りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

大人になったキャシー ―全5場― 3

2014年03月25日 21時58分19秒 | 未発表脚本




    ――――― 第 4 場 ―――――

         (紗幕開く。)
         舞台、明るくなる。と、山の風景。
         ウインドとアース、板付き登場。
         音楽流れ、歌う。
         (途中、社員たちも加わる。)

        “さぁ 行こう
         今日は楽しみな社員旅行
         年に一度の自由時間
         森の湖へキャンプに行こう!
         晴天に恵まれた
         今日は絶好の行楽日和
         日々の束縛から放たれた
         自由にみんなでただ騒ごう!”

  女子社員1「ああ疲れたー!!」
  女子社員2「私もー!!
  女子社員1「どうして社員旅行でキャンプなのよー!!」
  女子社員3「本当!!」
  男子社員1「そんなこと言うなよ!部長が思いの外アウトドア派
         で、成り行きから“今年はキャンプだ!!”って・・・」
  女子社員1「もう一体、何の巻き添えよ!」
  男子社員2「しっ!!何か部長、森にすごーく深い思い入れが
         あるみたいだぜ。」
  女子社員1「そうなの?」
  男子社員2「“森に行けば感動に出会える!!”とか何とか・・・」
  女子社員2「(笑う。)感動?」
  女子社員3「こんな木しかない森の中で?(笑う。)」
  男子社員1「ま、愚図愚図言ってても仕方ないだろ?来たから
         には楽しもうぜ!」
  女子社員1「そうね!」

         社員たち、笑いながら上手へ去る。
         入れ代わるように、下手よりキャシー、
         青年登場。

  キャシー「あの人たち・・・社員旅行なんだ。」
  青年「部長は森に住む長老なんだから、森に思い入れがあって
     当たり前だよ。(笑う。)」
  キャシー「そうか。(笑う。回りを見回して。)私も以前・・・同じよう
        なことを言った覚えがあるわ・・・」
  青年「へぇ・・・」
  キャシー「もっと・・・酷いことを・・・」
  青年「酷いこと?」
  
         舞台、フェード・アウト。
         入れ代わり、後方段上にキャシー(後姿)、
         ジョシュ、フェード・インする。
         キャシー、横の小岩の上へ腰を下ろし、
         荷物を置く。

  ジョシュ「キャシー、大丈夫かい?」
  キャシー「ええ・・・。でもどうして会社の懇親会で登山なんか・・・
       !どこか温かいお店で一杯やって、はい解散!これじゃ
       駄目な訳?私、今プロジェクトが軌道に乗り始めて、こん
       なことやってる場合じゃないのに・・・」
  ジョシュ「まぁ、たまにはいいじゃないか。息抜きも必要だよ、キ
       ャシー。」
  キャシー「いいわね、会社から何の期待もされてない人は暢気
       なことが言えて!」
  ジョシュ「(微笑んで。)うん、僕は君のように責任ある立場に立
       ったことがないから、軽口が言えるのかも知れないね。
       ごめん、キャシー。でも君が疲れて大変な時は、僕がい
       つでも君の癒しになるよ!さ、荷物を貸して!山頂まで
       持ってあげるから。(キャシーの荷物を持つ。)」
  キャシー「ジョシュ・・・ごめんなさい・・・」
  ジョシュ「何謝ってるのさ。(笑う。)キャシーらしくないな。」
  キャシー「・・・もう、ジョシュったら・・・(笑う。)」

         その時、上手方より“ジョシュ”の名を呼ぶ
         女子社員の声が聞こえる。

  女子社員の声1「ジョシュー!!キャシー先輩の荷物だけ持つ
            なんてズルイー!!」
  女子社員の声2「私たちのもお願いー!!」

  ジョシュ「(笑って。)仕方ないなぁ・・・」
  キャシー「(ジョシュの持つ自分の荷物を取り上げて。)私の荷
       物は自分で持つから・・・彼女たちのお手伝いをどうぞ。
       」
  ジョシュ「・・・大丈夫!全部持てるさ!」

  女子社員の声「ジョシュー!!」

  キャシー「早く行って!(ジョシュの背中を押す。)」
  ジョシュ「でも・・・」
  キャシー「私はいいの!!」
  ジョシュ「キャシー・・・分かったよ・・・でも本当に無理だと思った
       ら、僕にちゃんと言うんだよ!」

         ジョシュ、キャシーを気にしながら上手へ
         去る。

  キャシー「・・・馬鹿・・・私の・・・馬鹿・・・(頭を抱え込む。)」

         後方段上キャシー、フェード・アウト。
         入れ代わるように前方キャシー、下手
         スポットに浮かび上がる。
         音楽流れ、キャシー、呟くように歌う。

        “いけないのは私なの・・・
         いつだって分かってる・・・
         あなたは何も悪くない・・・
         優しい言葉を
         素直に受け取れない・・・”

         ジョシュ、後方段上スポットに浮かび
         上がる。

  ジョシュ「わぁーっ!!ほら、見てご覧よキャシー!!こんな綺
       麗な星空!!都会ではちょっとやそっとじゃ見れないよ
       !!ほら、こっちに来てご覧!!綺麗だなぁー・・・こん
       な星空をキャシーと一緒に見れるなんて・・・本当に感動
       だなぁ・・・僕・・・」

         ジョシュ、フェード・アウト。
         キャシー、上を見上げる。

  キャシー「本当だわ・・・こんな綺麗な星空・・・昔・・・家族で行っ
        たキャンプで見た時以来・・・。好きな人と一緒に見上
        げる夜空に、こんなに感動できるなんて・・・」

         キャシー、歌う。

        “私は私よ
         今も昔も変わらない
         素直な心に少し戸惑っただけ
         昔のように口にするのが
         恥ずかしかった
         心に湧き出た言葉にただ・・・
         驚いただけ・・・”

  キャシー「・・・そうだわ・・・昔・・・そうよ!私、昔にこの森へ来た
        ことがあるわ!」

    ――――― 第 5 場 ――――― A

         上手スポットに青年(クルト)、浮かび上がる。

  キャシー「あなた・・・クルト・・・クルトなのね・・・?」
  クルト「やっと思い出してくれた・・・」
  キャシー「ええ・・・思い出したわ!!でも・・・クルトはもっと子ど
        もで・・・小さな青い小鳥だったわ!それが・・・」
  クルト「それは君も子どもだったからさ。」
  キャシー「私が・・・?」
  クルト「そう。今の君は素敵なレディだ。あの頃のようにお転婆
      な女の子じゃない。君の心が僕を小さな青い小鳥として、
      見ることがなくなったんだよ。君の心の中にいる小さなク
      ルトは、君と一緒に大人になったんだ・・・。」
  キャシー「・・・また・・・会えたのね・・・」
  クルト「うん・・・お帰りキャシー。」
  キャシー「・・・クルト・・・」
  クルト「君の心に迷いがあるから会えたんだ・・・。」
  キャシー「え・・・?」
  クルト「だってここは迷いの森・・・君の心の中のね・・・。会いた
      いと思えはいつだって会える・・・そう言ってたじゃないか
      。僕のことが必要だと思えば、僕はいつでも君の前に現
      れるよ。君が望む姿になってね。」
  キャシー「そうだったのね・・・。本当のことを言うと・・・色々なこ
       とがあって、とても疲れていたの・・・。何もかもが空回り
       しているようで・・・。私・・・私ね・・・仕事の大事なプロジ
       ェクトの責任者を任されて、やりがいがある・・・でも・・・
       でも・・・」
  クルト「・・・ジョシュ・・・?」
  キャシー「え・・・?」
  クルト「僕は君だからね。(微笑む。)」
  キャシー「・・・そうか・・・何でも分かるのね、私のこと・・・」
  クルト「うん。ジョシュはいい人だよ。きっとキャシーのことを幸せ
      にしてくれる筈さ。」
  キャシー「でも・・・」
  クルト「ジョシュはいつだってキャシーのことを思ってくれている
      ・・・」
  キャシー「嘘よ・・・だって彼は誰にも優しくて・・・誰にも親切で・・・
       だから皆、同じ課の女の子たちは彼に夢中で・・・。私が
       次のプロジェクトを任されて・・・残業続きなのをいいこと
       に、他の女の子たちといつもいつも・・・」
  クルト「それはどうかな?」
  キャシー「(クルトを見る。)」
  クルト「いいものを見せてあげるよ。」
  キャシー「・・・え?」
  クルト「長老?長老いるんだろ?」

