りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“みりとポン吉” ―全9場―

2011年11月29日 21時26分11秒 | 未発表脚本


      
 

  
      〈主な登場人物〉

     みり  ・・・  明るい女の子。

     ポン吉  ・・・  みりのぬいぐるみ。

     メアリ  ・・・  みりのクラスメイト。

     ヒューイ  ・・・  メアリの友達。

     トンリー  ・・・  メアリの友達。

     みりのママ

     その他


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         客電落ちる。

         轟音は響く。(“ゴオーッ”)

  声「わあーっ!!操縦管が利かない!!」

         コンピューター音が鳴り響く。(“ピーピーピー”)

  コンピューターの声「墜落します。墜落します。直ちに脱出して
               下さい。墜落します。墜落します。地球圏
               突入・・・」

  声「わあーっ!!(段々小さく。)」

    ――――― 第 1 場 ―――――

         明るい音楽流れ、舞台明るくなる。
         と、中央に一つのベットが置かれ、その上に
         パジャマ姿の少女(みり)、楽し気に歌い踊る。

         “素敵な時間
         自由な時間 
         町の灯りは消えて
         静けさが私を取り巻く
         宿題は終わったわ
         ご飯も済んだ
         歯も磨いてお風呂も入った
         パジャマに着替えて
         後は私の大切な時間”

  ママの声「みり!!いつまでも起きてないで、早く寝なさい!!」

  みり「はーい、ママ!!(肩を竦める。)」

         その時、“ビューッ!!”“バァーン!”(遠くで   
         何か墜落した音。)
         みり、慌ててベットから飛び降り、窓の方へ
         駆け寄る。窓の外を見て。

  みり「今の音、何かしら!?林の辺りに何か墜落したような・・・
     (暫く、外の様子を窺う。)ま、いっか。折角の大切な時間、
     余計なことに煩わされずに・・・(窓を閉めて、ベットの方へ
     。)今夜は何をして過ごそうかしら・・・。読み掛けの小説を
     読んで仕舞おうかしら・・・。でも結末は、まだ知りたくない
     わ!!姫には屹度、素敵な王子様が現れる筈だもの。夜
     の暗闇を、白馬に乗った王子様が、剣を翳しながら・・・(
     ポーズを取る。)囚われの姫の許へ駆けつけるの!!“
     姫!!助けに参りましたぞ!!”」

         その時、笑い声が聞こえる。
         みり、驚いたように回りを見回し。

  みり「誰!?」
  
  声「そんな王子様なんて、いる訳ないさ!!一体君は何時の
    時代の話しを読んでいるの?」

  みり「いいでしょ、そんなこと!!出て来なさい!!誰なの!?
     私の部屋へ無断で入り込んで、私の素敵な時間にケチ付
     ける奴は!!」

  声「そんなに怒らないでよ。怖いなぁ。(笑う。)」

         その時、今まで棚の上に並んでいた
         ぬいぐるみの中の一つ、たぬきの“ポン吉”
         が動き出し、ぎこちない動き方で、みりの
         側へ。        ※

  ポン吉「まだ、この体に慣れてなくって・・・動き難いなぁ・・・。(自
       分の手足を動かしてみる。首をコキコキ動かして。)まぁ
       いいや、その内、慣れるだろ。(驚いて呆然と、その様子
       を見ていたみりに向かって。)こんにちは!僕は・・・」
  みり「ポン吉・・・」
  ポン吉「え?」
  みり「な・・・何で、ポン吉が喋るの!?だってポン吉は、ただの
     ぬいぐるみよ!!私が幼稚園の頃に、パパがクリスマス
     プレゼントに買ってくれた、あのショーウインドーに飾られて
     たポン吉が話しをするなんて・・・(ポン吉から目を逸らせ、
     首を振る。)夢よ・・・夢を見てるのよ!!だってポン吉が喋
     る訳ないもの!!まして自分の力で動くなんて!!電池で
     動く訳でもない、ただのぬいぐるみのポン吉がそんな・・・(
     自分の頬を抓る。)痛っ!!・・・ほら・・・痛い!!痛いわ!
     !これは夢の中の出来事よ!!」

         みり歌う。

         “そうでしょ
         ただの人形が動く筈ないもの
         決まってるわ
         ただの目の錯覚だって・・・”

  みり「ね・・・!?(振り返って、ポン吉を見る。)」
  ポン吉「本当だよ。」
  みり「(再び目を逸らせ、頬を抓る。)・・・痛い・・・痛い?・・・痛い
     ってどう言うこと!?」
  ポン吉「だから、これは夢でも何でもなくって・・・」
  みり「嘘よ!!ポン吉はだって・・・ただのぬいぐるみ・・・勝手に
     動くなんて!!」
  ポン吉「ねぇ、君!!ちゃんと僕の説明を聞いてよ!!僕は君
       から見ればポン吉かも知れないけど、中身はポン吉じゃ
       ないんだ!!ポン吉の姿をしてるけれど、ポン吉でなく
       って・・・ポン吉はただのぬいぐるみで・・・えっと・・・だか
       ら僕はポン吉じゃなくって・・・本当に生きて動いてる訳
       で・・・」
  みり「・・・何言ってるの・・・?あなたはどこから見たって、私の
     ポン吉じゃない・・・。」
  ポン吉「だからそれは!!(思わず溜め息を吐く。)どう言えば
       いいのかな・・・。(窓の方へ行き、遠くの星を指差す。)
       僕は、あの辺りから来たんだ。」
  みり「・・・どう言うこと・・・?」
  ポン吉「僕の星は、この地球からじゃ豆粒程も見えない、遥か
       彼方にあるんだ。それが何故、今こんな遠くの星にいる
       かって・・・馬鹿馬鹿しくて話す気にもなれないや・・・(
       独り言のように。)」
  みり「何故ここにいるの?」
  ポン吉「(肩を竦めて。)パパの宇宙船で遊んでいるうちに、つ
       い発射ボタンを・・・」
  みり「押しちゃったの?」
  ポン吉「(頷く。)・・・帰ったら大目玉だよ・・・。おまけに宇宙船を
       ぶっ壊して墜落させちゃったうえに、体まで無くしただな
       んて・・・」
  みり「体を無くした・・・って?」
  ポン吉「うん・・・。この通り、今は心が君のぬいぐるみのポン吉
       に入り込んだから、君にはポン吉に見えているかも知れ
       ないけど、僕の体は、本当はこんなぬいぐるみの玩具
       じゃないんだ。」
  みり「・・・なんとなく分かってきたわ・・・。つまりこうね?あなたは
     遥か彼方に住む宇宙人で、この地球にやって来たのは、
     単なる偶然。今は体は私のポン吉だけど、本当は生きた
     タヌキだってこと!!」
  ポン吉「・・・え?狸・・・って・・・」

