アルベール「それが、俺は絶対に専務のウィリアムスが、裏で
操ってると思って確信持ってるんだが、中々尻尾を
出さない野郎でさ・・・。ちょっと捜査の方法を変え
ようかと思ってるところなんだ。」
マシュー「そうか・・・。そりゃあ大物の尻尾を掴むには、時間も
かかるだろうさ。まぁ、気長に待ってみることだな。焦り
は禁物だぞ。」
アルベール「分かってるよ。」
その時、奥よりヘレンの声。
ヘレンの声「マスター!電話!!」
マシュー「OK!!今、行く。(立ち上がってカイトの肩に手を掛
ける。)まぁ、この少年のことは、心配しなくていいから
な。」
アルベール「ありがとう!」
マシュー、奥へ去る。
アルベール「(コーヒーを一気に飲み干して。)さぁて、俺もそろ
そろ仕事に戻るかな。(立ち上がる。)じゃあ、しっ
かりやれよ。また時々見に寄るからさ。(カイトの頭
に手を置いて、行きかける。)」
カイト「(立ち上がって。)・・・兄貴!」
アルベール「(振り返って。)おっ?“糞親父”から“兄貴”に若返
ったな。(笑う。)」
カイト「冗談言うんじゃねぇよ!!」
アルベール「(微笑んで。)如何した?一人で心細いのか?」
カイト「違うよ!!あの・・・あのさ・・・」
アルベール「何だよ?」
カイト「(下を向いて、少し躊躇うように。)俺・・・俺さ・・・兄貴に
嘘を吐いてたんだ・・・。」
アルベール「・・・嘘・・・?」
カイト「俺・・・実は、初めてあんなことやったんじゃないんだ・・・。
あれは・・・俺の仕事なんだ・・・。」
アルベール「(微笑んで近寄る。)分かってたよ・・・。」
カイト「・・・え・・・?」
アルベール「俺は刑事だぜ?おまえみたいな餓鬼の言葉に、い
ちいち騙されてたんじゃ、この仕事は勤まんないん
だよ。」
カイト「俺・・・兄貴がさっき話してた“NYインターナショナル”の
裏組織で雇われてるんだ・・・。」
アルベール「・・・何だって・・・?」
カイト「けど・・・俺一番下っぱの捌き屋で、上のことはよく分かん
ないけど・・・兄貴が目を付けてた専務が、闇ボスなのは
間違いないぜ!!俺・・・見たことがあるんだ。何時もみた
いに、品物と金を引き替えに行った時、あいつが麻薬の
一杯詰まったケースを持って行くとこ!!・・・こんなこと喋
っちまって・・・俺・・・刑務所行きだな・・・。」
アルベール「よく教えてくれたな。おまえのことは心配するな。俺
が上手くやるから・・・。これであいつは間違いなく、
俺の目の付けた通りの男だったと分かった訳だ・・・
。必ず尻尾を掴んでやる!!」
アルベール残して、音楽で紗幕閉まる。
――――― 第 7 場 ――――― A
アルベール遠くを見詰め、力強く歌う。
“俺が目を付けた獲物は
誰が何と言おうとも
必ずこの手に入れる!
確信を持って追い続けた
この何ヶ月か・・・
間違いを恐れ
足踏みしたこともあったけど
今は真実に成り得た!!”
そこへロバート、アルベールを認め
近寄る。
ロバート「アルベール!!」
アルベール「(ロバートを認め。)ロバート・・・」
ロバート「(怒ったように。)何故ジュリーを使う!?何故ジュリー
を態々あんな危険なことに巻き込むんだ!!何故、彼
女を使って、NYインターナショナルに脅迫電話を掛け
させるような真似・・・!!」
アルベール「・・・危険なのは百も承知だ!!だが、女相手の方
が、あいつらも油断して尻尾を掴みやすいんだ!!