         杖をついた老人(長老)せり上がり、
         ゆっくり登場。

  長老「どうしたんじゃ、クルト。フォッフォッフォ・・・」
  キャシー「おじいさん!」
  長老「その目は・・・わしのことを思い出したようじゃな。(笑う。)」
  キャシー「ごめんなさい・・・」
  長老「気にしとらんよ。(微笑む。)」
  キャシー「でも変ね・・・クルトは大人になったのに、おじいさんは
        昔のままのおじいさんだわ・・・。」
  長老「フォッフォッフォ・・・わしは今も昔と変わらん、同じ年寄りじ
     ゃからのぉ。」
  キャシー「・・・フフ・・・(笑う。)」
  クルト「長老!キャシーに大切な人のことを見せてあげて欲しい
      んだ。」
  長老「大切な・・・おお、構わんよ。お安い御用じゃ。」
  クルト「じゃあキャシー・・・君の大切な人の本当の姿を・・・よおく
      見てみるんだよ。」
  キャシー「クルト・・・」

         長老、持っていた杖を空に振り翳し、
         呪文を唱える。

  キャシー「クルト・・・?クルト?」

         舞台、キャシースポットに残し、フェード
         ・アウトする。

    ――――― 第 5 場 ――――― B

         後方中央スポットに、ジョシュの姿が
         浮かび上がる。隣に電話している風の
         女性。

  ジョシュ「キャシーから?」
  女性「ええ。でも切れちゃいました。先輩、まだ残業で残ってる
     みたい。」
  ジョシュ「そうなんだ・・・」
  女性「毎日、会社帰りにキャシー先輩が通るこの道筋のカフェで
     、一人時間潰ししてるジョシュを見兼ねて、私たちも付き合
     ってあげてるけど・・・いい加減、いい返事をくれないキャシ
     ー先輩のことは諦めて、私とお付き合いしません?」
  ジョシュ「・・・ごめん・・・」
  女性「(笑う。)そんな困った顔しないで下さいよ。冗談ですよ。い
     くら私が言い寄ったって全然なびかないんだもの。ジョシュ
     のキャシー先輩オンリーは、よおく知ってますからね。それ
     にしてもキャシー先輩・・・こんないい人、いつまで待たす気
     かしら。きっとキャシー先輩、ジョシュがどれだけ自分のこ
     とを思っているか・・・これっぽっちも知らないと思いますよ。
     」
  ジョシュ「それでも・・・!・・・僕は構わない・・・」

         女性、フェード・アウト。
         音楽流れ、ジョシュ歌う。

        “君が気付かなくても
         僕はそれでも構わない・・・
         僕にとって一番大切なこと
         それは君の大切を
         同じように大切に思うこと・・・
         いつまでだってただ待とう
         君が疲れた羽を癒す場所になろう
         君が凍える手を温める暖炉になろう
         いくら君が気付かなくとも・・・
         僕は君を守り包む風になろう・・・”

         キャシー歌う。

        “私が・・・
         本当に大切なこと・・・
         今まで気付かない振りしていたの
         いつも側にいてくれた
         あなたの心に・・・”

         舞台明るくなる。(紗幕前。)

  ジョシュ「(キャシーを認める。)キャシー・・・!仕事終わったの
       かい?(嬉しそうに。)」
  キャシー「馬鹿ね・・・こんな時間まで・・・。ずっと私のことを待っ
       てくれてたなんて・・・」
  ジョシュ「(照れたようにはにかむ。)だって・・・こんな遅い時間
       に、女性が一人で帰るなんて危な・・・」
  キャシー「(思わずジョシュに抱きつく。)ありがとう・・・」
  ジョシュ「キャシー・・・(嬉しそうにそっとキャシーを抱き締める。
       )」

    ――――― 第 5 場 ――――― C

         (抱き合うキャシーとジョシュ。)
         紗幕開く。と、不思議な森。
         木の上にクルト(小鳥の姿。)座り、
         嬉しそうにキャシーの様子を見下ろし
         ている。

     コーラス“ここは不思議の森
           心に迷いがある者が
           自然と導かれし
           あなたの森・・・”

  クルトの声(エコー)「君が会いたいと思えばいつだって会えるよ
               ・・・。僕はいつでもここにいるから・・・。君の
               心の中の森に・・・」

  キャシーの声(エコー)「クルト・・・ありがとう・・・」

         






             音楽盛り上がる。




            ――――― 幕 ――――― 
   











    ただ今、書き終え練習に入ったばかりの作品の、
   歯抜け状態になっている部分の仕上げに奮闘して
   おります^^;
   昨夜も夢中で歌詞を考えていたら、すっかりここへ
   やって来るのを忘れておりました・・・<(_ _)>

   最近続けて2回程見に行った話題の某アニメ
   ミュージカル映画に多大な影響を受け、書き足して
   いる部分が妙に難しくなりそうなのを抑えつつ・・・
   ようやく完成を向かえることが出来そうです^_^;

   何年か前にハマッた同じ系列のミュージカル映画も
   一人でコソコソ映画館に通った以来・・・久々に素敵
   な影響を与えてくれる素晴らしい作品に、なんだか
   ワクワク感を持ったまま、夏公演のあと1作品を書き
   あげたいな・・・と・・・^^;
   もう1回見に行こうと密かに考えております(^^)v

    それでは次回からは、この間公演し終えたばかりの
   新作2作をご覧頂こうと思います(^^)v
   比較的小さい子向きに書いたお話なので、どちらも
   そんなに長編ではありません"^_^"

   お楽しみに♪





           

 



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪




    2月24日(月)

    夜なべして仕上げました~(^^)v


    



    水曜日の公演に間に合ってヨカッタ・・・^^;
    それぞれのお尻についてる尻尾がまた可愛いんですよ♪





                     ↓




    

    
    頑張っている(左より)ポン太、おじいさん、チュー吉^^;





    今回、みんな多忙で、写真を撮る団員がいなかった為、
    ビデオから写真にしました(>_<)

    ・・・そのビデオも置きっぱなし状態で撮っていたので、
    大きさなどをチェックすることが出来ず、こんな風に
    少し小さめの画像となっています(ーー;)
  
    見にくくてごめんなさい    

    よって、公演日記の写真も同じような感じになりますが
    我慢下さい(>_<)

    
























































大人になったキャシー ―全5場― 2

2014年02月21日 21時12分48秒 | 未発表脚本



  

  男性「君は他の女子社員と違って、実に責任感に溢れた優秀
     な人物だ。その上、君のセンスの良さは我々上層部も注目
     しているところなのだよ。」
  キャシー「そんな・・・」
  男性「よって次のプロジェクトの責任者は君に任せることにする
     。」
  キャシー「え・・・?」
  男性「そのセンスの良さを存分に発揮して、プロジェクトを成功
     へと導いてくれたまえ。」
  キャシー「私が・・・」    

         後方段上下手スポット、フェード・アウト。
         入れ代わるように、後方段上中央
         スポットにジョシュ、浮かび上がる。

  ジョシュ「あの・・・僕・・・ずっと・・・君が入社した時から君のこと
       が・・・好きだったんだ。もしよければ、僕と付き合って欲
       しい・・・。」
  キャシー「私・・・今度、大事なプロジェクトを任されたの・・・。そ
        んなことを考えてる余裕がないわ・・・。」
  ジョシュ「そうなんだ・・・凄いじゃないか!僕への返事は急がな
       くていいから・・・先ずは仕事を頑張って!応援している
       よ・・・キャシー・・・」

         後方段上フェード・アウト。
         キャシー、歌う。

        “何が大切かなんて・・・
         誰も分からない・・・
         皆それぞれ思いは別
         だから何が一番かなんて・・・
         人それぞれ違う筈・・・”

         (舞台上の人々、動き出す。)

  花の妖精「それで?今のあなたにとっては何が大切なの?」
  キャシー「・・・分からないわ・・・」
  花の妖精「まぁ・・・」
  青年「キャシー・・・」
  キャシー「ずっと仕事して仕事して・・・仕事して・・・でも本当は
       他の女の子たちのように恋をして、お洒落をして・・・結
       婚して・・・そんな普通を心のどこかで求めてる・・・。でも
       そうやって得たものが大切?いいえ・・・任されたプロジ
       ェクトを成功させることも大切だわ・・・」
  花の妖精「そう・・・。何だか大人になって、余計な葛藤が色々と
        生まれているようね。昔の・・・子どもの頃のあなたは、
        自分がこうだと思ったことを大切だと、私がいくら、くだ
        らないと言っても、そう私に自信を持って訴えてくる力
        強さを持っていたのに・・・」
  キャシー「え・・・?」
  花の妖精「だからここへ来たのね。」

       コーラス“ここは不思議の森
             誰の心にもひっそり潜む
             不思議の森”

  花の妖精「まぁ、自分の心が分かるまで、この森でゆっくりして
        行くといいわ。じゃあね。」
  青年「さようなら。」

         花の妖精、下手へ去る。

  キャシー「私・・・ゆっくりしてる時間なんてないのに・・・」
  青年「いいじゃないか、キャシー。焦ったってここに来た理由は
     分からないよ。。」

         青年、歌う。

        “焦らないでキャシー
         分かるまでここにいればいい
         時間なんて気にしないで
         屹度見つかるに違いない
         君が求める答えがそこに”

