りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“Thank you!B・J” ―全○場― 4

2013年05月24日 21時17分02秒 | 未発表脚本



    ――――― 第 6 場 ――――― A

         前方下手スポットに、バート浮かび上がる。

  バート「さて、その日よりアダムス邸には、毎日のようにマーク
      様がお見えになり、何やらB・Jお坊ちゃんにちょっかいを
      出してはお怒りを買い、それが楽しいご様子でありました
      。奥様もそんなご兄弟のように戯れあうお2人を、微笑ま
      しく見ておいででしたが、ある日、何かを思いついたよう
      にお屋敷で、親しい者達を招いてパーティを開くとお申し
      になられたのです。突然のことに我々使用人は、その準
      備にてんてこ舞いとなったのは言うまでもございません。
      そして無事、準備も整いパーティ当日・・・」

    ――――― 第 6 場 ――――― B

         前方下手スポット、フェード・アウト。
         音楽流れ、舞台明るくなる。(紗幕前。)
         上手よりB・J登場。歌う。

         “博学多才・・・
         言葉遣いも丁寧な
         凛としたたたずまい
         あんな風にこの俺が
         なれると言うの いつの日か・・・
         誰が見てもいいとこの
         お坊ちゃまじゃないか あの野郎・・・
         何故か頭にくるあの余裕
         なのにいつもまとわりつく
         何て野郎だ目障りだ
         だけど少し・・・気にかかる・・・”

  B・J「畜生、マークの野郎・・・!あれから毎日毎日来ては、俺に
     なんやかんや、いちゃもんつけやがる!せっかく今まで婆ち
     ゃんの言うことを聞いて、いい子にしてきたってのに・・・あ
     いつのせいで、なんか調子狂うんだよな・・・」

         その時、下手よりマーク登場。

  マーク「B・J!いたいた、こんなとこに!」
  B・J「何だよ!また来たのかよ。毎日毎日、余程ヒマなんだな、
     おまえ。そんなんで兄ちゃんみたいな立派な医者になれん
     のかよ!」
  マーク「いいじゃないか。この間まで受験勉強一色だったし、新
      学期が始まれば始まったでまた勉強勉強・・・この休みの
      間くらい、人間観察に時間を使ってもさ!」
  B・J「人間観察・・・?なんだ、それ。誰を観察しに来てんだよ!
     あ、そっか!この家はバートさんやルーシー達みたいな人
     が沢山いて、人間観察するには持って来いだもんな。」
  マーク「そう言うことさ!それにしても君・・・その言葉遣い・・・中
      々直らないみたいだね。(笑う。)」
  B・J「いいだろ別に。それにおまえの前だけだよ。婆ちゃんの前
     ではちゃんと喋れるようになったんだ!なのに何でか、おま
     えには敬語が使えねぇんだよなぁ・・・(首を捻る。)」
  マーク「面白いな・・・(笑う。)」
  B・J「面白がってんじゃねぇよ!それより今日は、婆ちゃんの思
     いつきでやることになったパーティだろ?夜始まるパーティ
     に、何でこんな早い時間から・・・」
  マーク「いいんだよ。ところでB・J、今日のパーティに誘うステデ
      ィはいるのかい?」
  B・J「ステ・・・い・・・いねぇよ、そんなの・・・」
  マーク「じゃあ、いとこのマグリットを紹介するよ。丁度、君と同じ
      歳で・・・」
  B・J「(マークの言葉を遮るように。)いいよ!!」
  マーク「何だよ、ダンス踊れないのか?」
  B・J「ダンスなんかしないよ!!」
  マーク「(笑う。)そんなムキになるなよ。ダンスくらい、教えてや
      るからさ。(B・Jに手を差し出す。)ほら・・・」
  B・J「(驚いたように、マークの手を見て。)な・・・なんだよ!!
     何でおまえとダンス踊んなきゃなんないんだよ!!」
  マーク「何テレてるんだよ。いいじゃないか、ダンスくらい。」
  B・J「テ・・・テレてなんかいねぇ!!」
  マーク「じゃあいいだろ?男同士だってさ。」
  B・J「・・・男同士・・・あ・・・ああ!そりゃあ別に・・・男同士でも・・・
     何でも・・・」
  マーク「(微笑む。)じゃあほら・・・!(B・Jの手を取る。)」

