りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“バーナード” ―全16場― 4

2012年10月24日 19時47分02秒 | 未発表脚本


  ジュディ「勿論、本当です!!それからこれにはオマケの話し

       が付いてて、営業課の私の彼、フランクに聞いたんだ

       けど、なんと!!」

  ビル「なんと!?」

  ジュディ「営業課のエリートハンサムボーイのバーナードさんと

       シェイラがどうも付き合ってるらしいって!!」

 

         一時置いて、再び一斉に大笑いになる。

         ダイアナだけは、何か思い詰めた表情を

         している。

 

  ジョー「フランクの言ってることだろ?当てになるもんか!!」

  ジュディ「そんなことないわよ!!彼、バーナードさんとは親しく

       してもらってるもの!!現に、シェイラの変身はバーナ

       ードさんのアイデアらしいわよ!!」

  スティーヴ「まさか!!」

 

         そこへ、ジェラルド、ジャッキー入って来る。

 

  ジェラルド「どうした?皆、集まって。」

  ハッティ「課長!シェイラはもう来てます?」

  ジェラルド「さぁ。今日はまだ見てないな。もうそろそろ来るんじ

        ゃないか?」

  ジュディ「ジャッキーさん!!更衣室にシェイラいませんでした

       か?」

  ジャッキー「さぁ・・・私が行った時は、誰もいなかったけど・・・。

        シェイラがどうかしたの?」

  ダイアナ「それがジュディが更衣室で、美人になったシェイラを

       見たって・・・」

 

         ジェラルドとジャッキー、お互いの顔を

         見合わせて、一時置いて大笑いする。

 

  ジェラルド「何、馬鹿なこと言ってるんだ?」

  ジャッキー「天地が引っ繰り返っても、シェイラが美人になるな

        んてこと、ある訳ないじゃない!!」

  ジェラルド「そりゃそうだ。」

 

         今まで黙って聞いていたリチャード、皆に

         近寄る。

 

  リチャード「シェイラは・・・彼女はいつもはあんな格好している

        から分からないけれど・・・綺麗だったよ・・・」

 

         皆、一斉にリチャードに注目して、再び笑う。

 

  スティーヴ「(リチャードの肩に手を置いて。)矢っ張り、おまえ

        シェイラに惚れてたんだな!」

  リチャード「それは・・・」

  スティーブ「隠すことないだろ?別にああ言うのが好みの奴も

        たまにはいるだろうさ!」

 

         その時、入り口からシェイラ入って来る。

         シェイラ、昨日までとは打って変わり、一変

         して洗練された美人オフィス・レディになって

         いた。皆、一斉にシェイラに注目して、ただ

         ポカンと口を開け、呆然と見詰める。

 

  シェイラ「(いつもと変わりなく。)おはようございます。」

 

         シェイラ、自分のデスクへ行き、書類を整える。

         皆、まだシェイラに注目したまま、目が離せな

         いで呆っとしている。

 

  シェイラ「(皆の方を向いて。)あの・・・これは何処へ運べばい

       いでしょうか?」

  ジェラルド「(ハッとして。)・・・あ・・・ああ・・・あ・・・(皆を見回す

        。)」

  スティーヴ「・・・お・・・俺、行って来ます!!コピー室ですよね

        !!(慌ててシェイラに近寄り、書類を持つ。)俺が

        行って来るよ!!」

  シェイラ「でも・・・」

  スティーヴ「いいって!!」

  ダイアナ「スティーヴ!!」

 

         スティーヴ、ダイアナの声は聞こえていない

         ように出て行く。

         リチャード以外の男子社員、いつの間にか

         シェイラの周りに集まる。

         女子社員、面白くないと言った風に、遠巻き

         に見詰める。

         リチャードだけは、少し淋しそうな面持ちで。

 

  ジェラルド「一体どうしたんだ、シェイラ!!」

  ジョー「偉く変わったなぁ!!」

  ビル「まさかこんなに美人だったなんて!!」

  ビリー「俺は最初から分かっていたさ!!彼女がそこいらの女

      共より美人だって!!」

  ジョー「調子いいぞ、おまえ!!」

  ジェラルド「おまえら始業時間はとっくに過ぎてるんだぞ!!

