クルトの名前が下の方に書かれているのは、今作品
ではクルトと長老は“オマケ”的に登場するからです(^^♪
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〈主な登場人物〉
パピ ・・・ 足の悪い少年。
ドルト ・・・ 紫色の羽を持つ小鳥。
バーム ・・・ 魔法使い。
クルト ・・・ 不思議の森に住む、青い羽を持つ小鳥。
長老
その他
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客電落ち、開演アナウンスが流れる。
――――― 第 1 場 ―――――
声「昔々あるところに、不思議の森がありました。その森に、
ずっと以前から住んでいる一羽の青い小鳥は、なんでも
望みを叶えてくれるのでした。この幸せを導く小鳥の名前
はクルト・・・クルト・・・クルト・・・(木霊する。)」
明るい音楽流れ、ライト・インする。と、森の風景。
中央に、一羽の青い小鳥(クルト)、ポーズを取り
立っている。
クルト、楽しそうに森の中を気儘に踊る。
一頻り踊った後、クルト上手へ去る。
一時置いて、下手より車椅子に乗った少年(パピ)
、不思議そうに回りを見回しながら、ゆっくり登場。
中央へ。
パピ「(回りを見回しながら。)・・・ここは・・・どこかな・・・。(何か
に気付いたように。)もしかして、ここがママの話してくれた
不思議の森・・・?じゃあ、クルトが居る筈だ!!どこに居る
んだろう!!クルト・・・!?クルト!?」 ※
パピ歌う。
“クルト クルト何処にいるの?
不思議の森に住む 不思議の小鳥
クルト クルト 君に会いたいんだ
僕には叶えて欲しい願いがあるんだ
だから出て来ておくれよ
僕の前に・・・”
そこへ下手後方より、一羽の黒い小鳥(ドルト)
意地悪そうな顔付きで登場。
ゆっくりパピの方へ。
ドルト「・・・私のこと・・・呼んだ?」
パピ「(振り返り、ドルトを認める。)え・・・?君は・・・」
ドルト「さっきから“クルト”“クルト”って、私の名前を呼んでたじゃ
ない。」
パピ「君が・・・クルト・・・?」
ドルト「そう、私がクルト・・・。」
パピ「でも・・・ママの話しじゃ、クルトは青い小鳥だって・・・」
ドルト「それはあなたの勘違いよ。クルトの羽は、青くも赤くも
ないわ。黒いの!(羽を広げて見せる。)どう?分かった
?」
パピ「じゃあ・・・君が、何でも願いを叶えてくれるの・・・?」
ドルト「・・・願い?」
パピ「そう!!僕はどうしてもクルトに頼みたいことがあって、
この森にやってきたんだ。僕、小さい時に足を怪我して、
それ以来、歩くことが出来ないんだ・・・。何をする時にも
この車椅子がなけりゃ、一人で動くことも出来ない・・・。
病院の先生やママは、嘘吐きなんだ・・・。“あなたの足は
もう治ってるんだから、後は歩く練習をすればいいのよ”
って言うけれど・・・いくら頑張ったって、歩けるようになん
てなるもんか!!だからお願い、クルト!!僕の足を元
通り歩けるようにして!!クルトなら治せるんでしょ!?