         紗幕前、フェード・アウト。
         豪華な音楽、段々大きく。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         舞台、明るくなる。と、アダムス邸大広間。
         沢山の美しく着飾った人々、談笑したり
         ワルツを踊ったりしている。
         その時、上手よりジムの押す車椅子に乗った
         ミセスアダムス登場。

  ジム「ミセスアダムス、久しぶりにパーティの誘いがあって、驚い
     ていたのですよ。この間お会いした時に、随分とお加減が
     いいご様子だったので安心していたのですが、また行き成
     りこんな盛大なパーティを開くだなどと言い出されて、まだ
     体調の回復と見合わせ、ご無理ではないかと案じていたの
     です。」
  ミセスアダムス「先生・・・私、先生にお礼申し上げなくてはなり
            ませんわ。」
  ジム「お礼・・・?」
  ミセスアダムス「ええ。本当に先生には心から感謝していますの
            よ。」
  ジム「と言いますと・・・?」
  ミセスアダムス「孫達が遠く離れた土地へ行ってからと言うもの
            、毎日鬱々と過ごしていた私ですけれど、先生
            の勧めに従って、新しい風を取り入れることを承
            知して本当によかったと・・・」
  ジム「・・・B・Jですか?」
  ミセスアダムス「ええ・・・。あの子のお陰で、何れ程私が元気を
            取り戻すことができたか・・・。先生にはお分かり
            でしょう?」
  ジム「それはもう、ミセスアダムスのお顔を拝見しているだけで、
     その変化は一目瞭然だと感じていました。」
  ミセスアダムス「私、最初はそんな得体の知れない子どもを、我
            が家に上げていいものかと、それは心配しまし
            たけれど、何より私が信頼しているグレイ先生が
            治療の一貫と・・・先生が勧める荒療治をダメ元
            で受けることにしましたのよ。」
  ジム「ダメ元・・・?」
  ミセスアダムス「あら、私ったら・・・(フフフと笑う。)ダメ元だなん
            て言葉・・・B・Jの影響かしらね。良くも悪くも・・・
            今の私にとってあの子は・・・もうなくてはならな
            い家族ですの・・・。」
  ジム「ミセスアダムス・・・」

         そこへ下手より、2人の姉妹(マグリット、
         マーサ)、楽しそうにはしゃぎながら登場。
         ミセスアダムスを認め、駆け寄る。

  マグリット「お祖母様!!」
  マーサ「お祖母様!!」
  ミセスアダムス「まぁ、マグリット、マーサ、よく来たわね。」
  マグリット「今日はお招き頂いてありがとうございます、お祖母様
        !」
  マーサ「光栄ですわ、お祖母様!」
  ミセスアダムス「それは良かったこと。グレイ先生にちゃんとご
            挨拶なさい。」
  マグリット「はい!グレイ先生、こんにちは!」
  マーサ「こんにちは!お久しぶりです、先生!」
  ジム「こんにちは。2人共、相変わらず元気そうだね。」

         マグリット、マーサ、嬉しそうに顔を
         見合わせる。

  マグリット「ええ!」
  マーサ「とっても!」
  マグリット「お祖母様のお家でパーティなんて、いつ以来かしら
        ・・・」
  マーサ「いとこのアラン一家が、遠く離れた場所へ引っ越して以
       来でしょ?」
  マグリット「あれからのお祖母様は、とてもお加減が悪そうで、パ
        ーティどころではなかったから、久しぶりの今日のパー
        ティが私、嬉しくて!」
  マーサ「私もよ!お祖母様のお家のパーティは、いつも盛大で、
      毎回とても楽しみにしていたのよ!」
  ミセスアダムス「まぁまぁ2人共、それでは今日はゆっくり楽しん
            で行って頂戴。後で皆に、少し報告することもあ
            るのよ。」
  マグリット「報告?」
  マーサ「わぁー・・・何かしら。」
  マグリット「いいこと?お祖母様!」
  ミセスアダムス「さぁね。それは後のお楽しみよ。」
  マーサ「意地悪ね。」
  マグリット「本当。」

         マグリット、マーサ、笑い合う。

  ミセスアダムス「さぁさぁ、美味しいものでもつまんでいらっしゃい
            。」
  マグリット「はい、お祖母様!」
  マーサ「それじゃあグレイ先生!」
  ジム「また後で。」
  