         音楽流れ、みり歌う。

      みり“少し分かった あなたのこと”

  ポン吉「あ・・・ありがとう・・・」

      みり“最初は驚いたけれど”

  ポン吉「ごめん・・・」

      ミリ“でも直ぐに理解できたわ
        あなたが異星人だってこと
        姿形はポン吉でも
        中身は生きた誰かだってこと”

  ポン吉「本当に?」
  みり「ええ、本当よ!!」

         ポン吉歌う。

      ポン吉“僕は僕だけど今は僕じゃない
           この体は単なるここでの借り物
           本当の僕を捜さなきゃ・・・”

  ポン吉「それで君!!お願いがあるんだ!!僕の体を一緒に
       捜して欲しいんだ!!」
  みり「え?捜すって、一体どこを・・・」
  ポン吉「墜落した時の衝撃で宇宙船から飛び出したんだ。だか
       ら屹度、この近くにある筈なんだよ。体が見つからない
       と、僕は一生この体のまま、自分の星にも帰れない・・・
       。」
  みり「・・・分かったわ!!明日、学校をサボって林に行ってみ
     ましょう!!私、あの林に何かが落ちるのを見たのよ。」
  ポン吉「本当に?」
  みり「ええ!!」
  ポン吉「ありがとう、君!!」
  みり「私はみり!」
  ポン吉「(思わず。)知ってるよ・・・!」
  みり「え?」
  ポン吉「あ・・・ううん!僕は・・・」
  みり「ポン吉!!」
  ポン吉「え・・・違うよ。僕の本当の名前は・・・」
  みり「だって、あなたの姿形は、どこから見たって私のポン吉だ
     もの。違う名前を言われたって、そんな風に呼べないわ。」 
  ポン吉「・・・ま、いっか・・・」
  みり「さ、そうと決まったら早く寝ましょう、ポン吉!!」
  ポン吉「(溜め息を吐く。)」

         音楽で暗転。

    ――――― 第 2 場 ――――― A

         舞台後方、カーテン後ろ、2人のシルエット
         浮かび上がる。(ポン吉父、母。)

  ポン吉母「あの子が宇宙船に乗って、宇宙へ飛び出して行った
        ですって!?」
  ポン吉父「何てことだ、全く・・・。自動操縦で、どこかの星には
        着くようにはなっているが・・・。その星に着陸する時
        に、宇宙船に何かあったら、戻ってくることが出来なく
        なるかも知れないんだぞ。」
  ポン吉母「あなた・・・」
  ポン吉父「まぁ・・・しっかりしたあの子のことだ・・・。無事に帰っ
        て来るとは思うが・・・。待つことにしよう・・・。万が一
        の時には、私が捜しに行くことにするよ。本当に・・・
        あの子の好奇心旺盛と言うか・・・度を越した悪戯に
        は、今までも何度も頭を痛めてきたが・・・。(溜め息
        を吐く。)」

         カーテン後ろ、フェード・アウト。

    ――――― 第 2 場 ――――― B
 
         小鳥達の囀りが聞こえる。
         舞台明るくなる。と、上手前方、エプロン姿の
         みりのママ、フライパンを持って何か料理して
         いるように。

  ママ「みりー!!早く起きなさい!!学校に遅れるわよ!!
     みりー!!」

         その時、上手よりみり、ポン吉のぬいぐるみを
         背負い、鞄を提げ登場。下手方へ。

  みり「私、朝ご飯いらない!!」
  ママ「みり!!スクランブルエッグだけでも食べて行きなさい!
     (みりの背負っているポン吉に気付いて。)みり!!学校へ
     ポン吉なんか連れて行かないの!!これ、みり!!人形
     を置いて行きなさい!!」
  みり「行って来まーす!!」

         みり、足早に下手へ去る。

  ママ「みり!!(溜め息を吐く。)」

         ママ、呆れたように歌う。

         “全くあの子は
         丸で羽根の生えた鳥のように
         ちっともじっとしてやしない
         全くあの子は
         いつも自由奔放で
         自分の思いのままに飛び回る”

