雪の精「マックスは道に迷ってしまったのよね・・・?」
ドン「ああ。さっきからそう言ってるだろ!それがどうかしたのか
よ!」
雪の精「ちゃんと整備された1本道を歩いていて、それもまだ雪
が降る前の見晴らしのいい場所で、その子は迷子にな
ったのかしら・・・」
ドン「そりゃあ、いくら子どもだからって、こんな見通しのいい1本
道(下手方を見る。)、全く土地勘のない俺だって、ここまで
サッサと来れたんだ・・・ん・・・?何だ・・・?マックスはこん
な迷子になろうったって、そう簡単になれそうもない道で、
迷子になったってのか・・・?」
雪の精「もう・・・だから迷子になったってことは・・・?」
ドン「・・・あ・・・そうか!!(下手方を指差して。)こっちの恐ろし
い道に行っちまったんだ!!」
雪の精「はい、正解・・・」
ドン「そっか!!なんでぇ、そうと分かりゃ善は急げ!!ありが
とよ、雪の精!!“いいこと”を教えてくれて!!」
ドン、左側(下手方)の道へ、走り
進んで行く。
雪の精「あ・・・!!もう、全く忙しないサンタさんね・・・。大人だ
としても気をつけないと、名前通りの迷って危ない道だ
と分かってるのかしら・・・。まぁ、いいわ・・・あのサンタ
さんなら何とかするでしょ、きっと・・・。3時間、私はここ
でのんびりさせてもらうとするわ・・・。(ゴロンと横になる
。)」
紗幕閉まる。
――――― 第 6 場 ――――― A
紗幕前。
音楽流れ、回りを捜すように下手より
ドン登場。
ドン「おーい!!どこだーっ!!マックスー!!マックスー!!
全く・・・この恐ろしい道って・・・恐ろしい・・・じゃなくて、やや
こしい・・・の間違いじゃねぇか!?丸で迷路だぜ・・・(キョ
ロキョロ回りを見回して。)あっれぇ・・・それにしても、ここは
一体どこだ?なんかさっきから、同じとこをグルグル回って
るような・・・こりゃあ、子どもだとしたら確実に迷っちまうぜ
・・・。おーい!!マックスーッ!!」
ドン、歌う。
“どこにいるんだ おまえは一体
やっと側までたどり着いた
けど肝心のおまえ自身が
見当たらない・・・
こんな迷い道の中で
こんな寒い冬空の
たった一人で心細い・・・
きっとサンタが助けに来ると
信じて待つに違いない・・・”
――――― 第 6 場 ――――― B
紗幕開く。と、森の中。
ドン「おーい!!おーい!!しかし・・・寒いなぁ・・・。こりゃホント
にホワイトクリスマスになりそうだぜ。急いで捜さねぇと・・・
」
その時、マックスの声が聞こえる。
マックスの声「・・・サンタさん・・・」
ドン「・・・マックス・・・?」
マックスの声「・・・サンタさん・・・」
ドン「マックス!!どこだ!?どこにいる!?(回りを見回す。)
マックス!!」
ドン、後方大木の方へ駆け寄り、“マックス”
の名を呼びながら、回りの木の葉の山を
崩すように、その中を捜す。
ドン「マックス・・・!!あっ!!子どもの手だ!!マックス!!
マックス!!(木の葉の中から捜し当てたマックスを抱き起
こす。)マックス!!おい、しっかりしろ!!マックス!!」
マックス「・・・(ゆっくり目を開く。ドンを認め。)・・・サンタ・・・さん
・・・」
ドン「よし!!生きてたか!!偉いぞ、マックス!!この木の葉
が外の冷気からマックスを守ってくれたんだな!!木の葉
達、ありがとうよ!!」
声「・・・いいえ・・・」
ドン「・・・え・・・?(回りを見回す。)今、誰かなんか・・・まぁ、いい
か。それよりマックスの体が氷みてぇに冷たいぜ!!何か
・・・着るもの・・・(回りを見て。ハッと気付いたように自分の
服を見る。)あっ!!そうだ!!(自分が着ていた、サンタ
の衣装を脱いで、その服でマックスを包み込む。)ほら・・・
!!」
(ドン、サンタの衣装を脱ぐと、黒いスーツ姿
になる。)
マックス「・・・サンタさん・・・(ドンが黒のスーツに変わっている
のに、一瞬驚いたように。)・・・あなたは・・・」
ドン「・・・あ?(自分の服を見て。)ああ・・・この服装な・・・悪い
な、助けに来たのが俺みたいな・・・そうだよ・・・俺は・・・サ
ンタなんかじゃない・・・しがないただの・・・」
マックス「(微笑んで。)サンタさん・・・」
ドン「・・・え・・・?」
マックス「あなたは・・・サンタさんだよ・・・」
ドン「マックス・・・」
マックス「サンタさん・・・ありがとう・・・僕を見つけてくれて・・・」
ドン「(恥ずかしそうに。)いや・・・何・・・さぁ、マックス・・・ホーム
へ帰ろう・・・(マックスの前へ跪いて、背を向ける。)俺にお
ぶされ・・・」
マックス「・・・うん・・・(ドンの背中にしがみつく。)」
声「よかったわね・・・」
マックス「(上方を見て。)・・・うん・・・ありがとう、秋の精・・・」
ドン「え?何か言ったか?」
マックス「ううん・・・」
ドン「あ、そうだ!これでも舐めてろ!(ポケットからジンジャー
キャンディを取り出し、マックスへ手渡す。)さぁ、行くぞ!」
マックス「うん・・・」
ドン、マックスをおぶって下手へ去る。
暗転。
――――― 第 6 場 ――――― C
上手スポットに雪の精、座って下手方を
見ている。
雪の精「(欠伸をして。)ふぁああ・・・よく寝た・・・。こんな時期に
ゆっくり出来るなんて初めてよ。(笑う。)それにしても遅
いなぁ・・・もう3時間経っちゃうわよ・・・。まだなのー!?
