りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“フランチェスコ” ―全14場― 6

2011年12月29日 21時53分37秒 | 未発表脚本


  ヴィクトール「・・・正直になることで、傷付く人間がいるとするな
          ら、何もそうする必要はなかったんじゃないか・・・?
          全く・・・不器用な奴だよ・・・。」
  フランチェスコ「(立ち上がって。)不器用で結構だ・・・。自分の
           心を偽って、カロリーネ嬢と付き合っていく方が、
           俺にとっては堪え難い苦痛になる・・・。それにカ
           ロリーネ自信にも・・・。心を偽り、自分を作って生
           きていくと言うことは、自分自身を無くしてしまう
           ことだ・・・。そんな人生を歩まなくてはいけない・・・
           と言うのは、死んだ人生をこれから一生、歩んで
           いくと言うことなんだ・・・。」
  ヴィクトール「・・・そうか・・・分かったよ・・・。」

         その時、下手よりルネに肩を借り、足を
         引き摺るようにルグラン伯、ゆっくり登場。
         フランチェスコを認め、見据えたまま近付く。
         フランチェスコ、ルグラン伯に気付く。

  ヴィクトール「ルグラン伯・・・。」
  ルグラン「(物凄い形相で。)貴様のせいだ・・・!!貴様が私の
        前へ、無理に走り込もうとしたからだ!!」
  ルネ「ルグラン様・・・。」
  ルグラン「貴様のせいで、私は危うく命を落としかけたんだ!!
        今こうして足を引き摺りながらも、歩いてここまで来れ
        たのが、不思議な程な!!」
  ヴィクトール「そうは仰るがルグラン伯!!私は一番近い所で、
          ずっとあなた方の競り合いを見ていたが、あの時
          あの坂で、馬に無理な加速を加え、落馬為さった
          のは、明らかにあなた自身のミス・・・!!それをそ
          のように言い掛かりをつけられても!!」
  ルグラン「煩い!!」
  フランチェスコ「止めろ、ヴィクトール。(ルグラン伯をチラッと見
           て。)懲りない人だな・・・。」
  ルグラン「何を!?私の怪我の原因が自分にあると、少しは責
        任を感じないのか!?何て傍若無人な野郎なんだ!
        !」
  フランチェスコ「そんなに捲し立てて私を非難し、自分の正当さ
           を主張する程、ルグラン伯は賞金が欲しかったと
           みえる。(笑う。)」
  ルグラン「馬鹿にするな!!何か私の身に降り懸かる問題が起
        こった時に、その問題の原因になっているものは何時
        も貴様だ!!何の躊躇いもなく自分勝手、好き放題、
        如何言うつもりか知らぬが、必ず貴様は何時も何時も
        私の癇に障るようなことをする!!」
  ヴィクトール「如何言うつもりも何も、あんたが勝手にそう思い込
          んでるだけじゃないか・・・。」
  フランチェスコ「全くだ。(笑う。)」
  ルグラン「黙れ!!私を笑い者にするつもりか!!覚えていろ!
        !其の内必ずおまえをギャフンと言わせてやる!!」
  フランチェスコ「ギャフンと言って欲しいなら、いくらでも言ってや
           る。“ギャフン”とな!」

         フランチェスコ、ヴィクトール顔を見合わせて
         声を上げて笑う。
         ルグラン伯、怒りに顔を紅潮させ、わなわなと
         震える。

  ルグラン「もういい!!行くぞ、ルネ!!」

         ルグラン伯、ルネに肩を借り、上手へゆっくりと
         去る。
         フランチェスコ、ヴィクトール、多少呆れたように
         その方を見詰めている。

  ヴィクトール「(ルグランが去るのを見計らって。)からかい甲斐
          のある奴だな。」
  フランチェスコ「ああ・・・。だけど・・・(何か思いがあるように。)」
  ヴィクトール「如何した?」
  フランチェスコ「あ・・・いや・・・何でもない・・・。(気を取り直した
           ように。)行くか!」
  ヴィクトール「ああ。」

         2人、下手へ去る。
         音楽で暗転。紗幕閉まる。   

    ――――― 第 11 場 ―――――

         紗幕前。フェード・イン。
         中央に佇むカロリーネ、悲し気に歌う。
         (途中、ルグラン伯下手より登場。カロリーネを
         背後より見詰めている。)

