瀬島龍三氏語録-3 「着眼大局、着手小局」-光と影
瀬島龍三氏は,シベリア抑留から帰国した2年後の'58(昭和33)年に伊藤忠商事に入社した。氏の部下だった伊藤忠OBが述懐する。「当時の商社マンと言えば、コセコセ、セカセカしたイメージでしたが、瀬島さんは背筋をピンと伸ばし、『ザ・参謀』という印象であった。最初の報告の時にどっさり資料を持って行ったら、『報告は紙1枚、しかも3点に集約し、3行で済ませろ。そうでないと鉄砲が飛んでくるぞ!』と怒られました」。
「着眼大局、着手小局」「悲観的に準備し,楽観的に対処せよ」……瀬島語録はその後、伊藤忠で「社員心得」としてまとめられた。(この部分の出典:講談社 オフィシャルウェブサイト https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65321 ・『週刊現代』2019年6月22・29日号)
瀬島氏は,「敗戦時は関東軍作戦参謀」「11年間にわたるシベリアでの抑留生活」「商社マン-伊藤忠商事の会長-」「中曽根康弘・元首相のブレーンで行財政改革の影の立て役者」と,生涯において4つの転機を,乗り越え生き抜いている。
死後のいまでも謎に満ちているのが,「シベリアでの抑留生活」時代である。戦後は11年間にわたりシベリアに抑留されたが,瀬島氏こそが「日本兵をソ連に売り渡した張本人」だとする説がある。いわゆる“シベリア抑留密約説”である。
「ソ連(現・ロシア)のスパイだったのでは?」との疑念も,もたれている。初代内閣安全保障室長を務めた元警察官僚の佐々淳行氏(故人)は、著書『私を通りすぎたスパイたち』で、「昭和三十年代、ソ連大使館員の尾行を続けていると,その館員と接触する日本人ビジネスマンがいた。それが瀬島だった」とも記している。
作家・保阪正康氏著の『瀬島龍三 参謀の昭和史』(文春文庫)は,綿密な取材によって瀬島氏が語ることのなかった氏の軌跡を追い,裏側をかなりの部分明らかにしている。
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参謀の昭和史 瀬島龍三 (文春文庫) |
瀬島は戦時に作戦参謀として多くの作戦にかかわり、
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文藝春秋 保阪 正康著 |
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亡国スパイ秘録 (文春文庫) |
「スパイ天国・日本よ、目を覚ませ」──初代内
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文藝春秋 佐々 淳行著 |