りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“自由へ・・・―リーザ旅立ち―” ―全9場― 3

2013年11月16日 10時20分44秒 | 新作(人形劇用)



    


         音楽流れる。

  リーザ「どうして?友達なんて、誰かに頼んでなってもらうもので
      はないわよ、ハンナ。友達って自然とできるの。」
  ハンナ「自然と・・・」

         リーザ、歌う。

        “無理をしたり
         思いは次
         そんなのおかしい       ハンナ“だけど
         友達って自然と             だって
         できる筈よ                本当に?
         誰かに頼まれて             それでも
         友達に会える?              いい”
         そんなことはありえない
         心があるの
  
         出会えるわ           ハンナ“私にでも
         あなたにもきっと”            そんな人が”

         リーザ、ハンナの手を取る。
         紗幕閉まる。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         紗幕前。
         後方を見上げながら、アレク、サンド、ロス、
         何かを探すように下手より登場。


        



  アレク「やっとこさ、ここまで辿り着いたものの・・・」
  サンド「姫様のいるファインヅ寄宿学校は、この高い塀の向こう
      側じゃとは・・・」
  ロス「一体どうやって年寄りの我々が、この塀を乗り越え姫様の
     元へ辿り着けると言うのじゃ・・・」
  アレク「おまけに反対側は切り立った断崖ときておる・・・」

         音楽流れる。

  サンド「あぁ、困ったのぉ・・・」

         3人、歌う。

        “身を切られる思いだ
         いつもいつも姫様の
         心配ばかりしてる
         我々3人
         この高い塀
         どこだろう
         姫様は
         心配だ
         居ても立ってもいられないぞ
         今までは
         その側で
         成長を
         見守って大切にしてきたぞ”

  ロス「ここで指をくわえて、姫様の身を案ずるしかないのか・・・」
  アレク「なんと口惜しい・・・」
  ロス「リーザ姫様・・・」

         その時、下手よりアンドレ王子、登場。
         歌う。


    

    

        “父上の命を受け
         はるばるこんな場所まで
         我が家の姫はいずこ
         見えるのは海
         目の前は壁
         どこだろう妹は
         心配は
         いらぬと分かってはいるのに
         父上と母上のお心の
         痛みを拭う為
         馳せ参じた”

  アンドレ「アレク、サンド、ロス!」
  アレク「アンドレ王子様・・・」
  サンド「王子様・・・」
  ロス「どうしてここに・・・?」
  アンドレ「おまえたちと同じ理由に決まってるじゃないか。」
  アレク「え・・・?」
  アンドレ「最近のリーザの無鉄砲さが、少し心配だったからね。
       偵察と言う訳さ。」
  アレク「偵察・・・?」
  アンドレ「ああ、そうさ。・・・と言うのは表向きの理由で、本当は
       父上に頼まれたんだ。」
  ロス「王様に・・・!?」
  アンドレ「ああ。父上は、一人遠くの寄宿学校へ行かせたリーザ
       のことを、とても案じておいでだったからね。」
  アレク「王様が・・・」
  アンドレ「うん・・・。」
  ロス「あれ程、自由奔放なことをなさる姫様のことを、お怒りに
     なっておられたのに、兄上をよこされる程ご自分の命令で
     、ここへやられた姫様の身を案じておいでとは・・・」 
  アンドレ「父上はリーザを誰よりも一番可愛がっておいでだから
       ね。」
  ロス「なる程・・・」
  アンドレ「さて・・・それで?この塀を乗り越える方法は、何か考
       えついたのかい?」
  アレク「いえ・・・それがまだ・・・我々年寄りにはこの高さ・・・乗り
      越える術もなく・・・」
  アンドレ「そうか・・・ではこの僕がこの壁をよじ登り、内側から門
       のカギを開けて、おまえ達が入る道筋をつけてやろう。」
  ロス「それは有り難いお話しですが、王子様とてこの壁を乗り越
     えるのは・・・」
  アンドレ「何を弱気な!!さぁ、我々の前にそびえ、立ち塞がる
       強固な壁を乗り越えいざ行かん!!この未知の領域へ
       !!」

         アンドレ王子、下手へ走り去る。

  アレク「王子様!!」
  サンド「やれやれ・・・姫様の無鉄砲さは、兄上譲りとお見受け
      致した・・・。」
  ロス「本当じゃなぁ・・・」

         3人、下手へ去る。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         紗幕開く。と、寄宿学校。(談話室。)


