緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

今年もおしまい

2009-12-28 11:56:49 | アロマテラピーとは
ただでさえ師走で、ましてや何かに気を取られていると、
一ヶ月なんてすぐですねえ。
何に気を取られていたかはまたの機会に書きますが、
ともかく「それ」に引っかかってまして、ずっと考えて続けてました。
以前も書きましたが、気になることは片付けてしまわず、
考え続けることが私のポリシーなのです。
というわけで今回の「引っかかり」をきっかけとして私の中に立ち上がってきた、
来年に向けての方向性を書いておこうかなと思います。

■ 人を幸せにするアロマ
アロマテラピー・トリートメントの最大の特徴は「幸福感」にあります。
他の色々な手技療法と同じく、痛みを緩和したり、
リラックスしたり、健康を増進するために
色々なことが出来るアロマテラピートリートメントですが、
受けた後の何とも言えない幸せな感じはピカイチだと思います。
世界に受け入れられている感じ、
その場所に存在することを許されている感じ。
このことへの気づきは私にもう一度初心に立ち戻ることを要求しました
(何か今日は翻訳調)。
生まれて初めてアロマトリートメントを受けたときの
幸せなショックは忘れられません。
その一度で、それまでやっていた音楽の仕事を辞めて
これからの一生はこの道で行くと決めてしまった程です。
まあ、私がそういう単純な性格だというだけの話なんですけど。

人は人を幸せにしたい生き物だと思います。
そのことで自分も幸せを感じる生き物でもあると思います。
でも、世界は複雑だし、おそらく自分の見えない所では、
大きな戦争だって災害だってあるし、
自分のできることなんてなんにもないよな、と普段は思っているわけです。
日々一緒に暮らす家族でさえ幸せするのは大変なことです。
でも、アロマトリートメントでほんの一瞬ですが
目の前の人を幸せにすることができるとしたら、
これはすごいことだと思いませんか。

■ 「痛み」と「眠り」と「幸福感」
末期がんの痛みで夜寝ることもままならなくなった人がいました。
痛みは世界から自分を遮断し、孤独にさせます。
不眠はすべての回復の力を奪います。
その方の病室にうかがい、アロマの香りを立ち上らせながら、
ほんのちょっとだけ足に触れただけで、すぅっと眠りに入って行くのを、
私は不思議な感動をもって見たことがあります。
自分の手がしたことと、そこでおこっていることの間に、
その時はしっかりとした繋がりを感じることができないくらい、
それはあっという間の自然なできごとでした。
その人はそうしてしばらく眠った後、目を覚ますと
「ああ気持ちよかったぁ」と言いました。

こういうことがあったからといって、
「どうです、すごいでしょ。アロマで、不眠も痛みも治せます。」
などという単純なものではありません。
しかし、体が、脳が、全身が感じる安心感や幸福感が、
いわゆる麻酔や麻薬の類いとはどうしても違うような気がしてなりません。
薬剤を用いたペインコントロールの技術もどんどん進んできています。
それはとても素晴らしいことです。
が、人が喜びや幸せを感じるているときに生み出す力というものは、
やはり計り知れない。
私はアロマの世界でそこに関わって行きたいと思います。
世界は広いですが、世界の始まりは目の前の人です。
その人をまず一瞬だけでも幸せにしましょう。
「痛み」と「眠り」と「幸福感」。
これが、全然関係ないものから辿り着いた、来年のテーマです。

そんなわけで来年も勉強。


インフルエンザ対策

2009-08-25 14:04:24 | アロマテラピーとは
新型インフルエンザ。
これだけ湿気むんむんの夏だったというのに、
実はちっとも下火になっていなかったらしい。
秋冬がとっても心配。
そこで、アロマにできること、考えられる予防法をいくつか。

■ まずは手軽なやり方
まず、手っ取り早く思いつくのが、
抗菌作用・抗ウィルス作用を持つ精油を空気中に漂わせることで、
身の回りの環境全体をなるべく清浄に保つ方法や、
うがいや手洗い時の石鹸に精油を混ぜ、
より積極的に殺菌・消毒を行う方法です。
いずれも、インフルエンザのウィルスそのものに対して
何らかの働きかけをするやり方です。
こういった用途に適している精油は、
ティートリー、ユーカリ、ユーカリラディアタ、
ラバンサラ、ニアウリ、パルマローザ、レモン、

