りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“暑中お見舞い申し上げます♪”

2012年07月31日 08時37分15秒 | リトルパインニュース



   7月31日(水)


   益々暑い日が続きますが、

   皆様お変わりないでしょうか・・・?

   私の今年の夏は、今までと違い、とても心穏やかな

   暑い日々を過ごしております^^;
   
   こんな風に“普通”であることが幸せなんだ・・・と、

   色んな意味で心に深く感じたことは、今まで

   残念ながらありませんでした(ーー;)

   けれど、今年はそんな簡単な事柄に、気付くことができ、

   ・・・そしてまた大きな一歩を踏み出そうと

   気持ちも新たに、一段と飛躍するべく、

   そのスタートラインに立った思いであります。

   
   
   またこれからも・・・

   沢山の皆様の応援に応えるべく、一層の努力を

   重ねて行く所存ですので、温かく見守って頂ければ、

   これ程、心強く嬉しいことはありません。

   今年も後半へと突入し、リトルパインも記念の年を

   迎えることとなります。

   発展途上のリトルパインを・・・

   そして未熟などらを・・・

   何卒末永くヨロシクお願い致します(^_^)



   まだまだ暑い日が続きますが、

   お体大切に・・・

   暑中お見舞い申し上げます。

   
   
   
     大切な皆様へ


            ミュージカル人形劇団“リトルパイン”

                         代表  どら。





        

    「暑中お見舞い申し上げます♪」byクリフ&ポーラ

   


   クリフ「毎日暑いね・・・。」
   ポーラ「うん。」
   クリフ「体の方は大丈夫かい?」
   ポーラ「うん、お兄ちゃんがお薬を持ってきてくれたから、もう
       大丈夫よ!」
   クリフ「ポーラ・・・本当に良かったよ。でも、元気になったから
       って、無理をしちゃ駄目だよ。こんな風に暑い日は、
       ちゃんと日陰で体を休めたり、お水を飲んだりするんだ
       。分かってるね?」
   ポーラ「うん、分かってるわ!」
   クリフ「今そこで見てる皆さんも、暑い日は無理をせずに、
       気を付けて過ごして下さいね!!」
   ポーラ「(不思議そうに。)お兄ちゃん・・・誰とお話ししてるの
       ・・・?」
   クリフ「うん・・・僕達を応援してくれてる大切な人達と・・・」
   ポーラ「ふうん・・・」
   クリフ「行こう、ポーラ!!8月公演の練習をしに!!」
   ポーラ「うん!」



                   END






        (おまけフォト^^;)

        

    魔法使いのお婆さんとのツーショットです^_^;

    公演中にはあまり見えなかったお婆さんのお顔、
    よくご覧下さい(^^)v
    歯抜けなのもお分かりでしょうか・・・^^;








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“うららかな思い” ―全1幕―

2012年07月27日 19時19分24秒 | 新作(人形劇用)


      〈 主な登場人物 〉

   
      うらら  ・・・  引っ越し先の新しい町に、中々
                馴染めない少女。本編の主人公。

      松太郎(しょうたろう)  ・・・  松の木の精霊。

      ケン
  
      少年、少女達。

      
      その他。


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


      ――――― 1 幕 ―――――

         静かな音楽流れ、幕が開く。
         と、だだっ広い野原に、中央に松の木が
         1本立つ風景。
         (爽やかな風がそよぐ。)

  声(松太郎)「僕はいつもここにいる・・・。そして君をただ待って
          いる・・・。大好きな君が、僕のところへやって来て
          ・・・沢山の僕の知らない話しを聞かせてくれること
          ・・・いつの頃からか、僕はただ・・・君が来るのを、
          心待ちにするようになったんだ・・・。」

         明るい音楽に変わり、上手下手より、
         子ども達走り登場。楽しそうに歌う。

         “楽しい毎日が
         やってくること
         明るい明日を
         愉快に過ごすんだ
         退屈な毎日
         そんな気持ちは
         今の僕らには
         無縁なことだぞ
         さぁ 楽しもう!
         さぁ 皆で手を取り
         先生に怒られたって
         皆と一緒なら
         笑って過ごせるんだ!”

  ケン「さぁ、向こうの公園へ行って遊ぼうぜ!!」
  少年2「うん!!明日から待ちに待った夏休みだもんな!!思
      いっきり遊ぼうぜ!!」
  少女1「楽しみだわぁ!!一体毎日どうやって過ごそうかしら!
      !」
  ケン「何言ってんだよ!そんなこと考えなくたって、皆で集まりゃ
     何やったって楽しいに決まってんだ!!」
  少年3「そう言うこと!」
  少女1「そうか!そうよね!!」
  ケン「毎日、皆で楽しもうぜ!!」
  子ども達「うん!!」

         少年、少女達、楽しそうに話しながら
         下手へ走り去る。
         入れ代るように、上手より一人の少女
         (うらら)、その様子を見ていたように
         ゆっくり登場。歌う。
         (音楽静かに。)

         “私だって・・・
         皆と同じに
         楽しく遊んで笑いたい・・・
         いつも一緒に・・・
         手を取り合って
         明るくはしゃいで過ごしたい・・・”

         うらら、中央、松の木に寄り掛かる。

  うらら「(明るく。)ねぇ、松太郎・・・!!私、今日もらった通知簿、
     オールAだったのよ!!凄いでしょう!!これでママにずっ
     とおねだりしてた、犬のぬいぐるみを買ってもらえるわ!!
     明日から夏休みよ!!何して遊ぶ!?私、朝の勉強が終
     わったら、毎日ここへ来るわ!!その後、2人で一日中遊
     びましょう!!楽しみねぇ・・・夏休み!!あああ・・・毎日、
     何して遊ぼうかしら・・・」

         いつの間にか木の後方より、一人の少年
         (松太郎)登場。うららの横に、木にもたれ   
         かかり立っている。

  松太郎「そうだなぁ・・・僕は君と一緒にいられるなら、何だって
       いいよ。」
  うらら「(松太郎に気付いて。)・・・誰・・・?」
  松太郎「うららが呼んだんじゃない。松太郎だよ。(笑う。)」
  うらら「・・・松太郎・・・?だって・・・だって松太郎って、私の空想
     の友達なのよ・・・!?この松の木が私の松太郎・・・」
  松太郎「(微笑んでうららを見る。)空想なんかじゃないよ。ほら、
       僕はこうしてここに立っている。足だってあるし、お化け
       じゃないよ。(笑う。)」
  うらら「(松太郎の足元を見て。)・・・本当だ・・・でも・・・」
  松太郎「いいじゃないか、うらら!僕は君と友達になりたいんだ
       !」
  うらら「友達に・・・?」
  松太郎「うん!!一緒に一杯遊ぼうよ!!」
  うらら「・・・本当・・・?本当に私と友達になってくれるの・・・?」
  松太郎「うん!!」

         うらら歌う。

         “嘘みたい・・・
         転校してきて初めてよ
         こんな風に声かけて
         今まで誰もこなかった・・・
         友達なんて
         この場所で
         出来るなんて思わなかった・・・
         まさか・・・なのに・・・”

