高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え51:高齢期の生活の張り(2) 仕事

2019年10月31日 | 高齢期の備え
・収入のある仕事に就いておられる方は男性70歳代、女性60歳代後半から同じ年齢層の中で半分以下になっています。

・仕事に就いている理由みると、収入が欲しいとする方の割合は年齢が上がるとともに減り、面白い、自分の活力になる、働くのは体によい、老化を防ぐなどとする方が増えてくる傾向があります。こうした傾向からみて面白い、自分の活力なるといった仕事に就いているほうが高齢になっても仕事が続きやすくなるといえます。

・社会的な活動をして「いない」方は、55歳以上で同じ年齢層の約70%、80歳以上になると約80%となっており、積極的な社会的な交流をしていない方が多くなっています。社会的な活動で多いのは、自治会や町内会などの自治組織の活動で各年齢層の約20%となっています。

・当ブロは、2030年以降の公的年金の受給開始年齢は70歳と見込んでいます(高齢期の備え 9月27日)。 もしそうなれば年金以外の収入が十分でなかったり貯蓄が十分でなかったりする場合は、70歳まで働かなければならないことになります。

・現役時代から70歳まで働くという人生設計であれば、「まだ働かなければならないのか」という否定的な感情は持たなくて済むと思います。むしろ人生百年時代では70歳まで働くことを「生活の張りができた」と前向きに捉えることができます。

(続く)

高齢期の備え50:高齢期の生活の張りと生活不活発病

2019年10月30日 | 高齢期の備え
・高齢期に注意することの一つに生活不活発病(廃用症候群)があります。「生活不活発病とは、その名の通り、生活が不活発になったことが原因となり、あらゆる体や頭のはたらき(機能)が低下する病気」で、「特に高齢者に起こりやすいもので、(中略)うっかりしていると寝たきりにまでなってしまいかねない、怖い病気」です。(出典:「動かない」と人は病む(大川弥生著 講談社現代新書)

・たとえば1週間程度ベッドに横たわっていた場合、若いうちは回復力が強いのでリハビリをすれば直ぐに元のように歩けますが、高齢になると回復力が弱く、歩きにくいからといって歩かないとさらに歩きにくくなるという悪循環に陥ります。

・生活が不活発になるキッカケは様々ですが、「することがない」もキッカケの一つとして挙げられています(出典:前述に同じ)。たとえば定年後に家でごろごろするとか、転居して子供と同居して日課としていた家事や庭の手入れをしなくなるといった事例です。

・その他、「やりにくくなりやらない」、たとえば膝の痛みなどために動きにくくなり家の段差があることで動きがさらに制約を受け動かなくなる、「やろうと思えばできるのにやらない」、たとえば介護施設などに住み替えたとき車いすの使用などで歩かなくなるなどのキッカケが挙げられています(出典:前述に同じ)。

・この生活不活発病のキッカケの一つである「することがない」状態を避けるためには「生活の中ですることがある」状態が必要であると考えます。

・過日、とある研修で「高齢期には『きょういく』と『きょうよう』が大切」と習いました。『きょういく』は『今日行く』ところがある、『きょうよう』は『今日用』がある、ということだそうです。

・「生活の中ですることがある」という状態を投稿者は「生活の張り」という言葉で置き換えています。高齢期にも生活の張りを維持できるように現役時代から布石を打っておく必要があります。

高齢期の備え49:高齢期の健康(11)フレイル

2019年10月29日 | 高齢期の備え
・今日の読売新聞朝刊に「フレイル検診 来年度から 厚労省、75歳以上対象」という記事が掲載されていました。

・主要な介護原因に「高齢による衰弱」がありますが、その前段階として「フレイル」が考えられます。フレイルは健康と介護の中間にあたる状態で、臓器などの機能が低下したり病気にかかりやすくなったりして感染症などへの抵抗力が弱まった状態です。

・フレイルは脳卒中などのように病気によって介護が必要になるのではなく、そのままでは心身が衰えやがて介護が必要な状態になりますが、運動や栄養の改善で健康な状態に戻ることもあります。