  青年「さぁ、次へ行こう!」
  キャシー「・・・ええ・・・」

         2人、上手へ去る。(紗幕閉まる。)

    ――――― 第 3 場 ――――― 

         (紗幕前。)音楽流れる。
         上手、下手より会社員風の男女、書類を
         手に忙しそうに歌いながら行き交う。

        “ああ忙しい忙しい
         毎日毎日どうしてこんなに忙しい
         残業残業
         今日も時間内に終わらない
         仕事に追われて帰れない”

         紗幕開く。と、中央一人の偉そうな男性
         (部長。)、列を成して並んでいる社員たち
         が、手に持つ書類に流れ作業のように
         判子を押している。
         その時、上手下手より其々社員(ウインド、
         アース。)登場。
         他の社員を押し退け、部長の前へ急ぎ
         進み出る。

  ウインド「部長!!次のプロジェクトは是非この私にお任せを!
       !」
  アース「部長!!こんな奴より私の方が絶対に相応しい!!プ
      ロジェクトの責任者にこの私を!!」
  ウインド「何を!!」
  アース「何だと!!」
  部長「ええい、煩いぞ2人共!!そんなことは先ず今の仕事を
     きちんと済ませてから考えることだろう!!」
  
         ウインド、歌う。

        “私の方が相応しい”

         アース、歌う。

        “私の方が相応しい”

         2人、歌う。

        “あんな奴より私の方が出世する筈”

  ウインド・アース「フンッ!!」
  部長「やれやれ・・・」

         2人、上手下手方に分かれ、其々仕事を
         始めたように。
         そこへ上手より青年、続いてキャシー
         登場。

  キャシー「ねぇ・・・ねぇ、あなた!」
  青年「え?どうしたんだい、キャシー。」
  キャシー「ここは・・・どこ・・・?なんだか・・・」
  青年「なんだか?」
  キャシー「・・・私の・・・会社みたい・・・」
  青年「そうなんだ。」
  キャシー「皆とても忙しそうだわ・・・」
  青年「うん、そうだね。」

         上手、下手に分かれて仕事をしていた
         ウインド、アース、再び部長の前へ
         書類を手に急ぎ足で進み出る。

  ウインド「部長!!出来ました!!」
  アース「部長!!判子を!!」

         ウインド、歌う。

        “私の方が早かった”

         アース、歌う。

        “私の方が手際がいい”

         2人、歌う。

        “あいつなんか
         私の足元にも及ばない!”

  ウインド「部長!!是非、次のプロジェクトの責任者をこの私に
       !!」
  アース「何、抜け駆けしてんだよ、ウインド!!」
  ウインド「いいだろ、アース!!」
  部長「(溜め息を吐く。)2人共、そんなに仕事熱心だったとは。」
  ウインド「勿論、仕事が一番大切ですからね!!」
  アース「当たり前ですよ、部長!!仕事がなけりゃ食べていけ
      ないですからね!」
  部長「ほう・・・では2人で次のプロジェクトを成功させるべく頑張
     ってみるかね?」
  ウインド・アース「本当ですか!?」
  部長「ああ。」
  ウインド・アース「やった!!」
  部長「その代わり・・・」
  ウインド・アース「・・・その代わり・・・?」
  部長「仕事量は今の倍、残業は勿論、休日出勤も厭わないので
     あろうな?」
  ウインド「・・・残業・・・?」
  アース「・・・休日出勤・・・?」
  部長「それ程自分たちを売り込んできたおまえ達だ。さぞかし心
     内はやる気に溢れているのだろう?」
  ウインド「・・・あ・・・」
  アース「いや・・・」
  
         ウインド、アース、チラッとお互いを見合う。

  部長「どうした?」
  ウインド「わ・・・」
  アース「私たちは・・・」
  部長「なんだ?」
  ウインド「就業時間内で頑張りたいだけで・・・」
  アース「何も自分たちの自由時間を削ってまで・・・」
  ウインド「だって・・・デートだってしたいし・・・」
  アース「遊びにだって行きたいし・・・」

         その時、終業ベルが鳴り響く。

  社員1「わーっ、終わったーっ!!」
  社員2「終わりだ終わりー!!」 
  社員3「さぁ帰ろうぜーっ!!」
  社員4「終わったわー!!」
  社員1「お疲れ様ー!!」
  社員2「お疲れー!!」

         社員たち、上手下手へ其々走り去る。
         ウインド、アース、顔を見合わせ大きく
         頷く。

  ウインド・アース「さぁ、帰ろうぜー!!」
  ウインド「明日は待ちに待った休日だ!!」
  アース「イエーイ!!」

         ウインド、アース、飛び跳ねるように
         上手下手へ走り去る。
         社員たちだ去り、薄明かりになる。
         辺りはシーンとしている。 
       
  部長「やれやれ・・・(机の上の書類を整えながら。)社員たちに
     とって仕事など所詮、生きていく為の手段の一つに過ぎな
     いのだろう・・・。安心してプロジェクトを任せるに値する社
     員を探し出すのは・・・(首を振る。)中々、骨のいる仕事だ
     な・・・。」

         部長、立ち上がり帰り支度をしようとして、
         脇に立つキャシーに気付く。

  部長「おや?君はまだ帰らないのかい?もう終業ベルはとっく
     に鳴ったぞ。」
  キャシー「え・・・?私・・・」
  部長「何だ、花の金曜日に残業でもするつもりかね?」
  キャシー「いえ・・・」
  部長「だが皆が競って社を後にするのに、最後まで残っている
     とは中々やる気のある優秀な社員だな。君の名前は?」
  キャシー「・・・あの・・・」
  部長「(少しキャシーに近寄り、気付いたように。)キャシー・・・君
     はキャシーじゃないか。」
  キャシー「・・・あなたは・・・?」
  部長「・・・フォッフォッフォッ・・・忘れたかの・・・?わしのことを・・・
     」

         (部長、長老の姿に代わる。)

  青年「長老だよ。」
  キャシー「・・・長老・・・?」
  長老「おお、おまえも一緒に来ておったのか。」
  青年「はい。」
  長老「どうしたんじゃ、キャシー。何か心に迷いがあるようじゃな
     ?」
  キャシー「・・・別に・・・私・・・」
  長老「ここへやって来たと言うことは・・・そう言うことなんじゃよ。
     」
  キャシー「え・・・?」
  長老「迷いから抜け出すには、心を解き放つことじゃ。そうすれ
     ば何が本当に自分にとって必要で大切か・・・よく分かるじ
     ゃろうて。」
  キャシー「おじいさん・・・」
  長老「大人になると言うことは、色々な迷いが生まれると言うこ
     とじゃ。そしてその迷いの出口を見つける方法を、自分なり
     に考え出すことが出来るのも、大人になったおまえさんな
     んじゃよ、キャシー。昔、石に頼って自分を見つけたように
     な・・・」
  キャシー「石に頼って・・・(自分の手を見る。)私・・・そう言えば
       ・・・」
  長老「まぁ折角来たんじゃ。ゆっくりしていくが良い。フォッフォッ
     フォッ・・・」
  キャシー「・・・はい・・・ありがとうございます・・・」
  長老「(その言葉に少し驚いたようにキャシーを見る。)随分・・・
     成長したのぉ、キャシー・・・。では後のことは頼んだぞ、ク
     ルト。フォッフォッフォッ・・・」
  青年「はい、長老!」

         キャシーと青年残して紗幕閉まる。

  キャシー「(呟くように。)・・・クルト・・・?(思わず青年を見る。)」
  青年「さぁ、行こうか、キャシー。」
  キャシー「え・・・ええ・・・」

         青年、下手方へ歩き出す。
         キャシー、青年について行きかけるが、
         立ち止まる。

  キャシー「ねぇ・・・」
  青年「え?(立ち止まり、振り返る。)」
  キャシー「花の妖精に質問された・・・“大切なもの”って・・・私が
       今まで幸せになる為に頑張ってきた仕事だったり・・・付
       き合いだったり・・・お金もそう・・・そんなものが大切なん
       だって、今まではそう信じて疑わなかったわ・・・。でも・・・
       今見た、この会社で働く人たちは、仕事は仕事・・・自分
       の時間とは一線を画して自分らしく生きてたわ。屹度、
       彼らには大切なものはもっと別にあるのね・・・。仕事な
       なかじゃなくて・・・」
  青年「キャシー、どうして君は仕事が大切だと思ったんだい?」
  キャシー「それは・・・」
  青年「本当はもっと違うものが大切なんだと、心のどこかで感じ
     ているのに・・・」
  キャシー「私・・・」