など。

この辺の情報は色んなサイトにも出ているので
ぜひ参考にしてください。

私は、ティートリーをウォッカに薄めたものを洗面所に
常備して、うがいに使ったりしています。
いきなり水と精油を混ぜようと思うと、
とてつもなくシェイクしなくてはならないのですが、
いったんアルコールに溶かしておくと、
水とも馴染みやすく、うがいのときに楽です。
ティートリーは免疫強化という側面もあります。

パルマローザはO-157騒ぎの時に有効という情報を得たので、
トイレの手洗い石鹸に入れております。

あとはもっぱら芳香浴ですね。
せっせと部屋に焚いたり、ティッシュに数滴落として枕元に。
ほとんどの精油は程度の差こそあれ何らかの抗菌効果を持つので、
なんでも好きな精油を使ってください。
いつでも身の回りに漂わせておけば、
それだけで天然のバリアをまとっているようなものです。

人ごみに出る時はマスクもいいですし、
マスクの内側や、下着の胸の辺に、好きな精油を1~2滴
垂らしたコットンでも忍ばせていけば、より安心です。
ただし、濃すぎると気持ち悪くなりますからほどほどにしてください。


■ ウイルスに負けない身体を作る
アロマによるインフル対策にはもう一つの方向性もあります。
そして、実はここからがアロマの本当の力が発揮されるところ、
ウィルスに働きかけるのではなく、自分の身体に働きかけるのです。

身体という「場」の力を上げて、ウィルスに負けない
免疫力・治癒力を発揮できるよう整えるために、
精油はとても有効です。
精油に限らず、およそ自然療法の目指すところは、
自然治癒力という、もともと備わっている生命の力をいかんなく
発揮することに尽きるような気がします。

インフルエンザウィルスに限らず、私たち自身の体内では
毎日無数の敵との戦いがあります。
敵は外部からやってくるばかりではなく、
自分の健康な細胞から変化して作られるがん細胞まであります。
体内の免疫担当の皆さんがいかに忙しく大変か、
想像に難くないでしょう。
それを支えているのが、私たちの身体に備わった、
なんとも不思議なシステムです。
これが健やかに動いてくれるためには、
ある特定の臓器や器官ではなく、身体全体の力を
上げていかなければなりません。
そのためには身体を変に冷やしたりしないこと。
免疫システムは、体温よりすこーし高い温度で最も活性化します。

そして不要なストレスは溜め込まないこと。
ストレスは身体のあらゆるシステムを消耗させます。
「脳の誤作動」の原因にもなります。
ストレス自体を避けることはできませんが、
上手に逃がす、発散する工夫を真面目に考えましょう。
ストレスごときに負けるなんて情けないなんて思わないで。
実際、ストレスで簡単に胃に穴があきます。
ストレスで血管だって詰まります。
どうぞ香りの力を使ってください。

■ 自分を日々、メンテナンス
アロマの力で、とっ散らかった脳を鎮めて、
正しく、戦うべき相手と戦えるよう、準備を整えるのです。
そして合わせてタッチングの力もぜひ利用してください。
自分で軽くマッサージするも良し、誰かにしてもらうも良し。
もちろんサロンで全身ゆったりすればなお良し
好きな精油をオイルに薄めて皮膚の表面を軽くなでるだけでも、
血行がよくなり、安心安全のシグナルが脳へ届きます。
同時に、前述したような抗ウィルスや免疫強化などの精油の物質的作用が全身へと運ばれていきます。

私たちの身体は、どうにも、でこぼこしています。
毎日どこかに無理が生じている。
そして気分だっていつも前向きなわけじゃない。
できるかぎり日々健全にリセットしておきたいものです。


それからもうひとつ。
これから美味しいものがたーくさん出てくる季節になりますが、
腹いっぱいはどーもよくないみたいです。
少なめ控えめが大事。
でも、私の場合これがいっちばん難しいかも。


Mix or Single(つづき)

2009-05-16 18:13:00 | アロマテラピーとは
精油をミックスせずに単体で用いる場合、
有効か有害かは関係なく、その植物の持つ完成されたバランスのまま
それを身体に取り込むことになり、
これはこれで大変大きなパワーを発揮してくれます。
精油はただ単に植物から香りの成分を抽出しただけのもので、
特に人の手で特殊な操作を加えてはいないので、
それ自体で「あるバランスのとれたもの」だということができます。
人はその中から自分の身体に必要なものを利用しているだけのこと。
「有効」成分も「有害」成分も、
利用するこちら側の都合でしかありません。
当の植物にとってはいずれも必要だからこそ持っており、
持っていたからこそ進化の過程で生き残ってきた大切な一部です。
それを横からちょいと拝借しているのがアロマテラピーというものです。