         ママ、上手へ去る。
         小鳥の囀り残したまま、暗転。

    ――――― 第 3 場 ―――――

         舞台明るくなると、林の風景。
         一時置いて、下手後方より、回りをキョロキョロ
         見回しながら、みり登場。続いてポン吉登場。
  
  みり「確か、ここら辺に落ちたような・・・」
  ポン吉「本当?何処?何処にあるの!?」
  みり「煩いなぁ・・・。黙ってて!!今、捜してるんだから・・・」
  
         2人、暫くの間、回りを捜しているように。
         その時、みり、木の葉の下に隠れていた
         宇宙船を見つける。

  みり「あった・・・あった!!あったわよ、ポン吉!!」
  ポン吉「本当に、みり!!」
  みり「(木の葉を払い除ける。)これでしょ!?」
  ポン吉「あった・・・これだ!!・・・よかった・・・。(安堵で、腰が
       抜けたように。)」
  みり「動くの!?」
  ポン吉「あ・・・今見てみないと・・・。ちょっと待って・・・」

         ポン吉、宇宙船をゴソゴソ触ってみる。と、
         機械音がして電気が点く。

  みり「わぁ!!・・・動いた・・・本物なんだ、これ・・・」
  ポン吉「やった!!大丈夫みたいだよ、みり!!ありがとう!!
       」
  みり「それで?あなたの体は?この宇宙船の中にあるの?(宇
     宙船の中を覗き込む。)どこかしら・・・(独り言のように。)」
  ポン吉「この中にはないよ・・・」
  みり「じゃあ一体何処にあるの?」








     ――――― “みりとポン吉”2へつづく ―――――











    ※ 以前、ご紹介した作品での“ポン吉”くんは、確か・・・
      クマのぬいぐるみだったかと・・・(^.^)今回は“たぬき”
      くんみたいです^^;

  




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    このお話し、ラストに少し場面を加えると思います(^^♪
    読み直していると、どうしても中途半端感があって・・・^^;
    まだまだ発展途上の私作品だな・・・と・・・(いや、今も同じく
    成長過程だと思っていますが・・・^^;)、より一層、楽しんで
    頂ける作品を書いて行くべく・・・益々の努力を重ねていき
    たいな・・・と考えております♥

    だからって、“マズイ”ところは目を瞑って・・・と言っている
    訳ではありませんので、あしからず・・・(^_^;)









        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227






“光の妖精ティンクルの輝く冒険” ―全6場― エンディング

2011年11月27日 15時44分31秒 | 新作(人形劇用)


   ――――― 第 6 場 ―――――

         紗幕前。
         上手よりルコ、両手一杯にクリスマスツリーの
         飾りを抱え、クリスマスソングを口ずさみながら
         登場。

  ルコ「ジングルベル・・・ジングルベル・・・」

         ルコ、嬉しそうに下手へ去る。
         紗幕開く。
         と、ピコの家の中。
         中央、木だけだったツリーに、沢山の飾りが付いて
         いる。その前にルコ座って、ツリーを見上げている。
         上手よりピコ登場。

  ピコ「ルコ・・・」
  ルコ「あ!お兄ちゃん!!見て、見てこのツリー!!」
  ピコ「どうしたんだい・・・この沢山の飾り・・・」
  ルコ「村の人達がくれたのよ!!お家のツリーに飾りなさいって
     !」
  ピコ「・・・村の人達が・・・」
  ルコ「うん!!村の人達がサンタさんね!!」
  ピコ「そうだね・・・。」
  ルコ「綺麗ねぇ・・・」
  ピコ「うん・・・本当だ・・・。本当に綺麗だね!!」

         2人、嬉しそうにクリスマスツリーに見入っている。
         その時、大王の声が聞こえる。(ピコ、ルコには
         聞こえていないように。)

  大王の声「ティンクルー!!全て町中の点灯は終わったのか?
         」
  ティンクルの声「はーい!大王様!後一つ・・・最後のツリーに
            魔法をかけたら、終わりよ!!さぁ・・・ラストは
            とびっきりの魔法を・・・えいっ!!」

         魔法の音(“キラキラキラ・・・”)。
         すると、ピコの家のクリスマスツリーにライトが
         点き、キラキラ輝く。
         (背景、イルミネーションに輝く町の様子に変わり、
         盛大な音楽流れる。)

  ピコ、ルコ「わあーっ!!」
  ルコ「綺麗ー!!」

         その時、雲に乗って下界を見詰める
         ティンクル登場。歌う。

         “キラキラ輝く美しい町並み
         星の輝きにも似て
         町中 光溢れるわ
         美しい輝きに心が躍る
         なんて綺麗 目に見える限りのパラダイス
         誰もがワクワクする筈よ
         こんな煌めきみたことない
         みんなが素敵な気分になるわ
         光輝く温かで
         一年で一番素敵なこの時に”

  ティンクル「メリークリスマス!!」

  ピコ「(空を見上げて。)ティンクル・・・メリークリスマス!!」

         音楽盛り上がり





         ――――― 幕 ―――――






    

      我が家の小さなクリスマスツリーです(^.^)
    テレビボードの上に乗っかるくらいなので、その小さ
    さは想像して頂けるのではないかと・・・(>_<)
    ライトが光っている時に、丁度撮るのが難しかった
    です~^^;







 ― ★ ― ★ ― ★ ― ★ ― ★ ― ★ ― ★ ― ★ ―


      (おまけフォト^^;)

      
 
       来年春公演の1作品の登場人物・・・(?)の
      一人“プッチくん”のマスコットです(^^)v











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“光の妖精ティンクルの輝く冒険” ―全6場― 2

2011年11月26日 17時30分17秒 | 新作(人形劇用)


