外出から帰宅すると、大事なものをバッグから取り出し、所定の場所に戻すのが、
私の古くからの習慣だ。
時計、パスケース、お薬手帳、そして、家のカギだ。
パスケースの中には、シルバーパスや、スイカ、そして、お守りのテレフォンカード。
お薬手帳の中には、保険証、診察券、障害者カードなど。
そして、門と玄関の二つの鍵。
それらには、皆、小さな鈴の根付けがついている。
可愛い音がするので、落としても、すぐわかる。
もっとも、あの地震以来、置き場所は所定の箱から、すぐに、持ち出せるように
バッグに変わったけれど…。
それでも、バッグの中の位置は不変だ。
外のポケットにはパスケース。 中のポケットには家の鍵。
慌てずに、手が自然と行くように、習慣づけられている。
(整理下手の私にしては、上出来)
ところが、散歩に行こうと、小さなポシェットに、パスケースと鍵だけを移そうとしたら。
あら大変!! 鍵がない。
所定の内ポケットに、鍵がない!
その時は、小引き出しの中にあるスペアーキーで、事なきを得たが…。
帰宅後、あれやこれや考えて、落ち着かなかった。
主人に言おうものなら、また、大きな雷が…。
なんとしてでも、探さねば…。
外出から帰宅後、家に入れたということは、玄関までは鍵は健在だった…。
と言うことは、鍵は、家の中にあるはず。
そこで、帰宅後の自分の行動をなぞってみた。
鍵を開けて、家に入る…。
そこで、いつもなら、バッグの所定位置に戻すはず…。
でも、そこに無いと言うことは…。
玄関の靴棚の上か…。
もしくは、トイレに行きたくなり、鍵を持ったまま、トイレに飛び込んだか…。
部屋に戻り、ベッドの上に置き忘れたか…。
順番に歩いてみたが、影も形もない!
そして、もう一度、バッグの中の所定の位置を丁寧に見たら…。
あった! あったのだ
隅っこに、ちゃんと眠っていた。
ちゃんと、所定の位置に戻っていた。
自分をもっと、信じるべきだった