りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ジェフリー” ―全11場― 4

2012年05月05日 18時20分27秒 | 未発表脚本



  ジョナサン「ダイアナ!!(アイリーンの方を向いて。)アイリー
         ン!!気にするなよ!!」
  ハドソン「ダイアナさん!!」

         ジョナサン、ハドソン、ダイアナの後を追って
         上手へ去る。

  アイリーン「・・・私のせいなの・・・?私がジェフリーを独り占めに
         したから・・・。そうなの?ねぇ、リン・・・。」
  リン「そんなこと、ありませんわ・・・!!第一、踊りを教えてくれ
    ると最初に言ったのは、ジェフリーさんの方です。」
  アイリーン「・・・でも・・・それは良い結果を生まなかったのね・・・
         。」

         その時、ジェフリー下手より登場。アイリーンを
         認め近寄る。

  リン「例えそうだとしても、それはアイリーンお嬢様のせいじゃ、
     ありません!!」

         ジェフリー、リンの言葉に驚いたように
         立ち止まる。
         アイリーン、ジェフリーに気付く。

  アイリーン「ジェフリー・・・」
  ジェフリー「・・・お嬢様・・・?(鼻で笑う。)・・・お嬢様って、如何
        言うことなんだよ・・・。」
  アイリーン「・・・ジェフリー・・・(返答に困ったように。)」
  ジェフリー「・・・答えられないってことは・・・そうか・・・おまえは、
        “お嬢様”と呼ばれる女性だった訳だ・・・。(リンを見て。
        )彼女は親友でも何でもない、本当にただのおまえの
        世話係だったんだ・・・。入団希望の用紙に書いてあっ
        たことも、全部嘘だったんだ・・・。」
  アイリーン「ジェフリー!!違うの!!私・・・!!」
  ジェフリー「何を隠しておまえはここへ来たんだ・・・。ここはお嬢
        様の道楽で来るような所じゃない・・・。皆夢を持って、
        必死でその夢に向かって頑張ってるんだ・・・。おまえ
        が如何言うつもりでここへ来たのか知らないが、中途
        半端な気持ちでここへ来たんなら、そう言う人間に対し
        て失礼だと思わないか・・・。」
  リン「あなたの今までの数々の無礼!!お嬢様に対して、本当
     に失礼なのはあなたの方ですわ!!」
  アイリーン「止めて、リン・・・!!いいの・・・」
  リン「でも・・・!!」
  ジェフリー「・・・否定もしない訳だ・・・。(フッと笑って。)したくても
        できないか・・・。理由がないんだからな・・・。」
  アイリーン「・・・何と言われても・・・自分の素姓を隠してたのは
         事実です・・・。でも・・・皆と同じにスタートしたかった
         ・・・。父の・・・目の届かない所で・・・。」
  ジェフリー「・・・父親・・・?」
  アイリーン「・・・私の名前はアイリーン・・・ハーマン・・・。」
  ジェフリー「・・・ハーマン・・・?」
  アイリーン「(ゆっくり頷く。)」
  ジェフリー「・・・カスト・ハーマンの娘・・・?・・・そうか・・・父親に
        頼めば、踊れようが踊れまいが、おまえなら即S・Y・K
        の看板スターにしてもらえたのに・・・!!何も態々、こ
        んな所へ・・・!!それともスパイか何かのつもりか!
        !」
  アイリーン「違うわ!!」
  ジェフリー「さっさと帰れよ!!暖かなお家へ!!」

         ジェフリー、怒りに興奮したように、上手へ
         急ぎ足で去る。

  リン「お嬢様・・・。」
  アイリーン「・・・違うわ・・・違う・・・」

         アイリーン、スポットに浮かび上がり、涙を
         堪えるように歌う。

    ――――― 第 9 場 ――――― B

         “私にとっても・・・
         一つの夢・・・
         未来に託した希望・・・
         願い・・・憧れ・・・夢見た明日・・・
         私にとっても・・・
         変わりはない・・・
         どれ程・・・溢れ返るこの心・・・
         何にも堪え難い
         たった一つの私の意志・・・
         思いに涙した昨日までを
         笑顔で迎える時がくる為に
         やっと飛び出した自由の草原へ・・・
         ただ独りぼっちの私が・・・
         矢張り誰にも分からない・・・
         たった一人の私の陰が・・・
         今は悲しく佇むだけ・・・”

         フェード・アウト。

    ――――― 第 10 場 ――――― A

         カーテン開く。と、音楽が静かに流れる
         カフェ・バー。
         中央に一つのテーブルと椅子。
         ジェフリーとモーリス、向かい合うように座り、
         酒を飲んでいる。