  ティンクル「綺麗な女の人・・・って?」
  ピコ「うん・・・、とっても色が白い・・・髪の長い綺麗な女の人だ
     ったよ・・・。そうだ・・・、手に君と同じような・・・その女の人
     のは、フワフワした綿毛が付いた棒を持っていた・・・。」
  ティンクル「フワフワの・・・あ・・・もしかして・・・」
  ピコ「・・・もしかして・・・?」
  ティンクル「氷の女王が来たのね!!
  ピコ「・・・氷の・・・女王?」
  ティンクル「ええ!!それで、みんなの心を凍らせてしまったん
         だわ!!」
  ピコ「何だって・・・!?」
  ティンクル「そうよ・・・そうに決まってるわ!!だから、みんな何
         を見ても・・・聞いても・・・無表情で無関心なんだわ!
         でも・・・ちょっと待って・・・じゃあ、どうしてあなたは
         ・・・」
  ピコ「僕・・・?」
  ティンクル「私に興味を持って、色々と聞いて来た人は、この村
         ではあなたくらいよ。あなたは、みんな心を凍らされ
         たこの村で・・・唯一心を凍らされていないんだわ!」
  ピコ「僕の家は、父さん母さんも、妹のルコもみんな、この村の
     人達とは違う・・・」
  ティンクル「ふうん・・・。どうしてか分かる?」
  ピコ「そんなこと、分からないよ・・・。収穫祭の前は、妹のルコが
     病気で具合が悪くて・・・ずっと暖炉の火を消さなくて、家の
     中はとても暑かったけど・・・。だから、みんなが収穫祭の準
     備に浮かれている間も、僕はずっと薪の番をしていた・・・」
  ティンクル「それだわ!!」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「氷の女王・・・火が怖かったのよ!だから、あなたの
         川向うの家まで、魔法をかけることが出来なかった
         んだわ!火で融けるのが怖くて・・・。」
  ピコ「融ける・・・」
  ティンクル「そうよ!火に近寄れば、忽ちその熱さで融けてなく
         なるんだもの!!だから、あなたの家のみんなは
         大丈夫だったのね!!」
  ピコ「そうか・・・、だから村の人達みんな、人が変わったように
     冷たかったんだ・・・。いつもならすごく親切に声を掛けて
     くれる、村の人達がみんな・・・」
  ティンクル「だから誰も私の魔法に、何も感じなかったのね!!
         ・・・ねぇ!!氷の女王の所へ行きましょう!!」
  ピコ「でも・・・」
  ティンクル「でないと、いつまでもここの村の人達は、冷たい
         無表情な人間のままよ!!氷の女王をやっつけて
         、村の人達に温かい心を取り戻してもらうのよ!!」
  ピコ「僕・・・」

         音楽流れ、ティンクル歌う。

         “温かい心を取り戻しましょう
         よくない魔法なんて追っ払い
         みんなの心に温もりを
         いつまでも凍ったこんな世界
         屹度誰も望んでないわ
         こんなに冷たい人々なんて”

         ピコ歌う。

         “だけど僕・・・
         少し怖いかも知れない・・・
         そんな氷の世界へ行くのが
         見知らぬ場所の
         見知らぬ人・・・
         返してくれるだろうか
         僕の願い通り・・・”

         ティンクル歌う。

         “やってみなくちゃ分からない
         行ってみないと分からない
         2人だから行けるわ直ぐに
         2人だから立ち向かえる
         恐ろしくても
         2人で行きましょう”

         2人歌う。

         “2人で・・・2人で・・・”

  ティンクル「行きましょう!!」
  ピコ「うん!!」

         紗幕閉まる。

   ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕前。雪が吹雪く音。

     コーラス“ここは氷の国
          冷たく閉ざされた心の国
          誰もが凍る
          恐ろしく冷たい場所・・・”

         その時、上手より旅人、寒さに身を屈めながら
         登場。下手方へ。

  旅人「ああ・・・寒い・・・」

         そこへ上手より、馬車を走らせ氷の女王登場。
         旅人、馬車の前へ飛び出す。(馬車、急に止まる。)

  氷の女王「何だ!!おまえは!!」
  旅人「私はただの旅人です。吹雪に迷って、こんな所まで来て
      しまいました・・・。(下手方を指差し。)ここはあなたのお
      城ですか?どうか一晩の宿とパンを、この私めに・・・」
  氷の女王「ほう・・・それは気の毒に・・・(ニヤリと笑う。)だが、
         生憎ここには温かい部屋も、スープもなくてな・・・。
         その変わり・・・」
  旅人「え・・・?」
  氷の女王「死ぬまで腹の空かぬ体にしてやろう!!フーッ!!
         (旅人に息を吹き掛ける。)」

         と、旅人、瞬く間に凍ってしまう。

  氷の女王「(笑って。)馬鹿な奴だ!!ハッ!!(馬車を走らせ
         下手へ去る。)」

         入れ代るように、上手よりティンクル、ピコ寒そうに
         登場。ゆっくり下手方へ。

  ピコ「ねぇ、ティンクル・・・寒いよ・・・」
  ティンクル「もう少しよ、ピコ!!ほら、あそこに(下手を指差し。)
         氷のお城の門が・・・」
  ピコ「(凍っている旅人を認め、腰を抜かしたように。)わあっ!!
     ティ・・・ティンクル!!ティンクル!!」
  ティンクル「もう・・・今度は何よ!!」
  ピコ「み・・・見て!!ひ・・・人が・・・人が、氷の中に・・・」
  ティンクル「人?」
  ピコ「う・・・うん・・・」
  ティンクル「(旅人を認め。)これは・・・!!屹度、氷の女王の仕
         業ね・・・」
  ピコ「し・・・死んでるの・・・?」
  ティンクル「いいえ!氷が融けたら、ちゃんと元に戻れるわ!で
         も・・・融けなければ、ずっとこのまま・・・」
  ピコ「このまま・・・?」
  ティンクル「(頷く。)さぁ、急ぎましょう!早く、氷の女王に会わな
         くちゃ!!」
  ピコ「・・・うん・・・」