         マグリット、マーサ、はしゃいだ様子で
         ミセスアダムス達から離れ、一寸後方へ。

  ジム「ミセスアダムス・・・さっき仰った報告って一体・・・」
  ミセスアダムス「それは先生にもまだ内緒ですわ。後のお楽しみ
            に取って置いて下さいな。でも、とても・・・いいこ
            とですのよ。さ、先生、私達も何か少し頂きに参
            りましょう。私、さっきからお腹がペコペコ・・・(笑
            う。)」
  ジム「そうですね。」

         ジム、ミセスアダムスの乗った車椅子を
         押しながら、下手へ去る。
         入れ代わるように上手より、正装した
         マーク登場。続いて正装したB・J、回りを
         キョロキョロ見回しながら登場。

  B・J「わぁーっ・・・今日は一段とお屋敷の中が豪華に見える・・・
     」
  マーク「パーティは?初めてかい?」
  B・J「決まってるだろ!俺・・・今までこんなキラキラした洋服だっ
     て、着たことないや・・・」
  マーク「(笑う。)その割には、よく似合ってるじゃないか。」
  B・J「・・・う・・・うるせぇな・・・」
  マーク「さて・・・と・・・(回りを見回す。)」
  B・J「(呟くように。)・・・嬉しくないや・・・褒められたって・・・」
  マーク「(マグリットを認め、手を上げて呼び掛ける。)マグリット!
      」
  B・J「・・・マグリット・・・?」
  マグリット「(マークを認め。)マーク!」

         マグリット、マークの側へ。マーサ続く。

  マグリット「久しぶりね、マーク!」
  マーク「こんにちは、マグリット、マーサ!」
  マーサ「こんにちは!」
  マーク「今日はまた一段と華やかなパーティだね。お祖母様の
      気合の入り具合が分かるようだ。(笑う。)」
  マグリット「あら、あなたもそう感じて?私達もさっきから、いつも
        以上に盛大なパーティに、圧倒されていたところなの
        よ。」
  マーサ「(B・Jに気付いて。)マーク、そちらの方は?」
  マーク「ああ、僕の友人で、今はこの屋敷でお祖母様と一緒に
      暮らしているB・J。B・J、こちらの2人は僕のいとこのマグ
      リット、マーサ姉妹だよ。」
  マグリット「初めまして、B・J。」
  マーサ「こんにちは。」
  B・J「・・・こんにちは・・・」
  マグリット「あなたもK大附属のハイスクール生なの?」
  B・J「(俯いて首を振る。)・・・僕は・・・」
  マーサ「どうしてお祖母様と一緒に暮らしていらっしゃるの?」
  マグリット「お祖母様とはどう言ったお知り合い?」
  マーサ「それにしてもお祖母様、どうして急に元気になられたの
       かしら?」
  マグリット「そうよね、ついこの間までベッドの中で横になったき
        り、起き上がることもままならないご様子だったのに。」
  マーサ「あなたと一緒に暮らしていることと、何か関係があるの
       かしら・・・」
  マグリット「それにしても今日のパーティは盛大よねぇ。」
  マーサ「こんなに沢山のお客様をお呼びして・・・」
  マグリット「皆さん、とても素敵に着飾っていらっしゃるわ。」
  マーサ「本当!私達もこのドレスを選ぶのに、随分時間がかか
       ったのよ!」
  マグリット「ねぇ!」
  マーサ「どう?マーク、私達!」
  マーク「(微笑んで。)とても綺麗だよ、2人共・・・。」
  マグリット「まぁ・・・」
  マグリット・マーサ「ありがとう。」
  マーサ「(下手方を見て。)あ、お姉様!アンナ達が来たようよ。
       」
  マグリット「(下手を見て。)あら、本当。(B・Jの耳元で。)後で私
        とワルツを踊って下さいね。」
  B・J「え・・・?」
  マグリット「じゃあ、マーク!」
  マーサ「また後で!」
  マーク「じゃあ!」

