流しの前に立ってる私のところに、何やら神妙な顔をして、主人がやってきた。
今さっきまで、庭にいるから…と、出て行ったばかりなのに…。
主人が、おもむろに口を開いた。
「俺たち、あと10年は頑張ろう! 今、この家を壊すのは忍び難いよ!
あまりにもったいないよ!」
主人の悲痛な叫び。
私とて同じだ。
舅が残してくれた都内23区内の土地に、これまた、実家の父の援助を受けて、新築した家。
まだ、22年しかたってない。
給湯器やキッチンの水道器具など、多少は買い替えたが、まだ、びくともしない。
外観のレンガも一枚も割れず、きれいなままだ。
北側のモルタル壁に、小さな亀裂は走っているけれど、どうということは無い。
私たちには、二人の息子がいる。
今、一緒に住んでる長男夫婦には、我々夫婦が亡きあと、家を維持してくことはできない。
次男坊とて、同じだ。
それに、今の相続法では、二人には平等に分けられる。
これと言って、資産もなく、家を壊して、分けるしか、方法はないのだ。
主人の悲痛な叫びもよくわかる。 私も…。
10年。 頑張るか…。 (⌒▽⌒)アハハ!