     
                     ※


 
         リーザとハンナ、楽しそうに話し込んでいる。

  ハンナ「あなたって、本当に何でもよく知ってるのね。」
  リーザ「そんなことないわよ。」
  ハンナ「学校に通うのは、ここが初めてだって言ってなかった?
       」
  リーザ「そうよ!今までは、アレク、サンド、ロスが私に色々と勉
      強などを教えてくれていたの!だから・・・」
  ハンナ「アレク、サンド、ロス・・・?」
  リーザ「ええ、私のじ・・・」
  ハンナ「じ・・・?」
  リーザ「じ・・・じいちゃん・・・近所に住むじいちゃん達よ!」
  ハンナ「ふうん・・・いいわね、リーザの村にはそんな風に何でも
      教えてくれる、物知りなおじいさんが何人もいて・・・」
  リーザ「そ・・・そうでしょ・・・」

         その時、下手より一人の生徒(アミィ。)
         登場。ゆっくりリーザ達の側へ。

  アミィ「あの・・・」


    



  ハンナ「(アミィを認め。)アミィ・・・」
  リーザ「アミィ?」
  ハンナ「ええ・・・彼女はジニーのグループのアミィ・・・」
  アミィ「私も・・・あなた達のグループに入れてくれない・・・?」
  リーザ「グループも何も・・・私達はただの友達よ。それに誰とで
      も友達になれるわ。だからあなたが友達になりましょうと
      言うなら大歓迎よ!」
  アミィ「本当に?」
  リーザ「勿論よ。」
  ハンナ「でもジニー達は・・・?」
  アミィ「私・・・もううんざりしてたの・・・ジニーのグループ・・・エレ
      ンのグループ・・・って・・・いつもいつもお互いを敵対した
      ような関係に・・・。そんな時、リーザがやって来てグルー
      プになんて入らないと言われたのがすごく格好良くて・・・
      」
  
         その時、生徒たち順番に下手より登場。
         (リーザの回りに集まって来る。)
         音楽流れる。

  生徒1「私達も・・・お友達になってくれる・・・?」
  生徒2「(頷く。)」
  生徒3「私も・・・」
  リーザ「皆・・・」
  アミィ「グループなんておかしいわよね・・・」
  ハンナ「ええ!」
  生徒1「同じ学校の生徒同士、皆で仲良くすればよかったのよ
      !」
  リーザ「その通りよ!」


    


         リーザ、歌う。

           “同じ場所で
         学び合う友達
         仲良くなれない筈がない
         手をのばせば直ぐに”

         生徒たち、歌う。

        “今まで気付かずいた
         直ぐ側に友達が
         こんなに沢山いた
         見えていなかった”

         リーザ、生徒たち、歌う。

      リーザ“やっと           生徒たち“気付いた
           そこに                 友達
           いることが分かった”        本当
                                仲良くしたい”

      リーザ“誰も同じ         生徒たち“同じね
           仲間同士よ             仲間よ
           お互い認め合う”          これから”

  アミィ「本当ね・・・」
  生徒1「私達、今まで長い時間を無駄にしたわ・・・」
  リーザ「大丈夫!気付いた時から変わればいいのよ。そうすれ
      ば、うんと楽しい学校生活にきっとなるわ!」
  ハンナ「リーザ・・・そうね・・・!」
  アミィ「気付かせてくれて・・・」
  ハンナ「ありがとう・・・!」

      リーザ“少し回りを見れば       生徒たち“隣に
           差し伸べる手に気付く          いたのね
           そっと握り返して              友達”
           友達になれる”

         皆、リーザを取り囲むように、嬉しそうに
         下手へ去る。
         入れ代わるように、エレン、ジニー、舞台上の
         生徒たちを陰で見ていたように、ゆっくり
         上手より登場。


    



  エレン「頭にくるわね・・・」
  ジニー「本当・・・!」

         音楽流れる。 ジニー、歌う。

        “私達のチカラで
         築き上げた王国”

         エレン、歌う。

        “後から来たよそ者
         奪い去るなど
         許さないから”