■ 精油はメッセージ。治癒するのは自分
例えば身体のある場所に血流の滞りがあったとしましょう。
この「滞り」も身体にとってもとは必要あってのことだったのでしょう。
しかし、その必要な事態は去り、
むしろ今や血流を回復し修復に当たるべき時期が来ているのに
血流が回復しない。
それは「凝り」として認識され、
痛みは苦痛へとなっていきます。
本来ならば自力で勝手に血流の回復へとチェンジされるべき身体が
何らかの理由でそうならないとき、
人は自分を健康ではないと感じます。
治癒力が阻害された状態ですね。
そこで何らかの刺激(メッセージ)で
自然に備わった治癒力を取り戻そうとするのが、
精油の、そしてトリートメントの目的です。
そう考えると、ある種の有害成分を取り除いてしまった精油というのは、
確かに安全性は高まるけれども、メッセージ性はどうなのかしら
という疑問が残ります。
自己治癒力の引きがねをひくメッセージを保っているのでしょうか。

■ 例えばベルガプテン
例えば有名な、ベルガプテン。
光と反応して皮膚症状をおこすといわれており、
主にグレープフルーツやベルガモット、レモンなどに多く含まれます。
(ちなみにアロマテラピーの資格試験では必須の知識)。
これを取り除いてベルガプテン・フリーに加工した精油があります
これなら安心して昼間から使用することができますが、
私はどうも使う気になれません。
ベルガプテンを「太陽のエネルギーをチャージする物質」と表現
した人がいました。
とても共感を覚える言葉でした。
これがメッセージでしょう。
柑橘類のはじけるような明るさ、喜びに満ちた生命力、
それらを担う重要な一部であるはずのベルガプテンを、
皮膚に有害だからと除いてしまった精油は、
魅力が半減してしまうような気がしてなりません。
太陽光と反応して皮膚障害を起こす可能性があるのなら、
昼間は肌につけなければ良いだけのこと。
香りを嗅ぐ分には全く問題がありません。
鬱々とした気分に光が射すような素晴らしい香りです。

■ 全体の調整力を
ホリスティック(全体性)という言葉がとても重要なキーワード
とされるアロマ業界ですが、
実際はどんどん分析的な、薬の代用物としての使い方に
陥っていきそうな気がしています。
真面目に勉強すればするほど、そうなりがちなのかもしれません。
でも人の身体はこっちを押せばあっちがでっぱり、
あらゆるものが複雑に絡み合って機能しているので、
ある特定の成分で特定の部分をコントロールすることを期待するよりも、
全体の調整力をアップする方が実は合理的だと思うのですが。
もちろん医療ではなく、あくまでもセルフケアのレベルの話ですが。

混ぜて使うも、単体で使うもどちらも良さがあり弱点があります。
決定的な指標があるわけではないんです。
どちらにしても精油と身体との関係性の中で何かが起こっていくということ。
その「何か」を注意深く見守るまなざしが必要なのでしょう。


Mix, or Single?

2009-05-13 17:55:14 | アロマテラピーとは
緑香庵ではトリートメントの際、おおよそ3種類ぐらいの
精油をブレンドして使うのが常です。
違う種類の精油を混ぜ合わせることによって、
おのおのの有効成分が生み出す相乗効果が期待できることと、
また、精油がごくわずかに持っている刺激性の強い成分が
抑制されることがその理由です。
より安全性が高まり、薬理効果も高まるということですね。

お客様にその日の体調気分にあった香りを選んでいただきながら、
様々なブレンドのマジックをともに体験するのは、
本当に楽しい作業です
また、実はこうして香り選びをする過程で、
お客様が抱えていらした、脳の混乱は
ほとんど収まってしまうような気さえしています。
それほどに、このミックス作業というのは
欠くことのできない、大事なトリートメントの一環でもあります。

一方で、精油を単体で使用することもあります。
例えば、疲労感が強くもうヨレヨレといった感じのお客様には
単体での使用の方が有効な場合がままあります。
これはどちらかというと
精油の持つメッセージの力を期待した使い方です。
こういう使い方の時、精油は、よく言われている効能とは
違った働き方を、その人の身体の中でおこすような気がします。
例えばユーカリ
これは一般的に呼吸器の不調や筋肉疲労などによく使われる精油で、
どちらかというとリフレッシュ的な傾向が主ですが、
この精油を「気持ちよい」と感じる時に、
単体で用いてトリートメントすると、
そのリラックスの深さたるや半端じゃなかったりするのが
非常に面白いところです。