         マグリット、マーサ、下手へ去る。

  マーク「何だって?マグリット。」
  B・J「べっ・・・別に・・・」
  マーク「ふうん・・・」
  B・J「ど・・・どうして女って、ああお喋りなんだろうな・・・」
  マーク「え?」
  B・J「口を開けば、他人がどうとかドレスがどうとか・・・もっと他
     に考えることはないのかね・・・」
  マーク「(思わず笑う。)B・J・・・」
  B・J「何だよ・・・何が可笑しいんだよ・・・」
  マーク「いや・・・別に・・・。ごめんよ、何だか君の口から意外な
      言葉が飛び出したもんでさ。」
  B・J「意外・・・?」
  マーク「ああ、ちょっとね・・・」
  
         そこへ下手より登場したジム、B・Jとマーク
         を認め、嬉しそうに近寄る。

  ジム「やあ!」
  B・J「(ジムを認め。)兄ちゃん。」
  マーク「グレイ先生、もういらしてたんですか?」
  ジム「ああ。ミセスアダムスの診察も兼ねて、少し早めにね。」
  マーク「そうですか。」
  ジム「そう言うマークも、結構早くから来てたようだけど?」
  マーク「ええ・・・」
  ジム「何だかんだ言ってB・J!マークと仲良くやってるみたいじ
     ゃないか。」
  B・J「ち・・・違うよ、兄ちゃん!こいつ、あれからしょっちゅう家来
     て、俺にまとわりついて鬱陶しいったらありゃしない・・・」
  マーク「それは酷いな。」
  B・J「だってそうだろ!」
  マーク「僕は休みの間の、自由研究をさせてもらいに通ってるん
      ですよ。」
  ジム「へぇ・・・」
  B・J「自由研究・・・?おまえ、人間観察に来てるんだって言って
     なかったか?」
  マーク「その通り!その人間観察が、僕の自由研究・・・って訳
      さ。」
  B・J「何だそれ。」
  ジム「人間観察・・・?」
  マーク「はい!先生は・・・お気付きでは・・・」
  ジム「ん・・・?」
  マーク「・・・いえ・・・別に・・・」
  B・J「この屋敷には、バートさんやルーシーみたいな人が沢山
     いるから、人間観察するのに丁度いいんだってさ。・・・その
     割にはおまえ・・・いっつも俺についてウロウロしてんな。何
     でだ?」
  マーク「B・J、曲りなりにも僕は君より年上なんだぞ。おまえ呼ば
      わりはないだろ・・・?」
  B・J「あ・・・わりぃ・・・つい・・・」

         その時、下手よりバート登場。

  バート「皆様、奥様からご挨拶が御座います。しばしの間、お静
      かに願います。」

         音楽止まり、踊ったり談笑していた人々、
         静かに段上を見る。
         そこへ、後方段上に、ルーシーの押す
         車椅子に乗ったミセスアダムス登場。

  ミセスアダムス「皆様、本日はようこそおいで下さいました。暫く
            の間、私、加減を悪くしておりましたけれど、漸く
            この通り以前同様、元気に過ごすことが出来る
            ように回復致しました。本日はご心配頂いた皆
            様に、感謝の気持ちを込めて、このパーティを主
            催した次第です。」

         (一同拍手。)








      
   ――――― “Thank you!B・J”5へつづく ―――――

























2013年5月16日 保育所公演日記♪

2013年05月18日 21時56分46秒 | 公演日記




    3013年5月16日(木)


     今回は、某公立の保育所で公演させて頂いて来ました。
   
    保育所と言うことで、小さな子どもさんも沢山いたのですが、

    人形劇に反応しながら、一生懸命見てくれていて、とても

    賑やかで楽しい一時を過ごすことができました♥

    




         9:30   ・・・   保育所到着。



                    


                
            舞台設置。公演準備。
               




    

                舞台設置完了。



                    ↓




    

     子ども達が入ってくるまで、自分達の準備をしながら
    待っているところです(^-^)

    ・・・私は・・・足だけ映っていますね・・・(^^;



    

    10:20   ・・・   “楽しい森の仲間たち”開演。



                   
    





    

     3月に公演した時に、「岩が落ちた」教訓を生かし、
    今回は1人の団員がずっと手で押さえてくれていました。
    



    






    10:35   ・・・   “楽しい森の仲間たち”終演。



                     




    10:40   ・・・   “ピンクのももちゃん”開演。



    
    

     ももちゃんの向こうに、背景を押さえている手が見える
    でしょうか・・・?(^^;

