歴タビ日記~風に吹かれて~

歴タビ、歴史をめぐる旅。旅先で知った、気になる歴史のエピソードを備忘録も兼ね、まとめています。

ここから

2024-09-02 16:36:57 | 歴史 本と映画
石ノ森章太郎の未完に終わったシリーズ「サイボーグ009」。

悪魔の組織によって、サイボーグに改造された9人。
009島村ジョーはじめ、国籍も年齢も違う彼らは、
哀しみを背負いながら、戦い続ける・・・

今から半世紀以上もまえの1968年、
(↓)テレビアニメ化され夢中になって観ていた。

(画像はアマゾンからおかりしました)



その中でも忘れられないのが
第16回放送「太平洋の亡霊」だ。

まずは、ざっくりと、あらすじを。
(以下、記事中にはネタバレあり)


ーー戦後30年の12月8日。
ハワイ・真珠湾への攻撃を皮切りに、
突如、旧日本軍が復活、アメリカへの攻撃を始める。

彼らは何者なのか

どんなに攻撃されても無傷のまま、
逆にアメリカへ軍への攻撃を続け、壊滅させてしまうからだ。
零戦、特殊潜航艇、月光、桜花、回天・・・
ついには大和、長門まで。

とりわけ戦艦・長門は、敗戦後、アメリカのビキニ環礁での
水爆実験に利用され、放射線を浴びている。
蘇った長門は、アメリカ・サンフランシスコを目指す・・・
このままでは、核の惨劇が起こる・・・

旧日本軍を蘇らせたのは天才科学者・平博士の念力だった。
一人息子を特攻で亡くした博士は言う。

「世界は、あの戦争に懲り懲りし平和を誓ったはずなのに、
今、各国が軍備増強にしのぎを削る・・・
死者の無念を晴らすため、旧日本軍を復活させたのだ」と。

サイボーグ戦士には為す術もない。
それを救ったのは・・・意外にも・・・ーー


この回は、BGMから画面まで、よく覚えている。

とりわけ、印象深いのは、博士による現代社会への批判
BGMは東映動画おとくいの女声ハーモニーだ。
(「魔法使いサリー」などでもお馴染みの曲♫)

画面には、広島、長崎の原爆公園と、沖縄ひめゆりの塔が現われ、
ついには憲法「第9条」の文字が絵柄いっぱいに重なる。


あのときの強烈な衝撃は、今も忘れられない。

当時は小学校に上がったばかりくらいながら、
いやその年齢だったからこそかもしれないが、
幼い心の正義感に火が点いたのだろう。

今、わたしが戦跡めぐりで各地を訪ねる原点は、
ここにあったのかとw、最近感じている。
(以前も記事にしたが)



さて、最近、アニメやマンガに疎くて、気づかなかったのだが、
今年は石ノ森章太郎「サイボーグ009」60周年
盛り上がっているそうだ。

先日、書店でフラフラしていて、
この『サイボーグ009 太平洋の亡霊』(秋田書店)↓を見つけ
知った次第。もちろん単行本は即買いした




この本は、私がエンエンと語ってきた「伝説回」を、
当時の辻真先シナリオから、
早瀬マサト(石森プロ)が作画、この春、コミカライズしたもの。
辻真先のオリジナルアニメシナリオまで収録されている。

コミカライズ版にはアニメにはない、
004アルベルト・ハインリヒの物語が挟まれる。
彼はドイツ出身、冷戦下のドイツで壁を共に越えようとして、
恋人ヒルダを喪っているのだ。
そして彼は爆弾を組み込まれたサイボーグになってしまった・・・

このアルベルトのエピソードは、
1968年版、子ども向けアニメにはない。

アルベルトが人気キャラなことも大きいだろうが、
いわば特攻兵と同じ人間爆弾となった彼の想いは、
物語を膨らませてくれる。

さすが、令和!?


一方で、オリジナルシナリオも、しっかりと突っ込んでいた。
戦後30年のこと・・・戦争の記憶は、まだ生々しい

だからだろうか?
亡き特攻兵とのやりとりや、アメリカ人である002ジェットの言葉は
批判たっぷりである。(内容はここでは伏せるが)

今の世で、これをしたら、炎上間違いなしだろう。



時は流れ、来年には「戦後80年」を迎える。
わたしが、このアニメを観てからですら、半世紀以上も経ったのだ。

「戦後」がこれほど長く続く国は珍しいという。
一方で、が「戦前」になってほしくないとも思う。

戦後30年の「009」の時代も、今も、
とりあえず、この国の平和は守られている。


太平洋の亡霊」で平博士は、
戦争で「死んだ息子を弔う道」として、旧日本軍を蘇らせた。

単なる架空の人物、絵空事として見るべきではあるまい。
深く示唆に富んでいる・・・と、思う。


不戦こそ、最高の慰霊です
現在105歳、旧ビルマで戦った元兵士の言葉だ。
(遠藤美幸『戦友会狂騒曲』地平社 164頁)


📷 台風がまだ遠かった朝、虹がでました。(冒頭画像)
*****************

おつきあいいただき、どうもありがとうございます。

本当は「009」を見つけて、嬉しくて嬉しくて
そんな想いを書くつもりだったのに長くなってしまいました。
(当時、島村ジョーに、どんなに胸キュンしたか・・・❣)

本記事には私の勘違いや間違いなどあるかもしれませんし、
ご不快な方もいらっしゃるかもしれません。
個人の感想文と言うことでお許しください。

この回はYouTubeでも観られるのですが、
カットが多くて、少々がっかりしました。
この記事についてブログを書く
« 戦前の「サッカー天皇杯」優... | トップ | うれしい日 »
最新の画像もっと見る

歴史 本と映画」カテゴリの最新記事