         “この世で結ばれるのは
         たった一人のあなたと決めていたのに・・・
         夢とは何て儚くも脆い・・・
         霞のように・・・
         辺りを包み
         掴もうとしても
         握ったその手には
         ただの虚像が映るだけ・・・
         目の前にあるもの全てが
         嘘であるかのように
         自分の愛でさえ・・・
         不確かで・・・
         偽りのない未来を夢見て
         歩いた昨日が
         丸で遠い過去になってしまったように
         全て押し流されてしまった・・・
         私自身の生きる意味さえ
         押し流してしまった・・・”

  ルグラン「(呟くように。)カロリーネ・・・」

         悲し気に遠くを見遣るカロリーネ。
         カロリーネを愛おしそうに見詰めるルグラン伯。
         フェード・アウト。

    ――――― 第 12 場 ――――― A

         音楽でフェード・インする。と、舞台は
         フランチェスコとジェシカが出会った広場。
         中央に佇むフランチェスコ、その回りを幸せ
         そうに蝶のように舞うジェシカを、微笑ましく
         見詰めながら、嬉しそうに歌う。

         “今・・・
         この心の安らぎは
         大地を走り抜ける微風と共に
         満ち足りた思いで
         私を包み込む
         決して感じたことのない
         この甘いときめきに
         何故か心が逸るのを止められない
         今・・・
         月の輝きに照らされて
         2人共に未来を見詰め
         踏み出した一歩から
         真っ直ぐ延びる
         果てしなき道・・・
         導く香り・・・
         その向こうに
         微笑むおまえの優しい瞳・・・
         何時までも・・・何時までも・・・”

  フランチェスコ「リーザの具合は?」
  ジェシカ「(嬉しそうに。)あなたのお陰で、最近はちっとも発作
        も起こらないし・・・。ありがとう・・・。何てお礼を言った
        らいいか・・・。」
  フランチェスコ「それはよかった。言っただろう、あの薬は秘薬
           だって・・・。(微笑む。)」
  ジェシカ「(微笑んで頷く。)あなたは私に、色んなものをくれた
        わ・・・。ものだけじゃなくて・・・人に対する心とか・・・
        生きて行く姿勢とか・・・人生に於いて、一番大切なこ
        とを色々教えてくれた・・・。」
  フランチェスコ「今の言葉は、そっくり其の儘、私からおまえに
           返そう・・・。おまえと出会ったことに、心から感謝
           しているのは私なのだから・・・。」
  ジェシカ「(フランチェスコを見詰め。)フランチェスコ・・・」
  フランチェスコ「(嬉しそうに。)初めておまえとこの場所で出会っ
           た時のことは忘れない・・・。いやに息巻いて、私
           に食って掛かってきた。(笑う。)」
  ジェシカ「いやね!ただ・・・あの時は、あの貴族に剣を突き付け
        られて、思わず昔を思い出して・・・」
  フランチェスコ「・・・昔・・・?」
  ジェシカ「(無理に微笑むように。)何でもない・・・」
  フランチェスコ「必要以上に剣を憎んでいるように聞こえたけれ
           ど・・・?」
  ジェシカ「(顔を逸らして。)そんなこと・・・」

         ルグラン伯、上手より酒に酔ったように、
         千鳥足でゆっくり登場。ルネ続く。

  フランチェスコ「何故・・・(言い掛けて、ルグランに気付き、その
           方を見る。)」
  ルグラン「やぁ、フランチェスコ殿じゃあありませんか。(絡み調子
        で。)」
  ルネ「ルグラン様・・・(心配そうに。)」
  ルグラン「(ジェシカをチラッと見て。)おや、そちらの女性・・・近
        頃、巷で噂されていたこと・・・それは本当だったようで
        すねぇ・・・。クリストフ公爵家のフランチェスコ殿は、ご
        自分の身分を忘れてお仕舞いになった。何でも、下町
        界隈の・・・一般に“下種人”と呼ばれるような身分の
        賤しい娘に入れ込んでおられる!!と・・・」
  フランチェスコ「・・・何だと・・・(落ち着いているように。だが、怒り
           に震えた口調で。)」
  ジェシカ「・・・フランチェスコ・・・行きましょう・・・。」