    実は今回は“岩”は落なかったのですが・・・ももちゃんの
    背景が途中で剥がれてしまったのでした~(>_<)
    
    その時に手空きの団員が絵を押さえていたのですが、
    保育所の先生が一人、テープを持って飛んで来て下さり、
    応急処置的に貼り直して下さったのです。
    ・・・が・・・
    最後の最後に再び剥がれ落ちてしまいました~(^_^;)
    
    どの先生が来て下さったのかは覚えていませんが、
    「ありがとうございましたm(_ _)m」



                     


    

     写真はピンボケですが、背景を押さえる手はバッチリ
    分かりますね(^^;



                   
                     ↓



   
    

       ↑  背景、風前の灯状態フォトです^^;





    







          10:55   ・・・   公演終了。


              
                    


     
                片付け。撤収。







    

     


      今回も沢山の方々のお手伝いと協力の元、無事終了

      することができました♥

      キラキラした可愛い瞳にも出会うことができました♪

      お世話頂いた皆様、本当にありがとうございました

      m(_ _)m


      
      さて、公演後談でありますが・・・

      喜んで頂けたようで、こんな風に公演に行かせて頂い

      た先で、次公演の依頼をその場で受けることは、今ま

      でありませんでしたが、初めて今回、2月26日にされる

      お楽しみ会での公演をお願いされ、帰って来ました♥
       
      とても嬉しいことだと思っています!

      そして・・・新作書きに追われます(^^;
      
      


                  ミュージカル人形劇団リトルパイン

                                 代表 どら。








― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)

    先日、取材に来て頂いたボランティア冊子のfree paper
    “comvo”誌が出来上がり、大阪市内の主要地下鉄駅など
    で配布が始まりました(^O^)

    小さく載せて頂いているので、機会があればご覧になって
    みて下さい(^-^)
    

















“Thank you!B・J” ―全○場― 3

2013年05月10日 20時13分19秒 | 未発表脚本


         音楽流れ、ミセスアダムス、B・J歌う。

      ミセスアダムス”先ずお返事は「はい」よ”  

  B・J「はいっ!」

      ミセスアダムス“ご挨拶は「ごきげんよう」”

  B・J「ごきげんよう・・・」

      ミセスアダムス“下がる時には「失礼します」”

  B・J「失礼します・・・」

      ミセスアダムス“感謝の気持ちは・・・”

  B・J「おおきに!!」
  ミセスアダムス「B・J!!」
  B・J「(舌を出す。)」

      ミセスアダムス“少しずつ教えましょうあなたに
                何から教えればいい?
                今まで何を教わってきたの?
                きっと何も教わってないのね
                いいわそれならそれで
                この私があなたに2ヶ月間
                みっちり教えましょう”

      B・J“俺は今までこんな
         礼儀作法なんて聞いたことない
         そんなの知らなくても
         腹が空かなきゃそれでいい”

      ミセスアダムス“違うわあなた間違っている
                人として生きていくうえで
                大切なのは・・・”

  B・J「食べること!」

      B・J“食べなきゃ生きていけないぜ”

  ミセスアダムス「それはそうだけれど・・・」

      B・J“だから食べる為にやることは
         何でも正しい生きる知恵”

      ミセスアダムス“違うわそれは考えて
                食べたい感情だけで生きるなど
                人でなくても出来ること
                そんなのは間違ってるのよ人として”

  B・J「婆ちゃんは・・・こんなでっかいお屋敷に今まで住んできて
     ・・・腹が減って腹が減って、死にそうになったことがないか
     ら、そんな綺麗事が言えるんだ・・・」
  ミセスアダムス「B・J・・・」

      B・J“昨日も一昨日も食べてない
         明日も明後日も空腹だ
         だからパンを盗むんだ
         だからゴミ箱漁るんだ!”