         ティンクル、下手へ去る。
         ピコ、旅人を気にしながら、ティンクルに続いて
         下手へ去る。

         紗幕開く。

   ――――― 第 5 場 ―――――

         氷の女王の城の中。
         冷たい風が吹き抜けるように。
         中央、氷の椅子に腰を下ろした氷の女王、
         歌う。

         “ここは私の国
         私の為の冷たい場所
         誰もが寄り付かず
         ただ見詰めるだけ
         ここは私の氷の王国・・・”

  氷の女王「今年は、いつもより冬が長くて本当にいいわねぇ・・・
         。ホッホッホ・・・」

         氷の女王、上手へ去る。
         そこへ下手よりティンクル、ピコ、回りを見回し
         ゆっくり登場。

  ピコ「氷の女王様って・・・どこにいるのかなぁ・・・」
  ティンクル「そうね・・・。ちょっと・・・読んでみる?」
  ピコ「そ・・・そうだね・・・」
  2人「(恐々と。)氷の女王様・・・!氷の女王様・・・!!」

  氷の女王の声(エコー)「誰!?私の城で、私の名を呼ぶ不届
                  き者は!!」

  ティンクル「私達、氷の女王様にお話ししたいことがあって・・・」

  氷の女王の声「話し・・・?話しなど、こっちにはないわ!さっさ
            とお帰り!!」

  ティンクル「お願いします!出てきて私達の話しを聞いて!!」

  氷の女王の声「嫌よ!!」

  ピコ「氷の女王様!!僕の村の人達のことで・・・」

  氷の女王の声「嫌だと言ってるでしょう!!」

         その時、風の吹き抜ける音(“ビューッ”)。

  ピコ「あ・・・」
  ティンクル「・・・ピコ・・・?」

         ピコ、凍らされてしまう。

  ティンクル「ピコ・・・ピコ!!氷の女王!!よくもピコを、氷の中
         に閉じ込めたわね!!」

         氷の女王、上手より高々と笑いながら登場。
  
  ティンクル「氷の女王・・・?」
  氷の女王「ええ・・・。あなたは・・・妖精・・・?」
  ティンクル「そうよ!!私は光の妖精ティンクル!」
  氷の女王「・・・ふん、そんなことはどうでもいいわ。」
  ティンクル「よくないわ!!先ずピコを元に戻して!!それから
         ピコの村の人々の心から温かい思いを奪って、氷の
         ような冷たい心にしたのはあなたでしょ!?」
  氷の女王「ああ・・・その子どもはあの村の・・・。だが、あの村の
         者は全て・・・。まぁ、いい・・・。秋の収穫祭など、煩い
         だけの何ものでもないでしょう。祭なんかで秋を祝う
         だなんて・・・。それより早く、冬の凍るような心地好い
         空気に変わればいいと思って、収穫祭を中止してと
         言ったら、あの村長・・・できないと言ったのよ・・・この
         私に向かって!!だから村中の人々の心を凍らせて
         やったのよ!!忽ち収穫祭は中止され、誰も文句を
         言わなくなった・・・(笑う。)だから今年は、長く冬の冷
         たい時期が続いて・・・私はとっても嬉しいのよ・・・(
         無表情で。)」
  ティンクル「嬉しそうに見えないけれど・・・」
  氷の女王「何ですって!!あなたも凍らされたいの!?」
  ティンクル「早くみんなを元に戻して!!」
  氷の女王「嫌よ!!」

         氷の女王歌う。

         “ここは私の国
         私の為の冷たい場所
         誰もが寄り付かず
         ただ見詰めるだけ
         ここは私の氷の大国・・・”

  氷の女王「この私の国で、勝手なことを言うのは許さないわ
         !!」
  ティンクル「そう・・・じゃあ・・・仕方ないわねぇ・・・」
  氷の女王「ふん、光の妖精なんかに、何ができるって言うのか
         しら。」
  ティンクル「・・・(ニッコリ笑い。)あなた・・・分かってないわ・・・。」
  氷の女王「・・・何がよ・・・」
  ティンクル「私達、光の力は、あなたが考えているより、ずっと、
         ずっと強いんだってこと!!見てなさい!!杖よ!!
         私に力を!!(杖を振り上げる。)」
  氷の女王「何・・・」

         その時、一斉に回りに灯りが灯り、
         薄暗かった城内が、眩しいばかりの輝きに
         溢れ返る。
         音楽流れ、ティンクル歌う。

         “私に光の力を
         全てを融かし
         人々に自由を・・・!!”

  氷の女王「あ・・・熱い・・・熱いーっ!!」

         ティンクル歌う。

         “凍った人々の
         心と体を解き放ち
         自由を返して
         今直ぐに・・・!!”

  氷の女王「止めて!!止めて!!灯りを消して!!」

         ティンクル歌う。

         “全てを解放して
         勝手な思いで自由を
         奪った報いを
         私に光の力を!!”