         フランチェスコ、ジェシカに言われるままに
         ゆっくり歩き出す。

  ルグラン「おい、逃げるのか若造!!貴様、一体如何言うつもり
        なのだ!!あの高貴な身分の・・・あの貴婦人然とさ
        れたカロリーネ嬢を足蹴にし、こんな何処の誰とも分か
        らないような・・・馬の骨・・・」
  ジェシカ「・・・カロリーネ・・・?」
  ルグラン「(ジェシカに向かって。)おまえのせいで、この男は婚
        約者であった彼女を泣かせることになったんだ!!」
  フランチェスコ「じゃあ貴様は自分の心を偽り続け、カロリーネ嬢
           と共に歩むのが、本当に彼女の幸せだと信じる
           のか!?」
  ルグラン「自分を正当化するつもりか!!」
  フランチェスコ「そんなつもりはない!!」
  ルグラン「では何故こんな娘と・・・!!」
  フランチェスコ「(ルグランの言葉を遮るように、ルグランの胸元
           を掴む。)やめろ!!それ以上彼女を侮辱する奴
           は許さない!!」
  ジェシカ「(フランチェスコを止めるように。)やめて・・・フランチェ
        スコ。私のことなら構わないの・・・。何て言われたって、
        その通りなんだから・・・。」
  ルグラン「本人も認めておられるようじゃないか。如何見てもカ
        ロリーネ嬢とは雲泥の差。何故、カロリーネ嬢に涙を
        流させるような真似をを・・・よくも・・・!!」
  フランチェスコ「それ以上言えば、例え伯爵であろうと、今ここで、
           この場所で貴様の首を叩き切ってやる!!」
  ジェシカ「やめて・・・」
  ルグラン「ああ言ってやるとも!!幾等でも言ってやるさ!!
        貴様はこんな身分の賤しい娘と!!如何言うつもり
        なんだ!!」
  フランチェスコ「(思わず剣を抜く。)」
  ジェシカ「やめて!!お願い!!」
  フランチェスコ「(ジェシカの叫び声に、躊躇ったように。)」
  ルグラン「如何した!!やるなら早くやれ!!」
  ルネ「ルグラン様!!」
  フランチェスコ「(暫くルグランを見詰め、剣を鞘へ仕舞い、胸ポ
           ケットから手袋を出し、ルグランへ投げ付ける。)
           決闘だ!!ルグラン伯!!時間は明日の夜明け
           、場所は森の中の一本杉、そこでおまえの息の
           根を止めてやる!!」
  ルグラン「望むところだ!!若造!!今の言葉は私のものだ!
        !明日を楽しみにしておけ!!(手袋を拾い、豪快に
        笑う。)ルネ!!行くぞ!!」
  ルネ「ルグラン様・・・」

         ルグラン伯、下手へ去る。ルネ、オロオロと
         続いて去る。

  ジェシカ「・・・如何して、直ぐ剣を抜くの・・・?何故、決闘なんか
        !!私のことなら、何て言われたって平気なのに!!
        」
  フランチェスコ「これは自分自身の道理の問題だ!!」
  ジェシカ「けど分からないわ!!例え、それがあなたにとって
        大切なことであっても、何故命を賭けてまで・・・!?」
  フランチェスコ「おまえに俺の気持ちなど分かるものか!!」
  ジェシカ「そう・・・そうよね・・・。私みたいな一国民に、あなたの
        ような偉い方の考えていることが、分かる筈ないわね
        !!」
  フランチェスコ「如何して自分をそんな風に見下すんだ!!如何
           して自分の素晴らしい所を見ようとしない!!」
  ジェシカ「私は・・・今まで誰にも認めて貰えなかった・・・。けど
        ・・・それが当たり前で、認められようともしなかった・・・
        。あなただけは違うようなことを言っておきながら、あな
        たは・・・婚約者がいたことを、私に教えてはくれなかっ
        た!!」


  
           




     ――――― “フランチェスコ”7へつづく ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 










        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227







 


“犬の村長さん”

2011年12月28日 19時43分18秒 | 日記



     そろそろ人形作りを、再び始めようか・・・と考え、
    今回は、春公演の“クリフ”くん作品ではない方の作品
    (ただいま、1月後半の録音に向けて、練習に励んで
    いる作品です♥)から、犬の王国に住む、“村長さん”
    を、作っていきたいと思います(^^)v

    この作品、上記の文章からご察しの通り、“犬”達の
    お話しです(^_^;)
    勿論、“犬”の国のお話し・・・と言うのは、リトルパイン初
    になります(~_~;)
    よって、“犬”達が沢山、登場致します(>_<)
    と、言うことは、今までのお人形を使い回すことが出来
    ないのです(-"-)

    などの理由から、同じような形態のお人形を、沢山、
    これから作っていかなければならない為、お正月休み
    返上で、頑張らなければならないか・・・と・・・^^;

    犬達のお話しではありますが、人間とのコラボ作品の為、
    “人間”も、勿論登場します(^.^)
    で、最初、どんな形で人間のお人形とと対比させようか・・・
    と、色々と考えたのですが、“人間”と、姿形は同じで、
    犬らしさを出す為に、肌の色と耳で、人間のお人形と
    区別させようかな・・・と思いました(^^)v