  ジェフリー「(半分酔ったように。)畜生・・・あいつは俺達を騙して
        たんだ・・・。何も知りません・・・って顔してな・・・。」
  モーリス「・・・そんな器用なこと、出来るようには見えないけど
       ・・・。」
  ジェフリー「(モーリスをチラッと見て。)甘いな・・・。(グラスの中
        の酒を、一気に飲み干す。)」
  モーリス「(呆れるようにジェフリーを見て。)で?一体おまえは
       彼女の何に、腹を立ててるんだ?俺には、さっぱり分か
       らんよ・・・。」
  ジェフリー「・・・俺は彼女の一生懸命さに打たれたんだ・・・。こ
        の俺がだぞ!?滅多に人の言動に惑わされることの
        ない・・・俺が・・・彼女の一生懸命な姿に・・・つい昔の
        ・・・初めて俺が劇団の扉を叩いた時の姿をダブらせ
        てしまって・・・彼女の力になりたいと・・・そう思ったの
        が間違いだった・・・!!(酒をグラスに注ぐ。)」
  モーリス「要するに、惚れた女が何もかもさらけ出してやって来
       たんだと思ったら、実は彼女は秘密のベールを一杯被っ
       てたってことが、気に入らなかったって訳だ・・・。」
  ジェフリー「・・・だっ・・・誰が惚れたなんて・・・!!」
  モーリス「昔からおまえはそうだったよ。こと恋愛に関しては、如
       何してそう我が儘なんだろうね・・・。もっと自分の気持ち
       に素直になれよ・・・。」
  ジェフリー「(笑って。)俺が何であんな奴に惚れなきゃならない
        んだ、全く・・・。(グラスに口を付ける。)」
  モーリス「俺は彼女が何処の誰であろうと、関係ないと思うけど
       ね・・・。例えS・Y・Kの回し者だとしても、ダンスが苦手
       で・・・だけどワルツは優雅に踊りこなす・・・。言葉はい
       やに上品で、素直に人の言うことをよく聞く・・・。その彼
       女がうちへ来た時の、輝いた瞳は本物だと思ってたけ
       どな・・・。」
  ジェフリー「・・・俺もそう思ったさ・・・。初めから彼女が本当の自
        分で来ていればな!!」
  モーリス「本当に・・・?」
  ジェフリー「ああ・・・!!」
  モーリス「俺にはおまえが、“金持ちのお嬢様のお遊びに付き合
       ってる暇はない!!”とか何とか言って、彼女を追い返
       すのが目に浮かぶけど・・・。」
  ジェフリー「煩い!!」

         そこへ上手よりリン登場。ジェフリー、モーリス
         を認め、2人の側へゆっくりと。

  リン「(2人の横へ立つ。)・・・あの・・・」

         ジェフリー、モーリス、リンを認める。

  モーリス「やあ、リン・・・。如何したんだい?こんな所へ一人で
       ・・・。」
  
         リン、黙って下を向いている。

  モーリス「まあ、お座りよ。(空いていた椅子を勧める。)」
  リン「・・・すみません・・・。(腰を下ろす。)」
  モーリス「・・・何か話しでも・・・?」
  ジェフリー「・・・お嬢様の言い訳でもしに来たか・・・?」
  モーリス「ジェフリー!」
  リン「あの・・・昨日は失礼しました・・・。(頭を下げる。)ジェフリ
    ーさんのことを無礼だなんて・・・。」
  モーリス「ほう・・・無礼ね・・・。その通りなんだから、謝らなくても
       いいよ。」
  ジェフリー「一々頭にくる奴だな・・・。」
  リン「お嬢様は、決して中途半端な気持ちで、皆さんの所へ来
    られた訳ではありません。」
  ジェフリー「・・・へぇ・・・?」
  リン「普段は従順なお嬢様は、以前、旦那様に一度だけ我が儘
    を聞いて頂いて、お許しを貰い、生まれて初めて舞台と言う
    ものを、見に行かれました・・・。その時の舞台の衝撃につい
    て、お嬢様は後で私に“丸で稲妻にでも打たれたようだ!!
    ”と仰られていました・・・。」

         ジェフリー、テーブルの一点を見詰めたまま。

  リン「その時からお嬢様は、舞台の虜になられ、何としてもその
    世界へ飛び込んでみたいと思われるようになり、一生懸命
    旦那様を説得され、余りの執拗さに、旦那様が折れられたの
    が初めて見た舞台から、3年経った2週間前でした・・・。けれ
    ど、折れられたと言っても、全面的にお許しになられたのでは
    なく・・・1ヶ月の内に、自分の夢を掴めるチャンス・・・自分の
    進むべき道が、見極められなかった時には、夢をきっぱり諦
    め、旦那様の言う通りにすることを約束させられているので
    す・・・。」
  モーリス「でも、何故うちへ・・・?」
  リン「旦那様も、舞台関係の仕事がしたいなら、S・Y・Kにしろと
    仰られたのですが・・・お嬢様は・・・3年前に見た舞台の素晴
    らしさに胸打たされたこの劇団へ・・・この劇団のスターさん
    にずっと憧れて、絶対この劇団へと熱望されて・・・。」
  ジェフリー「・・・3年前・・・?」
  リン「はい・・・。初めて見た舞台は“フォーエバー”・・・その憧れ
    続けたスターさんは、ジェフリーさんです・・・。」
  モーリス「それで・・・。」
  リン「お嬢様はジェフリーさんが、人生の岐路を違えた舞台が“
    フォーエバー”だと知って、それはそれはショックを受けてお
    いででした・・・。」

