歴タビ日記~風に吹かれて~

歴タビ、歴史をめぐる旅。旅先で知った、気になる歴史のエピソードを備忘録も兼ね、まとめています。

Go,Go! 名護屋城!!~北条氏盛の陣

2023-06-22 14:49:03 | 佐賀県
肥前名護屋城で、最後に訪ねたのは波戸岬。

天気の良い休日、キャンプ場は大賑わい・・・
そこを通り過ぎ、「国民宿舎 波戸岬」に、
ちょこっと車を停めさせてもらう。

向かったのは、北条氏盛(ウジモリ)陣屋跡。
小田原北条氏につながる河内狭山藩、氏盛は初代藩主だ。

ああ、豊臣秀吉の小田原合戦で亡んだ北条家も、
秀吉の唐入りに馳せ参じていたのか・・・
そう思うと、なんだか胸がいっぱいになる。



図録の「陣跡比定陣主一覧」によれば
北条氏盛(下野 栃木県)0.4万石は、200人を率いていたという。

えっ、下野?
氏盛さんは、河内じゃないの?
・・・ごもっとも!

同じ「一覧」を見れば、北条氏規(ウジノリ)(0.2万石)が
文禄の役に「200人?」を率いており、
ここに「河内(大阪府)」と、書かれている。

・・・北条氏盛(下野)は、氏規(河内)の嫡男、
つまり親子で参陣していたのだ。



ここで、敬愛してやまない、小田原北条家の
小田原合戦以後を、ざっくりとまとめておく。

天正18(1590年)、豊臣秀吉の小田原合戦は、
当主の父である第4代・北条氏政と、
その弟、北条氏照(八王子城主)の自刃と引き換えに、終わった。
これにより、豊臣秀吉の天下統一が完了!

小田原合戦時の当主、第5代・氏直は、このとき一命を助けられ、
高野山に蟄居を命じられた。
これに従ったのが、北条氏規。
先代の弟で、当主・氏直から見れば叔父にあたる。



二人が助命されたのは、徳川家康の力だろう。

当主・氏直の妻は家康の次女・督姫。
(大河「どうする家康」で北香那さん演じる西郡の方の産んだ娘)

一方、氏規も、家康との縁は深い。
母親は、北条三代・氏康の正室、今川家の出身だ。
氏規は母方の祖母・寿桂尼(「直虎」では浅丘ルリ子さん)に
預けられるという形で、駿府・今川家の人質となっていた。

氏規は、この時期に、同じく人質だった家康と親しく、
何かでは「親友」とまで記してあった気がする。(「気」です)
どちらも、いわゆる「人質」ではなく、将来の今川家の戦力とすべく
丁重に扱われ、教育もうけていたことは、言うまでもない。

この縁があって、氏規は、後に北条と徳川との交渉役を担い、
その延長で、羽柴秀吉との外交も引き受けていた。

北条氏直、氏規は、高野山で1年ほど過ごした後、
家康を通じ、秀吉から赦免される。
氏直は1万石、氏規は7000石を拝領、
秀吉の旗本家臣として生きることになった。




しかし、氏直は半年後、疱瘡で逝去。30歳だった。

氏規の嫡子・氏盛も、主君と父に従い
高野山へ入り、赦免されている。
この年の「秀吉に喧嘩を売った男」(高橋克彦「天を衝く」)、
九戸政実の乱では、家康に従い、出陣したという。

その後、本家・氏直の後継と認められ、まず下野4000石を、
やがて父の死去(1600/慶長5)に伴い、7000石を継承し、
1万石を越える大名となった。

氏盛は、文永の役に続き、関ヶ原合戦にも、東軍の将として参戦、
慶長13(1608)年、大阪で亡くなった。

氏盛の子・二代氏信は大阪狭山へ移り、陣屋を構築、
明治維新まで、北条家は12代が続いている。
ちなみに最後の藩主・北条氏恭(ウジユキ)は
明治天皇の侍従を務めた。



・・・あれ、肥前名護屋城の登城記録が、
いつのまにやら、小田原北条家のその後へ、とすり替わってしまった。
お許しあれ。


それにしても・・・
徳川家康と小田原北条家の縁の、
なんと深いことよ・・・



それなのに、「どうする家康」では
北条家の存在がスルーされている・・・

今川氏真の正室・糸(早川殿)に志田未来さんが登場したくらい?

先日の追加キャストで、
北条氏政に駿河太郎さんが発表されたけれど・・・
う~ん・・・

地元・小田原では「真田丸」のときの氏政・高嶋政伸 さんが
いまだに根強い人気だという。
今年の「北條祭り」武者行列でも、髙嶋・氏直が登場したくらい♫

また追加キャストのひとり、氏直役の西山潤さんは
残念ながら、存じ上げず。
家康とのパイプ役・氏規は発表されないってことは
登場しないと言うことだろう・・・


(2023.5.3.小田原城三の丸ホール 
左から黒田基樹先生 平山優先生 諏訪間順氏)


やっぱり、北条五代を大河ドラマにしていただくしかない!

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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。

以下の図書を参考に、記事をまとめましたが、
間違いや勘違いもあることと存じます。
歴史の素人ということで、お許し下さいませ。

◆参考図書:
●佐賀県立名護屋城博物館 編集・発行
「令和3年度 佐賀県立名護屋城博物館企画展
綺羅、星の如くー戦国の雄、肥前名護屋城参陣ー」
●黒田基樹『戦国北条家一族事典』戎光祥出版
●北条五代刊行推進協議会「北条五代 逸話集」
 (パンフながら、出典が明記され、史実か否かの区別もされた優れもの!)


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