」
ロバート「だがもしものことがあってからじゃ遅いんだぞ!!ア
ルベール!!」
アルベール「心配するな!!おまえの愛するジュリーは、俺が
命を賭けて必ず守ってみせる!!だから、あいつに
もしものことがあったらなんて考えると、俺が許さな
いぜ!!」
ロバート「・・・アルベール・・・」
アルベール「おまえと同様、俺にとってもあいつは大切な・・・仲
間だからな・・・。」
ロバート「・・・おまえ・・・。分かった・・・おまえを信じるよ・・・。俺
もいるんだ・・・2人で彼女を必ず守ろう・・・!!」
アルベール「ああ!!」
――――― 第 7 場 ――――― B
2人、上手方へ寄る。紗幕開く。と、夜の公園。
中央に回りを気にしながら、佇むジュリー。
アルベール、ロバート、上手方にあった木の
後ろに回り込んで、ジュリーを見守る。
2人、手には銃を握る。
一時置いて上手奥より、サングラスを掛け帽子
を深く被った一人の男、アタッシュケースを持って
登場。ジュリーに近付き、黙ってジュリーの前を
通り過ぎる時、そのケースをジュリーの足元へ
置いて、下手へ去る。
アルベール「(慌てて飛び出し、男の後を追う。)畜生!!」
ロバート「アルベール!!」
ロバート、アルベールの方を気にしながらも、
銃を仕舞い、ゆっくりジュリーの側へ行こうと
した時、下手奥の木の陰より、黒いスーツに
サングラス姿の殺し屋(J。)が、ライフルを
ジュリーに向けているのに気付き、驚いて
ジュリーに駆け寄り抱き寄せ、Jから守る為に
自分が銃の楯になる。その時、ライフル銃の
発射音が辺りに響き渡り、ロバートに命中する。
一瞬の辺りの静寂・・・。
ジュリーの悲鳴。逃げ去るJ。
アルベール、その音に驚いて駆け戻る。
ロバート、ゆっくりと崩れ落ちる。呆然とする
ジュリー。
アルベール「ジュリー!!(倒れているロバートに気付いて。)
・・・ロバート・・・?(ゆっくりとロバートに近寄りなが
ら。)ロバート・・・!!(駆け寄り抱き起こす。)ロバ
ート!!しっかりしろ!!ロバート!!」
ロバート「・・・ドジを・・・した・・・(微笑む。)・・・ジュリーは・・・?」
ジュリー「(涙声で。)私なら大丈夫よ!!」
アルベール「ロバート!!(回りを見回して。)誰か!!」
ロバート「・・・ジュリーが無事で・・・よかった・・・(溜め息を吐く。)
・・・ジュリーを・・・頼んだぞ・・・」
アルベール「・・・何言ってんだ!!(涙が溢れる。)」
ロバート「アルベ・・・ル・・・俺は・・・おまえと・・・組めて・・・幸せ
・・・(亡くなる。)」
ジュリー、ロバートに縋って泣き叫ぶ。
アルベール「・・・ロバート・・・ロバート・・・目を覚ませよ・・・。何で
おまえなんだ・・・。何で俺じゃなくておまえなんだ!
!ロバート!!(叫ぶ。)」
音楽でフェード・アウト。紗幕閉まる。
――――― 第 8 場 ―――――
紗幕前。
下手スポットにJ浮かび上がる。
(上半身、フェード・インする。)
J「如何やらこれは、警察の罠だったようです。」
ウィリアムスの声「・・・罠・・・?如何言うことだ。」
J「はい・・・。専務のところへ脅迫電話を掛けて来た女・・・彼女
は警察官です。それで我々を・・・いや、あなた自身を誘き寄
せるつもりだったのでしょう・・・。」
ウィリアムスの声「・・・何処から奴らに情報が漏れた?」
J「今のところはよく分かりませんが・・・。もう少し探ってみます。」
ウィリアムスの声「誰であれ・・・もし我々の仲間に、裏切り者が
いるとすれば・・・私の判断を待つまでもない。
J、おまえが決め、即刻抹殺してしまうのだ。い
いな・・・?」
J「・・・分かりました。誰であれ・・・」
J、フェード・アウト。
上手スポットにアルベールとジュリー、
浮かび上がる。
アルベール「・・・俺のせいだ・・・。俺があの時、おまえの側から
離れた為に・・・ロバートは・・・(遣り切れないように
。)」
ジュリー「アルベール・・・(アルベールの肩に手を掛ける。)」
アルベール「あれ程、俺がおまえを守ると言っておきながら・・・
何故、俺はあの時!!」
ジュリー「あなたのせいじゃないわ・・・。」
アルベール「(思わずジュリーを見据える。)じゃあ何故だ!!