  うらら「そうだわ!!えっと・・・(背負っていたランドセルを下ろし
     、中の何かを探すように。)」

         そんなうららの様子を、嬉しそうに見ていた
         松太郎、歌う。

         “嘘じゃないさ
         僕は本当にここにいる
         僕だって信じられない・・・
         君と友達になる為に
         ずっと遠くからやって来た・・・”  

  うらら「え・・・?」
  松太郎「あ・・・ううん!!(首を振る。)」
  うらら「はい、これ!(ランドセルから取り出した、小さな飾りを、
      松太郎の方へ差し出す。)」
  松太郎「(うららの差し出した飾りを受け取り。)何・・・?」
  うらら「私の宝物なの!新しい学校で、友達が出来たらプレゼ
      ントしようと思って、ずっとカバンの中に仕舞い込んであ
      ったのよ。」
  松太郎「友達に・・・」
  うらら「そう!誰にもプレゼントせずに、夏休みになっちゃうとこ
      ろだったわ。(笑う。)」
  松太郎「(飾りを見て。)・・・これは・・・」
  うらら「松の実よ!」
  松太郎「え・・・」
  うらら「前に住んでた家の庭に、大きな松の木があったの。その
      木の実で私が作ったブローチよ!私、何故だかその木の
      側にいると、とても落ち着いたの・・・。その松の木が大好
      きだったのよ・・・。」
  松太郎「(呟くように。)うらら・・・」
  うらら「あ・・・男の子にブローチなんて変だったかしら・・・」
  松太郎「え・・・ううん!!そんなことないよ!!・・・大事にする
       よ・・・ありがとう・・・」
  うらら「喜んでもらえて良かった!!・・・ねぇ・・・明日から毎日、
      遊べる・・・?」
  松太郎「うん!」
  うらら「明日から毎日、一緒にいられるのね?」
  松太郎「うん!」
  うらら「わあーっ!!私、新しい学校で出来た友達と遊ぶのは
      初めてよ!!」

         その時、鐘の音が聞こえる。

  うらら「いっけない!!今日はお出かけするから、寄り道せずに
      真っ直ぐ帰って来なさいって、ママに言われてたんだった
      。じゃあ松太郎くん!!また明日ここで!!」
  松太郎「うん・・・!!」
  うらら「(下手方へ行きかけて振り返る。)さよーならー!!(大き
      く手を振る。)」
  松太郎「(少し照れたように手を振り返す。)・・・うらら・・・また明
       日!!」

         うらら、下手へ走り去る。

  松太郎「また明日・・・。うららが僕に気付いてくれた・・・気付い
       てくれたんだ・・・!!」

         その時、松の木の精霊の主の声が聞こえる。

  精霊の主の声「松太郎・・・」
  
  松太郎「松の木の精霊・・・」
 
  精霊の主の声「いいか、松太郎・・・。夏休みの間だけだぞ。夏
           休みが終われば、おまえはまた・・・ただの松の木
           に戻り・・・元の家へと帰るのだ・・・。分かったな・・
           ・。」

  松太郎「・・・はい!!分かってます!!・・・分かってます・・・。
       それでも・・・僕に少しの間、人間の体を与えてくれて・・・
       ありがとう・・・!!」

         音楽流れ、松太郎歌う。
  
         “僕は松の木・・・
         これは僕の仮の姿
         大好きな人とほんの少し
         目を見て話してみたかった・・・
         いつも いつもただ横で
         君の笑顔に癒されて・・・
         でもただ一度だけでいい
         君に気付いて欲しかった・・・
         ただ一度だけ
         名前を呼んで欲しかった・・・
         その願いがやっと叶った
         今・・・”

         (辺りはいつしか夜になり、再び朝へと変わる。)

         “日は巡り・・・
         いつまでも続く今日と言う日
         朝陽が昇りゆく限り
         僕の願いは変わらない
         ただ一度だけ・・・”

  松太郎「うらら・・・(下手方を見て。)あ・・・!!誰か来る・・・」

         松太郎下がる。
         そこへ下手より、子どもたち走り登場。

  少年2「わあーい!!今度はケンが鬼だぞー!!」
  ケン「待てーっ!!」

         少年2、松の木へよじ登る。

  ケン「おい、卑怯だぞー!!木の上に登るなんて!!」
  少年2「やーい、ケン!!ここまで来てみろよー!!」
  ケン「畜生!!よーし・・・(松の木へよじ登ろうとする。)よっ・・・
     と・・・」
  少年2「おっと!!危ねぇ!(木の上から飛び降りる。)へへー
      んだ!!残念でした!!(笑う。)」
  ジェフ「くっそう!!(木の上から飛び降りる。)待てーっ!!捕ま
      えてやるーっ!!」
  少年3「わあーっ!!(笑う。)」
  少女1「キャーッ!!(笑う。)」
  ケン「待てーっ!!(笑う。)」

         子ども達、松の木の回りを楽しそうに走り回り、
         上手へ走り去る。
         音楽流れ、一時置いて下手より、うらら息を
         切らせ走り登場。

  うらら「松太郎くーん!!松太郎くーん!!」

         うらら歌う。

         “どこにいるの私の友達
         初めて出来た大切な
         憧れだった素敵な友達”

         木の影より松太郎登場。歌う。

         “ここにいるよ君は友達
         いつもただ見詰めてた
         いつか僕に気付いてくれると・・・”

         (うらら、松太郎に気付き、嬉しそうに。)
         2人、歌う。

         “夢にまで見た心の友達”

  うらら「松太郎くん!!捜したわ!!ねぇ、今日は何して遊ぶ?」
  松太郎「うん、僕は何だって構わないよ、うららと一緒なら・・・。」
  うらら「そうねぇ・・・あなたと友達になって一カ月・・・。毎日この
      木の下で遊んでばかりだわ。夏休みも残り少なくなってき
      たし・・・ねぇ、どこか別の場所へ行かない?」
  松太郎「え・・・?」
  うらら「公園とか・・・図書館とか・・・プールもいいわねぇ!!ね!
      !そうしましょうよ!!」
  松太郎「・・・僕・・・ここがいいな・・・」
  うらら「・・・(松太郎を見る。)」
  松太郎「僕・・・この松の木の側が好きなんだ・・・」
  うらら「そう・・・」
  松太郎「ごめん・・・」
  うらら「いいのよ!私もこの場所は大好き!この町に越して来て
      、新しい見知らぬ土地で、とっても不安だったけど、この木
      を見た途端、前の家にあった大好きな松の木と同じだと
      思って、とても安心出来たのを覚えてる・・・。だから毎日、
      学校の帰りに必ず・・・この木に会いに来たのよ。」
  松太郎「・・・知ってるよ・・・(呟くように。)」
  うらら「え?」
  松太郎「あ・・・ううん・・・(首を振る。)そうなんだ・・・。」

         優しい音楽流れ、うらら歌う。

         “私が不安だった時
         この木が取り除いてくれた・・・
         私が落ち込んだ時
         この木が慰めてくれた・・・
         私が嬉しい時も
         この木がいつも側にいた・・・
         私が笑顔でいられるように
         見守ってくれた
         だから何故か何時の間か
         必ず私はここにいた・・・
         そんな・・・優しい思いに
         満たされ癒された
         いつも・・・”

