高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢者向け住まい・施設 その2 サービス付き高齢者向け住宅(3)

2015年05月24日 | 老後と住まい
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は基本的には民間事業です。介護サービス関連会社と不動産・建設業が半分以上を占め、その他には医療法人や社会福祉法人などが運営しています。この点はしっかり押さえておく必要があります。つまり、利益が求められる運営なのです。
本来、サ高住は介助や介護のための施設というよりは住まいを提供する、いわばアパートのような機能で、アパートと異なるのは前回の投稿のように安否確認と生活相談がついているという形態です。しかし、サ高住にはデイサービスなどの介護保険サービスを提供する施設が併設されています。そこでサ高住の利用者に併設の介護サービス提供施設を利用してもらうといったことなります。もちろん適正な量のサービスを提供すれば問題はないのですが、利益の観点からは施設稼働率を高くすることが望ましく、その結果、適正以上のサービスを提供するような事態もみられます。
 利用者にとっては沢山のサービスを受けられるのでよさそうにみえるのですが、利用者にとっては介護支出が増えることになります。また国の介護予算を圧迫し、全体として介護サービスの低下につながり、回りまわって利用者にも不利益をもたらします。
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高齢者向け住まい・施設 その2 サービス付き高齢者向け住宅(2)

2015年05月23日 | 老後と住まい
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、2011年以降急激に増えています。「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」によると、サ高住の登録状況は12年4月に約3万1千戸、13年4月に約10万9千戸、14年4月に約14万7千戸、今年4月には約17万8千戸となっています。このように急激に増えていますので、玉石混交ともいわれています。そのため、もし住み替えを考えるのならば事前に良く調べることが欠かせません。
 サ高住の9割が賃借契約です。これは賃借契約を結ばないと国や自治体からの優遇策を受けられないという事情があります。国としては、住む権利を保証するという観点から利用権よりも住む権利が強い賃借権に誘導しようとする意図があるのでしょう。
 サ高住は、次の2つの基準を満たすことが登録の条件となっています。
○サービスとして状況確認(安否確認)と生活相談は最低限提供すること
○構造・設備は以下とすること
・居住部分の床面積は原則25㎡以上
・居住部分に台所、水洗トイレ、洗面設備、浴室、収納設備を設置
・バリアフリー構造(段差のない床、手すりの設置、廊下幅の確保
ここで注意しなければならないのは、基準には食事サービスや介護サービスが含まれていないことです。(続く)
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高齢者向け住まい・施設 その2 サービス付き高齢者向け住宅(1)

2015年05月22日 | 老後と住まい
高齢者向け住まいの一つに「サービス付き高齢者向け住宅」というのがあります。サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と略されます。このブログでも福祉住環境コーディネーターの試験問題として取り上げたことがあります。
サ高住は、基準を満たす設備やサービスを提供する住宅を都道府県知事に登録できるという「登録制度」です。登録するメリットは、国による建設・改修費等の補助、税制優遇、住宅金融支援機構による融資などの支援が受けられることです。サ高住の制度は新しく、高齢者の居住の安定確保に関する法律」(2001年施行、以下「高齢者住まい法」)2011年の改正により創設されました。改正以前は、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の登録制度がありましたが、2011年の改正で廃止となりました。ただし、地方公共団体による高優賃の制度は残っています。サ高住の制度が創設されたのは、高齢者向けの住まいの制度が複雑だったことや行政の指導が不十分だったことが背景となっています。(続く)
(投稿者のURLの該当ページ http://www.rougotosumai.com/sakoujyu.html)

高齢者向け住まい・施設 その1 区別

2015年05月21日 | 老後と住まい
高齢者向けの住まいや施設は実に多様でどの施設を選んだらよいか迷います。先ず、施設と住まいは何が違うのかが問題です。投稿者は、住まいに関する権利で区別したら良いと考えています。高齢者向けの住まいや施設についての権利は大別すると所有権、賃借権、利用権があります。
所有権は一般のマンションと同じで不動産としての権利があります。つまり売買の対象となります。所有権に区分される高齢者向け住まいとして「シルバーマンション」などがありますが、概して高価です。
賃借権は借地借家法によって住む権利が保護され貸主に正当な理由がない限り住み続けることができます。高齢者向け住まいでは「サービス付き高齢者向け住宅」や「シルバーハウジング」、「公営の賃貸住宅」などがあります。
 利用権は、住まいと介護などのサービスを利用する権利です。契約によって権利が発生しますが、契約によってしか保護されません。契約によっては契約解除や居室の移動なども可能性があります。高齢者向け施設では「有料老人ホーム」、「ケアハウス」「認知症高齢者グループホーム」、「特別養護老人ホーム」があります。ただし、賃借権を適用している有料老人ホームもありますので、この場合は住まいと考えています。
 このように、投稿者は所有権、賃借権に基づいて住んでいる場合は高齢者向け「住まい」、利用権に基づいて住んでいる場合は高齢者向け「施設」と区別しています。
(投稿者のURL http://www.rougotosumai.com/ )

高齢者の独り暮らし その5

2015年05月20日 | 老後と住まい
高齢者が、一人暮らしになったので子供の家や高齢者向けの施設などに住み替えるということは簡単ではないと思います。それまでは、自分の家の主であり、家のルールを決めて、子供や訪問者はそのルールに従わせることになります。しかし、子供の家に住み替えれば、子供の作ったルールに従わなければなりません。施設に入れば、「○○様」と呼ばれてお客様、つまり訪問者と同じ立場になります。主から従へ。この立場の違いを受け入れることが難しいのは容易に想像ができます。
 時として立場の入れ替えが受け入れられず、新たしい主に対して自分も主を主張することもあり得るのでしょうが、そうすれば衝突することは避けられません。子供の家では掃除は2日に一回しているのに自分の家では毎日掃除しているということで自分のルールを主張すれば子供家族との衝突は避けられません。高齢者向け施設では施設の作ったルールに従うことになりますから、たとえば「今日はゆっくり寝ていたいので朝食は遅い時間に」と思っていても、朝食の時間が決まっていれば自分の希望が叶わないことになります。
 高齢者は新しい環境への適応が若いときと比べて難しいといわれていますので、こうした環境の変化についていけず老け込む速度が速まることが危惧されます。
(投稿者のURL http://www.rougotosumai.com/ )