何故あいつは死んだ!?」
ジュリー「・・・ロバートが亡くなって、私も悲しいわ・・・。けど、そ
の死を誰かのせいにして、その誰かを責めるなんて・・・
。そんな風に考えるのは、もっと悲しいわ!!」
アルベール「だが・・・あれは完全に俺の過失だ・・・。俺がジュリ
ーを守りきれなかった・・・。」
ジュリー「そんな考え、あなたらしくない・・・。そんな思いに雁字
搦めになってるあなたを見たら、ロバートも屹度悲しむ
わ!!」
ジュリー、悲しみを隠しながら歌う。
“何故そんな風に
自分を責めるの・・・
何故そんな風に
自分のせいだと・・・
誰かが責任を背負っても
彼は喜ばない・・・
屹度・・・
彼方から悲しむだけ!!”
アルベール「・・・もう・・・俺のことは、放っといてくれ・・・。」
ジュリー「アルベール・・・」
アルベール「・・・何としても・・・ロバートを殺した犯人を・・・俺は
この手で必ず捕まえてみせる!!」
アルベール、固い決意に遠くを見遣る。
側でジュリー、不安気にアルベールを
見詰める。音楽でフェード・アウト。
――――― 第 9 場 ―――――
紗幕開く。と、署内。
何となく、中の様子はしんみりとしている。
シンディ「何となく淋しいわね・・・。」
ボビー「ああ・・・。ロバートさんは、外に出てることが多くて、あま
りここにはいなかったから、風景自体は以前と変わりない
んだけど・・・。(溜め息を吐く。)」
そこへ花の入った花瓶を抱えたジュリー、
上手より登場。
ジュリー「おはよう!」
シンディ「おはようございます!」
ボビー「おはようございます!(花を見て。)ロバートさんにです
か?」
ジュリー「ええ・・・。」
シンディ「綺麗なお花・・・。」
ジュリー「彼、この花好きだったから・・・。この花だけじゃなくて、
全部の草花を愛する人だったわね・・・。そのことで、よ
くアルベールと言い合いしてたっけ。(笑う。)アルベール
は見ての通り、あんなでしょ?“花なんか腹の足しにな
るか!”ってね・・・。もう・・・言い合う相手、いなくなっちゃ
ったのね・・・。(淋しそうに。)」
シンディ「ジュリーさん・・・。」
シンディ、ボビー、顔を見合わせる。
ジュリー、ロバートのデスクの上に、手に
持っていた花瓶を置く。そこへ上手より
ミセス・バーバラ、曲がった腰に手を当て、
杖を突きながらゆっくり登場。
受付カウンターから中を覗いて。
バーバラ「お巡りさん!お巡りさん!(手招きする。)」
ジュリー「あら、お婆さん・・・。(カウンターの方へ。)」
バーバラ「私のアレックスは、見つかりましたでしょうか・・・?」
ジュリー「それがね、お婆さん。よくよくは気を付けて歩いてみる
んだけど・・・。」
バーバラ「一体、何時になったら見つけて貰えるのやら・・・。私
ゃ、首を長ーくして待っているのに・・・。」
ボビー「(幾分控え目な声で。)普通、警察で迷子犬の捜索なん
か引き受けないんだぞ!それをジュリーさんは優しいか
ら・・・。」
シンディ「ボビー!」
ジュリー「ごめんなさい。本当は直ぐにも見つけてあげたいんだ
けど・・・。」
バーバラ「この間の、鳥のお巡りさんに頼んで下さいな!あの人
は直ぐにピーコを捜して、連れて来てくれたんですよ。
今回も屹度、見つけてくれるに違いない!どうかあの
人に!」
ジュリー「分かったわ、お婆さん。彼によく頼んでみるから、そん
なに心配しないで。」
バーバラ「本当に頼みましたよ・・・。本当に・・・。」
ジュリー「はい。」
バーバラ、再びゆっくり上手へ去る。
ボビー、シンディ、ジュリーの側へ。
ボビー「何だい、あのお婆さんの言い方。あれじゃあ丸でこっち
が、手を抜いて何もしてないみたいじゃないか。」
ジュリー「仕方ないわ・・・。暫く、ロバートのことでバタバタしてた
のも事実だし・・・。」
ボビー「けど・・・。」
シンディ「ジュリーさんが一番気に止めてくれてるのも知らない
で。」
ジュリー「ううん。一番気に掛けてくれてるのは、あのお婆さんの
言う通り、アルベールよ。今はロバート殺しの犯人のこ