  松太郎「うらら・・・」
  うらら「あなたに出会うまで、この木が私の友達だったの・・・。」

         その時、上手より工事現場の作業員達、
         話しながら登場。
         (松太郎、いつの間にか下がる。)

  男1「おお、ここだ、ここだ。」
  男2「この木か・・・」
  男1「ほう、中々立派なもんだなぁ。本当にバッサリやっちゃって
     いいのかねぇ。」
  男3「好きにしていいってたんだ。構やしないだろう。」
  男1「切るしか他に、方法はないしな・・・」
  男3「そう言うことだ・・・。」
  男2「(うららに気付いて。)お嬢ちゃん、ここ危ないよ。」
  うらら「え・・・?」
  男1「明日からこの場所は、立ち入り禁止になるんだ。」
  うらら「どう言うこと・・・?」
  男3「この場所には、来年、大きなマンションが建つんだよ。」
  うらら「マンション・・・?マンションが建つの・・・?」
  男2「そうだよ。」
  うらら「・・・この木はどうなるの・・・?」
  男1「明日、切り倒すんだ。」
  うらら「・・・切り倒す・・・?切り倒すですって!!そんなの駄目
      よ!!」
  男3「駄目ったってねぇ、ここの持ち主がもうそう決めて、土地を
     売っちゃったからねぇ。どうしようもないんだよ。」
  うらら「駄目・・・駄目よ!!ねぇ、松太郎!!(振り向くが、松太
      郎がいないことに気付いて。)・・・松太郎・・・?松太郎?」
  男2「誰か一緒にいたのかい?」
  うらら「私と同じ年頃の男の子よ!!今までここにいたじゃない
      !!」
  男1「今まで・・・?」
  うらら「おじさん達も見たでしょ?」
  男2「さぁ・・・(首を傾げる。)」
  男3「(他の男達に。)見たか?」
  男1「俺達がここに来た時には、お嬢ちゃん一人きりだったぜ。」
  うらら「嘘よ・・・」









    ――――― “うららかな思い”2へつづく ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    昔の作品を読み直す機会が増えて、気付いたことが一つ
    ・・・^_^;
    「え」と言う台詞の前後に付ける「・・・」、以前は前が多かった
    のが、最近の作品では後ろに付けることが断然多いのです
    (^^)
    たかが「・・・」されど「・・・」と言うことで、読まれる時に、読み
    方を注意してみて下さい(^^)vこの「・・・」が前後入れ代る
    だけで、「え」を言う人物の雰囲気が変わります(^.^)








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“ジェフ・カート” ―全8場―

2012年07月26日 19時24分42秒 | 未発表脚本



    〈 主な登場人物 〉

    ジェフ・カート  ・・・  保険会社に勤める。

    ローズ  ・・・  ブライアンの隣家に住む娘。

    フレッド  ・・・  ジェフの同僚。

    ジョーイ  ・・・  靴磨きの少年。

    ニック  ・・・  ローズに思いを寄せている。

    スザンヌ  ・・・  ジェフの同僚。ニックの妹。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


             幕が開く。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         薄明かりの中、中央寄りに一つのベンチ。
         中央スポットに、スーツにトレンチコートの
         一人の男(ジェフ)浮かび上がる。
         両手をコートのポケットに突っ込み、少し
         気だるそうに歌う。

         “一体何をしているのか
         何時もただひたすらに
         目に映る事柄に
         振り回されてるだけ・・・
         そんな気がして
         昨日までと違う
         迷いが湧き上がる・・・
         一体何がしたいのか
         そえさえも分からずに
         決められた事柄を
         ただ済ませるだけの
         そんな人生なんて
         明日に意味はない
         心ない時間が・・・
         通り過ぎていく・・・”

         そこへ上手より、一組のカップルが幸せそうに
         寄り添いながら、一つの物語のもとに、ジェフ
         の前を通り過ぎ、下手へ去る。
         ジェフ、その様子を見ている。
         (カップルに被せ、ジェフ再び歌う。)

         “何故こんな時にたった一人
         何故佇むのか・・・
         待つ者もなく
         待たれる訳でもなし・・・
         何処へ行こうが勝手自由・・・
         これからの道 好き気儘に・・・
         自分の遣りたいように
         進めばいい・・・
         そう思った途端
         何もかもが
         ただの嘘偽りに変わりゆく・・・”

         ジェフ、深い溜め息を吐き、ベンチへ腰を
         下ろす。

  ジェフ「・・・今日は土曜日だったな・・・。なのに何をやってるん
      だ俺は・・・。仕事・・・仕事・・・仕事・・・全く・・・。」

         その時下手より、一人の少年(ジョーイ)
         靴磨きの道具の箱を、肩から提げて、
         息を切らせ何かに追われているように
         走り登場。
         ジョーイ、惚けていたジェフを認め、駆け
         寄る。

  ジョーイ「兄ちゃん!!匿ってくれよ!!」
  ジェフ「(ジョーイを認めて。)何だ、おまえ・・・」         
  ジョーイ「頼むよ、兄ちゃん!!悪い奴に追われてるんだ!!
       そいつらに見つかったら、俺、殺されちまうよ!!」
  ジェフ「偉く、物騒な話しだな。(笑う。)」
  ジョーイ「(下手方を気にしながら。)冗談じゃないんだ!!俺、
       本当に・・・!!あ!!来た!!(慌てて、ベンチの後ろ
       へ身を屈めて隠す。)」

         ジェフ、仕方なさそうに両手を広げ、ベンチの
         背に掛け、後ろを隠すように。
         一時置いて、下手より黒のコートに身を包み、
         黒の帽子を深く被り、サングラスを掛けた一人
         の男、誰かを捜すように走り登場。
         が、ベンチにジェフの姿を認めると、心なしか
         驚いて顔を隠すように上手へ去る。

