新しい観光列車は「かわせみ やませみ」 JR九州 肥薩線の熊本―人吉間で導入を予定 九州旅客鉄道
2017年春頃,JR九州の肥薩線に観光列車「かわせみ やませみ」が登場します。新たに運行を開始する「かわせみ やませみ」は,「球磨川沿線の自然や,人吉の町並みの美しさを表す」として命名したとのこと。かわせみ(翡翠)とやませみ(山翡翠)はどちらも渓流に生息する小鳥で,球磨川の流域でもみられるといいます。
車両のデザインも「かわせみ やませみ」をイメージ。八代~吉松間を結ぶ肥薩線のうち,急勾配やループ線,スイッチバックなどが続く人吉~吉松間の通称「山線」に対し,球磨川に並行している八代~人吉間の通称「川線」を走行することから,それにふさわしいデザインとするそうです。 列車はディーゼル車の2両編成で定員は70人程度。テーブルの付いた座席などが配置されます。
2017年春頃から,鹿児島本線・肥薩線の熊本~八代~人吉間を毎日3往復程度運転する予定です。
JR九州,鉄道事業黒字化にメド
同社は,前期末に民営化時に国から受けた3877億円の経営安定基金を取り崩した。九州新幹線の設備を保有する鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの貸付料2205億円を一括で前払いしたほか,800億円を借入金の返済に充てた。
この処理に伴い,2016年3月期に5462億円を特別損失として計上。連結の最終損益は4330億円の赤字となった。だが,今期以降は圧縮した資産価値で減価償却費を算定するため,コストを大幅に減らせることから,地震の影響額を考慮しても226億円の営業黒字を確保できる見通しである。
同社の熊本地震による影響は全体で175億円で,鉄道事業が140億円を占める。鉄道関連 設備の修復費は約80億円を見込む。加えて、運転見合わせなどによる鉄道運輸収入の減収額は約60億円と予想する。新幹線は全線復旧したが,運行本数は通常の9割にとどまる。新幹線の正常化の見通しについては, 「6月末から7月上旬を目標に徐行区間を見直し,通常に近い運行本数を目指す。」とする。
JR北海道の基金は6822億円,JR九州は3877億円,JR四国は2082億円, 合計すると1兆2781億円に上る。ただ、これらの金は,あくまでもこれを運用し,赤字の穴埋めをするためだけに使われる。金利は当初7.3%。運用利 回りは1年間でJR北海道は498億円,JR九州は283億円,JR四国が151億円である。
いま,JR北海道とJR九州の明暗は,大きく分かれる。JR北海道は列車事故をきっかけに,線路異常などの整備不良が発覚。そのずさんな経営体質に国土交通省からは再三に渡り改善指示を受け,経営は悪化する一方である。JR九州は九州新幹線開通に加え,独自で進める観光特急が好評で,経営も軌道に乗りつつある。
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┗━★ 「JR」6社 経営の現状
◆JR北海道 http://www.jrhokkaido.co.jp/
・鉄道事業の赤字を経営安定基金で穴埋めする厳しい経営を強いられている。
・トラブルや不祥事が続く。
◆JR東日本 http://jr-central.co.jp/
・安定した黒字経営。
・沿線での街づくり,駅ビル開発などで収益性が高い。
◆JR東海 http://www.jreast.co.jp/
・安定した黒字経営。
・リニアの開発などで技術力が高い。
◆JR四国 http://www.jr-shikoku.co.jp/
・鉄道事業の赤字を経営安定基金で穴埋めする厳しい経営を強いられている。
・2013年度には,13件の車両故障が起きるなど,車両故障が相次いだ。
◆JR西日本 http://www.westjr.co.jp/
・黒字経営ではあるが,過疎地を多く抱え,経営基盤が弱い。
・地域と現場重視で再出発を図る。
◆JR九州 http://www.jrkyushu.co.jp/
・JR九州は,観光に力を入れている。九州では福岡を除く,佐賀,長崎,大分,宮崎,鹿児島県とも観光立県を目指していることから,JR九州の役割は大きい。