こういう使い方の時は、
「ある精油の◯◯という成分が△△に効く」という
分析的あるいは物質的な精油の役割よりも、
その人の身体へ直接、例えば
「もしもーし、ここの血行滞ってまっせー。
もう血ぃを流してもええんちゃいますかぁ。」
というようなメッセージを届ける役割がより明確になる気がします。

(この話、次回へ続きます。たぶん。)


ラベンダー直塗り、是か否か。

2009-04-27 11:15:57 | アロマテラピーとは
先日テレビで、天気予報の合間だったでしょうか、
「ラベンダーの精油を火傷に直接つけると治りが早いです。
お台所に常備してはいかが。」
という一言アドバイスがされていました。
うーん、どうでしょう。

■ 確かにそう書いてありますが・・・
精油を肌につける時は、植物オイルやアルコールなどで薄めて
使うのが原則です。
これはどんな初心者向けの本にも書いてありますね。
精油とは植物の芳香成分を抽出した非常に濃厚なものだからです。
ところが時々例外として、ラベンダーやティートリーは
薄めずに直接使っても大丈夫と書かれていることがあります。

確かにラベンダーは、アロマテラピーの祖モーリス・ガット・
フォセが実験中に負った火傷をたまたま手近にあった
ラベンダー精油をかけて治したところからアロマテラピーが
始まったという、アロマテラピーの元祖も元祖、
効果効能も幅広く、また安全性もとても高い精油
として知られています。

■ ラベンダーでアレルギー!
しかし、やっぱり原液をそのまま使うというのは
あくまでも例外、緊急時のここ一番だけにしておいていただきたい。
なぜなら、やはりとても濃くてパワーの強いものだけに、
副作用を起こさない保証はないからです。

ラベンダーはその優秀な効能ゆえに、今やさまざまな化粧品や
日用品に入っています。普段から体内に摂取する機会の
最も多い精油かも知れません。

あるエステシャンの知人は、比較的高濃度のラベンダーが
入った化粧品を毎日仕事で使い続け
(海外の製品は高濃度のものが多くあります。
人種が違えば皮膚の厚さも、肝臓の解毒能力も違います)、
ラベンダーでアレルギーを起こすようになってしまいました。

確かによく効きます。
効きますが、調子に乗って大量に使い続けると、
身体が過剰に反応するようになります。
何事もそうですよね。過ぎたるは…です。

■ 量ではなくメッセージを
とかくこの「量への信仰」というのが私たちの生活には
深ーく根付いてしまっているのです。
一滴よりは二滴、二滴よりは三滴、
はては薄めるより原液の方が「よく効く」んじゃないか。
これは、あくまでも単純な比例の法則。
私たちの身体はシンプルですがそこまで単純な
おばかさんではありません。

そしてこういう使い方は、実にアロマ的でない。
単に、いつもの医薬品の代わりに精油を使ってみた
というだけの話です。
アロマの持っている力は本来はそんなところにあるのではないのです。
むしろ、いかに使用量を少なくして効果をあげるか、
すなわち本人の力を引き出すか

そこにアロマの真骨頂があるわけです。

つまり、薬理効果を持つ物質が「どれだけ入ったか」によって、
身体のある一部分が強制的に変わる(治る)のではなく、
アロマの「メッセージ」が身体を刺激することによって、
全体としての自然治癒力がいかにスムースに発動されたが大事なのです。
そのためには、むしろ大量であることが邪魔になります。
物質が量で身体をねじ伏せる方法は、
その時はよくても治癒力が活性化しません。

(もちろん緊急時は別ですよ。
生命の危機には何をもってしても生きる方向へねじ伏せなければね。
今は普段のお話です。)

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《緑香庵にも春が》

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■ 鵜呑みにしない
アロマが一般的に広まるのはほんとに嬉しい。
だけれども、テレビで言っていることをまるごと鵜呑みにして
ラベンダーアレルギーになったりしないように、
量はいつも控えめにしましょうね。
うっすーくうっすーく使う方が、安全であるのはもちろん、
むしろ効果的であるという考え方も忘れないでください。

あ、あと、もちろん香りとして嗅ぐ時はあえて薄めなくても大丈夫ですよ。
気持ち悪くならない程度にお好きな濃さで、
おおらかに使ってください。