         光の女王、歌う。

         “融ける・・・
         氷が融ける・・・
         私の氷が・・・”

  光の女王「・・・光のせいで・・・私の氷が融けてなくなるわ・・・
         融けて・・・とけ・・・ギャーッ・・・!!」

         氷の女王、氷の国が全て(融けて)消え去る。
         ピコ、氷が融けて、思わず膝を付く。

  ティンクル「ピコ!!(駆け寄る。)」
  ピコ「・・・ティンクル・・・僕・・・」
  ティンクル「大丈夫?」
  ピコ「うん・・・。氷の女王は・・・」
  ティンクル「もういないわ。あなたの村の人達も屹度、みんな元
         の優しい人達に戻ってる筈よ。」
  ピコ「本当に・・・?」
  ティンクル「ええ。」
  ピコ「ティンクル・・・ありがとう!!」

         音楽流れ、ティンクル歌う。
         
         “光の力が守った全てを
         温かい心を取り戻した
         みんなに笑顔を
         優しい思いが集まって
         光に力を与えてくれた
         みんなの思いが
         みんなを幸せに導いたの”

         ピコ、歌う。

         “でも・・・ありがとう
         君のお陰で
         君と出会えたお陰で・・・
         幸せ戻った・・・
         ありがとう・・・”

         紗幕閉まる。  











   ――――― “光の妖精ティンクルの輝く冒険”
                    エンディングへつづく ―――――









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“ダスティン” ―全4場― エンディング

2011年11月24日 17時13分53秒 | 未発表脚本


         その時、下手より若い姿のままのダスティン、
         慌てているように走り登場。
         ケビンと擦れ違いざま、思わずぶつかり、手に
         持っていた書類を落とす。
         ケビン、よろめいて膝をつく。

  ダスティン「悪い!!じいさん、大丈夫か!?(ケビンに手を貸
         し、立たせる。)」
  ケビン「ああ・・・。わしの方こそ悪かったの。歳を取ると、どうも
       のんびりしてしまってな・・・。」
  ダスティン「仕方ないさ・・・。(落とした書類を、掻き集める。)」
  ケビン「・・・はて・・・どこかで会ったことがあるかの・・・?」
  ダスティン「え?」
  ケビン「以前、確かにおまえさんと知り合いだったような気がし
       たんじゃが・・・」
  ダスティン「じいさんの思い過ごしさ・・・。俺はこの町は初めて
         だからね。じゃあ、じいさん!!気をつけろよな!!」
  ケビン「ああ・・・ありがとうよ・・・。」

         ダスティン、上手へ去る。
         ケビン、振り返ってダスティンを見る。

  ケビン「だが確かに・・・どこかで・・・。歳を取ると、頭の方も鈍っ
       ていかんの・・・。(笑う。)」

         ケビン、下手へゆっくり去る。
         一時置いて、その様子を見ていたように、
         上手よりダスティン登場する。

  ダスティン「・・・人間・・・って言うのは・・・短い限られた人生を、
         ただひたすらに精一杯生きていく・・・。丸でマラソン
         ランナーのように、立ち止まることを知らず、ゴール
         を目指して我武者羅に・・・。それが幸せなのか・・・
         俺には分からない・・・。何人もの人生の一部に係わ
         ってきた・・・。だが、決して見届けることのできない
         俺には、その人間が幸せだったかどうかなんて、分
         かる筈もない・・・。どうしちまったんだろう・・・。余り
         にも長い時を生き過ぎて・・・体は若くても、考え方が
         歳を取ってきたのか・・・。(フッと笑う。)昔は自分の
         行いを悔いることなんてなかった・・・。だが今は・・・。
         教えてくれ、ケビン・・・。おまえは今幸せか・・・?人
         生と言う舞台のフィナーレは、拍手喝采で迎えられ
         そうか・・・?今気付いたよ、クリストファー・・・。あの
         時・・・おまえの言いたかったことが・・・。本当に立ち
         止まれないのは俺の方だ・・・。俺は・・・おまえが羨
         ましいよ・・・ケビン・・・。」

         ダスティン、スポットに浮かび上がり歌う。

         “たった一つの命
         たった一度きりの人生・・・
         過ぎ去った思い出が
         忘れ去られる前に
         温かな優しさに包まれたまま
         時を楽しめたなら
         幸せと言う喜びが迎えてくれる・・・
         今を生きる時間の流れに
         流されることなく
         身を任せられたなら・・・
         幸せと言う未来を
         誰もがこの手に入れる・・・”

         音楽盛り上がり、遠くを見遣るダスティン。







          ――――― 幕 ―――――













 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


      

         それではまた、次回作で・・・(^^)v



                              どら。
                  








      
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“ダスティン” ―全4場― 4

2011年11月24日 16時40分25秒 | 未発表脚本



  フランク「・・・半信半疑のまま、クリストファー様お2人に付いて
        来て・・・いつの間にか、それを信じるには十分の年月
        が立ってしまった・・・。段々と年老いていく自分の姿を
        見る度・・・私は何れこのまま死んでいくのがいいんだ
        と考えておりました・・・。一緒に行ける所まで行ければ
        、後は心置きなく残りの人生を静かに過ごせると・・・。
        だが・・・いつまで経っても、お2人は余りにも若過ぎる
        ・・・。見た目は勿論・・・考え方もあの時のまま・・・。私
        は、お2人と離れることができませんでした・・・。この
        歳になって、まさか永遠にこの世を徘徊することにな
        るなどと・・・考えもしなかったのに・・・。クリストファー
        様が持っていらっしゃった、例の薬の残りを飲まずに
        は、いられなかったのです・・・。お2人をほっては行け
        なかった・・・。今まで、何の頼みも望みも求めたこと
        はありません・・・。だが、今回だけはどうか・・・この者
        に係わるのはやめて頂きたい・・・。このまま新しい場
        所へ参りましょう・・・。この者達が目を覚まさないうち
        に・・・。年寄りの頼みです・・・。この男からは危険な
        香りがするのです・・・。」
  マーガレット「いやよ!!折角、目の前に久しぶりのご馳走が眠
          ってると言うのに・・・!!」
  フランク「マーガレット様、お願いでございます・・・。今回はこの
        まま・・・」
  クリストファー「・・・行こう、マーガレット・・・。(十字架を、テーブ
           ルの上へ放り投げる。)」
  マーガレット「お兄様!!」
  フランク「クリストファー様・・・。」