         音楽流れ、青年歌う。

        “屹度分かっている筈
         本当に大切にしたいものを
         だから素直な心に従ってごらん
         無理をしないで
         違う種類の大切を
         天秤にかけたりしないで
         間違った選択をしない為に”

         キャシー、歌う。

        “私の心は一つ
         初めから決まっているの
         なのに迷路に迷い込んだように
         色々な思いに振り回される”

         2人、見詰めあい歌う。

        “自分の心に向き合えば
         きっと分かる筈・・・”

         フェード・アウト。

    
     
         
  




 ――――― “大人になったキャシー” 3へつづく ―――――









    2月21日(金)

    最近、ここへ来れない日が時々ありますが、
    ごめんなさい<(_ _)>

    来週水曜日にある、保育所公演の作品完成に向け、
    ただ今奮闘中の為なのですが、こんな調子で本当に
    大丈夫なのか・・・と不安になりながらも「頑張る」しか
    ないので、もう暫くドタバタと・・・ここへやって来たり
    来なかったり・・・と、なると思いますが、どうかお許し
    下さいませ(>_<) 
















    (おまけフォト^^;)


       16日に公演してきた時のフォトです(^^)v

    








― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   (どら余談^^;)

   昨日は新作台詞練習日でした"^_^"

   今回は短編と言うこともあり、練習も何回も出来るからか、
   比較的メンバーに余裕がある雰囲気で、次回録音である
   にも関わらず、和やかに進んだ練習日となりました♪





   2月1日(土)

   子どもが車椅子生活になって早2年・・・
   最近に限らず、こんな状態であるからこそ分かることが
   できた、沢山の人たちの親切に・・・
   改めて感謝の気持ちに溢れかえる今日この頃であります。





























大人になったキャシー ―全5場―

2014年01月22日 23時58分16秒 | 未発表脚本




     〈 主な登場人物 〉


     キャシー  ・・・  本編の主人公。 
                  心に迷いを持つキャリアウーマン。

     ジョシュ  ・・・  キャシーの同僚。
                 キャシーに想いを寄せる。

     青年  ・・・  不思議の森に住む。
               キャシーの森のクルト。

     部長  ・・・  キャシーの森の長老。

     

     男  ・・・  キャシーの森の蜘蛛。

     花の妖精
     
     ウインド  ・・・  会社員。

     アース  ・・・  会社員。    


     その他



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



         静かな音楽流れ、歌声段々大きく木霊するよう。


         コーラス“ここは不思議な森
               心に迷いがある者が
               自然と導かれし
               あなたの森”


              (幕が上がる。)


    ――――― 第 1 場 ――――― A

         舞台、フェード・インする。と、森の様子。
         中央、切り株に寄りかかるように、一人の
         女性(キャシー)眠っている。
 
  声(エコー)「キャシー・・・キャシー・・・」

  キャシー「う・・・ん・・・」

  声(エコー)「早く起きなさい・・・」

  キャシー「・・・ママ・・・後5分寝かせて・・・」

  声(エコー)「早くしないと仕事に遅刻するわよ・・・」

  キャシー「・・・目が開かない・・・」

  声(キャシー)「今日は大事な会議があるんでしょ・・・」

  キャシー「う・・・ん・・・会議・・・(驚いて飛び起きる。)会議!!
        そうよ!!今日は大事な会議があるんだったわ!!
        ・・・え・・・?(呆然と回りを見回す。)ここ・・・どこ・・・?
        私・・・一体・・・ううん・・・待ってよ・・・!昨夜は今日の
        会議の準備で遅くまで残業して・・・会社を出たところ
        でメアリから電話が・・・」

  メアリの声「先輩ー!お疲れ様でーす!今から飲みに来ません
         かー!皆いるんですよ!(女性の甲高い笑い声が、
         遠くで聞こえている。メアリ、その笑い声に。)もう煩
         いなぁ!静かにしてよ!今、キャシー先輩と電話し
         てるんだから!(遠くで“キャシー?”と聞き返す男性
         の声。)」

  キャシー「・・・ジョシュ・・・」

  メアリの声「先輩、今どこにいるんですかー?先ぱー・・・(電話
         の切れた音。)」

  キャシー「そうだわ・・・あの後、何だか自棄気味に・・・裏通りに
        あった、見慣れないショットバーに入って・・・(頭を抱
        えるように。)ううん・・・その後のことを思い出さないわ
        ・・・!でも・・・(回りを見回して。)こんな森に・・・来た
        覚えは・・・」

         音楽流れ、キャシー歌う。

        “ここはどこ・・・
         私はなぜここに・・・
         見たこともない場所で
         たった一人・・・”

         そこへ上手より一人の青年、キャシーを
         認め嬉しそうに走り登場。

  青年「キャシー!」
  キャシー「・・・え?(振り返り、青年を認める。)」
  青年「(キャシーに駆け寄る。)キャシー!!久しぶりだね!!
     (キャシーの肩に手をかける。)」
  キャシー「(後退りする。)だ・・・誰よ、あなた・・・」
  青年「え?僕だよ、キャシー!!」
  キャシー「“僕だよキャシー”って言われても・・・」
  青年「僕だよ、僕!!」
  キャシー「(怪訝な面持ちで青年を見る。)」
  青年「僕・・・僕のこと・・・忘れたのかい・・・?」
  キャシー「(首を傾げる。)」
  青年「なんだ・・・僕はてっきり久しぶりに僕に会いに来てくれた
     んだと・・・(溜め息を吐く。)まぁいいや・・・。兎に角、君は
     僕の目の前にいる!それだけで十分さ!それにしてもキ
     ャシー!随分久しぶりだね!(マジマジとキャシーを見る。
     )すっかり・・・レディだ・・・」
  キャシー「ここどこ・・・?」
  青年「なんだよ、折角僕が懐かしんでるって言うのに。」
  キャシー「今日は大切な会議があるのよ!!早く帰って仕事に
        行く仕度をしなきゃ遅刻しちゃうわ!あなた、私のこと
        知ってるんなら、私がどこから来たのか分かるでしょ
        ?帰る道を教えて頂戴!」
  青年「(笑う。)なんだか昔を思い出すなぁ・・・。昔、君がここへ
     やって来た時も、そうやって僕に詰め寄って来たっけ・・・。
     でもその時も言ったけど、僕は帰り道を知ってる訳じゃな
     いんだ。勿論、君がどうやって来たのかも分からない。」
  キャシー「どう言うこと・・・?」
  青年「君は君の考えでここへ来たんだ。だから戻る時も自分の
     頭で考えて、自分の力で帰り道を探さなければならない・・・
     と言うことだよ。」
  キャシー「そんな!私だってここがどこだか全く分からないわ。
        それにこんな森に来たいだなんて、私そんなことを考
        えたこともない・・・」
  青年「少し歩こうよ。そうすれば何か分かるかも知れないよ。」
  キャシー「歩く・・・?そんな暢気に・・・私、仕事が・・・」
  青年「でも焦ったって、君の世界へ戻る方法は分からないだろ
     ?」
  キャシー「私の・・・世界・・・?」
  青年「そうさ、君の世界・・・。僕の世界へようこそ、キャシー!」

         (紗幕閉まる。)

    ――――― 第 1 場 ――――― B

         音楽流れる。

      コーラス“不思議な森
            心の森
            誰もが一度は訪れる
            心に潜む
            不思議な森”

         キャシー、歌う。

        “私の世界 あなたの世界
         どこかでつながる不思議な森
         来たいと思った訳じゃない
         目覚めれば突然現れた
         不思議な森・・・”

         青年、歌う。

        “前を向いて
         後ろを見ないで
         昔のように心のままに
         自分の道を歩こうよ
         僕はいつも
         君の横にいるから”

  キャシー「(呆然と青年を見詰める。)あなた・・・」
  青年「さぁ、キャシー!僕が案内するよ!」
  キャシー「・・・案内・・・?」
  青年「行こう!(キャシーの手を引っ張る。)」
  キャシー「あ・・・え・・・?ちょっと!」

         2人、下手へ去る。
         
    ――――― 第 2 場 ―――――

         紗幕開く。 
         上手より一人の男、ヨロヨロと登場。
         中央座り込む。

  男「あー・・・腹減ったなぁ・・・。昨日からなぁんも食うてへん・・・。
    もうフラフラや・・・。ずーっと昔にしょうもない、花の妖精とくだ
    らん約束してもうて、花の蜜しか食えんようになってもうたん
    や。それがここんとこ、雨が降らへんから、その唯一のわい
    の食料が全部枯れてしもうた・・・。あー・・・なんちゅうこっちゃ
    ・・・腹減ったでホンマ!(ゴロンと大の字に寝転がる。)」
  
