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チューリップス・シスター第2話

2016-07-16 07:14:37 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第2話 神父への相談

真理と美咲の母の失踪は、警察による捜査は、困難をきわめていた。
何の手がかりも、つかめぬまま時を過ぎていくが、徐々に警察からの連絡も少なくなっていく。
自宅内全ての捜査をしようとする警察の姿は、真理と美咲にとって、とても嫌な光景であった。
警察官を見つめる真理と美咲は言葉をだす事なく、警察官の足に絡みつき離れようとはしない。
自宅内捜査が出来ない事を、警察官は叔父夫婦へ伝えたが、叔父夫婦も真理と美咲の二人の行動に戸惑うばかりだった。
叔父夫婦は、真理と美咲を預かろうとしたのだが、自宅の外に出ると途中で、どうしても農園にある自宅へ戻ってしまう。
精神科医師である叔父は、知り合いの教会の神父に会い、真理と美咲の今後の相談をする。

神父は真理と美咲に会ってから今後の事を考えましょう、早く二人合わなければ、と言った。
叔父夫婦は、「早く会わなければ」という言葉が気になっていた。
何故なら、精神診断では問題はなかったからだ。
そして叔父夫婦は、農園にある自宅にいる真理と美咲を迎えに行く。
真理は、素直に叔父の言う事を聞くが、外には出ようとしなかった。
美咲は、叔父夫婦の声かけに答える事なく、自宅の部屋から離れようとはしなかった。
美咲は、部屋の押入れに入り、布団をかぶっていた。
叔母は、何度も声をかけるが、返ってくる言葉もなかった。
「美咲、一緒に行こうよ」
真理の小さな声かけで、美咲は押入れを出て、真理について行くようになると思った叔父夫婦。
しかし、真理は声をかけているだけで美咲に寄り添うだけだった。
農園にある自宅にいる真理と美咲を、叔父夫婦の自宅ではなく、何としても嫌がる二人を説得し教会ヘと向かわせようと思った。
真理と美咲は手と手を繋ぎ、ただ黙り震えているだけで動く事はなかった。

しかし神父の姿を見た真理と美咲は神父をじっと見つめ、神父は何も言わず両手を差しだすと、二人の瞳は笑みを浮かべ立ち上がる。
真理と美咲は神父の手に、二人が手を当てると立ち上がり、首を縦に振った。神父に何かを感じたような真理と美咲だった。
警察官は真理と美咲が自宅から外に出ると自宅内捜査を始めるが、何故か二人の姿を思い浮かべると捜査の途中でやめた。
警察官達は、何故途中で自宅内から離れたかは不明、神の思し召しかは全く分からないが何かに誘導されるかのようだった。
ただ、警察官が持っていたのは、フォトアルバムだけだった。
叔父夫婦は、厚着のコートを着せ自宅から教会まで歩いて行く事になる。
歩いている途中、真理と美咲は叔父夫婦と手を繋いているが、真理と美咲は一切、会話をする事はなかった。
ただ、約1キロ程の道を一緒に歩いている姿だけである。

教会へ着くと、真理はキョロキョロしながら教会の中を見回していた。
もの珍しかったのか、何かを探すかのようだった。
美咲は、教会の椅子に下を向きながら、黙って座っていた。
教会へ入ると、二人は繋いだ手を離し、真理はゆっくりと静かな足音でマリア像へ向かっていく。
美咲は下向き加減で、椅子に座り、独り言か歌なのか小さな声で囁きはじめた。
教会には、孤児を引きとり預かってもらえる施設があった。
二人の情景を見て、神父は何かを感じた様子で、二人は、一緒に生活をする事は避けるべきと、神父は叔父に話しをした。
しかし、叔父夫婦は、どうしても納得がいく事が出来なかった。
「どうして二人を引き離さなければならないのですか?」
「なぜ、姉妹を離れ離れにしなければならないのか、その理由とは何ですか?」
叔父夫婦は、神父に聞いた
「二人を時々会わせるのはいいのだが、一緒に暮らす事は、負担がかかりすぎるでしょう」
神父は、叔父夫婦に話をした。
そして、二人の子を守りたいのなら、そうすべきだと強く叔父夫婦に話をしたのだ。
叔父夫婦もキリスト教徒で、完全に納得はしなかったが、戸惑いながら神父を信じて言う事に従う。

姉の真理は叔父が引きとり、妹の美咲は教会にある修道院の施設に預ける事になった。
話し合いの後、叔父夫婦は具体的な対応を聞き、戸惑いから真理と美咲を見ながら冷静に考えはじめる。
神父には、今後の真理と美咲の何かが見えているのではないかと思うようになった叔父夫婦だった。
今後の双子の姉妹、真理と美咲の将来の行く末と人生の向かう先を感じ、何かが見えていたのだろうと叔父夫婦は考え信じる事にした。

話し合いが終わる頃、教会の中ではマリア像の前に立たずむ真理の姿があった。
しかし、マリア像には全く興味を示さないで椅子に座ったままの美咲の姿は、真理とは全くの正反対の行動である。
普通に考えれば双子の姉妹なら、手を繋ぎ不安げにも椅子に座る二人の姿があるだろう。
または、マリア像に興味を抱きながら、マリア像の前に姉妹で立ちすくむ姿あるだろう。
神父の話を聞いてから叔父夫婦は、教会内での姉妹の姿を見て、神父が話した姉妹の生き方を考え、真理と美咲の見守り方を考えていた。
「神と精霊のもとで必ず守られるでしょう」
真理と美咲を見つめる叔父夫婦の後ろから、神父は冷静に声をかけ別室へ足を向け静かに入っていった。
真理は、マリア像に母の姿を映し出し、美咲は、母は自宅に戻ってくると信じて思い描いていたのかもしれない。


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