         クリストファー、今まで十字架を握っていた
         手を見詰める。

  マーガレット「お兄様・・・?火傷・・・?」
  クリストファー「・・・こんなただの人間の、どこが心配なのかよく
           分からないが・・・。フランクがそれ程言うんだ・・・
           。マーガレット・・・行こう・・・また次の場所へ・・・。」
  マーガレット「・・・だって・・・」
  クリストファー「焦らなくても・・・僕達には、時間はたっぷりあるん
           だ・・・。」
  マーガレット「お兄様・・・。・・・ええ・・・分かったわ・・・。」
  フランク「クリストファー様・・・ありがとうございます・・・。そうと決
        まれば、少しも早く・・・。」

         フランク、マーガレット、ゆっくり下手へ去る。
         クリストファー、下手へ行きかけて、立ち止まる。

  クリストファー「(振り返る。)危険な香りのする男・・・か・・・。確か
           に顔はあいつに瓜二つかも知れないが・・・。(フッ
           と笑う。)見れば見る程・・・憎らしい位にそっくりだ
           ・・・。まさか・・・ね・・・。(行きかける。)」
  ダスティン「・・・何故、ただの人間だと思い込む・・・」

         クリストファー、驚いたようにダスティンを見る。

  ダスティン「(起き上がって。)俺の演技は完璧か・・・?(ニヤリ
         と笑う。)」
  クリストファー「・・・おまえ・・・まさか・・・」
  ダスティン「ご名答・・・。久しぶりだったな・・・。少しは正体を忘
         れて生きてきたのかと思えば・・・。おまえはまだまだ
         らしいな。こんな十字架ごときで火傷するようじゃあ
         ・・・。(十字架を手に取り、自分の首へ着ける。)・・・
         俺のせめてもの良心だ・・・。おまえ達のことは秘密
         にして置いてやろう・・・。本当なら、新聞に書き立て
         てもいいんだが・・・。(笑う。)長い年月を経て、俺も
         少し丸くなったのさ。まぁ、俺がおまえ達の正体を
         態々暴かなくても、バレるのは時間の問題のようだ
         しな・・・。(ケビンを見て。)こんなトロイ人間にまで、
         疑われてるんじゃ、これから先も身を隠して生きて
         いくしかないぜ・・・。この文明社会に乗り遅れたまま
         で・・・。(笑う。)」
  クリストファー「・・・文明社会に乗り遅れる・・・?人の目を避け
           てしか生きれなくしたのはあなたじゃないか!!
           」
  ダスティン「やれやれ・・・。俺は言った筈だぜ?生きるも死ぬも
         おまえの考え次第だと・・・。それを俺のせいにされ
         ちゃ、適わないな・・・。」
  クリストファー「あなたが・・・」

         音楽流れ、クリストファー、ダスティン、スポットに
         浮かび上がり、呼応するように歌う。

    クリストファー“遠い過去を捨てて
             永遠に続く未来を見詰めたまま
             戻ることもできず
             進む行く手は閉ざされた・・・
             果てしない虚しさが
             ただ心の中を支配する・・・”

    ダスティン“遠い過去は捨てた
           永遠に広がる自由と引き替えに
           自分の選択と決定
           すべては己の決めた道・・・
           誰にも変えられない
           ただ歩き続けるだけ・・・”

  クリストファー「あなたは・・・あなたはそれで幸せだと言うのか
           ・・・!?これがあなたの求め手に入れた、本当
           の自由だと・・・!!」

    クリストファー“僕には分からない!!
             今も過去に囚われ夢見・・・
             憧れ生きた日々が・・・”

  クリストファー「こんなのが自由だと言うなら、僕は自由なんて
           いらない!!誰かに束縛された人生の方が、
           余っ程ましだ!!」
  ダスティン「じゃあ何故、あの薬を飲んだ!!おまえが今ある
         この状況を作り出したんだ!!全ては自分が選んだ
         道じゃないか!!」
  クリストファー「・・・僕には・・・守りたいものがあったんだ・・・。あ
           なたのように、一人勝手に好きなことだけを・・・
           自分の楽しみの為だけに、ただ時間を無意味に
           費やして、長い時を生きて・・・いや違う・・・生きて
           なんていない・・・。こんなのは生きてるなんて言
           わないんだ!!あなたは死んだ時間に囚われて
           いるだけなんだ!!僕とは違う!!」
  ダスティン「煩い!!何とでも好きに言えばいいんだ。そうやっ
         て一生・・・永遠に後悔に縛られてろ!!俺はおまえ
         の泣きごとなんかに興味はない!!そして、さっさと
         俺の目の前から消え失せろ!!できれば・・・二度と
         会いたくないね!!」
  クリストファー「そんな風にしか考えられないあなたは・・・本当
           の幸せを知らないまま、これからも永遠に彷徨い
           続けるんですね・・・。さよなら・・・。」