  ジェフ「(男が上手へ去るのを見計らって。)おい・・・もう出て来
      てもいいぜ・・・。」
  ジョーイ「(ホッとしたような面持ちで、ゆっくり出る。溜め息を吐
       いて。)・・・ありがとう、兄ちゃん・・・助かったよ・・・。(ジ
       ェフの横に腰を下ろす。独り言のように。)けど、やばかっ
       たよなぁ・・・。・・・ところで兄ちゃん、こんなところでこん
       な時間・・・しかも独りぼっちで何やってたんだ?今日は
       町は恋人達で溢れ返る花のサタデーナイトだぜ?」
  ジェフ「煩いな・・・。悪い奴はもう行ったんだろ?向こうへ行けよ
      。俺は今、一人でいたいんだ・・・。」
  ジョーイ「ははぁ・・・彼女に振られたとか?なぁんだ、そうだった
       のか。そりゃあ一人で思い出に浸りたいよなぁ・・・。だけ
       ど何時までも過去にばかり引き摺られてちゃ駄目だぜ。
       辛いことを乗り越えて、前を向いてこそ、人間一回りも
       二回りもでっかくなれるってもんだ。(笑う。)」
  ジェフ「(溜め息を吐いて。)おい坊主・・・俺は彼女もいなけりゃ
      、勿論振られて落ち込んでる訳でもないんだ!」
  ジョーイ「なぁんだ・・・。(上を見上げて。)それにしても雪降らね
       ぇかなぁ・・・。姉ちゃん喜ぶのになぁ・・・。クリスマスには
       雪降ってくれりゃあいいのに・・・。姉ちゃんが好きな“サ
       ンタクロースの贈り物”って本の中に、サンタクロースが
       クリスマスに雪の贈り物をくれるってのがあるんだ・・・。
       その中の女の子の置かれてる境遇が、自分と似てるん
       だって。兄ちゃん、知ってるか?」
  ジェフ「くだらない・・・」
  ジョーイ「くだらなくなんてないさ!!俺がサンタならよかったの
       に・・・。」
  ジェフ「つまらないこと言ってないで、餓鬼はもうとっくにお休み
      の時間だろ?早く帰らないと、ママが心配するぜ。」
  ジョーイ「(明るく。)ママなんていないさ。」
  ジェフ「・・・え?」
  ジョーイ「ママはいないって言ったんだよ。生まれた時から、ずっ
       と父ちゃんと2人っきりさ。それがさぁ、兄ちゃん聞いてく
       れよ。この父ちゃんってのがまた、どうしようもない飲ん
       だくれで、とんだ野郎なんだ。俺にずっと靴磨きさせとい
       て、自分はその儲けで昼間っから酒屋通い・・・。そのく
       せ儲けが少ないと、もの凄く怒鳴るんだ。一体何考えて
       んのかねぇ、あの人は・・・」
  ジェフ「・・・何故・・・俺にそんな話しを・・・?」
  ジョーイ「な?兄ちゃん、世の中には俺みたいな奴も大勢いるん
       だ。兄ちゃんが何に悩んでるのか知らないけど、所詮、
       人の悩みなんて、落ち着いてみりゃ、ちっぽけなものっ
       てことだよ。」
  ジェフ「・・・どうして俺が何かに悩んでるって思うんだ・・・?」
  ジョーイ「俺、色んな苦労して来たからなぁ・・・。一目見りゃ分か
       るさ。(笑う。)」
  ジェフ「(呆然とジョーイを見詰め、思わず笑う。)生意気な奴だ
      な・・・。(ジョーイの頭を突く。)」
  ジョーイ「(照れたように頭を掻く。)」
  ジェフ「おまえの言う通りだよ・・・。ふと仕事人間の自分に、嫌気
      がさしたんだ・・・。自分の時間を持つことも出来ないよう
      な、今のこの生活が俺が本当に求め望んだものだろうか
      ・・・ってね・・・。(ハッとしたようにジョーイを見る。)・・・お
      まえに言っても仕方ないな。(微笑む。)」
  ジョーイ「そうか・・・。大人の世界は奥が深いよな・・・。俺みたい
       に、ただ金が欲しくて我武者羅に働けばいいってもんで
       もなさそうだし・・・。けど、俺でよかったら、またいつでも
       愚痴聞いてやるぜ。」
  ジェフ「(笑って。)・・・ああ・・・。」

         その時、ジョーイを呼ぶ声が遠くから聞こえる。

  声「ジョーイ!!」

         そこへ上手よりローズ、走り登場。
         ジョーイ、立ち上がってローズを認める。

  ジョーイ「姉ちゃん!」
  ローズ「ジョーイ!こんなところにいたの?遅いから心配したわ
       。」
  ジョーイ「(恥ずかしそうに。)いやだなぁ、姉ちゃん。俺もう餓鬼
       じゃないんだぜ。お迎えだなんて・・・。」
  ローズ「ごめんなさい。それよりお父さんが大きな声で、あなた
      のこと捜してたのよ。」
  ジョーイ「やばい・・・(ハッとして振り返る。)あ・・・兄ちゃん、俺
       もう帰んないと、また父ちゃんにぶん殴られちまう。(笑う
       。)」
  ローズ「兄ちゃん・・・?」
  ジョーイ「ああ!俺の命の恩人で、名前は・・・えっと・・・」
  ジェフ「ジェフ・カート・・・。(立ち上がる。)」
  ジョーイ「ジェフ兄ちゃん!悪い奴に追われてたとこを、助けて
       もらったんだ!」
  ローズ「まぁ!悪い奴って・・・?」
  ジョーイ「ああ、大したことないよ。」
  ローズ「そう?どうもジョーイがお世話になって、ありがとうござ
      いました。(頭を下げる。)」
  ジェフ「そんな大袈裟に礼を言われるようなことは、何もしてな
      いから・・・。」
  ジョーイ「それから兄ちゃん!こっちは俺ン家の隣に住んでる、
       ローズ姉ちゃん。」
  ジェフ「よろしく・・・。(微笑んで手を差し出す。)」
  ローズ「(ジェフと握手して。)こんにちは・・・。(少し恥ずかしそ
      うに。)」
  ジョーイ「(2人の様子を代わる代わる見て、ニヤニヤと。)じゃ
       あ俺、先に帰るから姉ちゃんはもう少し兄ちゃんと話して
       来なよ!小母さんには俺から上手いこと言っといてやる
       からさ!」
  ローズ「ジョーイ!」

         ジョーイ、手を上げて上手へ走りかけて、
         振り返る。

  ジョーイ「兄ちゃん!俺、表通りで何時も仕事してるから、今度
       寄ってくれよ!」

         ジョーイ、上手へ走り去る。

  ローズ「ジョーイったら・・・。(ジェフに向かって。)すみません・・・
      。あの子、屹度取り留めなくあなたにお話ししたんじゃあ
      りませんか・・・?」
  ジェフ「(楽しそうに。)ああ・・・。」
  ローズ「ごめんなさい。(頭を下げる。)あの子、いつもああなん
      です・・・。誰にでも直ぐ、親しげに話しかけて・・・。」
  ジェフ「楽しかったよ・・・。」
  ローズ「・・・え?」
  ジェフ「さっきまで、つまらないことに落ち込んでいた自分が、馬
      鹿馬鹿しく思える程、いい話しを俺にしてくれたよ・・・。」
  ローズ「いい話し・・・?」
  ジェフ「親父さんと2人暮らしなんだって?」
  ローズ「ええ・・・。生まれた時からもうずっと・・・。きついお父さん
      で、小さい頃からよく叱られてました・・・。今でこそ、お父
      さんの方がジョーイを頼るようになってますけど、ジョーイ
      に対する扱い方は昔のまま・・・。けど、とてもいい子で・・・
      。」
  ジェフ「ああ、そのようだね・・・。(微笑んで。)君は“サンタクロー
      スの贈り物”を待っているんだって?」
  ローズ「(驚いたようにジェフを見て、恥ずかしそうに下を向く。)
      あの子ったら、そんなことまでお話ししたんですの・・・?
      いい子なんだけど、お喋りなのが玉に傷ね・・・!」
  ジェフ「自分がサンタならよかったのに・・・そう言ってたよ・・・。」
  ローズ「(ジェフを見て。)・・・ジョーイが・・・そんなことを・・・」
  ジェフ「ああ・・・。」

         ジェフ、ローズに語り掛けるように歌う。

         “人の夢を願える者は
         心から思い優しく・・・
         人の為を思える者は
         広大な温かい心を・・・
         満ち足りた思いに
         溢れ返る程・・・
         自分の願いは
         常に回りのこと・・・
         しようと思うのではなく
         自然に振る舞うだけで・・・
         いつもただ自分らしく
         進むだけで・・・
         それは常に気付かずとも
         君のこと・・・
         初めて知った
         心の真実・・・”