  エレン「ねぇ、ジニー・・・今回だけ・・・私達、手を組まない?」
  ジニー「手を組む・・・ってどう言うこと?」
  エレン「このままじゃ私達が築き上げてきた、この学校の2人天
      下が、あのリーザ一人に奪い去られてしまってよ!」
  ジニー「そんなの許せないわ!!」
  エレン「だから・・・少し痛い目にあわせて、この学校から逃げて
      帰りたくなるようにしてあげましょうよ・・・」
  ジニー「痛い目・・・?」
  エレン「そうよ!!」
  ジニー「何か考えがあるのね?」
  エレン「ええ・・・」

         エレン、歌う。

        “私達が築いた
         私達の王国”

         ジニー、歌う。

        “2人だけの楽園
         他の誰にも
         邪魔はさせない”

  エレン「この学校には、昔々から地下に使われていない、大き
      な書庫があって・・・その奥は海へつながると言われてい
      るの・・・」
  ジニー「海に・・・そう言えば私も聞いたことがあるわ・・・」
  エレン「誰も怖がって近寄らないし、先生たちも迂闊に入り込ん
      で迷っては大変だからと、近寄ることを禁じられた場所だ
      から、本当のところは海につながっているかとうかなんて
      、誰も知らないのだけれど、その噂は上級生から下級生
      へと受け継がれ伝えられているもの・・・。」
  ジニー「そうだったのね・・・それで、その書庫がどうしたの?」
  エレン「しっ!その噂には続きがあるの・・・」
  ジニー「続き・・・?」
  エレン「その海から満月の夜に、海に住む魔物がやって来て・・・
      その書庫を徘徊すると言われる続きが・・・ね・・・」
  ジニー「え・・・?」
  エレン「そして今夜は、その魔物がやって来る満月よ・・・」
  ジニー「エレン・・・あなた・・・」

         紗幕、閉まる。(暗転。)








  ――――― “自由へ・・・―リーザ旅立ち―”
                        4へつづく ――――― 











   ※ この紗幕開けは、リーザちゃん肩手に私が途中まで
     開けています(^_^;)人手足らずの為であります・・・^^; 
     兎に角この作品・・・登場人物がやたらと多くて、人形操作
     の手が全く足らなかったのです(>_<)
     


― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


   (どら余談^^;)
  
   来週からは新作の台詞練習が再開されます(^^;
   その録音日が12月9日に決まりました・・・(>_<)
   これは2月の保育園公演作品になるのですが、
   2作品でお邪魔する予定なので、もう一作品、至急・・・
   書き上げなければいけません・・・(ーー;)

   その合間に、12月に公演予定のエリィちゃん作品の
   編集に取り掛からなければ、公演に間に合わなくなり
   そうです・・・(ーー;)
   
   次回録音作品は、今まで登場したことのない生き物が
   主人公のお話しなので、お人形の使い回しなどが
   全く出来ません(;_;)
  
   ・・・と言うことは、色々な準備を進めながら人形作りも
   並行して行うと言った、チョー多忙な作業に忙殺される
   日々を過ごさなければなりません・・・(>_<)

   なのに・・・
   最近の私は「何もする気がおきない症候群」とでも
   言いましょうか・・・少しでもヒマを見つけては
   つい“ゴロゴロ”・・・
   こんなことでは駄目なことは誰が見ても一目瞭然・・・
   
   どんなに忙しくても、最後には全て終わらせることが
   出来た今までの私ですが・・・
   流石に今回は・・・少し(?)不安です・・・(>_<)

   パソコンの調子も良くないですしね~・・・(ーー;)
   頑張ります・・・(^_^;)



   11月13日(水)

   ここ何年か、毎年お声掛けして頂いている小学校から、
   今年も公演依頼を頂きました(^O^)

   上記の理由でドタバタ中の1月25日・・・
   頑張ります・・・(^_^;)


























“自由へ・・・―リーザ旅立ち―” ―全9場― 2

2013年11月05日 20時31分00秒 | 新作(人形劇用)



         そこへ上手より、アンドレ登場。


    


  アンドレ「父上、母上、ただ今戻りました。」
  王「おお、アンドレ・・・狩りはどうであった?」
  アンドレ「はい、思いもよらぬ収穫が・・・」
  王「ん?」
  アンドレ「(後ろのリーザに。)ほら・・・」

         リーザ、王と后の前へ。


    


