「ヤダ。今日、学校行きたくない。休む」
布団の端を握りしめて、もぐり込む。
友人が迎えに来ている。
「そんなこと言ってないでぇ……」
「……」
「ほら、これ貸してあげるから」
それはオレンジ色のビーズで作られた
お人形がついた長めのペンダント。
白いブラウスを着た私が首にかけてみると、
オレンジのスカートとぴったり合う。
「行こう」
手を引かれて外へ出ると見知らぬ男性が尋ねる。
「この場所へ行くには、ここを
真っ直ぐ行けばいいんですか?」
地図を見せられる。
それは1キロほど行った先の
狭い場所だった。
男性を先導して、その場所に着き……目を疑う。
狭い場所から出てきたのは……
彼ではないか!
髭が伸びて時を感じさせるけど確かに彼だ!
彼が顔を上げ……私を見た。
言葉は要らなかった。
風になって駆け寄り―――
彼の首を抱きしめる。
自分の心の声がやっと聞こえた!
「逢いたかった……」
息が止まるほど、抱きしめ――
抱きしめ――
狂おしく、溶け合うくらい
彼の力強い腕も私を抱きしめる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/05/d5c9f9e1ac1fc1816587cd7bb263fd44.jpg)
「逢いたかった……」
これが、何故かずっと我慢していた
心の声。
「逢いたかった……」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/d3/c6bbd707728e5d8469c210c354f9f8c5.jpg)
どのくらいの時が経ったのか……
ふと腕の中が軽くなった。
彼は霧が消え去るように
いなくなっていた。。。