         フェード・アウト。(カーテン閉まる。)

    ――――― 第 2 場 ―――――

         中央スポットにフレッド、浮かび上がる。

  影の声「何をやってるんだ!!あれ程、殺害には細心の注意を    
       払えと言ってあっただろう!!」

  フレッド「すみません・・・。しかし近いうちに必ず見つけ出してみ
       せます!!だから・・・」
 
  影の声「いいか・・・!!どんなことをしても見つけ出して、必ず
       息の根を止めろ!!」

  フレッド「いや・・・見られたのは子どもで、何も殺すことは・・・。少
       し脅かしておけば・・・」

  影の声「何を甘いことを言っているんだ!!子どもでも女でも、
       我々の仕事を見られたからには殺るしかない!!いい
       か、フレッド!!もし我々が身寄りのない人物を見つけ
       出し、そいつの偽物の家族を作りあげ、多額の保険に
       加入させたうえで、そいつを殺害し、保険を我々のもの
       にしていることがばれるようなことがあれば、我々は皆
       終わりだ!!余計な情けをかけて、何かあった時に泣
       くことになるのは我々なのだ!!」

  フレッド「(ゆっくり頷く。)・・・その通りです・・・」

  影の声「分かったのなら、さっさと見つけ出し、早いとこ殺ってし
       まえ!!」

  フレッド「・・・はい・・・!!(目つき鋭く、彼方を見遣る。)」

         音楽でフェード・イン。
         フレッド、深い溜め息を吐いて、上手へ行き
         かける。と、上手よりジェフ、追いかけるように
         その同僚スザンヌ登場。
         
  スザンヌ「待ってよ、ジェフ!!待ってったら・・・!!」
  ジェフ「(歩きながら振り返って。)悪いけど、今夜忙しいんだ。(
      フレッドを認める。)よぉ、フレッド!どうしたんだ?顔色良
      くないぜ。」
  フレッド「ジェフ・・・。いや、何でもないさ・・・。」
  スザンヌ「ねぇ、お願いジェフ!!学生時代の友達が皆、彼氏
        を連れて来るのよ!!私も学歴よし、容姿抜群の社
        内きっての有能戦士の彼氏がいるから、連れてくるっ
        て言っちゃったのよ!!」
  ジェフ「(スザンヌの話しは無視するように。)BJブライスカンパ
      ニーとの契約はどうだった?」
  フレッド「ああ・・・まだいい返事はもらえなくてさ・・・。」
  スザンヌ「ジェフ!!」
  ジェフ「一度、一緒に行こうか?」
  フレッド「いや、いいよ。どんどん大会社との契約を取り付けて来
       るおまえと違って、初めて俺だけに任された、大手会社
       の大口契約なんだ。一人で何とかしたいんだ。」
  ジェフ「そう・・・だな。頑張れよ!(フレッドの肩を叩く。)」
  フレッド「ああ・・・。そっちこそ、何揉めてたんだ?(チラッとスザ
       ンヌを見る。)」
  スザンヌ「今夜、一年振りに学生時代の友達と会うことになって
        るのよ!!しかも皆、彼氏つきで!!」
  ジェフ「今夜は大事な接待があって、どうしても抜けられないん
      だ。そう言うことは、他の奴に頼んでくれないかな・・・。」
  スザンヌ「駄目よ、他の人なんて!!友達の彼氏より、一番素
        敵な人を連れて行かなくちゃ意味ないわ!!」
  フレッド「それで、ジェフに頼んでるって訳か・・・。」
  スザンヌ「そう言うこと!!フレッドからも頼んで頂戴!!」
  フレッド「だけどスザンヌ、もし仮にジェフと君が本当に付き合っ
       てたとしても、仕事をほったらかしてまで、君に付き合う
       ことはできないと思うけどね。」
  スザンヌ「でも!!」
  フレッド「君は本当にジェフのことが好きなんだろ?だとしたら、
       無理を言って、ジェフを困らせることは厳禁じゃないかな
       。」
  ジェフ「悪いけど、本当に今夜は駄目なんだ。暇な時なら、幾ら
      でも付き合ってやるから・・・。」
  フレッド「ジェフ!」
  スザンヌ「(少し考えて。)・・・分かった・・・。じゃあ今夜は一人で
        行く!でも今度は絶対、付き合ってよね!!」
  ジェフ「ああ・・・。」
  スザンヌ「そうと決まれば、早く帰って仕度しなくちゃ!!私、早
        退するわ!!今夜、次の集まりのこと決めて来るから
        ね!!じゃあ!!」

         スザンヌ、2人に手を上げて、上手へ
         走り去る。






  
     ――――― “ジェフ・カート”2へつづく ―――――









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“ミーナ” ―全7場― 完結編

2012年07月20日 20時49分42秒 | 新作(人形劇用)



  ノラ「おいおい、そんな安請け合いして大丈夫なのか?森の薬
    屋ってえと・・・」
  一番ネコ「おまえも一緒に行くんだよ!!」
  ノラ「え・・・?」
  一番ネコ「また昔のように、2人一緒なら何だって出来るさ!!」
  ノラ「冗談よしてくれよ・・・。何で俺がおまえなんかと・・・。しかも
    危険な薬屋のところへなんか誰が!!」
  一番ネコ「“ネコ助け”って奴だ!」
  ノラ「・・・ネコ助け!?」
  一番ネコ「今まで散々、悪事を働いて来たんだろ?ここいらで“
        いいこと”ってのをやったって、罰は当たらねぇよ!」

         音楽流れ、一番ネコ歌う。
 
         “俺とおまえ また昔のように
         2人手を組み立ち向かう
         いいことだって
         悪いことだって
         いっつも2人で手を組んで
         楽しかったあの頃のように
         また2人で一緒に行こうぜ
         森へ!!」

  一番ネコ「さあ、行くぞ!!(ノラの腕を掴む。)」
  ノラ「あ・・・おい!!おい、離せ!!離しやがれーっ!!」

         一番ネコ、ノラの腕を引っ張って下手へ
         走り去る。

  ノラの声「離せーっ!!」
         
    ――――― 第 5 場 ―――――

         (紗幕前。)
         音楽流れ、ミータ、ネコ達上がり歌う。

         “何てこと・・・
         皆が大変なことになった・・・
         大切な仲間達・・・
         こんなことになるなんて・・・
         どうすればいい・・・”

  ネコ2「この村には、薬草くらいしかないぜ・・・」
  ネコ3「毒消しの薬なんて・・・」
  ミータ「どうすればいいの・・・?皆が・・・ミーナを捜しに町へ行っ
      たばかりに・・・」
  ネコ2「ミータ・・・。ミーナのせいじゃないさ。皆、他の誰がいなく
      なったって、きっと今回と同じように危険を顧みず、捜し
      に出掛けたさ・・・。」
  ネコ3「そうだよ!!」
  ミータ「皆・・・」
  ネコ2「さ、それより早く、倒れた皆が運び込まれた老ネコの家
      へ急ごう!」
  ミータ「ええ!」