         その時、下手より青年登場。続いてキャシー、
         回りを見回しながらゆっくり登場。

  キャシー「ねぇ・・・ここは・・・?」
  青年「思い出さない?」
  キャシー「ええ・・・何も・・・」
  青年「昔に来たことがあるんだよ。」
  キャシー「(蜘蛛の巣に引っ掛かる。)キャアッ!何?」
  男「やった!!(飛び起きる。)何か引っ掛かりよった!!って
    ・・・意味ないわ・・・生きてるもんは食うたらあかんねんやっ
    た・・・。」
  キャシー「もう!(蜘蛛の巣を払いながら。)蜘蛛の巣だらけなの
        ね、この森・・・」
  青年「大丈夫?」
  男「蜘蛛の巣だらけで悪かったな・・・あ・・・れ・・・?おまえ確か
    ・・・自分勝手な餓鬼やないか!」
  キャシー「自分勝手?自分勝手って私の一体どこが・・・!」
  男「なんや、もう自分のしたこと忘れてもうたんかい!エライ薄
    情なやっちゃな。そこの青い鳥のこと見殺しにしようとした・・・
    (キャシーの後ろの青年を覗き見て。)ありゃ?おまえ・・・な
    んや、人間になったんかい?」
  キャシー「え・・・?(青年を見る。)」
  青年「(ニコニコ微笑む。)」
  男「それよりなぁ、おまえ!何か食いもん持ってへんか?」
  キャシー「食べ物・・・?」
  男「ああ。この辺の花が全部枯れてしもて、わい昨日から何も
    食うてへんねん・・・」
  青年「君、ずっと昔にした花の妖精との約束、守ってたんだ。」
  男「アホ!当たり前やないか!わいも男や!男がいっぺん約束
    したことは、何があっても破らへん!!」
  青年「へぇ・・・」
  キャシー「花の・・・(何か考え込むように。)何だろう・・・何か・・・
        私・・・」
  青年「どうかしたの?」
  キャシー「あ・・・いいえ・・・」
  男「なぁ、わいがこんな腹減ってんのは、半分はおまえらのせい
    でもあるんやで!せやから何か食いもん・・・」

         その時、どこからか声が聞こえる。

  声「どうしたの?」

  男「ん?」
  キャシー「え・・・?」

         そこへ上手より、一人の女性(花の妖精)
         登場。         

  男「おお!花の妖精やあらへんか!」
  花の妖精「どうかしたの?蜘蛛さん。」
  キャシー「・・・蜘蛛・・・?」
  男「ちょっと見てえや!この枯れた花畑!!」
  花の妖精「まぁ・・・一体どうしたの?」
  男「ここんとこ、いっこも雨降らへんから、ミルミルこんな状態に
   なってもぉたんや!おまえとしょうもない約束してもぉたさかい
   、わいは花の蜜しか食え言うのにこの有様や!このままやっ
   たら、わい飢え死にしてしまうわ!」
  花の妖精「あら・・・偉かったわね、蜘蛛さん。ここに住む私の可
        愛い生き物たちに、手を出さないでくれてありがとう。」
  男「礼なんかいらんから、早よなんとかしてくれ!」
  花の妖精「そうだったわね。じゃあ、特別にこの先にある、私の
        花園へあなたをご招待するわ。」
  男「え?」
  花の妖精「そこはどんなに日照りが続いて雨が降らなくても、枯
        れない花で溢れ返っているわ。」
  男「ホンマか!?」
  花の妖精「ええ。」
  男「わぁーっ、やったーっ!!ほな早速!!(上手方へ行きかけ
    て、何かに気付いたように。)おっと!!キャシー、またな!」

         男、手を上げ上手へ走り去る。

  花の妖精「賑やかな蜘蛛さんだこと。(笑う。キャシーたちを見
        て。)こんにちは。(キャシーに気付いたように。)あら?
        あなた・・・キャシー!!キャシーじゃない!」
  キャシー「私・・・?」
  花の妖精「まぁ、どうしたの?キャシー!あんなに苦労して石を
        集めて、自分の世界へ帰って行ったのに、また戻って
        来るなんて。(笑う。)」
  キャシー「石を集めて・・・?」
  花の妖精「なぁに?今度は私の何が欲しいのかしら。」
  キャシー「私は別に何も・・・」
  青年「花の妖精、キャシーは昔のことを覚えていないんだよ。」
  花の妖精「覚えてない?」
  青年「(頷く。)」
  花の妖精「あら・・・そう、残念ね。でもあなたのことを聞きたいわ
        !見たところ、随分“大人”に成長したようだけれど・・・
        今の大人になったあなたは、何を大切に思っているの
        かしら?」
  キャシー「大切に・・・?」
  花の妖精「ええ!是非これからの参考に、教えて頂きたいわ。」
  キャシー「大切にしているものなんて・・・」
  花の妖精「あるでしょ?あるわね?あるに決まっているわ!だっ
        て昔、あんなに沢山捲くし立てて、私に教えてくれた
        あなただもの!大人になった今だって屹度ある筈よ!
        それも飛び切り素敵な、大切にしているものが!」
  キャシー「そんな・・・大切に・・・そんなものが・・・ある筈・・・ない
        ・・・」

         舞台上、キャシー以外時間が止まったよう。
         後方段上スポットに、一人の女性浮かび
         上がる。

  女性「先輩ー!そんなに働いてどうするんですかー?仕事なん
     て程ほどに頑張らないと!自分の楽しみの時間うぃ削って
     まで仕事に没頭するなんて、そんなの勿体無いですよ!」
  キャシー「・・・でも・・・」
  女性「先輩はお金が大切なんですよねー。」
  キャシー「違う・・・・違うわ・・・」
  女性「私、今度のバレンタインにジョシュに告白しようと思うんで
     す!あ、知ってますよ、ジョシュがキャシー先輩に好意を寄
     ていることは。でも先輩、ジョシュに返事してないですよね。
     だから先輩は恋より仕事が大切なのかなって!私、ジョシ
     ュに告白してもいいですよねー、先輩!」

         後方段上上手スポット、フェード・アウト。
         入れ代わるように後方段上下手スポットに
         一人の男性、浮かび上がる。












 ――――― “大人になったキャシー”2へつづく ―――――

















― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   (どら余談^^;)

   今年は一杯作品を書こうと思います(^^)v
   久しぶりに“書きたい”思いに駆り立てられるような感覚
   です"^_^"

   半分は必要に迫られてですが・・・ハハハ・・・^_^;






   1月13日(月)
  
   明日は新作の初台詞練習です"^_^"

   頑張ります♪








      (おまけ^^;)


      
          「僕だ~れだ?」


 
               


             
      
  
      ♪こたえ♪

      2月の保育園公演作品の主人公、
      チュー吉くんでした(^^)v



  
      ただ今、この作品の人形作りと編集作業に忙殺
      される日々であります・・・(>_<)
      また公演が終われば、お話も公開していく予定です。
         































    
































“自由へ・・・―リーザ序章―” ―全○場― 3

2013年08月05日 21時46分57秒 | 未発表脚本


         音楽流れる。

  リーザ「お兄様と違って・・・私は自由に外へ出ることも許されな
      いのね・・・」

         リーザ歌う。

         “私は籠の中の小鳥だわ
         いつも誰かに見張られた
         外に出ることは許されない
         自由に飛び出すことは
         絶対に無理なのよ・・・”

  リーザ「ピッピ・・・どうしているかしら・・・。今まで自由に飛び回
      ることができたのに・・・可哀想ね・・・。でも・・・ピッピは傷
      が治ればまた大空へ飛び出すことができるのよ・・・私と
      は違うわ・・・。もう直ぐにまた自由になれる!」            

         “大空を飛び回る自由な小鳥
         意のまま好きなところへ行く
         今は傷付いた
         羽も直ぐに癒えるわ
         きっと
         そしたらまた自由になれる!”

  リーザ「ピッピに会いに行こう!!またパンを沢山持って・・・!」

         リーザ、下手へ走り去る。
         暗転。

    ――――― 第 7 場 ――――― 

         後方段上、上手スポットにハンス、
         浮かび上がる。
         (寝転って小鳥を見ている様子。)

  ハンス「ほら・・・ほら、お食べ・・・」

  ピッピの声「ピー・・・ピー・・・」

  ハンス「やった・・・!やったぞ!やっとパンを食べることが出来
      たぞ!!これでもう一安心だ・・・ああ、良かったなぁ・・・
      リーザが知ったら、喜ぶに違いないぞ!ピッピ・・・おまえ
      の為に、リーザが持って来てくれたパンだ・・・だから一杯
      お食べ・・・」

         音楽流れ、ハンス呟くように歌う。

         “ああピッピ ピッピ・・・
         僕とリーザの大切な
         可愛い友達・・・”

         下手より、リーザ登場。歌う。

      2人“2人の秘密・・・”

  ハンス「(リーザを認め、嬉しそうに起き上がる。)リーザ!」
  リーザ「ハンス!ピッピの様子はどう?」
  ハンス「ほら、見てご覧よ!君が持って来てくれたパンを、食べ
      ることが出来るようになったんだ!」
  リーザ「本当?」
  ハンス「うん!これで体力が回復すれば、また元のように大空
      を飛び回ることが出来るよ!よかったなぁ・・・」
  リーザ「ピッピ!もう少しで自由になれるのね!」

  ピッピの声「ピー・・・!ピー・・・!」

         リーザ、ハンス、顔を見合わせ笑う。
         フェード・アウト。

         入れ代わるように、中央段上、
         下手スポットフェード・インすると、
         2人を見ていた様子のサラ、腕組み
         しながら不敵な笑みを湛えている。

  サラ「ふうん・・・あの娘・・・どこかで見たことがあると思ったら、
     この国のリーザ姫じゃあないか!一体、いつあんないい金
     ヅルと友達になったんだ、ハンスの奴・・・。いつもはなぁん
     の役にも立たない、ただのお荷物だと思っていたけど、今
     回はちょっとばかし、これまでの分もいい働きをしてもらお
     うじゃあないか・・・(笑う。)」

         サラの甲高い笑い声を残して、暗転。
         (カーテン閉まる。)

    ――――― 第 8 場 ―――――

         カーテン前。
         音楽流れ、下手よりアレク、困り果てた
         様子で登場。歌う。

         “ああ大変だ
         ああ大変だ
         あれ程 注意を払っていたのに
         また逃げられた
         また行方知れず
         あれ程 目を離すなと
         アンドレ様の命を受け
         ずっとお側で片時も離れず
         見張っていたのに・・・
         なんてことだ なんてこと
         ああ困ったぞ
         ああ一体姫様は今いずこ”

  アレク「ああ、困ったぞ・・・本当に困った・・・あれ程、気をつけて
      いた筈なのに、全くなんとすばしっこい姫様じゃろうか・・・
      いやいや、そんなことに感心などしておれんわ・・・。しか
      し・・・あれから何度となく城をそっと抜け出され、どこぞへ
      せっせとパンを届けているご様子・・・。全く、どこかで隠し
      て、野良犬でも飼っておいでなのか・・・。だが、いつもは
      小1時間も経った後、お部屋を覗けば何事もなかったか
      のように、机に向かう姫様がおいでになったのに・・・今日
      は気づけばもう半日程過ぎてしまったではないか・・・。間
      もなく日暮れ・・・今日ばかりはアンドレ様にご報告せねば
      なるまい・・・。本当に困ったことじゃ・・・。おっと・・・(上手
      方を見、思わず顔を隠すように。)噂をすれば早速に・・・」
  
         アレク、横に置いてあった植木に身を
         隠す。
         そこへ上手より、狩りの獲物を手に、
         意気揚々とアンドレ登場。(下手方へ。)

  アンドレ「(獲物を掲げ。)夕食は僕の仕留めた、父上母上の好
       物であるこの鴨を使って、シェフに腕を振るってもらうと
       しよう!きっと父上母上共に喜ばれるに違いないぞ。(
       笑う。)」

         アンドレ、下手方へ行くのに合わせて、
         植木の後ろに隠れているアレク、アンドレ
         に見つからないように上手方へ移動する。
         (抜き足差し足、上手方へ。)

  アンドレ「アレク!」
  アレク「はっ・・・!!(驚いて立ち止まる。)」
  アンドレ「僕に見つかると、何かマズイことでもあるのかい?」
  アレク「あ・・・いえ・・・そんな滅相もない・・・私はただ・・・勝利品
      を手に、嬉しそうにお戻りになられた王子様のお邪魔をし
      てはならぬと・・・(作り笑いをする。)」
  アンドレ「そうか、いらぬ心配をかけた。だがそれは余計な気苦
       労と言うもの。」
  アレク「ハッハッハ・・・そうでしたか・・・それはそれは・・・この年
      寄りの余計なお世話でありました・・・ハッハッハ・・・では
      ・・・(上手方へ行こうとする。)」
  アンドレ「それで・・・?」
  アレク「・・・は・・・?」
  アンドレ「僕に何か言うことがあるのだろう?」
  アレク「・・・え・・・?」
  アンドレ「・・・リーザだね?」
  アレク「あ・・・いえ・・・それが・・・申し訳ございません、王子様!
      リーザ様がまた城の外へ・・・」
  アンドレ「(溜め息を吐いて。)いつからいないんだ?」
  アレク「今日は昼食後からお姿が見えず・・・」
  アンドレ「今日・・・と言うことは・・・今日以外に何度も・・・?」
  アレク「はい・・・」
  アンドレ「なぜ僕にその都度、報告しなかったのだ。父上に知れ
       たりすれば、大事になるんだぞ。だからその前に、僕が
       リーザに言い聞かせ、黙って城外へ出ることが、何れ程
       危険でいけないことなのかを分からせようと考えたのだ
       。」
  アレク「すみません、王子様・・・」
  アンドレ「何もアレクが謝ることではないよ。悪いのはリーザだ。さ
      て、あれ程に次はないと申しつけていたのに、2度ならず、
      僕達の目を盗んで、何度も軽はずみな行動をして、皆に迷惑
      をかけているとは・・・。それでアレク、どこへ行っている
      のか何か心当たりは?」
  アレク「さぁ・・・それが全く・・・ただいつも持って行かれる物が
     ・・・」
  アンドレ「持って行く物・・・?」
  アレク「はい・・・。いつも少しばかりのパンを、コッソリ忍ばせて
     行かれるので、どこかに動物でも隠し飼っておられるのかと
     ・・・」
  アンドレ「動物・・・?」
  アレク「はい・・・」
  アンドレ「・・・そうか・・・リーザはどうやら、森に住むハンス
      少年に会いに行っているに違いない。」
  アレク「何!!少年ですと!?そんな・・・!!我々の姫様が、そん
     などこの馬の骨とも・・・いや、失礼・・・私としたことが
     言葉が過ぎました・・・そんなどこの誰とも分からぬ少年に
     会いに、この城を抜け出し足繁く通われているなどと・・・
     もし王様にでも知れたならこの命、ないものと・・・。王子
     ・・・このアレク・・・目が回って参りましたぞ・・・」
  アンドレ「何もその少年に会いに行っている訳ではなく、おそらく
      その少年が助けたと言う小鳥に会いに行っているのであろう
      。」
  アレク「小鳥・・・」
  アンドレ「パンは、その小鳥の為だよ。」
  アレク「はぁ・・・なる程・・・で・・・ですが王子様!」
  アンドレ「うん・・・にしてもだ・・・今まで父上の目を掻い潜り、
      僕の言うことも聞かず全くリーザは・・・」
  アレク「仰る通り・・・」
  アンドレ「よく父上にバレなかったものだ。」
  アレク「本当に・・・」
  アンドレ「父上がもし、今度のリーザの行動をお知りになったなら、
      森の全てを壊してしまわれる程、お怒りになられるに違い
      ない・・・。
  アレク「王子・・・」
  アンドレ「そんなことになれば、リーザが心を寄せる小鳥さえも、
      命の保証はないと言うのに・・・」

      その時、下手より王、后登場。

  王「アンドレ。」
  アンドレ「(振り返り、王を認める。)父上・・・!」
  アレク「王様・・・」
  王「どうかしたか?」
  アンドレ「いえ・・・」
  王「アレクと何か相談事でも?」
  アンドレ「あの・・・別に・・・」
  王「そうか?」
  アンドレ「はい・・・」
  アレク「(小声で。)王子様・・・!」
  后「リーザはどこにいるのかしら?」
  王「アレク、リーザを少しここへ呼んで来てくれ。」
  アレク「あの・・・はい・・・その・・・」
  アンドレ「父上・・・」
  王「最近、よく言うことを聞いて自室にこもり、勉学に
   励んでおるようだから、少し我々と共に町へ出て、色々
   と自分の目で見聞きし学ぶことも良いかもしれぬと思っ
   てな。(笑う。)偵察に動向をさせてやろうと言ったと
   ころなのだ。」
  后「ええ、いつまでもお城の中だけに閉じ込めておいては
   、偏った知識を身につけるとも限らないでしょう?」
  王「実のところ・・・私はまだリーザに外の世界は早いと
   言ったのだが・・・」 
  后「ええ・・・私がお父様にお願いしましたのよ。ねぇ、
   あなた。」
  王「うむ・・・。」
  后「(アンドレに向かって。)あんなに、あなたと同じよ
   うにしたがっていたあの子を、いつまでも囲っていては
   きっと好奇心旺盛なリーザのことですもの、そのうち
   1人勝手に飛び出して行ってしまうとも限らないですわ
   ・・・と、お父様に少し助言して差し上げたのよ。」
  アンドレ「母上・・・」
  王「さぁ、アレク、リーザをここへ。」
  アレク「あ・・・その・・・」



       









     8月5日(月)

     いよいよ、公演本番まで後1週間となりました。
     今週はほぼ毎日、その練習と準備に費やすこと
     になります(^_^;)

     このページのお話ですが、実はここで止まった
     ままとなっています(>_<)
     その公演準備の合間に、続きを書くことが出来
     ればいいのですが、もし時間がなくてお休みが
     続くようなことがあればごめんなさいm(_ _)m

     公演終了後には、そちら新作の公開も始めたい
     と思っていますので、合わせてお待ちください。
     










     7月28日(日)

     すみませ~んm(_ _)m
     
     昨日、一昨日とパソコンが全くアウトになって   
     しまい、どうやっても“グー”のページに入って
     これませんでした(>_<)
     おまけに昨日、一昨日はチョー多忙な時間を
     過ごしていた為、パソコン修正に多くの時を
     費やすことができず、気持ちは焦りながらの
     たった今まで、“グー”にやって来ることが
     できませんでした(ーー;)

     一先ず、言い訳・・・だけでも出来たので・・・
     ほんの少しだけ「ホッ」としましたm(_ _)m

     ですがこの今使っているパソコンも、昔の
     物を整備し直して使っている次第なので、
     またいつどうなるか・・・を考えると、
     そろそろ替え時なのかも知れません・・・が、
     しかし、高価なもの故、中々と手が出せず
     ・・・
     しばしの間、このパソコンで頑張ることに
     なりそうです(>_<)

     また皆様には、気にかけさせてしまうことが
     あるかもしれませんが、ホント申し訳ありません
     m(_ _)m

     今しばらく、暖かいお気持ちで、このページの
     更新を見守って頂きたく、宜しくお願い致します
     m(_ _)m








































“自由へ・・・―リーザ序章―” ―全○場― 2

2013年07月13日 22時24分08秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 3 場 ――――― A

         舞台後方、上手段上(スポット)にリーザ、
         ハンス浮かび上がる。
         屈み込んで何かを見ているように。

  リーザ「わぁー・・・可愛いわねぇ・・・」
  ハンス「うん。」
  リーザ「思った程、傷も深くなくて本当に良かった!」
  ハンス「うん。この納屋なら小鳥の傷が癒えるまで、ずっと面倒
      が見れるから安心だよ。」
  リーザ「へぇ・・・」
  ハンス「本当は僕の部屋に連れて行けるといいんだけど・・・お
      ばさんが家の中に生き物を入れると嫌がるんだ・・・」
  リーザ「そう・・・でもこの納屋なら雨露も凌げるし、野犬なども入
      って来ないからきっと大丈夫ね!それに・・・ここなら一人
      でこっそり見に来れるもの!・・・また・・・私、ピッピのこと
      ・・・見に来ていい?」
  ハンス「・・・リーザ・・・勿論さ!」

         音楽流れ、2人歌う。

         “可愛い小鳥
         2人の秘密
         大事に見守れば
         傷付いた羽も直ぐに癒える
         きっとまたあの大空へ
         大きく羽を羽ばたかせ
         飛び立つ時が来るだろう
         その日の訪れを
         2人でずっと見続けよう!”

  ハンス「僕ら2人の秘密だ!」
  リーザ「2人の秘密・・・ええ!私達の秘密ね!」

         光輝く瞳で、遠くを見遣るハンス残して
         フェード・アウト。

    ――――― 第 3 場 ――――― B

         ハンス、後方段上、下手方(スポット)へ
         移動。
         下手スポットにハンスの妹(ハンナ)、
         2人の親代わりの太った女性(サラ)、
         食事の仕度をしているよう。

  ハンス「ただいま・・・」
  ハンナ「お兄ちゃん!お帰りなさい!」
  サラ「おやハンス・・・こんな時間まで、何処ほっつき歩いてたん
     だ?今日こそ何か、夕食のおかずになるような物は、持っ
     て帰ったのかい!」
  ハンス「・・・(首を振る。)ごめんなさい、サラおばさん・・・」
  サラ「仕方のない奴だねぇ!これで毎日毎日、もう1週間もじゃ
     がいものスープだけだなんて・・・!おまえらの両親は、おま
     えらみたいな子どもを2人も残して死んじまって、お隣さん
     のよしみで、おまえ達を引き取ってやったものの・・・なんの
     役にも立たないなんて!明日こそ何か、腹の足しになるよ
     うな物を、持って来るんだよ!」
  ハンス「・・・はい・・・」
  サラ「ふん!行きがかり上とは言え、とんだお荷物を引き受けた
     もんだよ、全く・・・!」

         サラ、ブツブツ言いながら下手へ去る。

  ハンス「ハンナ・・・ごめんよ・・・」
  ハンナ「ううん!私、サラおばさんのじゃがいものスープ好きよ
      !サラおばさん、口は悪いけど、お料理は母さんと同じに
      上手いもの・・・。お兄ちゃんも好きでしょ?・・・じゃがいも
      のスープ・・・」
  ハンス「・・・うん・・・父さんや母さんが生きていれば・・・おまえも
      他の子と同じように外で遊び回ったり・・・家の手伝いばか
      りしなくて済んだのに・・・」
  ハンナ「何言ってるのよ、お兄ちゃん!そんなこと、お兄ちゃん
      だって同じでしょ!それに私・・・家の手伝いは嫌いじゃな
      いわ。いつも母さんがやってたように、掃除したり料理し
      たり・・・」
  ハンス「毎日そればかりじゃ、友達だって・・・あ・・・そうだ、友達
      が出来たんだ!」
  ハンナ「・・・友達・・・?」
  ハンス「うん!今度、おまえにも紹介するよ!ちゃんと聞かなか
      ったけど、丁度ハンナと同じ年頃だと思うんだ!」
  ハンナ「本当!?」
  ハンス「ああ!」
  ハンナ「嬉しいわ!」

         音楽流れ、2人歌う。

         “今までずっと2人ぼっち
         友達なんていなかった
         それでいいと思ってた
         だけど出来た初めての
         2人以外の友達だ”

  ハンナ「父さん、母さんが死んじゃって・・・それでも私にはお兄
      ちゃんがいるから、それでいいと今まで思ってたのよ・・・」
  ハンス「ハンナ・・・でもこれからは、2人ぼっちとは違うんだ!」
  ハンナ「そうね!」

         フェード・アウト。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         舞台明るくなる。と、リーザの部屋。
         (中央にベッド、上手方に机と回転椅子。)
         下手側テラスより、扉をそっと開き、抜き足
         差し足でリーザ登場。

  リーザ「(回りを見回して。)はぁー・・・よかった!バレてないみ
      たいね。(笑う。ベッドへゴロンと横になる。)でも、あの小
      鳥さんの傷が、たいしたことなくて一安心だわ・・・」

  アンドレの声「小鳥さんがどうしたって?」

         回転椅子が回転すると、アンドレが座って
         いる。

  リーザ「お兄様!!」
  アンドレ「我が家のお姫様は、もう直ぐ夕食の時間だと言うのに
       、こんなに遅くまで一体どこで何をして、遊んでいたのか
       な?」
  リーザ「お兄様!!お父様には・・・」
  アンドレ「安心おし、このことはお知りにならないよ。」
  リーザ「よかった・・・。ありがとう、お兄様!お父様に言わないで
      くれて。」
  アンドレ「それはどうかな・・・」
  リーザ「お兄様!!」
  アンドレ「僕には正直に話すんだ、何もかも。こんな時間までど
       こで何をしていたのかを。そうすれば父上にはこのこと
       を、内緒にしておいてあげるよ。」
  リーザ「本当!?」
  アンドレ「ああ。僕だって可愛い妹が、父上にきつくお仕置きを
       されるのを、黙って見るのは忍びないからね。」
  リーザ「お兄様・・・分かったわ・・・」
  アンドレ「いいだろう。さて、こんな時間まで一体、どこで油を売
       っていたのかな?」
  リーザ「午後のお勉強をしている時に、このテラスからお兄様が
      家臣を従えて、遠乗りに出て行くのが見えたのよ・・・だか
      ら私、つい・・・」
  アンドレ「僕の後を付いて来たのかい?」
  リーザ「お兄様が森へ行くことは分かっていたわ。だってお兄様
      は13歳になった途端、銃や弓を与えられ、自由に狩りや
      猟に出ることをお許しになられたのだもの。」
  アンドレ「それは僕が大人になったと言うことだからね。それに
       3つ違いのリーザはまだ12歳だ。13歳にもなっていな
       い・・・」
  リーザ「私だって来月にはもう13歳よ!お兄様と同じようにした
      いわ!」
  アンドレ「だからって、父上に黙って城を抜け出すなんて、それ
       はいいことだとは言えないな。」
  リーザ「・・・ごめんなさい・・・」
  アンドレ「僕に謝ったって仕方ないだろ?もし母上がリーザが黙
       って城を抜け出したことを、お知りになったら屹度、ご心
       配のあまり倒れておしまいになるかも知れないよ。」
  リーザ「お兄様・・・そんな・・・」
  アンドレ「それで・・・?こんな時間まで野山を駆け回っていた訳
       ではないだろう?」
  リーザ「はい・・・傷付いた小鳥を手当すると言った、ハンスに付
      いて・・・」
  アンドレ「・・・ハンス・・・?」
  リーザ「ええ、森で出会ったの・・・。」
  アンドレ「リーザ・・・いいかい?曲がりなりにもおまえはこの国の
       リーザ姫だ。国王の娘なんだぞ。そんなどこの誰とも分
       からない、森の少年と気安く話しをしたり・・・況して長い
       時間を一緒に過ごしていただなんて・・・父上がお知りに
       なったら、屹度ただでは済まないぞ。」
  リーザ「・・・でも、お兄様・・・!お父様には言わないわよね?お
      兄様にだけ、正直に話せばお父様には言わないって、お
      兄様、そう言ったわよね?」
  アンドレ「(溜め息を吐く。)ああ・・・そうだ。」
  リーザ「じゃあ・・・」
  アンドレ「今日のことは言わないよ。」
  リーザ「本当ね!?」
  アンドレ「ああ・・・だが、二度目はないから・・・」
  リーザ「ありがとう、お兄様!!(アンドレに抱き寄る。)」
  アンドレ「やれやれ・・・」