  B・J「父ちゃん母ちゃんが死んじまって・・・院長先生に拾われる
     まで・・・俺は生きる為に毎日毎日必死だった・・・。いつ死
     ぬんだろ・・・いつ父ちゃんや母ちゃんのとこに行く日が来る
     んだろって、そればっか考えてたんだ!!礼儀作法なんか
     糞くらえだ!!そんなの何の腹の足しにもなんねぇ!!(
     背を向ける。)」     

         ミセスアダムス、B・Jに近寄りそっと
         抱き寄せる。

  ミセスアダムス「そうね・・・ごめんなさい。」
  B・J「・・・婆ちゃん・・・」
  ミセスアダムス「私は恵まれた生活をしてきたのね・・・。今まで
            辛い思いをしてきたあなたの苦労を、全部は分
            かってあげられないかも知れないわ・・・。でもね
            B・J・・・いくら今までがそうでも、これからのあな
            たの人生にとって、今から学ぶ礼儀作法やマナ
            ーは、きっと役に立ったと思う時がくる筈よ。だか
            ら私と一緒に、色々お勉強しましょう。どう?」
  B・J「婆ちゃん・・・うん・・・あ・・・はい・・・」

         ミセスアダムス、微笑んでB・Jを見る。
         暗転。

    ――――― 第 5 場 ――――― A

         前方下手スポットにバート、浮かび上がる。

  バート「さて、それからの奥様と言うもの・・・昨日までのベッドで
      塞ぎ込んでいた様子とは打って変わって、我々が見てい
      ても生き生きとB・Jお坊ちゃんの教育に夢中になってお
      いでのご様子でありました。当のB・Jお坊ちゃんと言うと
      、最初の頃は色々と問題を起こされたりしておいででした
      が、夏休みも半分を過ぎた頃からでしょうか、外見は誰が
      見ても良家のお坊ちゃまと言った風情を醸し出し、お屋敷
      へ来られた頃に比べると、見違えるような成長ぶりでござ
      いました。」 

    ――――― 第 5 場 ――――― B

         舞台明るくなる。と、屋敷の食堂。
         ミセスアダムスとB・J、向かい合って
         座り、食事をしている。
         (ルーシー、時々出入りして、給仕を
         している。)

  ミセスアダムス「(B・Jの食事風景を、微笑ましく見ている。)随
            分、ナイフとフォークの使い方が上手くなったこ
            と・・・」
  B・J「・・・え?(ナイフとフォークを持つ、両手を見る。)」
  ミセスアダムス「だって、ここへ来た当初は何でも手掴みで食べ
            ていたあなたが、今はそうやってナイフとフォー
            クを使って、きちんとお食事をしているわ。音も
            立てずにね。」
  B・J「(口に運ぼうとしていたフォークから、食べ物が転がり落ち
     る。)あ・・・!!(慌てて椅子から下り、床に転がった食べ
     物を拾い、思わず口に入れようとする。)」
  ミセスアダムス「B・J!」
  B・J「(テーブルの下から顔を出し、気まずそうに舌を出す。)」
  ミセスアダムス「褒めた側からそれでは困りますよ!」
  B・J「・・・ごめんなさい・・・(椅子に座る。)」
  ミセスアダムス「まぁ・・・それにしても随分な成長ぶりですよ。グ
            レイ先生が次に来られた時には、あなたの様子
            を見てきっと驚かれることでしょう。」
  B・J「兄ちゃんがお医者様だったなんて・・・」
  ミセスアダムス「ええ、グレイ先生はとても腕のいいお医者様で
            ね。以前はK大学病院にお勤めになられていた
            のだけれど・・・」
  B・J「・・・以前は・・・?」
  ミセスアダムス「今は辞めておしまいになられたのよ。先生は、
            K大学病院の頃から私の主治医の先生で、ずっ
            と頼りにして、診て頂いていたのだけれど、突然
            お辞めになられると言うので、先生の腕と人柄
            に全信頼を寄せる私も、先生の後を追って今で
            は公園の簡易治療所の患者の一人と言う訳で
            すよよ。(笑う。)」
  B・J「え?」
  ミセスアダムス「ほら、あの街外れの木が沢山、生い茂ってとて
            も美しい公園・・・」
  B・J「あの公園だ・・・」
  ミセスアダムス「若いのに腕は確かで、あのまま大学病院に残
            っていれば、将来は教授の椅子も夢ではないと
            言われる程の、優秀な先生だったのだけれど・・・
            (クスッと笑う。)変わった先生でね・・・公園のベ
            ンチでいつもゴロゴロしているのを聞きつけた、
            具合の悪い人達がいつの間にか集まって来る
            ようになって・・・気付けば俄診療所が出来上が
            ってるんですよ・・・。しかもお金なんか一切貰わ
            ずに、無料で診てくれる腕のいいお医者様と評
            判が評判を呼んで、今ではいつお休みになられ
            てるのかと、こちらが心配になるくらい、毎日毎
            日沢山の患者さんを診ていらっしゃるのよ・・・」
  B・J「けど・・・僕が出会った時は誰も・・・」
  ミセスアダムス「ああ・・・きっと休憩時間だったのね。(笑う。)」
  B・J「休憩時間・・・?」
  ミセスアダムス「ええ、いつでも自分のお休みなんかは二の次
            に、患者さんがいると聞けばどこへでも飛んで行
            くような先生でしょ?公園へもひっきりなしに病
            人が来るものだから、お休みになる暇がない先
            生を、回りの皆が心配してお昼寝の間だけは、
            先生にゆっくり休んで頂く為に、あのベンチで横
            になられている時は、誰も声をかけたりはしない
            のよ。」
  B・J「そうなんだ・・・」
  ミセスアダムス「勿論、先生はそんなことをお知りにはならない
            わ。だってそんなことをお知りになったら、きっと
            もっとご自分からウロウロと病人を捜しに行って
            しまわれるような先生だから・・・」