とで、それどころではないけど。それまでは捜査の振り
して、犬捜ししてたもの。」
シンディ「へぇ・・・知らなかった・・・。」
ボビー「よく見てるんだなぁ・・・。」
その時、上手よりカーク、回りを見回しながら
登場。
ジュリー「(カークを認め。)・・・ロバート・・・(呆然と。)」
ボビー、シンディ其々「(ジュリーの声に、その方を見て。)ロバ
ートさん!!」
カーク「まただ。署の入口を入って、10人に会えば10人共が
私の顔を見て、同じ言葉を繰り返す“ロバート”とね・・・。」
ジュリー「・・・あの・・・あなたは・・・?」
カーク「今日から捜査課に配属されたカーク・・・ジョンソンです。
」
ジュリー「・・・ジョンソン・・・?じゃあ、もしかしてロバートの・・・」
カーク「イエス。彼は私の双子の兄でした。君は・・・ジュリーだ
ね?」
ジュリー「・・・ええ・・・。」
カーク「一目見て分かったよ。ロバートがよく君の話しをしていた
から・・・。」
ジュリー「ロバートが・・・。」
カーク「余りにしょっちゅう聞かされていたもので、私まで一度も
会ったことのない君を、以前から知っているような気がし
てた程ね。それと・・・君と同じくらい、名前が出ていたの
がアルベール・・・。“目を離したら何を仕出かすか分から
ない”とか言いながら、何時も楽しそうに話していた・・・。
・・・で・・・そのアルベールは?(回りを見回す。)」
ジュリー「捜査に出てるんです。最近は署に立ち寄る時間も惜し
いくらい、ロバート殺しの犯人を捕まえることで、頭が一
杯みたいで・・・。」
カーク「・・・成る程ね・・・。今の彼は、ロバートの話しを聞いて、
思い描いて来たアルベールとは、少しばかり違うようだ・・・
。」
音楽で暗転。紗幕閉まる。
――――― 第 10 場 ―――――
紗幕前。人々の雑踏。車の通行音の中、
下手より何かに追われているように、後ろ
を気にしながら、買い物袋を持ったカイト、
足早に登場。
少し置いて、黒スーツに黒サングラス姿の
J、カイトをつけているように登場。
カイト、何か思い立ったように立ち止まり、
意を決してスタスタとJの側へ近寄る。
カイト「よお、おっさん!!さっきからずっと俺のことつけてやが
るが何か用か!!」
J「(ニヤリとして、サングラスを外す。)・・・ちょっと・・・ね・・・」
カイト「ちょっとって何だよ!!ちょっとのことで、俺に付き纏わ
ないで欲しいね!!」
J「君は・・・近頃、仕事は如何したんだ?」
カイト「仕事・・・?俺はちゃんとカフェレストで洗い場・・・」
J「へぇ・・・新しい仕事を見つけたんだ・・・。」
カイト「・・・おまえ・・・誰だよ!!何でそんなことを聞く!!」
J「(サングラスを掛けて微笑む。)じゃあな、坊主!(上手へ去
る。)」
カイト「おい!!待てよ!!」
紗幕開く。と、カフェ。
数人の客、其々座っている。本を読む者。
書き物をしている者など。
カイト「・・・一体・・・誰なんだ・・・」
ヘレン、店の奥より飲み物を運び登場。
客の前へ。
ヘレン「(カイトに気付いて。)カイト!買い出しご苦労様!如何
したの?そんなところで呆っとしてないで、こっちへ来て
座って休んだら?」
カイト「あ・・・うん・・・(カイト、言われるまま椅子に腰を下ろす。)
」
店の奥よりマシュー登場。
ヘレン「何か飲み物、入れて来てあげるわね。(ヘレン、奥へ去
る。)」
マシュー「やぁ、ご苦労だったね。(カイトの様子に気付いて。)
如何した?何かあったのかい?」
カイト「(首を振る。)」
マシュー「本当に?」
カイト「うん・・・。久しぶりに遠くまで買い物に出たんで、疲れた
だけさ・・・。」
マシュー「ならいいけど。」
カイト「・・・なぁ、親父・・・」
マシュー「・・・ん?」
カイト「・・・兄貴が前言ってた・・・俺を見てると、昔の自分を思い
出すって・・・」
マシュー「ああ・・・。あいつも今は刑事なんて仕事やってるけど、
昔は相当悪いことをしてたからなぁ・・・。要領がいい奴
