間違いが一つもない
こともないだろう。

とはいえ、欠伸をしながら変なテキストに目
を滑らせるくらいなら、この一冊を読む方が
面白い。

あとがきの「歴史を知らない近ごろの若い人
たちに読んでもらいたいと思うからである。」
がすべてかもしれない。

若い人は余計だと思うが、読みやすい工夫は
間違いがなく、(自分のような)ライトユー
ザーにおススメ。