(溜め息を吐いて。)仕方ないなぁ。約束だからね!他
の沢山のホワイトクリスマスを楽しみにしてる人達がい
るんだから、これ以上待てないわ。(立ち上がり、杖を取
り出し、天に翳すように。)雪よ・・・!この村にホワイトク
リスマスを!!」
その時、雪がチラチラ舞い落ちて来る。
雪の精「(雪を確認するように。)よしっ!さぁ、次の町へ急がな
くちゃ!」
雪の精、上手へ走り去る。
――――― 第 6 場 ――――― D
舞台明るくなる。と、前場の森。
(雪が積もって、さっきとは様子が違い、
寒々とした風景。)
雪がチラチラ舞う中、下手よりマックスを
おぶったドン、ヨロヨロと登場。
ドン「あっれぇ・・・可笑しいなぁ・・・ここはさっきも通った場所じゃ
ねぇか・・・」
マックス「・・・サンタさん・・・?」
ドン「ん・・・?心配すんな!もう直ぐホームだぞ!だから頑張れ
よ!!」
マックス「・・・うん・・・」
ドン「(独り言のように。)・・・この道は・・・ややこしくって、一旦足
を踏み入れたなら、そう簡単には抜け出せない・・・そんな
風に恐ろしい道だったんだな・・・。おまけに雪がチラチラし
て視界が・・・(目を擦る。)もう・・・3時間、経っちまったんだ
・・・」
マックス「サンタさん・・・僕・・・ものすごく眠くなってきたよ・・・サ
ンタさんの背中・・・とっても気持ち良くって・・・」
ドン「おい?おい、マックス!こんなとこで寝るんじゃないぞ!も
う少しだから頑張ってくれよ・・・!!おい・・・!マックス・・・
!おい・・・けど・・・俺も・・・何だか・・・マックス・・・ちょっとだ
け・・・休んでいいか・・・?もう足が・・・(眠っているようなマ
ックスを、木の横に下ろし、抱いたまま自分も木にもたれか
かる。)ふぅ・・・疲れたぜ・・・目が・・・勝手に・・・(眠る。)」
冷風の音が大きく、雪も段々吹雪いてくる。
舞台フェード・アウト。(カーテン閉まる。)
その時、風の音に紛れるように、鈴の音が
遠くから聞こえてくる。段々大きく。
トナの声「サンタさーん!!サンタさーん!!迎えに来たよーっ
!!」
ドンの声「トナ・・・マックス・・・!!ホームへ帰って来たぞ!!」
マックスの声「本当!?(木霊する。)」
――――― 第 7 場 ――――― A
カーテン前。
音楽流れ、舞台明るくなると、下手上手
より、孤児院の子どもたち登場。
プレゼントを手に嬉しそうに、ジングルベル
を歌う。
(その中には、シスター、ラリーの顔も
見える。)
――――― 第 7 場 ――――― B
カーテン開く。と、雪の積もった村外れの
孤児院の前。
庭先の大きな木が、色とりどりのネオンに
光輝いている。
子どもたち、その様子に歓声を上げ、駆け寄る。
ラリー「わあーっ!!大きいツリーだ!!」
シスター「・・・これは・・・」
ラリー「兄ちゃーん!!マックス兄ちゃーん!!」
マックスの声「何ー?」
ラリー「綺麗なツリーが飾ってあるよーっ!!」
マックスの声「直ぐ行くーっ!!」
その時、上手後方、孤児院の扉が開いて
マックス元気に飛び出し登場。 ※
マックス「(クリスマスツリーを見て。)わあーっ!!凄いや!!