         ジェフリー、思わず立ち上がる。

  モーリス「ジェフ・・・?」
  ジェフリー「・・・馬鹿・・・だ・・・。何が憧れてた・・・だ・・・。何が“
        フォーエバー”だ・・・。あいつは馬鹿だ・・・!!」
  モーリス「(立ち上がって。)ジェフリー!」

         ジェフリー、モーリス残して、カーテン閉まる。

    ――――― 第 10 場 ―――――

  モーリス「好い加減、素直になれよ・・・。おまえが怪我をしてか
       ら、何に対しても否定的になるのは仕方がないと思って
       いた・・・。けど、さっきおまえも言ってたじゃないか。彼女
       の一生懸命さに打たれたって・・・。おまえの心に割って
       入る者が現れたんじゃないか・・・。」

         モーリス、ジェフリーに訴えるように歌う。
         ジェフリー、呼応するように歌う。
         (2人、掛け合いの歌。)

     モーリス“今ここに立ち尽くす
          大地に根強く足を添わせ
          今やっと未来が輝く・・・
          そんな予感が広がらないか”

     ジェフリー“一体何が未来なのか
           暗闇の世界に一筋の光
           一体その光の向こうは
           輝ける明日なのか違うのか・・・”

     モーリス“考えているばかりで
          たった一歩を踏み出せない
          自分の心に鍵を閉めたのは
          確かに過去の自分なのだから・・・”

     ジェフリー“過去の自分は何の躊躇いも
           迷いもなくただ真っ直ぐに
           希望に満ちた明日を信じた
           それは永遠に続くものと・・・”

     2人“その通りなんだ
        信じた心が真実に
        迷いは深く深く沈み込む
        心を開いて見詰めれば
        見えてくる筈 夢へと続く
        ただ一本の道が・・・
        目を逸らした昨日の間違いに
        屹度気付く筈・・・”

         瞳を輝かせ、彼方を見遣るジェフリー。
         そんなジェフリーの様子に、安堵の表情を
         浮かべるモーリス。
         フェード・アウト。

    ――――― 第 11 場 ―――――
  
         カーテン開く。と、稽古場。
         来た時と同じワンピースに身を包み、
         鞄を肩から提げたアイリーン、中央に
         佇み歌う。
         途中、上手よりジョナサン、ハドソン登場、
         淋しそうに歌うアイリーンを見ている。

         “ありがとう・・・
         夢を見させてくれて・・・
         希望に満ちた輝ける日々よ・・・
         今までの人生で・・・
         一番自由に私らしく・・・
         歩めたほんの少しの日々よ・・・
         忘れない・・・
         決して忘れない・・・
         あなたのことを・・・”

  アイリーン「(溜め息を吐いて、愛おしそうに回りを見回す。)・・・
         さよなら・・・。」
  ハドソン「・・・本当に行っちゃうの?」
  
         アイリーン、振り返って2人を認める。

  ジョナサン「何も出て行かなくても・・・!折角、入団テストまで漕
         ぎ着けたってのに・・・。」
  アイリーン「(首を振る。)今まで・・・短い間でしたけど・・・本当に
         ありがとうございました・・・。」
  ジョナサン「何も最初から、俺達を騙すつもりで来たんじゃないん
         だろう?」

       








    ――――― “ジェフリー”完結編へつづく ―――――











 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


       (おまけフォト^^;)

       

     犬バージョンの“プッチくん”と、グーグル版“ワールド”
    で、音声をお聞き頂いた中に登場していた“ジョン”くん
    です(^^)v

    プッチくんは、関節をつけて、手足が動くように作ったの
    ですが・・・分かりますか・・・?左後ろ足の関節から下
    部分が取れてしまってます~・・・^^;
    
    


   

   (左より)魔法使い・アナベル・ジュリー・プッチ・村長・犬3

    昨日の練習後に、プログラム用に撮った写真です(^^)
   本当はこの倍以上のお人形が、このジュリーちゃん作品に
   は登場します^^;
   こう見てもジュリーちゃん、やっぱり中々の美人さんです♥
   終演後にはお見送りに出ます(^^)vぜひ間近で、この
   ジュリーちゃん、ご覧になりにいらして下さい(^.^)









http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

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1 コメント

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ぱぴこ (papiko75w@yahoo.co.jp)
2012-05-01 07:36:18
はじめまして!ヾ(〃 ̄ ̄ ̄ ̄▽ ̄ ̄ ̄ ̄〃)ノ ハロハロー♪ 初めてコメント残していきます、おもしろい内容だったのでコメント残していきますねー私もブログ書いてるのでよければ相互リンクしませんか?私のブログでもあなたのブログの紹介したいです、私のブログもよかったら見に来てくださいね!コメント残していってくれれば連絡もとれるので待ってますねーそいじゃ☆゜・..・゜・..・゜★゜・..・゜・..・゜☆゜・..・゜★アドレス残していくのでメールしてね!そいじゃ☆゜・..・゜・..・゜★゜・..・゜・..・゜☆゜・..・゜★
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