かたつむりのように

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時には アンテナをたてて・・・

フキ味噌に想う

2019年03月24日 10時35分18秒 | 日記

2月の末、夫の実家から蕗のとうをいただいた。

そっと葉の中をのぞくと 固いつぼみが特有の香気を放つ。

春だなあ~ これでフキ味噌を作ろう・・・そう思ったのは1か月前こと。

 

 

 

10年程前になる・・・ 

私は 友人Nさんにフキ味噌をいただいた。 

炊き立てのご飯にフキ味噌をのせると、ぷ~んと蕗の独特の香気と、

ほろ苦い甘味噌が口いっぱいにひろがり、なんともおいしく、

私はこの春の味にすっかり虜になってしまった。

それ以来、蕗のとうをいただくと

先ずは絵手紙の画材にし、定番の天ぷらではなく、フキ味噌を作って楽しんでいる。

 

 

 そのNさんは残念ながら1昨年、亡くなってしまった。

私はNさんの味を思い出しながら 

蕗をきざみ 今年もクックパットのレシピの中から

一番Nさんの味付けに近いと思われるものを選んで作った。

 

温かな炊き立てごはんを フキ味噌でいただくと

何杯でもごはんがいけてしまう。

作った半分を冷凍していたけれど、それも食べつくして、

今年のお楽しみは 終わってしまった。

 

Nさんとの出会いは、20年ほど前

この地に移り住んだばかりの頃のある絵手紙展だった。

 偶然見かけた絵手紙展で、私もこんな絵手紙を描いてみたいと

展示会の主催者と思われる方に話しかけたが、それがNさんだったのだ。

私は絵手紙サークルに入れていただき

8歳年上のNさんと親しくなっていった。

友人というより 密かに尊敬する先輩であり、

Nさんは次第に私に中では心優しい姉のような存在になっていった。

私が妹を失ったとき、巻紙でいたわりの絵手紙をそっと家のポストに

入れてくれてあった。

私が少しばかり入院したことがあったが、退院してくると、

お惣菜を届けてくれたこともあった。

ふくよかな風貌は やさしさに満ち溢れていた。

 

小さくなったしまった友人を抱きしめた)でブログにも書いたが、

1昨年の5月 Nさん宅に遊びに行く約束をしていたが、

私は帯状疱疹になってしまいやむなくそれを延期しのだった。

1か月後 回復した私は Nさんにご都合を伺う電話をすると、驚くことにNさんは

重篤な状態になっていた。

1か月前まで元気いっぱいの声を聞かしてくれていたのに、私は動転してしまった。

娘さんの計らいで、携帯に出てくれたNさんは

「〇〇さん 私 もうだめだ・・・」

喘ぐような声だった。

その1週間後 Nさんは天に召されてしまったのだ。

 

フキ味噌を食しながら 会う機会を失ってしまった悔しさが再び

吹きあがってくる。

Nさんの最後の声 Nさんの骨壺をだいた日がよみがえってくる。

 

Nさん今年もフキ味噌つくったよ

Nさん フキ味噌って とってもおいしいね・・・