    勿論、“犬”としての姿のお人形も登場するし、主人公に
    限っては(人間の女の子です^^;)、色んなパターンの
    お人形が必要であったりするので、“クリフ”くん作品の方
    も合わせると・・・作らなければならないお人形の、数を
    数えるのが怖いです~・・・(>_<) 

    頑張ります・・・(@_@;)




                              どら。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



     【“村長さん”が出来るまで・・・】
  

   
     

     村長さんの部品の数々です^^;

     肌色が違うと、いつものお人形とは全く感じが違いま
     すね(^_^;)
     “村長”と言う役柄、少し年配チックなお洋服にしよう
     と思ったのですが、手持ちの布で、あまり地味目な物
     がなかった為、こんな感じの組み合わせになってしま
     いました(~_~;)

     グリーンの布・・・近々どこかで皆様に、お目にかかる
     ことになると思います^^;記憶の片隅にでも置いてて
     下さいね♥(そんなにたいしたことではありませんが・・・
     ^^;)



                     ⇓

     
     

     お顔の本体が出来上がりました^^;
     
     上の写真と、髪色が異なります(-_-;)始め“黒髪”で
     作ろうと思ったのですが、黒髪だと若くなり過ぎる為、
     白髪に変更致しました(^_^;)
     ここに、白髭を付けようと考えています(^.^)

     耳の接続は、例の関節部分の針金を使用しています。



                     ⇓


     

     手足も、いつもと雰囲気が違いますね(^.^)

     が、こんな感じの、色んな色のワンちゃんが沢山登場
     すると、舞台映えして可愛いのではないか・・・と思い
     ますが・・・如何でしょう^^;

































 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪






         http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
          http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227









“フランチェスコ” ―全14場― 5

2011年12月26日 20時53分28秒 | 未発表脚本


  フランチェスコ「言葉が過ぎるかも知れません・・・だが!!父上
           は何時も世の中の心配をしている振りをして、自
           分達には直接関係のない国民の、今の生活の改
           善を如何して為さろうとはしないのです!!馬術
           大会一つにしても、国王陛下の一番お近くで仕え
           ている父上が・・・国民の様子も一番よくご存じの
           筈の父上が陛下に助言して差し上げなくて、誰が
           国王ご一家への不平不満が募る今、陛下をお守
           りできるのですか!?こんな時に開催する馬術大
           会だからこそ、その馬術大会の掛け金の収益は、
           全て国民の為に使うべきなのです!!・・・学生の
           身で・・・出過ぎた話しを申し訳ありません・・・。だ
           が分かって頂きたい!!人間に本当に大切なも
           のは、身分でも家柄でもない・・・心なのだと!!
           この心が叫ぶのです・・・彼女の一途な姿に・・・こ
           の心が共鳴するのです!!彼女の生きる姿勢に
           ・・・!!今まで父上、母上の引いて下さった道の
           上を、何の躊躇いもなく、何の不安も持たずにた
           だ歩いて来た私に・・・生きていく理由を見出させ
           てくれたのが彼女なのです・・・。(チラッとカロリー
           ネを見る。)カロリーネ嬢の前で・・・こんなことを
           言うのは、紳士らしからぬ行いですね・・・。今、私
           が話したことに対して、自分の責任は十分に分か
           っているつもりです。どんな罰でも受けましょう・・・
           。出て行けと言われるのならそうします。だが、私
           は自分に正直でありたいのです。偽りの人生を歩
           んで行く程、これからの自分の人生に未練はない
           ・・・。歩んで来た私の人生にも悔いはない・・・。た
           だ、私が見詰めて行きたいのは、これから新しく
           続いていくであろう道を、どのようにして一番自分
           らしく、一番有意義に、一番輝くように生きれるか
           ・・・それだけなのです・・・。」      ※