         クリストファー、下手へ去る。

  ダスティン「(クリストファーが去るのを見計らって。)長い時を経
         てもなお・・・人間の心を忘れていないおまえを見て
         いると・・・思い出したくない過去を思い出す・・・。遠い
         昔・・・永遠の自由と引き換えに・・・自分の全てを悪
         魔に売り渡した・・・ただの愚かな人間だった頃のこと
         を・・・。」

         ダスティン歌う。

         “遠い過去を捨てて
         永遠に続く未来を見詰めたまま
         戻ることもできず
         進む行く手は閉ざされた・・・
         果てしない虚しさが
         ただ心の中を支配する・・・”

         暗転。

   ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れ、舞台明るくなる。
         上手より一人の少女、楽しそうに走り登場。

  少女「(上手方を見て。)おじいちゃま!!おじいちゃま!!
      ケビンおじいちゃま、こっちよ!!こっち!!早く!!」
  
  ケビンの声「待ちなさい・・・待ちなさい・・・。そんなに走ると危な
          いぞ・・・。」

         上手より一人の白髪の老人(ケビン)、杖を
         つきながら、ゆっくり登場。

  ケビン「(ケビンに走り寄り、手を引っ張る。)早く行かないと、
       マジックショーが始まってしまうわ!!」
  ケビン「慌てんでも、マジックショーは逃げたりせんよ・・・。大体
       マジックなんてものは、ただのまやかしじゃ・・・。そんな
       ものに、金を払って態々喜ばんでも、この世の中には
       もっともっと不思議で奇妙なことが、実際色々とあるも
       んじゃ・・・。」
  少女「不思議で奇妙なこと?」
  ケビン「ああ・・・。そう言えば、わしも遠い昔・・・夢か幻か分から
       ない・・・奇妙な体験をしたことがあったの・・・。」
  少女「どんな?」
  ケビン「・・・そうじゃなぁ・・・あれはわしがまだ・・・」
  少女「(下手を見て。)あっ!!みんなが走って行くわ!!もう
      始まるのね!!私、先に行くからケビンおじいちゃまは、
      後からゆっくりいらしてね!!そのお話しは帰ってから
      じっくり聞くわ!!」

         少女、下手へ走り去る。

  ケビン「あ・・・これ!!待ちなさい、これ・・・!!全く・・・子ども
       と言うのは、目の前の楽しみには我慢と言うものを知ら
       ないものじゃの・・・。折角、わしの奇妙な話しを・・・。
       まぁ、今の子には吸血鬼やフランケンシュタインの話し
       より、マジックショーの方がいいじゃろうて・・・。そうそう
       ・・・あの後、先輩と慣れ親しんでおった人は仕事を辞め
       ・・・今はどこでどうしているやら・・・生きているとも分か
       らない・・・。風の便りで聞くところによれば、その後先輩
       は、森のへき地と呼ばれるような、人里離れた場所を好
       んで、選び暮らしていたと言う・・・。あれから60年か・・・
       生きていればもう、100歳近くになる筈じゃ・・・。(首を
       振り。)恐らくはもう・・・。」







    ――――― “ダスティン”エンディングへつづく ―――――











     さて、そろそろ次回掲載作品のご紹介の時期ですが・・・
   次回は何にしようかな・・・何がいいですか・・・?と、聞いた
   ところで応えはないので・・・^^;・・・う~ん・・・しばらく何だか
   難しい台詞回しの人物ばかりが登場し、何となく軽い台詞物
   が書いてみたいな・・・と思うのですが・・・刑事さん・・・泥棒・・・
   議員さん・・・貴族・・・会社員・・・主人公達の職業からも、
   想像できるのは難しい言葉並び・・・(^_^;)
   (“貴族さん”なんて、読み直していると、目が回りそうになり
   ました~・・・@_@;)
 
   と、言うことで、次回は子どもが主人公のお話しを、一本
   ご紹介しようかな・・・と思います(^^)v
   以前、“どらワールド”で一度紹介したことがある作品なの
   で、ひょっとすると、目にしたことがある方もいらっしゃるかも
   知れませんが、また心新たに読んで頂けると嬉しいです♥

   それでは次回、「みりとポン吉」お楽しみに~(^^)
   このポン吉は・・・あのポン吉とは関係がございませんので
   あしからず・・・^^;あの・・・?はい、人形劇作品で登場
   したポン吉です。私・・・“ポン吉”と言う名前が好きなんで
   しょうね~・・・(^_^;)




                               どら。




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     この頃は(この作品を書いていた頃です^^;)、あまり
     こんな言葉は、使用するのは適切ではないな・・・などと、
     深く考えずに、思いつくまま書き綴っていたので、今書き
     直していると、「これは・・・」と思うことが時々あります^^;
     上のダスティンさんの台詞でも登場したのですが、この
     言葉を違う表現に変えようと思うと、どうしても変更した
     ところで、いい言葉に変えるのが難しいな・・・と思った
     ので、この場面の言葉は、このまま使用させて頂きまし
     た(>_<)


     もう一つ余談ですが・・・^^;
     一週間程前から、右手人差し指を怪我(?)していて、
     湿布をしているので、曲がらないのです(-_-;)
     なので、とーっても鉛筆やお箸が持ちにくくて・・・すごく
     不自由です・・・(>_<)
     
     ・・・が、実は左利きなので(鉛筆、お箸は幼少時に
     無理矢理矯正です^^;その他は全部“左”です。)
     何とかなってるんですけどね・・・(^_^;)
     でも、このキーボードはだけは・・・難しいです~(>_<)
     


     

     




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