         その時、上手よりバート登場。

  バート「奥様、グレイ先生がお見えになりました。」
  B・J「兄ちゃんが!?」
  ミセスアダムス「まぁ、久しぶりだこと。バート、こちらへお通しし
            て。ルーシー、先生のお席を用意して頂戴。」

         バート、頭を下げて一旦上手へ去る。

  ルーシー「はい、奥様。」

         ルーシー、後方棚の上から食器を取り、
         テーブルの上へ並べる。
         一時置いて、上手よりジム登場。

  B・J「兄ちゃん!!」
  ジム「よぉ、元気だったか?」
  B・J「何だよ!!ちっとも来てくれないで!!」
  ジム「(笑う。)悪い悪い。」
  ミセスアダムス「本当ですよ、グレイ先生。B・Jを我が家によこ
            しておいたまま、一度も顔を見せないなんて。」
  ジム「ミセスアダムス、申し訳ありません。少し大学の方から頼
     まれごとがあって・・・。」
  ミセスアダムス「まぁ・・・」
  ジム「それにしてもミセスアダムス、随分と顔色が以前と違って
     見違えるように明るいですね。B・J効果ですか?(笑う。)」
  B・J「なっ・・・何だよ、兄ちゃん!B・J効果って!」
  ミセスアダムス「そうかしらね。確かに近頃の私は、以前の私と
            は打って変わって、寝込む暇がない程、忙しくし
            ておりますからね。(笑う。)」
  ジム「それは何よりです、ミセスアダムス。(B・Jを見て。)おまえ
     も随分と垢抜けたじゃないか。そうやってナイフとフォークを
     手に、黙ってテーブルについている姿は、いいところのお坊
     ちゃまだと言われれば、何の疑いもなく皆が信じてしまうだ
     ろうな。」
  B・J「・・・本当に?」
  ジム「ああ。(微笑む。)」
  B・J「へへ・・・(照れ笑いする。)」
  ミセスアダムス「グレイ先生、お席を用意させましたから、一緒
            に昼食をお召し上がりになって下さいね。」
  ジム「それは有り難いのですが、今日はまた午後から大学でオ
     ペがあるので・・・」
  ミセスアダムス「まぁ・・・お忙しいのね・・・。先生はまた大学へ
            お戻りになられるおつもりですの?」
  ジム「いえ、そのつもりは全くありませんよ。僕はこれからも公園
     の俄診療所の医師を続けていくつもりです。ただ大学では
     とてもお世話になってきて、今の僕がある訳ですから・・・。
     僕を必要と言ってくれるのであれば、いくらでも協力は惜し
     まないつもりにしているのです。」
  ミセスアダムス「そう・・・」
  B・J「・・・もう帰っちゃうんだ・・・」
  ジム「何しょぼくれてんだよ。(笑う。)」
  B・J「しょ・・・しょぼくれてなんか・・・!!」
  ジム「おまえがそんなに、俺と会えなくて淋しいと思ってくれてる
     なんて知らなかったなぁ。」
  B・J「う・・・うるせぇ・・・!!」
  ジム「(微笑む。)そんな顔すんなよ。今日はその変わり・・・おま
     えに友達を連れて来てやったんだ。」
  B・J「・・・友達・・・?」
  ジム「(上手方を見て、手を上げる。)おい!」