         カロリーネ、フランチェスコに背を向け、
         悲し気に立つ。

  フランチェスコ「(カロリーネに近寄り。)カロリーネ・・・許して下さ
           い。私の我が儘です。」

         カロリーネ首を振り、涙を堪え切れないように、
         上手へ走り去る。

  フランチェスコ「カロリーネ・・・!!」
  クリストフ「おまえは分かっているのか。自分のその愚かな考え
        の為に、回りの人間が幾人も、その考えに翻弄され
        ることが・・・。」
  フランチェスコ「父上は何時も仰っていましたよね・・・。若いうち
           には遣りたいことを遣れと・・・。後でと思って、先
           延ばしにしていると、いざ遣ろうと思った頃には、
           もうできなくなっていると・・・。多分、父上の言わ
           れた遣りたいことと言うのが、今私が歩もうとして
           いるような道ではなかったかも知れません・・・。
           けれど、その言葉の意味は、正にその通りである
           と思うのです。後になって、後悔するような人生は
           、決して今生きているこの時をも、屹度納得して
           歩んではいないと思うのです。だが、もしかして、
           これから先に於いて、後悔することがないとは言
           い切れない。今の判断を誤ったと思うことがある
           かも知れない・・・。けれど、何もかも捨て、1から
           出直すことに、今は何の躊躇いもないのです・・・。
           」
  クリストフ「・・・それで・・・如何するつもりなのだ・・・。このまま学
        校へすんなり戻る気もなさそうだな・・・。」
  フランチェスコ「彼女の為・・・と言うのではなく・・・、この国の治
           安を取り戻す為に・・・兵役に就きたいと思います
           ・・・。」
  テレーズ「兵役!?」
  フランチェスコ「衛兵隊へ志願するつもりです・・・。」
  クリストフ「(呆然とする。)馬鹿者が・・・!!」
  テレーズ「暴動でも起これば、一番に駆り出され、最前線で鎮
        圧に従事しなければならないそんな危険なことに何
        故・・・!?命の保障は何もないのですよ・・・。(涙を
        拭う。)」
  フランチェスコ「母上・・・。(テレーズに近寄り、手を取る。)私は
           何も死に急いでいる訳ではありません・・・。私が
           求めているものは、母上や父上・・・そして愛する
           者が、心安らかに生きてゆけること・・・ただ、それ
           だけなのですよ・・・。」
  クリストフ「分かった、もう何も言わん!!好きにするがいい!!
        」
  
         クリストフ、上手へ去ろうとして、その方に
         立っていたヴィクトールの側で、一寸立ち止る。

  クリストフ「(ヴィクトールに囁くように。)あの馬鹿者のことを頼ん
        だぞ・・・。」
  ヴィクトール「はいっ!!(頭を下げる。)」
  テレーズ「フランチェスコ・・・(涙声でフランチェスコに抱き寄る。)
        」

         音楽で紗幕閉まる。  
           
    ――――― 第 9 場 ―――――

         紗幕前。
         中央に燕尾服姿にシルクハットの紳士。
         その両側に、美しく着飾った貴婦人、
         遠くを見遣るように立つ。
         大勢の観客の歓声と、馬の駆ける音が
         辺りを包む。

  貴婦人1「フランチェスコ様とルグラン伯、さっきからずっと競り
        合って!!」
  紳士「お互いどちらも譲らないな!!」
  貴婦人2「ああ!!あんな風に競い合ったまま、コーナーに掛か
        るとフランチェスコ様が・・・!!」
  紳士「何て上手い手綱捌きなんだ!!一寸後ろへ下がって、外
     側から回り込んだぞ!!」
  貴婦人1「本当!!」
  紳士「あ!!ルグラン伯、あそこの坂で加速させるのは無謀だ
     !!」
  貴婦人2「落馬するわ!!」

         “わあっ!!”“キャーッ!!”など、其々の
         悲鳴。その時、馬の嘶く声。で、ライト・アウト。
         騒然とする人々の喚声が渦巻く。
         誰のものとも分からない人々の、慌てふためく声。

         「ルグラン伯、確りして下さい!!」
         「ルグラン伯!!」
         「早く医務室へ!!」
         「気を失っているだけで大丈夫だ!!」
         「そっと運べ!!動かすんじゃないぞ!!」

         その時、一際盛大な歓声が響く。

         「フランチェスコ様が優勝だ!!」
         「やっぱりフランチェスコ様だ!!」
         「フランチェスコ、万歳!!」

         歓声が、段々と遠退く。
         と、同時にフェード・イン。(紗幕開く。)

    ――――― 第 10 場 ―――――

         舞台は競馬場。
         (奥方、競技場。その前に柵。)
         辺りは夕暮れ時の様相を表し、夕焼けが一日の
         祭りごとの済んだ会場の後を、赤く染めている。
         そこへ上手よりフランチェスコ、ヴィクトール、
         ぶらぶらと話しながら登場。

