仕事でほんの少しだけ行った台湾の話の最終回です。
最終日の夜、打ち合わせが押しに押して、
食事に行ったのが夜の10時過ぎ、さらに最終日ということで、
軽く打ち上げをしてホテルに戻ったのは午前2時半。
酔い覚ましにと思い、コンビニへお茶を買いにいったついでに、
夜風が気持ちよかったので、
夜の台北の街も少し歩いてみようと思いました。
ちなみにコンビニは日本と同じくらいの割合であって、
セブンイレブンはそのままですが、
ファミリーマートは「全家 便利商店」と看板がでています。
台北の夜は深いと聞いていましたが、
画像の看板通り、ホテルの目の前の交差点は不夜城でした。
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台北の夜中は極めて安全で、
(たまたま事件に遭遇しなかっただけかもしれませんが)
東京と同じ様な感覚で歩けます。
また、台湾の冬は極めて暖かく、
東京の人間には、夜中でもジャケット一枚で充分です。
午前中にちょっとだけ見た、
裏通りの廃店舗を見に行きました。
台北の夜は東京並みに明るく、
以前に行った北京とは随分違いを感じますが、
さすがに廃墟筋は暗めで、
廃店舗は薄明かりの中に静かに佇んでいました。
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近づくと、壁の壊れたところを通って、
野良犬が隠れるように中へ入って行きました。
台北には野良犬がけっこういます。
廃墟筋を抜けて、朝行かなかった方向へ少し歩いて見ました。
平日の午前3時だというのに、
けっこう住宅の窓から明かりが漏れています。
しばらく歩くと袋小路のようなところへ行き当たり、
古めの住宅のまわりに窮屈そうに車が止めてあります。
ここも住宅の方は使われていますが、
すぐ隣の2階建ての店舗は既に壁が崩落した廃墟です。
手前の建物の奥に1本だけ独立して写る椰子の木に見えるのが、
昨日の記事でとりあげた、檳榔の木です。
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台北は、想像を遙かに超えた廃墟シティでした。
そして、台北の人は廃墟と共に生きていましたが、
そこには全く悲壮感はなく、
むしろ逞しさを強く感じました。
街の中にある廃墟がこれ程生き生きとしてる光景を、
かつて見たことがありません。
そしてそれは、檳榔売りや猥雑な看板など、
台北の街を彩る文化と一緒になって、
始めてその威力を発揮するものなのかもしれません。
そこに住む人の感覚やモラルが深く反映されているからこそ、
街に力があるのかなと、
そんなことを思いました。
成田に着いて、
台湾と同じようにバスの車窓を眺めながら東京へ戻ってみようと思い、
リムジンバスに乗りこみました。
湾岸高速から首都高を回る、
最高の東京プレゼンルートを通って、
バスは新宿へ向かいましたが、
高速道路の両側に建つ、全くほころびのないビルが、
妙に生気がなく、ペラペラなセットのように見えました。
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【特集】台湾
・#01 高速からの光景
・#02 原住民・邵族の村
・#03 原住民・邵族と拉魯島
・#04 日月潭
・#05 涵碧樓大飯店 The Lalu
・#06 台北の廃墟
・#07 『アキラ』の世界
・#08 ボーダーレスな台北の廃墟
・#09 大繁華街の完全廃墟
・#10 台湾の廃墟感覚
・#11 活気ある廃墟的光景
・#12 檳榔売り