晴れ、ときどき虹。

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博多駅の喧騒前

2018-07-15 23:16:46 | 日常生活


年甲斐もなくというか、なんというか、76歳の父が櫛田神社正面にいて、ものすごい渋滞で身動きできないから先に帰ってねと、連絡が来た。

そもそも臨時列車の存在を知ったのは、私が学生の頃だった。

「へー、臨時列車出るんやね

それぐらいしか思っていなかったが、その年、追い山が土曜日で、私は学校だった。

朝、居間に降りたら、父が朝っぱらからビールを飲んでいる。

何事か?と思っていたら、追い山見て帰ってきたところだったと。

まさか、自分の家族に「山笠号」に乗って追い山を見に行った人がいるなんて、思いもしなかった。


そのことが強烈に残っているので、父に「今年は見に行く?私、行ってみようと思う」と、ちょっとアドバイスもらえれば・・・程度に尋ねたら・・・。

「今年は14日の晩に喜寿の同窓会があるから、前の日から福岡市に入って、夜はそのままカラオケ行って、そこから櫛田神社に行く」


はいっ??

喜寿って77歳(12月誕生日なのでまだ76歳)、なんですか、この学生みたいな行動パターンは!!

斜め上の回答に驚きながらも、父が博多にいることは確実なので、一応連絡はしたものの、身動きとれないので先に帰ってねということで・・・。




すでに、解体している博多駅前の飾り山を見ながら、まだ午前6時を回ったばかりなんだなと、ふと思う。

12時間後、夕方の博多駅にはよくいるのだが。




アナログの時計の針がさす時刻と、時刻表に掲示された列車の出発時間を見て、ああ、やっぱり早朝なんだなと。
とても不思議な感覚に襲われる。

いつものように、福北ゆたか線の列車用の8番ホームに。

汗をぬぐいながら、水筒のお茶を飲む。

「はいっ!ちゃんと水分摂らな」


「あっ!」

振り返ると、父が立っていた。

よく冷えた水が入ったペットボトルを差し出された。

「ありがとう」

時間的に一緒の列車は難しいかな?と思っていたのだが、福北ゆたか線、頻繁に本数がないので、父とも合流できたのだった。

そして、こんな時間に父と博多駅にいるという、これまた非日常で不思議な気持ち。

列車に乗り、父が降りる駅まで、二人でさまざまなことを話した。

こうやって父と話すことって、大人になってから、しかも、子ども達も大きくなってからようやく・・・といったところだろうか。
どうしても母と話すことはあるが、ここ数年はよく父と会話をしている。

昨年、父と娘と私とで、ホークスの優勝パレードも観に行ったっけ。
ああ、あれもアップしてないや・・・。

血がつながった親子とは言え、こうやって会話する時間って、そんなになかった。

山笠を通して、同じ空気を味わって楽しんでいたんだな・・・。

追い山を見ることができたことはもちろん、こうやって父と列車に乗って会話することで、貴重な時間を過ごすことができたのだという、思わぬ副産物にも恵まれた。

今年、ホークスは厳しそうなので、一緒にパレードを見る機会がまたあればいいが、会話していくことに大切さを意識していかないとなぁと思った時間でもあった。


そして、帰宅したら午前8時前。

すっかりと日は昇り、セミがやかましく鳴いている。
駅から自宅までの坂道を、汗をかきながら登っていく。

この夢のような数時間を思い、少し横になる・・・。


夕方。

父からLINEが。

「そういえば昨日、あなたの誕生日だったね。おめでとう」


・・・とってつけたように、誕生祝いのメッセージをいただき、苦笑い。

お父さん、ありがとうね。


記8月12日



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