  ヴィクトール「今日のおまえは、何時もにも増して、見事だったな
          。」
  フランチェスコ「おまえの方こそ・・・。」
  ヴィクトール「俺はルグラン伯の落馬のお零れで、2位を貰った
          ようなものさ。(笑う。)しかし、おまえ達の後ろに
          ずっと付けていて、おまえ達の競り合いを、ああも
          間近に見せられたんじゃ、俺は突っ込んで行く勇気
          はなかったね。で?如何するんだ、その賞金。(フラ
          ンチェスコの手に持っていた袋を見る。)パーッと繰
          り出して、祝勝会とでも行きますか。」
  フランチェスコ「・・・パンに・・・小麦・・・ミルクに干し肉・・・チーズ
           ・・・。これだけの金があれば、一体どれ程の食料
           が買えるだろう・・・。ヴィクトール!!買い物に行
           くぞ!!」
  ヴィクトール「ええ!?買い物!?」
  フランチェスコ「ああ!!そして、その食料を貧しい者達みんな
           に分けてやろう!!」
  ヴィクトール「(呆れたように。)慈善事業をやろうって言うのか?
          」
  フランチェスコ「慈善事業?そんなつもりはないさ。」
  ヴィクトール「じゃあ何故・・・。」
  フランチェスコ「この金は元々国民のものだ。その金を彼ら自身
           の為に使うのに、慈善事業もないだろ。」
  ヴィクトール「・・・そうだな・・・。よし!!じゃあ、もうひとっ走り、
          町まで繰り出しますか!!」
  フランチェスコ「ヴィクトール・・・ああ!!」

         2人、声を上げて笑い合い、下手方へ歩いて
         行きかける。と、そこへ下手よりカロリーネ登場。
         フランチェスコを認め、一瞬躊躇ったような面持
         とをするが、直ぐ取り直し、フランチェスコの横を
         顔を背けるように、知らん顔で通り過ぎようとする。
         フランチェスコ、そんなカロリーネに気付く。

  フランチェスコ「・・・カロリーネ?」
  カロリーネ「(顔を背けたまま立ち止まる。)優勝おめでとうござ
         います・・・。」
  フランチェスコ「ずっと話したいと思っていました・・・。だが、あの
           日以来あなたは家へ来なくなり・・・お目にかかる
           ことができなかった・・・。」
  カロリーネ「・・・私に・・・どのような顔をして、あなたの前へ姿を
         見せろと仰るのでしょう・・・。もう・・・あなたの側へ仕
         える意味の無くなってしまった私に、あなたはどんな
         お言葉をかけて下さると仰いますの・・・?」
  フランチェスコ「(跪き頭を下げる。)あなたの許しを請う為に・・・
           あなたの気が済むまで、どんな罰でも受ける覚悟
           です。何なりと・・・!!」
  カロリーネ「(フランチェスコを見て、驚いたように。)気高い騎士
         である筈のあなたが、私などに頭を下げるようなこと
         は、為さらないで下さい・・・。屹度・・・私の心の中は、
         あなたを革の鞭で何十回叩こうと、穏やかになろう
         筈がないと・・・思って止みませんでした・・・。けれど
         ・・・本当の心の奥を探ると、もう・・・あなたが私の前
         で、熱心に愛しい方のお話しを為さっていた、その時
         から・・・あなたの愛し方を見せられて、その対象が、
         私でない他の方のものだと分かっていても、私はあ
         なたを憎いと・・・そんな風に感じたことは、唯の一度
         もないのです・・・。」

         黙って頭を下げて聞いていたフランチェスコ、
         頭を上げ、カロリーネを見詰める。

  カロリーネ「・・・生まれた時より決められていた、私の夫となる
         人を・・・例え、思いから始まったのではないとしても
         ・・・私はあなたを心から愛していました・・・。その愛
         しいお方に、一体私がどんな罰を与えられると、お思
         いなのでしょう・・・。さようなら・・・。」

         カロリーネ、フランチェスコから視線を捥ぎ取り、
         足早に上手へ去る。

    









        ――――― “フランチェスコ”6へつづく ―――――












    ※ 気を抜くと、どこを書いているのか分からなくなりそう
      でした~^^;





 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


      (どら余談^^;)

    テンプレートの変更に、アタフタいてしまいました~(>_<)
    クリスマスの次と言えばお正月・・・と言うことで・・・^^;
    こんなのに代えてみました(^_^;)

    “和”なバックに、このお話し・・・ミスマッチな感がしなくも
    ないですが・・・(>_<)お許し下さいm(__)m










         http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
          http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227









“メリー★クリスマス”

2011年12月25日 23時01分00秒 | リトルパインニュース


  
    クリスマスイブですね~(^^♪
    一年で、一番大好きな日です♥

    今年は、初めて少し大人な作品の録音を行い、
    初めて春公演を一本立てにし、
    7周年記念公演の会場を、夢見てた場所で
    行うことに決め・・・
    この、脚本ブログを開設し・・・
    と、色んなことに新たに取り組み、
    一歩一歩前進した一年でした(^^)