僕を皆と一緒に走れるようにしてくれよ!!」
ドルト「ふうん・・・。確かに私はクルト・・・。でも願いを叶える訳
にはいかないわ。」
パピ「どうして!?」
ドルト「私には願いを叶える力なんてないもの。」
パピ「・・・え?」
ドルト「でも、願いを叶える力を持つ人は知っているわ。」
パピ「・・・叶える力を持つ人?」
ドルト「そう・・・。」
パピ「・・・それは誰?」
ドルト「会いに行く?」
パピ「うん・・・。だって僕は願いを叶える為に、この森に来たん
だもの・・・。」
ドルト「(ニヤリと微笑み、客席上方を指差す。)見てごらん、
あの山の向こうに、ボロ小屋のわらぶき屋根が見えるで
しょう?」
パピ「・・・どこ?(探すように。)」
その時、カミナリの音が辺りに響き渡る。
パピ「わあっ!!(耳を塞ぐ。)」
ドルト「ほら、あそこよ。」
パピ「(恐る恐る客席上方を見上げる。)あっ・・・あそこにわらぶ
き屋根の家が・・・。」
ドルト「あそこに、あなたの会いたがってる人がいるわ。あそこに
住むバームなら、どんなくだらない願いでも、魔法の力で
ちょちょいのちょいよ。」
パピ「魔法・・・使いなの?その人・・・」
ドルト「案内してあげるわ!!さ、行きましょう!!バームの所
へ!!」
ドルト、パピの手を引っ張るように。
2人、上手へ去る。
暗転。
――――― 第 2 場 ―――――
静かな音楽流れ、舞台明るくなる。
と、中央に一本の大木(バーム)が立っている。
辺りは嵐の前触れのような、不気味な様子。
バーム歌う。
“ああ くそう 忌々しい!!
ああ くそう なんて様なんだ!!
なんで私がこんな姿で立ち尽くすんだ
この私が何をしたってんだ
ただこの森で自由にしてただけ
ちょっと自由に振舞ってただけ”
バーム「このバーム様の自由を奪う権利なんて、誰にもないん
だ!!」
“ああ 畜生 忌々しい!!
ああ 畜生 腸煮えかえるこの思い!!”
バーム「森の長老だか何だか知らないが、あんな年寄りが私を
拘束するなんて、これっぽっちも出来ないんだ!!大体
ちょっと位悪戯したからって、あの爺にどんな迷惑を掛
けたって言うんだい!!それを偉そうに“その姿で暫く
の間反省しろ”だなんて、私をこんな格好にしやがった
!!(何かに気付いたように。)・・・おや・・・?向こうか
ら、紫色の羽を持つ、一羽の小鳥がやって来た・・・。
よおし・・・あいつを上手いこと騙して、この封印のリボン
を解かせてやろう。これさえ解いてもらえれば、こっちの
ものだからな・・・。おーい!!おーい、そこの紫色の羽
を持つ、綺麗な小鳥さん!!」
紫色の小鳥(ドルト)、上手より登場。
ドルト「(回りをキョロキョロ見回しながら。)今、確かに誰かが私
のことを呼んだような・・・。」
バーム「ここよ!!ここ!!」
ドルト「(大木を認める。)・・・まぁ、大木さん!あなただったのね
、私のことを呼んでいたのは。」
バーム「そうなの・・・。私、今とっても困っていたところだったの
よ。そこへ丁度、あなたが通り掛かって、助けを求めた
って訳・・・。」
ドルト「どうかしたの?」
バーム「あなたの名前は?」
ドルト「ドルトよ。」
バーム「じゃあドルト、この森に住む、悪戯ばかりして皆を困ら
せる魔法使いのこと、知ってるかしら?」
ドルト「・・・ええ、長老にお仕置きをされて、森から追放された
って言う、バームのことかしら?」
バーム「そのバームが、また悪戯に魔法を使って、私をこんな
姿に変えてしまったの・・・。」
ドルト「まあ!!酷いわ!!」
バーム「それで、ドルトにお願いがあるの。」
ドルト「何かしら?」
バーム「私の体に巻き付けてあるリボンを、解いてもらえるかし
ら?それさえ解ければ、私は元の姿に戻れるって言う
訳。」
ドルト「お安いご用よ。(大木の側へ。)これを解けばいいのね
?」
バーム「ええ・・・。」
ドルト、大木に結んであるリボンを解く。
バーム「それを解いてさえくれれば・・・私は元の姿に戻れる
のさ!!」
その時、カミナリの音が響き渡り、煙が立ちこめる。
ドルト「キャアッ!!」
一瞬の内に、大木の姿は消え去り、魔法使い
の姿に戻ったバームが立つ。