・フレイルになっていると介護が必要となったり死亡したりするリスクは前期高齢者では3.4倍、後期高齢者では1.7倍になるという研究結果もあります。(出典:東京都健康長寿医療センター 平成29年11月13日報道発表) つまり、健康な前期高齢者100人のうち10人が介護が必要になったり死亡するとすると、フレイルになっている前期高齢者100人では34人が介護が必要となったり死亡することになります。


・フレイルは、歩いたり立ったりする働き(移動機能)が低下するなどの身体的な要因、軽度認知機能障害などの精神的な要因、独居・孤立などの社会的要因などがあると考えられています。

・これらの要因の中で身体の側面では「ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)という考え方があります。ロコモは日本整形外科学会が「骨や関節、筋肉(運動器)などの衰えが原因で移動機能の低下した状態」を名付けたものです。

・ロコモの対策として、運動器は「運動やふだんの生活で身体を動かして負荷をかけることで維持される」ため、「若い頃から適度に運動する習慣をつけて大事に使い続けることが必要」とされています(出典:ロコモonline 日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)。

・現役時代の備えが高齢になった自分自身を守ります。

高齢期の備え48:高齢期の健康(10)糖尿病

2019年10月28日 | 高齢期の備え
・脛に傷を持つ身としてはあまり取り上げたくない病気ですが。

・糖尿病の大部分は、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病ともいわれる)で、インスリンが出にくくなったりインスリンが効きにくくなったりすることによって血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。

・糖尿病が強く疑われる方と可能性を否定できない方を合わせた全国の合計は約2,000万人で、40歳代男性では同年代の8.5%、50歳代男性では同年代の23.7%となっています(出典:平成28年国民健康・栄養調査結果 厚生労働省)。

・継続的に医療を受けている方の割合は、男性に比べて女性が多く、また、40歳代後半から増えます。糖尿病の発症リスクは次のようになっています。(出典:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター ホームページ)
○年齢:1歳歳を取るごとに男性・女性ともに2%上昇
○肥満指数(BMI):BMIが1Kg/㎡増えるごとに、男性・女性とも17%上昇
○糖尿病の家族歴:家族歴があると、男性で2.0倍、女性で2.7倍上昇
○高血圧:高血圧があると、男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇
○喫煙:1日20本以上吸う方は吸わない方と比べて、男性で1.4倍、女性で3.0倍上昇
○飲酒:1日1合以上呑む方は飲まない方と比べて男性で1.3倍上昇

・糖尿病による心身へのリスクとしては次のようなことが挙げられます。
○血糖値が何年もの間高く治療されないままでいると、血管が傷ついて、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、糖尿病の慢性合併症がおきる。(出典:国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター ホームページ)
○糖尿病によって認知症になる危険性は、正常な場合に比べてアルツハイマー病で2.1倍、血管性認知症で1.8倍高まる(出典:久山町研究ホームページ 九州大学大学院 医学研究院)

・糖尿病になるリスクの要因は年齢、家族歴、生活習慣などとされています。年齢や家族歴は変えられませんが、生活習慣だけは改善できます。高齢になったときの自分のために、今の自分が食べ過ぎ、喫煙を避け、運動習慣を改善しませんか。


高齢期の備え47:高齢期の健康(9)歯周病と糖尿病、入れ歯と認知症

2019年10月27日 | 高齢期の備え
・歯周疾患(歯周病)は、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症(歯肉炎)を引き起こし、さらには歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう病気です。

・歯周疾患は糖尿病とは悪循環の関係があります。糖尿病になると歯周疾患になりやすく、一方、歯周疾患はインスリンをつくりにくくし糖尿病を悪化させます(出典:e-ヘルスネットを参考に記述)。

・歯数・義歯は認知症との関連が指摘されています。

・厚生労働省の調査研究によると、歯数が20本以上の方に比べて、歯がほとんどなく義歯を使ってない方は認知症になる危険度が1.85倍です。ただし、歯がほとんどなくても義歯を使っている場合の危険度は1.16倍と低くなっています。(出典:介護保険の総合的政策評価ベンチマークシステムの開発 平成22度年研究報告書 厚生労働省)

・義歯を使ってでも歯の機能を整えておかなければ認知症のリスクが高まるということになります。