    これからもより一層精進し、
    皆さんに喜んでもらえる作品作りに
    励んで行こうと思っています(^^)v
     
   

     
     「メリークリスマス★みんなのところにも、
    沢山の幸せがやってきますように・・・」byクリフ



    
       (前列左より、クリフくん、エリオット王子)
       (後列左より、ジ―クくん、ティンクルちゃん)

   1月の小学校公演は、エリオットくんで行くことにしたので、
   ご挨拶です(^^)v


  
    メリークリスマス(^^♪

   今日はキラキラのイルミネーションを楽しみに、お出かけ
   したいと思います(^^)

   皆さんも素敵なクリスマスイブを、お過ごしくださいね♥





           ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                             代表 どら。





     おまけフォト^^;
     

     撮りたてホヤホヤ・・・^^;
     どこで遊んでいたかバレバレの一枚です(>_<)
     でも、とっても綺麗なイルミネーションでした~♥
     この写真を撮った時は、まだ辺りが明るかったので
     すが、真っ暗になった頃にはもう・・・綺麗だし、寒い
     わで、凍えるかと思いました^^;

     そんな寒空の下、B級グルメ(?)なる屋台の出店で、
     色んなものを食べまくってきました~(~_~;)
     お腹一杯(>_<)・・・です(^^)v
     



   
 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    【私的なおまけ^^;】



     おまけフォト2(^^)
     


   おまけフォト3(^.^)
  


   
     おまけフォト4^^;
     


    元々“絵”をずっと書いていたので、あまり“写真”と
    言ったものには、それ程執着することはありません(^^)
    が、綺麗な写真が撮れると、やっぱり嬉しいです♥

    でも、見て頂いて分かるように、どうしても“絵”的に
    撮ってしまうのは・・・単なる“癖”で片付けてしまって
    いいのでしょうか・・・(^_^;)

    ピンポイントで、この被写体を如何に美しく撮るか・・・
    より、広い視野で対象物全体のコラボを、如何に
    美しく撮れるか・・・を、考えながら撮るのが楽しかった
    です(^^)v
    (今回は、木と空と雲とイルミのコラボです♥)

    ・・・と言いつつ・・・ホントは・・・
    あまり深く考えて撮ってる訳ではありません^^;

    





















“チュー吉くんの星に願いを・・・” ―全7場― 3

2011年12月24日 22時13分22秒 | 新作(人形劇用)


  チュー太の声「わあーっ!!」
  チュー吉の声「兄さん!!」
  チュー太の声「助けて・・・助けてーっ!!」

         チュー五郎、上手方を見て慌てたように。
         (悲鳴や叫び声が続く。)

  チュー吉の声「止めろ!!止めろーっ!!兄さんに手を出すな
           !!あっちへ行け!!」
  チュー太の声「助けてーっ!!わあーっ!!」
  チュー吉の声「止めろーっ!!」

  チュー五郎「おい・・・おい!!オオタカじゃねぇか!!あのトビ
          の野郎!!上手いこと言って騙しやがったな!!
          おい、待ってろ!!(横に置いてあった袋の中をガ
          サゴソ探す。中から何やら一つずつ取り出し、放り
          出す。)これじゃねぇ!!どこだ・・・どこにあるんだ
          !!えっと・・・これも違う!!おい、待ってろよ!!
          今直ぐ助けて・・・!!これは・・・違うだろ!!え・・
          ・っと・・・どこだ・・・どこだ!!(袋の中から、小さな
          火薬玉を取り出す。)あった!!これだ!!」

         チュー五郎、後ろ向きに何かをしている風に。
         (“カチカチ”“シュボッ”と、ライターに火を点ける
         音がする。)

  チュー五郎「(下手方を見て、一際大きな声で。)おーい!!人
          間が来たぞーっ!!(手に持っていた火薬玉を、
          下手方へ放り投げる。)

         その時、火薬の爆発音が辺りに轟く。
         “ドーン!!”(チュー五郎下がる。)

  オオタカの声「猟銃だ!!」
  トビの声「狩りだ!!人間が狩りにやって来たぞーっ!!」

         2羽の鳥の羽ばたく音が、段々遠ざかる。
         (紗幕開く。と、頂上の様子。)

    ――――― 第 6 場 ――――― B
  
         チュー太、倒れている。横でチュー吉、
         慌てたように。

  チュー吉「(涙声で。)兄さん!!兄さん!!確りして!!兄さ
        ん・・・どうしよう・・・!!僕のせいでこんな大怪我を・・
        ・!!兄さん・・・!!確りして、兄さん!!兄さーん!
        !(泣く。)」