         ネコ達歌う。

         “少しも早く
         倒れた皆の側へ急ごう
         屹度大丈夫
         屹度助かる
         老ネコ様がなんとかしてくれるさ
         だから心配するのはよそう
         信じるんだ”

  ネコ3「行くぞ!!」
  ネコ2「ああ!!」

         ネコ達上手へ走り去る。
         ミータ、付いて行き掛けて立ち止まる。
         ネコ2、そんなミータに気付いて立ち止まる。

  ミータ「ミーナ・・・(呟くように。)」
  ネコ2「大丈夫さ!今、ハトの豆吉も空からミーナを捜してくれて
      るんだ。屹度直ぐに見つかるさ。」
  ミータ「そうね・・・」
  ネコ2「それより早く、ネコ吉達のところへ急ごう!」
  ミータ「ええ。」

         ミータ、ネコ2、上手へ去る。
         
    ――――― 第 6 場 ――――― A

         紗幕開く。と、森の中。
         (後方に小屋が建っている。)
         音楽流れ、下手より一番ネコ、続いて
         回りをキョロキョロ見回しながらノラ、登場。
         一番ネコ歌う。

         “着いたぜここだ
         この小屋だ・・・
         誰もが求める
         薬を売る薬屋・・・
         いつの頃からこの場所で
         こっそり生きる怪しい小屋・・・
         人から人へ噂だけ・・・
         走る真実 見抜けない
         だけど見つけた
         希望の扉・・・”

  一番ネコ「(小窓から小屋の中を覗いて。)よく見えねぇなぁ・・・。
        おい、ノラ!!ちょいと肩貸せよ!!」
  ノラ「はいはい・・・全く・・・昔からおまえはネコ使いの荒い・・・(
     一番ネコの側へ。)」
  一番ネコ「(ノラの肩の上へ、足を掛ける。)よっ・・・」
  ノラ「重てぇなぁ・・・。おまえ、昔より太ったんじゃねぇのか?」
  一番ネコ「黙って足を押さえてろよ!!」         
  ノラ「はいよ・・・一番ネコさん。どうだ?薬棚は見つかったか?
    薬屋はいるのか、いねえのか?」
  一番ネコ「煩いなぁ・・・ばあさんは留守みたいだな・・・。丁度い
        い、この間にちょいとこの窓から忍び込んで・・・よっ・・・
        (窓によじ登り、中へ入ろうと足をバタバタさせる。)」
  ノラ「お・・・おい・・・!!そんな風に忍び込んで、ばあさんが戻
    って来たらどうすんだよ!!もっと慎重に・・・!!」

         一番ネコ、窓から中へ滑り込むように入る。

  ノラ「あああ・・・全く、命知らずな奴だぜ、昔っから・・・」

  一番ネコの声「やった!!おーい!!上手い具合に忍び込ん
           だぞ、ノラ!!おまえは暫くそこで見張り番をして
           、誰か来たら直ぐに知らせるんだ!!」

  ノラ「ああ!!分かったよ!!(小声になり。)・・・なぁんて・・・
     ばぁか!こんなとこでノンビリ見張りなんてやってられっか
     よ!!あばよ、一番ネコ!!精々、人間のばあさんが帰っ
     て来ても見つかんなよ。(笑う。)」

         ノラ、下手方へ行きかける。

  ノラ「(何かに気付いたように。)やばいっ!!薬屋のばあさん
    が戻って来やがった!!(小屋の後ろに隠れる。)」

         そこへ下手より薬屋の老婆、籠を抱え
         ゆっくり登場。

  老婆「やれやれ、やっと着いたわ・・・。年寄りにこの森の長道は
     ちと辛いのぉ・・・。お陰で薬草が沢山手に入ったがの・・・。
     (笑う。)これでまた、一杯薬を作って、人間どもに高く売れ
     るぞ。」

         その時、小屋の中から物音がする。(“ガタン”)
         
  老婆「・・・ん?何じゃ、今の物音は・・・?(上を見て。)おや・・・
     窓が・・・。キツネかタヌキでも入り込んだか!!(小屋の中
     へ飛んで入る。)」

  老婆の声「ネ・・・ネコ!?ええい!!私の小屋で餌を漁り回る
        なんざ、100万年早いわ!!(何かを叩くような音。“
        バシッ”)出てけ!!出てけーっ!!」

  一番ネコの声「わあーっ!!人間だーっ!!」

         ノラ、小屋の後ろから飛び出す。

  ノラ「た・・・大変だ!!一番ネコ!!一番ネコ!!早く出て来
    い!!一番ネコーッ!!」

         その時、薬売りの老婆に追われて、
         一番ネコ、命辛々小屋から飛び出して
         来る。

  一番ネコ「わあーっ!!」
  ノラ「早く!!早くーっ!!一番ネコ!!こっちだ!!」
  一番ネコ「ノラ!!」

         ノラ、一番ネコの手を取り、下手方へ
         大慌てで走り去る。
         薬売りの老婆、下手方へ手に持っていた
         銃を一発撃つ。(“パァーン”)

  老婆「二度と来るなーっ!!この泥棒ネコどもーっ!!」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 6 場 ――――― B

         紗幕前。
         一時置いて、息を切らせて一番ネコ、ノラ、
         下手より走り登場。

  一番ネコ「(息を切らせて。)危ねぇ・・・。もうちょっとで殺られち
        まうとこだったぜ。(笑う。)おまえのお陰で助かったぜ、
        サンキュ!」
  ノラ「ふんっ・・・(腕を押さえて。)・・・いって・・・ぇ・・・」
  一番ネコ「ん・・・?どうした?(ノラの腕を見て。)おい・・・怪我し
        てるじゃねぇか。さっきのばあさんの銃の弾が当たっ
        たのか?」
  ノラ「こんな掠り傷、2、3日すりゃあ直ぐに治るさ!」
  一番ネコ「でも血が・・・」
  ノラ「それより薬はどうしたんだよ!ちゃんと見つけて来たのか
    ?」
  一番ネコ「あ・・・ああ。(手に持っていた瓶を掲げ。)ほうら、この
        通り!!この一番ネコ様にかかりゃあ、何だって忽ち
        この手に入れてみせらぁ!」
  ノラ「そうか・・・よかったな・・・。」
  一番ネコ「ノラ・・・」
  ノラ「じゃあな!」
  一番ネコ「あ・・・おい・・・ノラ!!そんな怪我したなりで、何処行
        こうってんだよ。」
  ノラ「何処だっていいだろ。俺様はノラ猫のノラだ・・・。何処へ行
    こうが、そんなことを気にする奴はいねぇよ・・・。じゃあな。(
    手を上げて下手方へ。)」
  一番ネコ「おい!!」
  ノラ「(振り返る。)」
  一番ネコ「もう一度、ネコの村へ戻ろうぜ。」
  ノラ「・・・え・・・?」
  一番ネコ「俺と一緒に、この薬を届けに村へ戻ろうぜ。」
  ノラ「け・・・けど・・・」
  一番ネコ「この薬は、おまえがいなけりゃ手に入れることは出来
        なかった。俺が皆にもう一度村へ戻れるように、取り成
        してやるよ。」
  ノラ「一番ネコ・・・」
  一番ネコ「何て顔してんだよ!おまえだって、村に戻りたいだろ
        ?」
  ノラ「戻りたいだなんて・・・」         
  一番ネコ「いきがんなよ。」
  ノラ「うるせぇな!!(涙を拭くように。)」
  一番ネコ「何泣いてんだよ、馬鹿!」
  ノラ「泣いてなんかいるもんか!!ちょっと目にゴミが・・・」
  一番ネコ「(嬉しそうに。)それより急がねぇと、倒れた奴らの体
        中に毒が回っちまう!」
  ノラ「そ・・・そうだな!!行こう!!」
  一番ネコ「ああ!!」