        さっさと仕事に就けよ!!」

 

         ジョー、ビル、ビリー顔を見合わせて。

 

  ビル「ちぇっ!一番調子いいのは、課長じゃないか・・・」

  ジェラルド「何か言ったか?」

  

         皆、其々仕事に就く。が、目線は専ら

         シェイラの方を向いている。

 

  ジェラルド「(シェイラの両肩を持って、椅子に座らせながら。)

        さぁ、君はここに座って、ゆっくりしときたまえ。」

  シェイラ「(ジェラルドを見上げて。)でも・・・」

  ジェラルド「いいの、いいの!!美人は課の宝なんだから、何

        もしなくていいんだよ!!」

 

         ジェラルド、入り口から出て行く。

         シェイラ、周りを見回して、ただ黙って下を

         向く。シェイラと目が合った男子社員、

         ウインクを返したりする。

         その時、入り口からバーナードとフランク、

         入って来る。

         バーナード、椅子に座っているシェイラを

         認め、近寄る。フランク、ジュディのデスク

         に近寄る。

 

  バーナード「おはよう、シェイラ!」

 

         皆、驚いた面持ちで2人に注目している。

         女子社員、2人に注目しながら、ダイアナ

         のデスクに近寄って行く。

 

  シェイラ「(顔を上げてバーナードを認め、嬉しそうに立ち上が

       る。)バーナード!!」

  バーナード「今日、お昼一緒にどう?」

  シェイラ「・・・でも外回りは?」

  バーナード「午前中は近くだけだから、大丈夫さ!イタリア料理

         でどう?」

  シェイラ「(微笑んで。)・・・私は何でも・・・」

  バーナード「じゃあ予約しとくから!(シェイラの頬に口付ける。

         )」

  シェイラ「バーナード・・・(恥ずかしそうに。だが嬉しそうに、

       バーナードの背中を見詰める。)」

  バーナード「(フランクを認めて。)フランク!!行くぞ!!」

 

         バーナード、出て行く。

 

  フランク「(慌ててバーナードの後を追う。)待って下さいよー!

       !」

  

         女子社員残して、カーテン閉まる。

         ジャッキー、少し皆と離れて立つ。

 

  フィービー「一体何!?バーナードさんと付き合ってるって言う

        噂も本当な訳!?」

  ハッティ「何か頭きちゃうわよね!!」

  ジュディ「だから言ったでしょ!フランクは嘘なんて吐かないも

       の!!」

  ハッティ「でも、どうしてバーナードさんがシェイラなんかと!?

       確かに見た目はよくなったけど・・・。」

  ジュディ「そこまではフランクだって知らないわ。ただ言い寄っ

       たのはバーナードさんからだって。」

  フィービー「本当!?」

  ダイアナ「・・・許せないわ・・・」

  フィービー「え・・・?」

  ダイアナ「許せないわ・・・!!彼は私が先に目を付けたのよ

       !!それをちょっと綺麗になったからって、横取りす

       るなんて絶対許せない!!」

  ジュディ「え・・・あ・・・でもダイアナさんには・・・スティーヴがい

       たんじゃ・・・」

  ダイアナ「(鼻で笑って。)スティーヴ?あんなの何でもないわ

       !!あいつは綺麗になったシェイラに、一番に鼻の

       下伸ばして寄って行ったのよ!!馬鹿にしてるわ!

       !覚えてらっしゃい!!」

  ジャッキー「(腕組みしながら。)でも男って正直な生き物よね

        ぇ・・・悔しいけど、誰もシェイラに勝てやしないわ・・・

        。あなたもね、ダイアナ。」

 

         ジャッキー、下手へ出て行く。4人、後に

         従うように出て行く。

         入れ代わるように、下手よりアルバート、

         ジェイムス、ロベール出る。

         ダイアナ、振り返り3人を見ながら出る。

 

  アルバート「それで先週の金曜日に、残業届けが出ていた者

        の中で、怪しい者はいなかったと言うのか。」

  ジェイムス「はい。一応、一通り問い質したりはしてみたのです

        が・・・。後一人、庶務課のシェイラ・ハミルトンには

        まだ聞いていないのですが、彼女は多分大丈夫で

        しょう。ただ・・・残業届けを出さずに、社内に残って

        いた者も数名いるようですし、実際誰があれを盗ん

        だか・・・となると、多分捜し出すのは無理ではない

        かと・・・」

  アルバート「あれがNYインターナショナルに流れたことによっ

         て、我々の今回の計画は握り潰されたも同然・・・

         なんとしてでも犯人を見つけ出す・・・!!(ロベ

         ールの方を向いて。)ロベール、NYインターナショ

         ナルの方はどうだ?何か情報は入ったか?」

  ロベール「はい。NYインターナショナルの方は、着々とクリア

        島全土に進出して来ている模様です。」

  アルバート「・・・前回の仕返しのつもりか・・・」

 

         その時、ダイアナ再び出る。

 

  ダイアナ「(3人に近寄って。)アルバート専務・・・」

  ジェイムス「(驚いて。)何だ!!君は!!」

  ダイアナ「庶務課のダイアナ・バリーです。さっき・・・お話しが

       チラッと聞こえたのですが・・・」

 

         3人、其々強張った顔を見合わせる。

 

  ダイアナ「・・・私も先週の金曜日・・・社内に残っていました。」

  アルバート「何・・・?」

  ダイアナ「(目を輝かせて。)そのことで、お話しがあります・・・」

 

         暗転。

 

 

       

 

 

 

     ――――― “バーナード”5へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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