バーム「おまえさんは知らなかったようだね。その長老に、お仕
置きをされたバームは、こんな森の外れの淋しい場所
で、大木の姿に変えられていたことを!!」
ドルト「あなたがバーム・・・!?」
バーム「でも、おまえさんのお陰で元の姿に戻れたんだ。ちゃん
と礼はするよ!!一生、私の側で働けるように、おまえ
を私の家来にしてやろう!!(声を上げて笑う。)」
カミナリの音が轟き、バームの笑い声を残して
暗転。
――――― 第 3 場 ―――――
明るい音楽流れ、舞台明るくなる。と、木漏れ日
溢れる森の様子。可愛い花達が、咲き乱れて
いる。花達歌う。
“ようこそ可愛いお花畑へ
いらっしゃい不思議の森
陽の光 降り注ぎ
暖かな木漏れ日
素敵な時間が流れてく
ようこそ可愛い私達の森へ”
一時置いて、嬉しそうに急いで下手より、
車椅子のパピ登場。下手方を向いて、手を振る。
パピ「おーい!!こっちだよ!!早くおいでよ!!先に行っちゃ
うよ!!」
花達、パピを認めて声を掛ける。
花1「こんにちは、パピ。」
花2「こんにちは!!」
パピ「え・・・?(回りを見回す。)」
花3「ここよ!」
パピ「(花達に気付く。)あ、お花さん達・・・こんにちは。驚いた
なぁ・・・。ここは何でもありの森なんだね。でも、お花さん、
どうして僕の名前を知ってるの?」
花1「知ってるわよ。あなたのことは、ずーっと前からね。」
花2「それより、どこへ行こうとしてたの?(上手方を見て。)
あなたの行こうとしている方向には、何もないわよ。」
花3「あるのはバームの古い小屋だけ。」
花1「言っといてあげるわ。バームの古小屋には、近寄らない
方がいいわ。」
パピ「どうして?」
花2「あそこに行くと、ろくなことがないの。」
花3「今まで行って、戻って来た人はいないって言う話しよ。」
花1「あら、いるわ。」
花3「誰?」
花1「小鳥のドルトよ!」
花3「・・・そう言えば・・・」
花1「私達も見たことはないけれど、たった一羽だけ戻って来た
ドルトも、その様子は随分変わったって言う噂だから。」
花2「兎に角危ないわ。」
パピ「変わったって・・・?」
花1「羽の色が・・・」
その時、下手より急いで飛んで来たように、
ドルト登場。
ドルト「ちょっとパピ!!先々行かないでくれる!?私は空を
飛んでるんだから、森の木陰に隠れられると、見失っちゃ
うのよ!!」
パピ「ごめんよ。でも、もう少しで歩けるようになると思ったら、
嬉しくてつい・・・」
花1「(ドルトの顔を見て。)・・・ドルト?」
花2「ドルトじゃないの・・・?」
ドルト、気不味い顔付きになり、慌てて花達に
背を向ける。
ドルト「ドルトって誰のことよ!!私はドルトなんて名前じゃない
わ!!」
パピ「そうだよ。この小鳥さんはクルトだよ。」
花3「クルトですって!?」
花1「クルトって、青い羽の・・・」
ドルト「煩いよ!!それ以上、余計なことを喋ったら、おまえ達
を根っこごと、引っこ抜いてしまうよ!!」
花2「まぁ、怖い!!」
花達、目を閉じて黙り込む。
パピ「そんな酷いこと、言っちゃ駄目だよ!!お花さん達は、
僕に色んなことを教えてくれてただけなんだよ。」
ドルト「それが余計なお世話だって言うの!!」
パピ「余計なお世話・・・」
ドルト「さ!!こんなとこで愚図愚図してる暇はないのよ!!
早く行きましょう!!」
と、回りの様子、時が止まったように。
パピ、スポットに浮かび上がる。
―――――“パピ―不思議の森シリーズより―”2へ
つづく―――――
※ パピ君のママ・・・クルトの話しをしてくれた・・・ってことは、
はい、明記されてませんが、キャシーです(^^)v
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“パピ”に限らず、以前の脚本を読んでいて、意外と
同じ名前を使用している時が・・・多々あります^^;
私の中で、名前と言うのは重要性が低いのかも知れ
ません(^_^;)
どら。
http://www.geocities.jp/littlepine2005/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227