  后「リーザ!!」
  王「リーザ!!おまえは一体今までどこで何をしていたのだ!
    ?」
  后「怪我などないの?」
  リーザ「はい、お母様・・・」
  王「全くおまえと言う娘は・・・!!」
  リーザ「ごめんなさい・・・」
  王「つい先日、私はおまえにきつく申し付けた筈だ!!決して
    城を黙って抜け出すような、自分勝手な行動をとってはな
    らんと!!」
  リーザ「・・・はい・・・」
  王「おまえが好き気儘に行動するおかげで、何れ程皆が迷惑
    をしていると思っているのだ!!」
  リーザ「でもお父様!!私・・・」
  王「聞く耳はもたないぞ!!いいかリーザ!!そんなに外の
    世界に興味があるなら、おまえはこれよりファインヅ寄宿
    学校へやることにする!!」
  リーザ「え・・・」
  后「あなた!!」
  アンドレ「父上!!」
  リーザ「ファインヅ寄宿学校って・・・」
  王「名家の淑女たちが暮らす、全寮制のお嬢様学校だ。そこで
    レディたる者どうあるべきか、1から教育を受け直してくるが
    よい!!」
  后「あなた、そんな!!リーザは生まれてから今日まで、私たち
    の側を離れて暮らしたことなど1度もないのですよ・・・それ
    をいきなり・・・そんな・・・」
  リーザ「お母様・・・」
  王「分かったのなら今直ぐ仕度をし、今日中にこの城を出て行く
    のだ。いいな・・・」
  后「あなた!!そんな無茶ですわ・・・」
  王「何が無茶かね?他の娘たちにできて、リーザにできない筈
    があるまい。」
  后「でもリーザは王家の・・・」
  王「教育に家柄など関係はない。」
  后「あなた!!アレクたちには勿論、一緒に行ってもらうのです
    わね?」
  王「駄目だ。学校では身分などないものと思え。そして他の生
    徒たちと同じように生活するのだ。そうして普通の娘として
    のマナーをその身につけるまで、この城へ戻って来ることは
    決して許さん・・・」

         王、上手へ去る。

  后「あなた・・・!!」
  アンドレ「父上!!(王の後を追って、上手へ去る。)」
  后「リーザ・・・(泣く。)可哀想な子・・・なんてことなの・・・」
  リーザ「お母様・・・泣かないで!!私なら大丈夫だから!!ど
      こでだって・・・一人だって!!」

         音楽流れる。(后、下がる。)
         リーザ、歌う。
         (歌いながら、リーザ旅支度に変わり、
         背景、城外になる。)     ※



    
        (背景だけ、城外に変わっています^^;)

   
 
       コーラス“飛び立つ時だ
             扉が開く”

       リーザ“今まで思い憧れてた
            自由な世界が直ぐそこに
            飛び出すのよ私
            小さな羽広げ
            やっと叶った思い
            だけど願いが叶ったなら
            少し不安が顔を出すわ   コーラス“気のせい”
            自由になる
            この時
            待ちに待った
            夢が叶うの今”

  リーザ「今までどんなにこの日を夢見たかしら・・・お兄様のよう
      に、自由に外の世界へ飛び出し、新しい友達を作るわ・・・
      沢山!!」

       リーザ“私 飛ぶわ 広い大空へ
            新しい世界
            見たことがない
            思い描いた場所
            誰もが自由に
            心のままに
            今こそ             コーラス“羽広げ”
            扉を開ける
            私
            知らない世界へ       コーラス“勇気出し”
            踏み出すわ” 

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 3 場 ――――― B

         紗幕前。
         音楽流れ、アレク、サンド、ロス上手より
         登場。


    
                     ※2



  アレク「聞いたか、今の話し・・・」
  サンド「ああ、しかと・・・」
  ロス「姫様が寄宿学校へやられるだなどと・・・」
  アレク「そんな・・・」
  サンド「大変じゃ・・・」

         3人、歌う。

        “どうすればいいのだろう
         大変だ ああ・・・         コーラス“心配”
         片時も離れず来た
         それなのにまさか・・・”

  ロス「大変なことになったぞ・・・」
  アレク「今まで我々が大切に守り育ててきた姫様が・・・」
  サンド「我々の手の届かない所へ行ってしまわれるなどと・・・」
  ロス「そんなことがあってよいのか・・・」
  アレク「これは心配で夜も眠れぬわ・・・」
  サンド「大変じゃ・・・」
  ロス「どうしたことか・・・」
  アレク「そうじゃ・・・!我々もこっそりついて行こうじゃあないか
      。」
  サンド「そうじゃな・・・それがいい!」
  ロス「そうと決まれば今直ぐに!!」
  アレク「姫様、お待ちを!!」
  サンド「我々がいつもお側におりますからな!!」
  ロス「ささ・・・参ろうぞ!」

