高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期にも安心な住まい(6:住み続けるためのチェック項目(6)「手すり」)

2015年07月31日 | 老後と住まい
「日本住宅性能表示基準」の一項目である「高齢者等への配慮に関すること」の評価方法基準6項目の4番目が「手すり」です。その等級5(最上級)の基準は次のようになっています。なお、この他に、バルコニーに取り付ける転落防止用の手すりなどの基準もありますが割愛します。
階段:両側(勾配が45 度以下であり、かつ、ホームエレベーターが設けられている場合にあっては、少なくとも片側)に、かつ、踏面の先端からの高さが700mm から900mm の位置に設けられていること。
便所:立ち座りのためのものが設けられていること。
浴室:浴室出入り、浴槽出入り、浴槽内での立ち座り、姿勢保持及び洗い場の立ち座りのためのものが設けられていること。
玄関:上がりかまち部の昇降及び靴の着脱のためのものが設けられていること。
脱衣室 衣服の着脱のためのものが設けられていること。

手すりの高さは、利用する人によって異なります。さらに、加齢とともに腰が曲がったり身体機能が低下したりするなどなどによって適切な高さが変化しますし、手すりの太さなどの形状も人によって異なります。利用者の身体状況を確認しないで手すりを取り付けるような業者には発注しないようにしましょう。
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高齢期にも安心な住まい(6:住み続けるためのチェック項目(5)「階段」)

2015年07月30日 | 老後と住まい
「日本住宅性能表示基準」の一項目である「高齢者等への配慮に関すること」の評価方法基準6項目の3番目が「階段」です。その等級5(最上級)の基準は次のようになっています。なお、ホームエレベーターがある場合には例外もありますが割愛します。
「a 勾配が6/7以下であり、かつ、けあげの寸法の2倍と踏面の寸法の和が550mm 以
上650mm 以下であること。
b 蹴込みが30mm 以下であり、かつ、蹴込み板が設けられていること。
c 回り階段等安全上問題があると考えられる形式が用いられておらず、かつ、最上段
の通路等への食い込み部分及び最下段の通路等への突出部分が設けられていないこと。
d 踏面に滑り防止のための部材を設ける場合にあっては、当該部材が踏面と同一面と
なっていること。
e 踏面の先端と蹴込み板を勾配が60 度以上90 度以下の面で滑らかにつなぐ形状とすることその他の措置により段鼻を出さない形状となっていること。
f 建築基準法施行令(昭和25 年政令第338 号)第23 条から第27 条までに定める基準に適合していること。」
参考までにこの基準に出てくる階段の名称を図にしてみました。

基準のaは少しわかりにくいので以下に例をあげます。
〇勾配(蹴上げ/踏面)が6/7以下、かつ、55cm≦ 2×蹴上げ寸法+踏面寸法 ≦65cm
(例)1階床と2階床の高さが2m80cmの場合で、踏面を25cmとする。
【水平距離が3m50cmならば基準を満たす】
この場合、蹴上げが20cm、14段となる。
・勾配(20/25=)5.6/7
・2×20cm+25cm=65cm
【水平距離を3mにすると基準を満たせない】
この場合、蹴上げが23.3cm、12段となる。
・勾配(23.3/25=)6.5/7
・2×23.3cm+25cm=71.6cm
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高齢期にも安心な住まい(6:住み続けるためのチェック項目(4)「段差」)

2015年07月29日 | 老後と住まい
「日本住宅性能表示基準」の一項目である「高齢者等への配慮に関すること」の評価方法基準6項目の2番目が「段差」です。その等級5(最上級)は、日常生活空間の内や外の床が段差のない構造であることとされていて、幾つかの例外が挙げられています。なお、「5mm以下の段差」は段差のない構造とみなされています。日常生活空間とは高齢者などが利用する玄関、便所、浴室、脱衣室、洗面所、寝室、食事室、寝室のある階の他の部屋に加えてこうした場所をつなぐ廊下などとされています。
例外は、文章で書かれていますので、例外の一部を図にしてみました。図のようになっていれば段差について等級5と認められます。例外は他にもありますので「評価方法基準」にアクセスしてみてください。(投稿者のURL 「老後と住まい」http://www.rougotosumai.com/ )



高齢期にも安心な住まい(6:住み続けるためのチェック項目(3)「部屋の配置」)

2015年07月28日 | 老後と住まい
「日本住宅性能表示基準」の一項目である「高齢者等への配慮に関すること」の評価方法基準6項目の1番目が「部屋の配置」です。その等級5(最上級)は、「日常生活空間のうち、玄関、便所、浴室及び食事室並びに脱衣室及び洗面所が、特定寝室の存する階にあること。(後略)」となっています。特定寝室とは高齢者などの寝室のことです。
総務省の社会生活基本調査によると睡眠は50歳代では週平均7.2時間ですが85歳以上では9.7時間となっており、高齢になれば寝室で過ごす割合が増え生活の中心が寝室になります。また、身体機能が低下によってトイレ、食堂などへの移動が負担となりますので、こうした場所はできるだけ寝室に近いことが望まれます。特にトイレの使用頻度が増えるため寝室とトイレとが近接していることは大切なポイントです。高齢者はトイレまでの距離が4mを超えると遠いと感じる(「福祉住環境コーディネーター」テキスト)ようです。
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高齢期にも安心な住まい(6:住み続けるためのチェック項目(2))

2015年07月27日 | 老後と住まい
評価方法基準は、国交省のホームページでみることができ、全部で138ページあります。「9.高齢者等への配慮に関すること」は105ページから120ページまでとなっていて、専用部分(戸建てやマンションの個人所有部分など)と共用部分に分かれています。また、住宅の性能は「等級5」から「等級1」まであり、等級5が最上の性能であり、等級1は建築基準法が守られているだけで高齢者への配慮はなされていないレベルです。この記事では戸建ての既存住宅の等級5についてみていくことにします。
評価されるのは「加齢等に伴う身体機能の低下等を考慮した移動等の安全性及び介助行為の容易性の高さ」であり、戸建て既存住宅の等級5が要求される水準は次のようになっています。
a 移動等に伴う転倒、転落等の防止に特に配慮した措置が講じられていること。
b 介助が必要となった場合を想定し、介助用車いす使用者が基本生活行為を行うことを容易にすることに特に配慮した措置が講じられていること。
具体的な評価対象は、「部屋の配置」、「段差」、「階段」、「手すり」、「通路及び出入口の幅員」、「寝室、便所及び浴室」の6項目になっています。
次回から評価項目ごとにご紹介します。
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