         そこへ、上手よりチュー五郎、走り登場。

  チュー五郎「おい、大丈夫か!?」
  チュー吉「おじさん・・・!!兄さんが・・・兄さんがーっ!!」
  チュー五郎「(チュー太を抱き起こす。)おい!!おい、確りしろ
          !!おい、まだ生きてるぞ!!」
  チュー吉「僕のせいだ・・・僕が無理矢理兄さんを、こんなとこま
        で連れて来て・・・(泣く。)」
  チュー五郎「おい、おいチビ!!メソメソ泣いてんじゃねぇ!!
          俺様の袋から、緑色の小瓶を探しな!!」
  チュー吉「兄さーん・・・!!(泣く。)」
  チュー五郎「おい!!急げ!!メソメソ泣いてる暇はねぇ!!
          早くしねぇと、兄貴が死んじまうぞ!!」
  チュー吉「え・・・?」
  チュー五郎「死んじまったらお仕舞いだ!!」
  チュー吉「お仕舞い・・・う・・・うん・・・(袋をガサゴソ探す。)」
  チュー五郎「おい、見つかったか!?」
  チュー吉「え・・・えっと・・・あ・・・あった・・・あったよ、おじさん!
        (取り出したものを、差し出す。)」
  チュー五郎「その中の薬を一粒貸せ!!」     ※
  チュー吉「う・・・うん・・・(薬を取り出し、チュー五郎に差し出す。
        )はい・・・」
  チュー五郎「(薬を受け取り、チュー太の口へ。)おい・・・これ飲
          み込めるか・・・?おい、頑張れ・・・」

         チュー太、薬を飲み込む。と、突然
         起き上がる。

  チュー太「僕・・・」
  チュー吉「兄さん・・・」
  チュー太「あれ・・・僕どうしたのかな・・・?」
  チュー吉「兄さん!!よかった、助かったんだ!!」
  チュー五郎「ふう・・・間に合ったか。(笑う。)俺様の頭陀袋も、
          満更捨てたもんじゃねぇな。」
  チュー吉「・・・おじさんが助けてくれたんだね・・・」
  チュー五郎「あの薬屋のばあさん、本当に効く薬を作ってやが
          るみてぇだな。(笑う。)」
  チュー吉「ありがとう!!(チュー五郎に抱き付く。)」
  チュー五郎「あ・・・おい!!・・・いいってことよ・・・(微笑む。)」

         紗幕閉まる。
 
    ――――― 第 7 場 ――――― A

  チュー吉、チュー太の声「ただいまーっ・・・」

         上手より、チュー吉の母、慌てた様子で登場。
         下手より、気不味そうに、チュー太登場。

  チュー吉の母「これ、チュー吉!!チュー太!!今までどこに
           行ってたの!?」
  チュー太「母さん・・・ただいま・・・」
  チュー吉の母「どれだけ心配したと思ってるの、本当に!!」
  チュー太「ごめんなさい・・・」
  チュー吉の母「よかったわ・・・無事で・・・」
  チュー太「母さん・・・はい・・・(手に持っていたものを、差し出す。
        )」
  チュー吉の母「何・・・?(受け取る。)」
  チュー太「チュー吉と2人で、今まで探しに行ってたんだ・・・。母
        さんの誕生日プレゼントだよ。」
  チュー吉の母「え・・・?これ・・・ダイヤモンドじゃないの・・・。」
  チュー太「うん!キラキラ輝く宝石さ・・・。」
  チュー吉の母「あなた達はホントに・・・(涙を拭うように。)ありが
           とう・・・。」

         チュー吉の母、チュー太下がる。

    ――――― 第 7 場 ――――― B

         音楽流れ、紗幕開く。と、中央にチュー吉、
         嬉しそうに立っている。歌う。

         “目に見える夜空に輝く美しい星
         でも本当は誰の心にもある
         キラキラ輝く美しい思い・・・
         それに気付かず
         見えるものだけ追い求め
         道を逸れそうになった時
         導く光が一番美しく
         誰の心にも深く届く力強い輝き・・・
         それを忘れなければ
         屹度これからの進む道に・・・
         永遠に続いて行く
         キラキラ輝く美しい願い星・・・”

         嬉しそうに遠くを見遣るチュー吉。
         音楽盛り上がり







          ――――― 幕 ―――――               














   ※ ここでは“錠剤”ですが、クリフくん作品では・・・一応
     “液体”のお薬になります^^;
     



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    さて、次回のお話しですが・・・まだ何も考えていない状態
    です(>_<)・・・ので、今しばらく、時間を下さいm(__)m
    直ぐに帰って参ります^^;









       
        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
          http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227