だから、それこそ警察のお世話にだけはならなかった
がね。あいつも丁度、おまえくらいの時、この店で働い
てたんだぜ。」
カイト「え・・・?」
ヘレン、飲み物を持って登場、カイトの前へ。
ヘレン「はい。」
カイト「ありがとう。」
ヘレン、空いている椅子に座る。
マシュー「あの頃丁度、あいつもおまえと同じで、施設にいたん
だ。それで余りに先生達の手に負えないってんで、追
い出されたんだな。」
カイト「俺は自分から飛び出したんだぜ!!追い出されたんじゃ
なくって!!」
マシュー「分かってるよ。」
ヘレン「へぇ・・・そうだったの?私はアルベールと同じだと思って
たわぁ。」
カイト「失礼な奴だな!!俺を兄貴と同じに考えるなよ!!」
マシュー「(微笑んでカイトを見る。)少しは元気になったみたい
だな。」
カイト「・・・うん・・・。実はさっき、帰り道で何か変な奴に出会って
さ・・・。」
マシュー「変な奴・・・?」
カイト「(頷く。)誰だか全然分かんないんだけど、矢鱈と恐ろしい
感じが、胸ン中に溢れ出してくるみたいな・・・。ちょっと嫌
な気分だったんだ。」
マシュー「そうか。」
カイト「けど、もう平気だよ。兄貴の話し聞けて、元気になったか
ら。(笑う。)・・・兄貴なら俺のこと、分かってくれるって・・・。
」
マシュー「そうだな。まぁ、もう少し休んでから、奥を手伝っておく
れ。」
カイト「了解!」
マシュー、ヘレン店の奥へ去る。
カイト「(2人が去るのを見計らって、立ち上がる。)だけど・・・何
だろう・・・。一人になるとやっぱり湧き上がる、この不安な
気持ちは・・・」
カイト残して、紗幕閉まる。
何か怯えるように、不安気に歌う。
“何故だか分からないけど
背後から忍び寄る黒い影に
訳もなく怯えるように・・・
誰かも分からず ただ何時も
振り向けば不気味に佇む
奴の影・・・
怖い・・・怖い・・・
無性に逃げ出したくなるような
この不安から逃れたい・・・”
カイト「・・・(何かに気付いたように。)あいつ・・・見たことがある
・・・。あれは・・・専務の部屋を覗いた時・・・(ハッとして。)
あいつ・・・殺し屋だ!!」
音楽で暗転。(紗幕開く。)
――――― 第 11 場 ―――――
フェード・インする。と、署内仮眠室。
何台か置かれたベットの上に、アルベール
腰を下ろして、今起きたばかりのように、
気だるそうに頭を抱えている。続いて、横に
置いてあった靴を履く。(ゆっくり靴紐を結ぶ。)
その時、入口よりカーク入って来て、ゆっくり
アルベールの側へ。アルベール、人の気配に
気付きながらも、靴を履くことに熱中しているよう。
カーク「君が・・・アルベール刑事かい・・・?」
アルベール「(下を向いたまま。)・・・何か用か・・・」
カーク「今日から君と組むよう命令されて、この署に配属になっ
た・・・」
アルベール「(カークの言葉を遮るように。)相棒などご免だ・・・
。」
カーク「君は随分と、この署内では鉄砲玉で通ってるそうじゃな
いか。私の方としても、君のような野蛮刑事と組むのは、
勘弁願いたいのだが、署長の達ての頼みじゃ、仕方ある
まい・・・。」
アルベール「(思わず立ち上がり、カークに食って掛かるように。
)野蛮で悪かっ・・・!!(カークの顔を見て、呆然
とする。)・・・ロバート・・・」
カーク「・・・如何した?」
アルベール「誰だ・・・おまえ・・・!?(カークを見据える。)」
カーク「ロバートじゃないか、アルベール・・・。(両手を広げ、微
笑む。)」
――――― “アルベール”3へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html
http://ritorupain.blogspot.com/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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