         3人、そそくさと上手へ去る。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕開く。と、ファインヅ寄宿学校。
         (音楽、流れる。)
         制服姿の生徒たち、歌う。


    
 

       生徒たち“セントファインヅ寄宿学校
              選ばれた者たちだけの”

         其々顔を見合わせる。

  生徒1「ごきげんよう・・・」
  エレン「ごきげんよう、皆さん・・・」

       生徒たち“誰もが憧れる学校
              選ばれし栄光”

  ジニー「今日はいい陽気ですこと・・・」
  生徒2「本当・・・」

       生徒たち“お嬢様たちの居場所
              許された淑女たちだけ”

  エレン「さ、あちらへ参りましょう・・・」
  生徒1「ええ・・・」

       生徒たち“誰もが憧れる学校
              選ばれし栄光”

         そこへ下手よりシスターマリア、登場。 
         続いて制服姿に身を包んだリーザ、
         幾分頬を紅潮させ登場。   ※3


    


    
  マリア「(手を叩く。)さぁさぁ、皆さん。」
  生徒1「シスター!」
  生徒2「シスターマリア!」

         生徒たち、スカートの裾を摘み、シスターに
         お辞儀をする。
         (エレン、ジニー、お互い競うようにシスター
         マリアに挨拶に近寄る。)

  エレン「おはようございます、シスターマリア!」
  ジニー「シスターマリア!おはようございます!」
  マリア「おはよう、皆さん・・・(リーザの方を見て。)リーザさん。」
  
         リーザ、シスターの側へ。

  マリア「今日から皆さんと一緒にこの学校で生活することになっ
      たリーザさんです。皆さん、仲良くして下さいね。」
  エレン「はい!」
  ジニー「はい!」
  リーザ「よろしくお願いします!」
  マリア「それではリーザさん、お部屋に荷物が届いてますから、
      片付けをしておいて下さいね。」
  リーザ「はい!」
  マリア「後はお友達に色々と教えてもらって下さい。」

         シスターマリア、下手へ去る。
         生徒たち、シスターマリアが去るのを
         見計らって、リーザの側へ。

  生徒1「ねぇ、あなた、どこから来られたの?」
  生徒2「お家は何をなさっているの?」
  生徒3「なぜこんな時期に転入なさって来たの?」
  リーザ「あ・・・私・・・(戸惑ったように。)」

         エレン、ジニー、ゆっくりリーザの側へ。

  エレン「それよりあなた・・・私と(ジニーを見て。)彼女・・・どちら
      のグループに入るおつもり?」
  ジニー「ええ、まずはそれを決めて下さらないと・・・ね・・・。」
  リーザ「グループ・・・?」
  生徒2「そうよ!私たちは皆、エレンかジニー、どちらかのグル
      ープに所属しているの。」
  生徒1「私はエレン!大手財閥の子女が多いの。」
  生徒2「ジニーのグループは元貴族の出の人が主よ。」  ※4


 
    



  エレン「あなたはどちらかしら・・・?」
  ジニー「見たところ・・・髪はボサボサで、なんだか日に焼けた
      肌・・・とても元貴族だとは思えないわねぇ・・・」
  エレン「あら元貴族だと言ったって、ピンからキリまであるんじゃ
      なくて?(笑う。)」
  ジニー「失礼ね、あなた!!リーザは山暮らしの成金で、あな
      たのグループの人でなくて?」
  エレン「なんですって!?」
  リーザ「・・・煩いなぁ・・・」
  エレン、ジニー「・・・え?(驚いてリーザを見る。)」
  エレン「う・・・煩いですって・・・?」
  ジニー「今・・・煩いと仰ったの・・・?」
  リーザ「ええ!いけないかしら!?」
  エレン「まぁっ!」
  リーザ「それにさっきから何?そのグループって・・・。何をする
      為の集まり?」
  エレン「何って・・・あなた・・・お友達が欲しくないの?」
  ジニー「そうよ!」
  リーザ「友達・・・?」