先生!!一体どうしたの?このツリー!」
シスター「さぁ・・・先生にも分からないのよ。さっき外へ出てみた
ら、こんな風にホームの前の木が、クリスマスツリーに
変身させてあったの。」
ラリー「綺麗だなぁー・・・ね!!マックス兄ちゃん!!」
マックス「うん!!(ツリーの飾りを見て。)あ・・・これは・・・ジン
ジャーキャンディだ・・・」
子ども1「先生!このツリーの飾り、ジンジャーキャンディが一杯
ぶら下がってるよ!」
こども2「変なのー(笑う。)」
子どもたち笑う。
マックス、シスター、顔を見合わせる。
マックス「・・・先生・・・サンタさんが来てくれたんだね。」
シスター「そうね・・・。みんな!このツリーを下さったジンジャー
キャンディが好きなサンタさんにお礼を言いましょうね
・・・」
子どもたち「はーい!(声を揃えて。)サンタさん!!ジンジャー
キャンディをどうもありがとう!!」
ドンサンタの笑い声「ホッホッホ・・・」
暗転。(カーテン閉まる。)
――――― 第 8 場 ――――― A
カーテン前。
上手よりスーツ姿のドン、ポケットに片手を
突っ込み、もう片方に大きな袋を持ち、
口笛を吹きながら登場。
そこへ下手よりデン登場。
デン「(ドンを認め。)兄貴ーっ!!(ドンに駆け寄る。)兄貴!!
今まで一体どこ行ってたんだよ!!」
ドン「デン・・・悪い悪い!」
デン「兄貴のいない間、オイラ一人で・・・ほら!!(袋を見せる
。)」
ドン「デン・・・じゃあ今度はそいつを使って、本物のサンタごっこ
でもやるか!!」
デン「本物の・・・サンタ・・・?」
ドン「ああ、綺麗にラッピングし直して・・・」
デン「ラッピング・・・?」
ドン「盗んだ家へ、そっと返してくるのさ。」
デン「えーっ!!折角こんなに頑張ったのにー!!」
ドン「煩い煩い!!さっさと向こうで綺麗に包装してこい!!可
愛いリボンも忘れんなよ!」
デン「えー・・・可愛いリボンって・・・」
ドン「あ、そうだ・・・(手に持っていた袋を、デンに押し付けるよう
に手渡す。)こいつも一個ずつ、そのプレゼントと一緒に配
ってくれ。」
デン「(袋を覗いて。)ジンジャーキャンディ!?まだ持ってたの
?」
ドン「ブツクサ言ってないで、サッサと行かねぇとクリスマスは明
日だぞ!(笑う。)」
デン「分かったよーっ!!」
デン、上手へ走り去る。
入れ代わるように下手よりサンタ登場。
トナ続く。
トナ「サンタさん2号!」
ドン「(サンタとトナに気付く。)・・・よお・・・!昨日はありがとうよ
!トナが来てくれなきゃ、俺たちあのまま凍えて、今頃天の
国でクリスマスパーティやってる頃だぜ。(笑う。)」
トナ「サンタさんの役に立つことが、僕の仕事だからね。」
ドン「偽物で悪いな。」
トナ「ううん!違うよ、もう!」
ドン「違う・・・?」
サンタ「おまえさんは今回のことでは随分頑張って、サンタクロ
ースの役目を立派に遂行してくれた。その褒美として・・・
」
ドン「褒美?何かくれんのか?」
――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
完結編へつづく ―――――
※ このマックス少年、物凄い回復力です(^^;
書き上がったので、全8場となりました(^-^)V
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(おまけフォト^^;)
色んな100円均一ショップで、見つける度に
買い集めている、来年夏に公演予定作品の
お人形の小道具です(^-^)
その小道具類から、作品の内容をご想像下さい♪
2012年12月31日(月)
さて、今年も残り数時間となりました(^^;
皆様にとって、今年はどんな一年だったでしょうか・・・?
私にとってこの一年は、波乱万丈・・・と言っても過言
ではない、とても様々な出来事に次々と出会う・・・
そんな一年であったように思います。
その中で、私にとって不必要なものが去り、本当に必要
なものだけが残り・・・そして、新たに出会い・・・と、
なんとも自分の歩く道程が、うまい具合に軌道修正された
感のあった一年でありました(^_^)
また来年はそんな出会いを大切に・・・
一段と劇団としても、私自身としても、飛躍していければ
いいな・・・と、考えております(^-^)
まだまだ発展途上でありながら、少しずつですが行く道先
に目指すものが見え始めたような“リトルパイン”でありま
すが、これからも頑張って参りますので、暖かい応援を
頂けると嬉しいです♥
それでは皆さん、
一年間、拙い文章にお付き合い下さいまして、
ありがとうございました(^^;
よいお年をお迎え下さいm(_ _)m
ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
代表 どら。
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://ritorupain.blogspot.com/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta