高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の住み替えのタイミング

2015年09月13日 | 老後と住まい
(続き)全国有料老人ホーム協会によると、自立して生活できるうちに住み替える場合、自分で選択し75歳前後で住み替える傾向があり、介護が必要となった場合に住み替える場合、家族が選択し80歳を超えて住み替える傾向があるとしています。
どのタイミングで住み替えるにしても、大切なのは計画性ではないかと思います。8月14日と15日の記事で、高齢期は区分して計画した方が良いという趣旨の記事を書きました。成長期のように、小学校は7歳から12歳、中学校は13歳から15歳と年齢によって明確に区分することはできませんが、80歳後半までを一区切りにするといった幅を持たせた形での区分が良いと思います。その上で、80歳後半までは住み続け、その後住み替えるといった計画を高齢期の入り口に立った60歳代にたてることが望ましいと考えます。勿論、成長期と違って高齢期では思っていたよりも急に体の機能が衰えるといった不確かさがありますが、計画があれば様々な不確かさに対応しやすいと思います。
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高齢期の住み替えのタイミング

2015年09月12日 | 老後と住まい
高齢期の住み替えのタイミングは大きく分けて、自立して生活できるのに早めに住み替えるケースと、助けを借りないと生活できないが家族の事情など介護上の理由で住み替えるケースが考えられます。早めの住み替えは自分の意思だと思いますが、介護上の理由による住み替えは家族の意思が多いと思われます。
内閣府の60歳以上の男女を対象とした調査によると、資金の問題を考えないとすると、住み替えで重視するのは、バリアフリー、移動・買い物の利便性、医療・介護の順になっています。
気になるのは移動・買い物の利便性を理由に早いうちに住み替えた場合、将来の介助や介護が必要になった時のことです。買い物や・移動が難しくなってきたときの対応をどう考えるのでしょうが。勿論、その時にはもう一度住み替えるということも考えられますが、資金のことも考えておく必要があると思います。
シニアライフ情報センターが平成20年に行った調査では、住み替えの時期について、「自分で判断・行動できる元気なうちに」と回答する人の割合が最も多く、「一人暮らしになったら」が続きます。だた、この調査対象は同センターの会員などを中心に行われており、調査対象が偏っている可能性もあります。(続く)
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高齢期の住み替えを考える(3)

2015年09月11日 | 老後と住まい
(続き)高齢期の住み替えで主客転倒になりますが、同じように「仕事が減る」という問題が起こると思います。仕事は人から任されることで、人から頼りにされる、人から信頼される、その反射として自分に誇りが持てる、自信が持てることになると思います。食事を例にとると、自宅では食事を家事として準備しますが、高齢者向け施設に住み替えれば食事の提供があり、悲しいかな安きに流れて提供に甘んじ誇りと自信を失うことになるのではないでしょうか。毎日食事の用意をするのは辛いでしょうが、その代償として尊敬や信頼が得られることになると思います。高齢になると食事の準備や後片付けが大きな負担となりますが、できるところまで頑張ることが長く尊厳を保ちながら自立して暮らすことができるのではないでしょうか。
仕事と同じことだと思いますが、「役割がなくなる」というのも問題です。たとえば、家族と住んでいれば孫が出かけるときに声をかける役割があるでしょうし、一人で住んでいれば近所の人の話を聞いてあげる役割などもあるかもしれません。役割は自分の「存在意義」を感じるためのものでもあります。自分がいてもいなくても同じという状態は辛いと思います。よしんば高齢者向けの施設や住居に住み替えたとしても役割は見つけることはできると思いますが、自宅の時よりは見つけることが難しくなると思います。
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高齢期の住み替えを考える(2)

2015年09月10日 | 老後と住まい
(続き)住み替え支援事業の背景として「身体機能が低下した場合でもできるだけ自立して暮らせる住宅に居住」とあります。このことは賛成ですが、そのためには先ず、今の住まいを自立して暮らせる住宅にすべきで、安易に住み替えとすべきではないと思います。
投稿者は「住み替え」は最後の手段にすべきで、できるだけ長く住み慣れた住まいに住み続けるべきと考えています。ですから、住み替え事業は、住み続けられなくなった高齢者に絞った事業にすべきで、広い家が管理しにくいからということは事業を正当化する理由にはならないと思います。
高齢者が高齢者向けの住居に住み替える場合の問題点として投稿者が考えるのは、役割の変更です。住み続けた住居に住まう場合は、高齢者の役割は「主人」です。自分の住まいのルールは自らが作ります。食事を例に取れば、食事の時間は自らが決め、食事の内容も(大変ですが)自らが決め、というように自分の思うようにできます。一方、高齢者向けの住居に住まう場合は、高齢者の役割は「客」です。住まいのルールは事業者が決めます。食事の例では、食事時間は決められ、食事の内容も事業者が決めます。その事業者が作ったルールに従うことになります。高齢者向けの住居で「○○様」と呼ばれているシーンをテレビで見たことがありますが、「客」としての立場をハッキリと示しています。(続く)
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高齢期の住み替えを考える(1)

2015年09月09日 | 老後と住まい
厚生労働省のホームページの中に「住み替え支援事業について」というページがあります。そこに「豊かな住生活を実現するためには、住宅と世帯のミスマッチ(高齢者が広い住宅に少人数で暮らし、子育て世帯が狭い住宅に暮らしている状況)を解消するとともに、高齢者が加齢とともに身体機能が低下した場合でもできるだけ自立して暮らせる住宅に居住できるようにすることが重要である。」と記されています。この事業は、高齢者世帯を有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に住み替えてもらい、空いた「広い住宅」を子育て世代に貸し出すという制度で、高齢世帯は賃貸料を得ることができるし子育て世代は安い賃料で広い住宅に住むことができ皆がハッピーになる「はず」でした。しかし、平成18年10月から平成21年10月までの制度活用実績は129件(前述ページ)となっており、原因として制度設計の非効率(高齢者等の住み替え支援事業の考察(小川香名子 2012年2月))などが挙げられています。
この制度の背景として「高齢者が広い住宅に少人数で暮ら」すことと「身体機能が低下した場合でもできるだけ自立して暮らせる住居に居住」が挙げられていますが、こうした理由が高齢者の住み替えにつながるのかを考えてみたいと思います。(続く)
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