         生徒たち、一斉に頷く。

  リーザ「グループに入らないと友達になれない・・・そう言うの?」
  エレン「決まってるじゃない!同じグループの人とは何をするの
      も一緒!遊ぶのも勉強するのもお食事の時間も!」
  リーザ「なぁんだ、つまらない・・・!」
  ジニー「つ・・・つまらないですって!?」
  エレン「あなた、つまらないってどう言った見解なのかしら!?」
  リーザ「私はどちらのグループにも入らなくて結構です。」
  ジニー「お友達がいらないと言うの・・・?」
  リーザ「グループに入らなくても、友達なら自分で作れるわ!そ
      うでしょ?」
  エレン「それはどうかしら・・・」
  ジニー「そうよ・・・」
  エレン「私達は違うグループの人とは普段、喋ったりはしないわ
      。」
  ジニー「勿論、遊んだりもね。」
  エレン「どちらのグループにも入っていないあなたは、誰ともお
      友達になれないってこと。」
  ジニー「そう!グループに入らない人は、一人ぼっちよ。」
  リーザ「それならそれで構わないわ。」
  エレン「何ですって・・・!?」
  リーザ「そんな面倒な友達関係っておかしいもの。友達は強制
      して作るものではない筈よ。(エレンとジニーを見て。)そ
      れに、あなたたちを見てると・・・単なるお友達グループ・・・
      と言う感じでもないものね・・・。」
  ジニー「どう言うことよ・・・それ・・・」
  エレン「私たちを見て、何が分かると言うの・・・?」
  リーザ「エレンのグループ・・・ジニーのグループ・・・グループと
      言うのなら誰々のグループと言う呼び名はおかしいんじゃ
      ない?その誰かに忠誠を誓ってグループに入れてもらう
      の?(笑う。)そんなのごめんだわ。私は一人で結構です
      。」
  エレン「ふ・・・ふん!!それならそれでいいわ!」
  ジニー「折角、声をかけてあげたのに!」
  生徒1「どちらのグループにも入らないなんて・・・」
  生徒2「変な人・・・」
  エレン「いいことあなたたち!今日は誰も来なかった。」
  ジニー「新しい人なんて知らない・・・そう言うことよ!!」
  生徒たち口々に「はい・・・」
  エレン「皆さん、行きましょう!」
  ジニー「私たちはあちらへ参りましょう!」
  
         生徒たち、其々エレン、ジニーについて
         上手、下手へ去る。
         一人の生徒(ハンナ)、リーザを気に
         するように残る。      ※5

  リーザ「なんだか寄宿学校・・・って、面倒臭いところね・・・。お父
      様が言ってた、私に見て学びなさいと言った良家のお嬢
      様って・・・あんな人達のことだったの?なんだかガッカリ
      だわ・・・」
  ハンナ「あの・・・」
  リーザ「(ハンナを認める。)・・・誰?皆、行ってしまったわよ。」
  ハンナ「私・・・」
  リーザ「何か私に話しでもあるの・・・?」
  ハンナ「私はエレンのグループのハンナ・・・」
  リーザ「初めまして、ハンナ!私はリーザよ!よろしくね。」
  ハンナ「あの、私・・・エレンのグループに入っているけれど、お
      金持ちでもなんでもなくて・・・それでもどちらかのグルー
      プに入らないと、誰とも仲良くしてもらえないからって・・・
      あなたのように一人でいいなんて言い切れるの・・・羨ま
      しい・・・」


    
    












  ――――― “自由へ・・・―リーザ旅立ち―”
                          3へつづく ――――― 







  





   ※ 実際の舞台では、旅支度に変身させることに無理が
     あると判明・・・(^^;普通に歌って次景へと続きます♪
     で、その後の出番までにリーザちゃんを寄宿学校の
     制服姿に変身させました(^_^;)
    
   ※2、このアレクさん達の場面、全編通して紗幕前である
     為、一応順番通りに載せているので合っているのです
     、見た目だけではどの場面のアレクさん達か、ちょっと
     分かり兼ねるのです・・・(^^;

   ※3、お人形なのに、どうやって“頬を紅潮”させるのか・・・
     つい人形劇だと言うことを忘れてしまいました(>_<)

   ※4、生徒2とリーザちゃんの声・・・どちらも私です^^;
     女の子同士の声の使い分けが難しかったです(ーー;)

   ※5、“ハンナ”ちゃん登場です(^O^)ここで初めて出会
     った2人ですが、実は寄宿学校に入る前に意外な接点
     があったことは、皆さんご存知の通りであります(^^;


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