         一番ネコ、ノラを庇うように背中を押して、
         足早に上手へ去る。

    ――――― 第 7 場 ――――― A

         紗幕開く。と、老ネコの家の中。
         ネコ吉、ネコ1、2、中央設えられたベットの
         上に横になっている。横に心配そうに見守る
         ネコ達立っている。

  ミータ「あなた・・・」
  老ネコ「もう後は、神に祈るくらいしかないのぉ・・・」
  ネコ1「老ネコ・・・」

         そこへ上手よりミーナ、走り登場。

  ミーナ「パパ!!」

         中にいたネコ達、一斉に上手を見る。

  ミータ「ミーナ!!」
  ネコ達口々に「ミーナ!!」
  ミーナ「ママ!!」
  ミータ「あなたは今まで一体何処で何をしていたの!!」
  ミーナ「ママ!!パパは!?」

         ネコ達避けると、ベットに横たわるネコ吉
         が、ミーナから見える。

  ミーナ「パパ・・・」
  ミータ「あなたを捜しに町へ行って・・・」
  ミーナ「私のせいね・・・私の・・・!!(泣く。)」
  ネコ1「ミーナ・・・」
  ミーナ「パパごめんなさい・・・私・・・人間になりたいだなんて言っ
      てごめんなさい!!私、間違ってた・・・」
  ミータ「ミーナ・・・」
  ミーナ「私・・・パパとママの子猫でよかったわ・・・」
  ミータ「ミーナ・・・!!(ミーナを抱き締める。)」

         その時、上手方から声が聞こえる。

  声「おーい!!ミーナー!!」

  ミーナ「・・・え・・・?」

  声「おーい!!おーい!!」

         そこへ上手より一番ネコ、走り登場。
         一寸遅れて腕を押さえながら、ノラ登場。
         (ノラ、離れて立つ。)

  一番ネコ「ミーナ!!」
  ミーナ「一番ネコさん!!」
  ネコ達口々に「一番ネコ!!」
  一番ネコ「ほら!!お待ちかねの毒消しの薬だ!!(差し出す。
        )」
  ミーナ「本当!?」
  老ネコ「毒消しの薬じゃと・・・?」
  一番ネコ「ああ!!」
  老ネコ「どうしたんじゃ、そんなもの。」
  一番ネコ「いいじゃねぇか、そんなこと!!それより早くこの薬
        をそいつらに飲ませてやりな。」
  老ネコ「おお・・・(薬を受け取る。)」

         老ネコ、横たわるネコ達に薬を飲ませて
         回る。(他のネコ達、見守る。)
         と、一時置いて、横たわっていたネコ達、
         何事もなかったように大きく伸びをして
         起き上がる。

  ネコ吉「ふわあぁ・・・」
  ミータ「あなた!!」
  ミーナ「パパ!!」
  ネコ吉「ミーナ!!どうして・・・(回りを見回す。)ここは・・・老ネ
      コの家・・・」
  ミータ「あなた達、町へミーナを捜しに行ったネコ達が、農薬入り
      の餌を食べて、瀕死の状態でここまで戻って来て、今に
      も命が危なかったのよ。それを一番ネコが、毒消しの薬
      を持って来てくれたの・・・」
  ネコ吉「本当に・・・?」
  一番ネコ「ああ。(照れたように、鼻の下を擦る。)でも、そいつを
        手に入れたのは、俺だけの力じゃないぜ。そこにいる
        ノラがいたからさ。(ノラの方を指差す。)」

         ネコ達一斉に、一番ネコの指差した方を見る。

  老ネコ「ノラ・・・」
  ネコ吉「ノラ・・・」
  一番ネコ「ノラがいなけりゃ、その薬は手に入らなかった・・・いや
        ぁ・・・手に入ったとしても、ここまで無事に辿りつけなか
        ったさ。」
  ミータ「そうなのね・・・」
  ネコ吉「ノラ・・・ありがとう・・・」
  ミータ「ありがとう・・・」
  ネコ1「ノラ・・・」
  ノラ「・・・そんな・・・照れるじゃないか・・・」
  老ネコ「ノラ!よくやったな!追放は取り消しじゃ、この村に戻っ
      て来るがよい。のお、皆!」
  ネコ達口々に「ああ!!」
  ネコ吉「ああ、勿論!!」
  ミータ「おかえり、ノラ!!」
  ネコ1「ノラ!!」
  ノラ「皆・・・ただいま・・・」

         ミーナ、一番ネコ、顔を見合わせ、その様子を
         嬉しそうに見る。

    ――――― 第 7 場 ――――― B

         ミーナ、一番ネコ残して、ネコ達下がる。
         (背景変わる。)音楽流れる。

  ミーナ「一番ネコさん・・・危険を冒してまで、毒消しの薬を取りに
      行ってくれて、本当にありがとう・・・」
  一番ネコ「なぁに・・・おまえさんが、何にでも一生懸命な様子を
        見てると、ちょいとばかし力になってみたくなったのさ
        ・・・。」
  ミーナ「一番ネコさん・・・」
  一番ネコ「もう人間になりたいなんて言って、父ちゃん、母ちゃん
        を悲しませるなよ。」
  ミーナ「・・・うん・・・!!」
  一番ネコ「(ミーナの頭に手を置く。)」

         ミーナ、一番ネコ歌う。

     ミーナ“ネコだっていいじゃない
         ネコだって何て素敵”

     一番ネコ“ネコの何が悪い
           ネコはなんて素晴らしい”

     2人“仲間の為に力を合わせ
        仲間の為に走り回る
        それは誰でも同じこと
        ただ憧れだけで
        目の前の素敵なものに
        気付かない
        そんな勿体ないことはない
        ネコだって何て素敵な私達
        ネコだって何て素敵な生きる者!!”

         ミーナ、一番ネコ、顔を見合わせ微笑む。





          ――――― 幕 ―――――






   
   次回作の後、この一番ネコ達の名前が、再び皆さんの前に
   登場することになる予定です(^.^)
   若かりし頃の一番ネコ達のお話し、こちらもお楽しみに♥




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    ボチボチ、次回掲載作品のご紹介をし始めるかな・・・と、
    思うのですが、ミーナちゃんの後は、今日1幕ものの、少し
    短めのお話しを・・・ほぼ書き終えたので、そちらをご紹介
    したいと思います(^.^)

    来年春公演作品が、この短編のお話しと少しタイプが似て
    いる・・・といいますか、今私の中で、誰にも見えなくても、
    自分だけの心許せる友達がいる・・・みたいなテーマを持っ
    たお話しが、コソッとマイブームであります^^;

    ご紹介は、ミーナちゃんの掲載終了後からになりますが、
    次回「うららかな思い」、お楽しみに♥

    ・・・はい、今回珍しくタイトルを付けてみました^_^;







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“マリア” ―全14場― 完結編

2012年07月18日 21時14分43秒 | 未発表脚本


         ジェシー、立ち止まる。背を向けたまま。

  ニック「おまえがそう言うことは、最初から分かっていたさ。・・・
      あの女がそんなに大切か?その大切な彼女が、おまえ
      が今、世間を騒がす大泥棒の一味だと知ったら、何と思
      うだろうなぁ・・・。」
  ジェシー「(振り返って。)おまえ・・・」
  ニック「それにその彼女が、そんなおまえと付き合ってると世間
      が知ったら・・・(ニヤリと笑う。)さぁて・・・彼女の将来は、
      絶望視しといた方がいいかも知れないぜ・・・。」
  ジェシー「(握り拳を握って呟くように。)・・・畜生・・・」
  ニック「まぁ、おまえの返事次第だがね・・・。俺としたら、おまえ
      が大女優と知り合いだって方が嬉しいよ。」
  ジェシー「・・・分かった・・・」
  ニック「ほう・・・」
  ジェシー「・・・おまえの言う通りにする・・・。だから・・・あいつの
        夢だけは・・・」
  ニック「初めから素直にそう言えばいいんだ・・・。なぁ、ジェシー
      ・・・一旦、大事な者を持ってしまうと、おまえも弱いもんだ
      な。(笑う。)」
  ジェシー「(下を向いて。)・・・そうかも知れない・・・(ゆっくり顔を
       上げ、ニックを見据える。)だがそれ以上に・・・」
  ニック「ん?」
  ジェシー「それを守る為には、どんなことでも出来ると言うことを
       おまえは知らなかったようだな!!(ニックに飛び掛かり、
       ジャケットの内ポケットに隠し持っていたナイフで、ニック
       の胸を刺す。)」
  ニック「・・・ジェシー・・・何を・・・」
  ジェシー「あいつを傷付けるものは許さない!!」
  ニック「・・・何故・・・」
  
         ニック、ゆっくりジェシーにしがみつきながら
         崩れるように倒れる。
         ジェシー、スポットに浮かび上がり、呆然と
         遣り切れない思いが溢れ出すかのように立ち
         尽くす。カーテン閉まる。
         遠くから人々の歓声が次第に回りを包み込む。
         交じって記者、マリアの声。

  記者の声「マリア!!今日の舞台の成功は、あなたの功績の
        お陰だと思いますが、今の気持ちは!?そしてその
        気持ちを誰に一番伝えたいですか!?」
  マリアの声「・・・今・・・私は最高に幸せです!舞台は皆で作り
         上げるもの・・・。今日の成功は皆で成し遂げたもの
         です!そして・・・この感動を今一番伝えたいのは、
         今日この舞台を客席の何処かで見ていてくれた筈
         の・・・ジェシーに・・・私の愛する、ただ一人の人で
         す・・・。」

         歓声段々遠退く。
         ジェシー、空を見上げていた視線を、捥ぎ取る
         ように上手へ走り去る。
         音楽で暗転。

    ――――― 第 13 場 ―――――

         軽快な音楽でライト・インする。と、舞台は
         楽屋裏。団員達の歌、踊り。

         “マリアは今じゃ人気者
         誰もが知ってる大スター
         舞台を成功させたのは
         たった一年前のこと
         だけど昔と変わらない
         皆に優しく声掛ける
         他のスターと違うとこ
         そこが皆の人気者”

         歌っていた団員、鏡の前へ座る。
         マリア、メアリ、舞台衣装で下手より登場。
         団員、口々に“お疲れ様でした”等。
         マリアも笑顔で答える。
         マリア、メアリ鏡の前へ。

  メアリ「まだ彼のこと待ってるの?好い加減もう諦めたら?」
  マリア「私は信じてる・・・。屹度、私の前にもう一度姿を見せて
      くれるって。」
  メアリ「けどね・・・だからって彼と出会った、毎月19日に、あの
      公園へ行くのは止した方がいいわよ。今じゃあなたは、
      この劇団の看板スターなんだもの!」
  マリア「そんなこと・・・」
  メアリ「何言ってるの。見てご覧なさい、この雑誌の今週号の記
      事!あなたが毎月19日に、あの公園に出没するって載っ
      てるわよ!(一冊の本を手渡す。)」
  マリア「(本を受け取って。)出没・・・って・・・。人をお化けみたい
      に・・・。」
  
  団員の声「マリア!!インタビューお願いしまーす!!」

  マリア「はーい!!ありがとう、心配してくれて・・・。でも今日も
      行くわ!!今日は同じ19日でも、特別な19日・・・。だっ
      て丁度一年前の今日・・・(微笑む。)」

         マリア、上手へ去る。

  メアリ「やれやれ・・・(肩を窄める。)」

         カーテン閉まる。

    ――――― 第 14 場 ―――――

         下手よりジェシー、丸めた本を片手に登場。
         歌う。(途中、カーテン開く。)

         “マリア・・・マリア・・・マリア・・・
         もう一度だけこの胸に・・・
         マリア・・・マリア・・・マリア・・・
         おまえを抱き締めることが・・・
         できたなら・・・
         この命 今尽きようとも
         思い残すことはない・・・
         マリア・・・マリア・・・マリア・・・
         たった一度のこの願い・・・
         マリア・・・マリア・・・マリア・・・
         おまえの温もりを感じ愛した・・・
         この心の片隅に何時までも木霊する
         おまえが教えてくれた
         生きる希望・・・喜び・・・
         マリア・・・”

         その時、一発の銃声が響き渡る。
         (と、同時にバックから一筋の光、ジェシーに
         向いライト・イン。)

  ジェシー「糞う・・・(腹部を押さえ。)・・・こんな所で・・・死ぬ訳に
       はいかないんだ・・・直ぐそこに・・・おまえがいる・・・直ぐ
       ・・・そこに・・・(ヨロけるように後ろを向いて、ゆっくりと、
       一歩ずつ踏み締めながら光の方へ。)」

     コーラス“何も求めたことはない
           ただ生きることだけに・・・
           ある日出会った者は
           生きる希望に変わる・・・
           初めて求めた・・・
           初めて守りたいと・・・
           なのにその願いも
           崩れ落ちると言うのか・・・”

         コーラス、盛り上がって。
         ジェシー、祈るように両手を合わせ、天を仰ぐ。

  ジェシーの叫び声「マリアーッ!!」







          ――――― 幕 ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    こちらのページでも、そろそろ次回掲載作品のご紹介を
    しておきたいと思います(^.^)

    何だか段々、どの作品を紹介し終えたか分からなくなりつつ
    あるのですが・・・^^;次回は、青年と少年・・・そして少年と
    仲良しの娘の心の交流のお話し・・・私の好きな類のお話し
    ・・・なのですが・・・今までご紹介するのを渋って(?)いたの
    は、少し内容が・・・(-_-;)現在の私なら、こんな結末にはし
    ないでしょう・・・と思うお話しです(>_<)
    ま、読んでみて下さい^^;

    次回「ジェフ・カート」、お楽しみに♥








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