         音楽流れ、2人歌う。
       
     アンドレ“何て甘いこの僕だろう”

     リーザ“何て優しいお兄様”

     アンドレ“いずれはこの国を治めゆく
          王となりうる僕だけど”

     リーザ“いつも私の味方でいてくれる
         たった1人のお兄様”

     アンドレ“何て妹に甘いんだ”

     リーザ“何て私にお優しい”

     2人“2人きりの兄妹だから
        お互いの為になり合おう”

  アンドレ「(溜め息を吐く。)主に・・・この僕がだけれど・・・父上
       に偉そうなことは言えないな・・・」
  リーザ「お兄様、大好きよ!」

         暗転。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         音楽流れる。
         後方段上、下手スポットにサラ、
         浮かび上がり歌う。

         “ああ面倒だ
         何の役にも立たないお荷物達
         ほんの少しの金に目がくらんだ
         それを手に入れる為
         結んだ口約束
         ああ馬鹿馬鹿しい
         もっと金になるような
         使い道があった筈”

  サラ「それにしても・・・あの兄妹の両親が亡くなった時に、残し
     た僅かな金も、もう残り少なくなっちまったよ・・・。ちょいとば
     かし、色んな装飾品を買い過ぎちまったかねぇ・・・(笑う。)
     (指にはめていた宝石の付いた指輪を翳して。)それにして
     も綺麗じゃないか、この指輪・・・。毎日子どもらには、じゃが
     芋のスープで我慢させてきたけどさ・・・そのじゃが芋を買う
     金ももうお仕舞い・・・ってことは・・・あの兄妹の面倒を見る
     のも、そろそろ終わりがきたってことだ。町へ行って、あの
     兄妹の両親の形見の品々を売り飛ばしてしまおうかね。」

         サラ歌う。

         “ああこれからは
         私の時間さ厄介者とはおさらばだ
         賃金に見合った
         仕事は終わった
         今直ぐ荷物をまとめて
         町へ出よう!”

         サラ、横に置いてあった鞄を手に持ち、
         下手方へ行きかけ、何かに気付いたように
         物陰から下手方を覗いているよう。

  サラ「おや・・・ハンスの奴・・・パンなんか手に握って・・・こんな
     時間にどこ行くんだ・・・?ん・・・?納屋・・・?納屋でコッソリ
     パンを食べるってんじゃあないだろうね・・・。それに大体、
     パンなんてうちになかった筈だ・・・。どうしたんだ、あのパン
     !!まさか泥棒・・・!?」

         その時、1枚のハンカチがサラの足元へ
         風で飛んで来る。

  サラ「何だい!?(ハンカチを手に取る。)ハンカチ・・・?これは
     !!王家の紋章の入ったハンカチだ・・・!!どこから一体
     こんなものが・・・まぁいい、これも町へ持って行きゃあ、高く
     売れるだろう。頂いておくと・・・(ハンカチをポケットに仕舞
     いかけて、納屋の方とハンカチを交互に見て、何か感じた
     ように。)・・・何やら金の臭いがするねぇ・・・。ハンスめ・・・
     この私の目を誤魔化せると思ったら大間違いだよ・・・!町
     へ行くのは2、3日お預けだ。ハンスが一体何をコッソりや
     っているのか・・・それを探ってからでも遅くはないからね・・・
     (笑う。)」

         カーテン閉まる。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         カーテン前。
         下手より王、后、アンドレ登場。
         続いてうつむき加減のリーザ、ゆっくり登場。
         (上手方へ進む。)

  后「リーザ、今日は午後から1度も姿を見なかったけれど、ずっ
    とお部屋にこもって勉強していたのかしら・・・?」
  リーザ「お母様・・・ええ・・・はい・・・その・・・」
  アンドレ「僕が家庭教師をしていたのですよ、母上。」
  后「まぁ、アンドレが?」
  王「おまえは午後、馬を駆って森へ行っていたのではなかった
    か?」
  アンドレ「はい、行こうとしたのですが、途中で何やら珍しく頭痛
       がして、実は直ぐに城へ戻って来たのです。」
  后「まぁ、アンドレ・・・それで頭痛は大丈夫なのですか?」
  アンドレ「はい母上、城へ戻りアレクに薬を貰い受け飲んだとこ
       ろ直ぐに・・・。それで時間を持て余した僕は、少しリー
       ザの勉強でも見てやろうかと・・・。兄として、たまには妹
       のお守りをするのもいいのではないかと思いましてね。」
  リーザ「(小声で。)お守りだなんて・・・」
  后「それはいいことだわ。ねぇ、あなた。」
  王「うむ・・・。それにしてもリーザ、半日もの間、よく大人しく兄の
    言うことを聞いて、机に向かっておったな。感心だぞ。」
  リーザ「・・・はい・・・お父様・・・」
  王「おまえももう間もなく13歳だ。そろそろ落ち着いてこれから
    のことを考えねばなるまい・・・」
  后「隣国のアリシア姫は縁談が決まったそうよ。」
  リーザ「・・・え?」
  后「お嫁に行かれるの。」
  王「確かアリシア姫は、アンドレと同い年だった筈・・・」
  アンドレ「はい。」
  后「母としては・・・いつまでも私の側にいて欲しいと願うところだ
    けれど・・・リーザの幸せを考えると・・・私が我が儘を言う訳
    にはいきませんものね・・・」
  王「そうだな・・・花嫁修業・・・も、始めねばなるまい。」
  リーザ「でもお父様・・・!私・・・」
  王「どうした?」
  リーザ「・・・あの・・・(俯いて首を振る。)」
  アンドレ「まぁまぁ父上、母上、リーザはまだ12歳の子どもです
       よ。花嫁修業の話しはまたこの次に・・・。それより僕は
       お腹が空いて、さっきから我慢がならないのです。」
  后「あら、それはアンドレ、ごめんなさいね、気がつかなくて・・・」
  王「そうだな。それでは食堂へ急ぐとしよう。」

         王、后、上手へ去る。
         アンドレ、立ち止まり振り返る。

  アンドレ「分かったな、リーザ。こんなことは二度とごめんだから
       な。」
  リーザ「はい・・・」
  アンドレ「(溜め息を吐いて。)さぁ、食事に行こう。半日も外をウ
       ロウロしていたのでは、嘸かしお腹が空いたことだろう
       ・・・?(笑う。)」

         アンドレ、上手へ去る。












   ――――― “自由へ・・・―リーザ序章―”
                        3へつづく ―――――





 








― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    7月7日(日)

    七夕様です♥

    明日は、水曜日の録音前の最後の台詞練習です(>_<)
    金曜日には、公演会場の舞台監督さんと打ち合わせが
    あります(^^;

    ・・・日一日と本番が近付いて来ました・・・が・・・
    まだまだやらなければならないことが山のようにあります
    (ーー;)

    そんな中・・・
    夏休みに依頼のあった小学校公演の日程が、8月21日
    に決まりました(^_^;)

    今年度は、随分先の依頼まで、何公演か決定していて、
    いつもは結構、依頼日近くになってからお声かけして頂く
    ことが多かったので、それらに比べゆっくり準備できつつ・・・
    何となく心忙しい日々を過ごしながら、自主公演準備に
    アタフタしている次第です・・・(>_<)