  声「はい!」

         その時、上手よりきちんとした身形の
         一人の少年(マーク)登場。

  ジム「マーク!こっちだ。」
  マーク「はい、先生。」
  ミセスアダムス「まぁ・・・マークじゃないの。」
  マーク「お久しぶりです、お祖母様。ご機嫌は如何ですか?」
  ミセスアダムス「ええ、ありがとう。この通り元気ですよ。」
  ジム「B・J!こいつはミセスアダムスの遠い親戚に当たる、マー
     ク・ジョセフ・アダムス。歳は幾分おまえより上だが・・・同じ
     男同士、仲良くなれるんじゃないかと思ってさ。」
  マーク「こんにちは!君がB・J?」
  B・J「(下を向いたまま頷く。)」
  マーク「よろしく、B・J!(手を差し出す。手を出すのを躊躇うB・
      Jの手を取り握る。一瞬怪訝な面持ちをするが、直ぐに笑
      顔に戻る。)」
  ミセスアダムス「それにしてもマーク・・・暫く見ないうちに、随分
            立派な男の子になって・・・。」
  マーク「いえ、僕なんかまだまだですよ、お祖母様。」
  ミセスアダムス「お父様、お母様はお変わりなくお過ごし?」
  マーク「はい、父も母もお祖母様に宜しくと申しておりました。」
  ミセスアダムス「そう・・・。嘸かしお父様、お母様はあなたのこと
            を、頼りになさっているのでしょうね。」
  マーク「いえ、そんな・・・」
  ジム「今度マークは、K大附属のハイスクールに合格して、あの
     小生意気だったハナタレ小僧が、僕の後輩になると言う訳
     ですよ。」
  ミセスアダムス「まぁ・・・それはおめでとう。」
  マーク「ありがとうございます、お祖母様。でも、嫌だなジム先生
      、ハナタレだなんて。ジム先生のようになりたくて、頑張っ
      てきて、無事後を追うことが出来ると決まって、僕として
      は感慨もひとしおだと言うのに。」
  ジム「それで大学の近くに下宿することになって、昨日こっちへ
     出て来たと言う訳なのです。」
  ミセスアダムス「あら、下宿などせずにうちへ来ればいいのに。」
  マーク「ありがとうございます。けど一度、父や母やばあやなど
      と離れ、自分一人の力で生活してみたかったのです。」
  ミセスアダムス「・・・そうなの・・・?」
  マーク「はい。お祖母様のお側にいては、きっと甘えてしまって、
      僕はこのまま成長できないでしょうから・・・。」
  ミセスアダムス「あなたに限って、そんなことはないと思うけれ
            ど・・・」
  ジム「マークは歳の割に、しっかりとした自分なりの考えを持っ
     ていますからね、きっと大丈夫ですよ。」
  ミセスアダムス「そうね。でもいつでも遊びに来て頂戴ね。あな
            たが来てくれると、私もB・Jもとても嬉しいわ。(
            B・Jに向いて。)ね、そうでしょ?」
  マーク「はい、お祖母様、ありがとうございます。」
  ミセスアダムス「B・J、あなたのお部屋でマークに色々と教わっ
            てはどう?きっとあなたの知らないお話しを、沢
            山聞かせてくれると思うわ。」
  ジム「そうですね。(B・Jに。)こいつは意外と博学多才な奴なん
     だぞ。」
  マーク「そんな先生、僕は・・・」
  B・J「・・・俺・・・忙しいからいい!!(下手へ走り去る。)」
  ミセスアダムス「B・J・・・?」
  ジム「どうしたんだ、あいつ・・・」
  ミセスアダムス「本当・・・」
  マーク「・・・あの子・・・」
  ジム「ん?」
  マーク「いえ・・・別に・・・」

         暗転。(紗幕閉まる。)










  ――――― “Thank you!B・J”4 へつづく ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     このお話し、只今つづきを執筆中ですが、久しぶりに
     面白いと感じながら、書き進めているお話しになって
     います(^O^)

     ミセスアダムスの言葉遣い、実は昔から大好きです♥